easterly wind
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ワタシハオンキョウチョットデキル  生まれ付いての不精者で飽きっぽいので多分大した事書きません。  と言うか迂闊な事書くとどこかの出版社から怒られが発生したりしませんよね??(ガクブル)  …

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日記

イコライザのお話

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2018年06月09日

ピュアオーディオの世界ではイコライザを邪道とする宗派もあるようです。
私はそんな野暮な事は申しませんが,他方で「こちらの製品で補正すればどんなお部屋でも完璧な環境に!」とでも言わんばかりの売り文句もまた少々目に余るように思われます。

確かに特定の2点間の音圧の伝達関数を周波数軸上で整えたいのであればイコライザの類いで十分なのですが,所詮イコライザでは如何なるアルゴリズムを使おうとも部屋に満たされる音をスピーカーからの音で補正しようとするというスタートラインに土台無理がある,即ち真の意味で音場を補正するというのは絵空事に過ぎないという現実は変わらず,反射や残響のある空間で特定の2点間の伝達関数をフラットにしようとすれば殆ど必然的に他の領域での特性が犠牲になるのです。
私はそうしたシンギュラリティには何らの意義も見出せませんので,先ずは部屋の音響設計や適切に設計されたベーストラップによりルームモードを強力に抑制するといった,謂わば“本質的な部屋の性能”の追求により空間全体を穏やかな特性に整えるのが順当だと思っています。
その中でリスニングエリアの空間的な偏りを抑えるセッティングを行えば,イコライザを使う場合でも補正量を抑えられると同時により広いエリアに対し有効に機能します。
そうしたあるべき段階をすっ飛ばしてこれ一つで“お部屋の音がこんなにクリーンに!これでお部屋にお金を掛ける必要なんてありません!”とでも謂わんばかりの謳い文句と共にインパルス応答のbefore-afterを示されたりすると,キミ,ちょっと場所変えて測ってみよっか?んん?なーんて内心毒突いてしまいますね。ハハッ

因みに(言う迄も無く)インパルス応答は周波数領域と時間領域の特性を内包しているわけですが,タイムドメインの綺麗さを謳う低域特性が残念な小型スピーカーのカラクリと同じで(笑),そのまま同じ時間軸だけで見ると1サイクルの時間に応じて拡大され単に(乱れを伴った)低域が出ていなければそれだけ綺麗に見えてしまいます。
そんなわけでインパルス応答を何らかの形で展開して可視化する必要が出てくるのですが,サイクルも重要になるスピーカーと違って部屋の共振を見る場合は壁間といった物理的な距離≒時間が支配的ですので基本的にはCSDやWater Fallで見ています。

さて,一度(ひとたび)励振されたルームモードは減衰され難く共振峰として長い尾を引き空間の音圧に偏りを生じますから,時間軸の積分値である周波数特性をある点でフラットにするためには当該周波数の放射エネルギーを減じるか見掛け上打ち消すしかなく,共振が起きているという現実は何ら変わりません。
また(次回のテーマとして予定している)“ルームモードの観点から考えるセッティング”はドローバック無しにモードの励振を抑える事が出来ますが,こちらもまた励振されたモードそれ自体の減衰には寄与しませんので共振の強さ(減衰の度合い)は変わりません。

他方ルームモードを抑制するような音響設計は確実に共振の減衰を早め空間により均一な音圧特性をもたらしますから,残念乍らイコライザは勿論セッティング(レイアウト)もまた良好な音響特性を有する部屋に取って代わる事は無いのです。


私はあまりイコライザのお世話にならずに済むような設計が専門ですから悪い音響下でのイコライザの使い方には疎い方なのではと自認しておりますが,何れにせよイコライゼーションは何をどう測定しどのようなアルゴリズムでプロファイルを作るかが重要になります。
特に局所的に生じた深いディップをイコライザで埋めようとすると他のエリアでは音圧マシマシになってしまいますし,不用意に扱えばヘッドルームを削ってしまい歪み率の大幅な悪化を招き,最悪の場合には過大入力の可能性も否定はできません。
流石に最近のそれなりに洗練されたアルゴリズムであれば複数ポイントで測定しますからルームモードの節を補正しようと天こ盛りにしてくれるような事はまずありませんが,やはりイコライジングはごく低域に留め補正量も控え目にするのが望ましいでしょう。
(恐らくTrinnovが採用している3Dプローブを用いたイコライジングシステムであれば音圧の節でもモードを拾える可能性が高く(厳密に言えばタンジェンシャル/オブリークモードは音圧/粒子速度共に節になる位置が存在しますが),あまりヘンテコな事にはならない筈です。)

キャリブレーション用イコライザはアマチュアミュージシャン界隈ですとAudysseyを使ったIk MultimediaのARC(現2.5)や独自アルゴリズムのSonarworks(現Reference4)などプラグインとして機能するもの,その他モニタースピーカーメーカーによるハードウェアと対応したソフト(Genelec GLMなど)が有名ですが,プラグインタイプならDAWはもちろんfoobar2000やJRiver Media Centerにも挿せますしバーチャルオーディオインターフェースを併用しても使えますので,PC Audioを構築されている方はお試しになるのも良いでしょう。
ARCの測定では複数の測定ポイントを自分で選ぶのに対し,Sonarworksでは左右のスピーカーからのシグナルによりマイクロホンの位置を検出しリスニングポイントに対し妥当と思われるエリアでの測定を行うよう促す仕組みがシンプル且つ独創的で面白いですね。
(Torinnovと違って左右のスピーカーへの距離のみを取得しているため,原理的に等しい距離を齎す円周上のどこに位置しているか検出出来ない点が気掛かりですが・・・)
フリーウェアですと各種イコライジングソフトに加えDSP内蔵ハードウェア用のプロファイルを書き出せるREW(Room EQ Wizard)も有名です。
こちらはかなり自由にプロファイルを弄れる筈ですので,補正しようとしているのがどのルームモードでどこにどんな圧力・速度分布をもたらしているのかを意識しながら作り込むと良いのではと思います。

後記
実はこの文章,次回投稿予定の“ルームモードの観点から考えるセッティング”の後記だったんですよね・・・
Sonarworksは丁度4.1SRがリリースされました。
測定プロセスやASIOのサポートといった改善と共に,(代理店のMedia Integrationさんのページでは今のところ言及されていないのですが)機能が削られている(画像左下)点が気になります。


Simulateと称して“Japanese white cone Studio monitors”とか“German studio headphone”とかの周波数特性を模すお遊び的な機能が実装されていたのですが,恐らくどこかから怒られが発生したのでしょう(笑)
因みにSennheiser HD650のプロファイルに対して“German studio headphone nr.650”,或いはAKG K712のプロファイルに対して“Studio headphones with Austrian heritage known to be 712”のシミュレートを適用すると補正はゼロに・・・ はなりません。(謎です)

ARC2にも一応Virtual Monitoringと称する同種の機能が実装されており,YAMAHA NS-10MやGenelec 1031Aの特性を模す事が出来ますが,お遊びの割には結構ガチで測定してプロファイルを作っている事が窺えるSonarworksのSimulateと比較するとスムージングを掛けた時の帯域のバランスがそれっぽくなる程度で個人的には少々物足りないので,今回のアップデートにより削除されたのは些か残念です。

そう言えば“Sonarworksの中の人”は公式ページ内でARC付属のマイクロホンも使えるような事を書いていましたが,その後発売されたARC2.5のMEMSマイクロホン(型番IK000098 / MEMSトランスデューサはKnowles SPH1642HT5H-1あたりでしょうか?刻印はありませんでした)はチップの特性が一般的なコンデンサ型とは大きく異なりますし補正量もえげつない(実測で+24dB at 10Hz / -6dB at 20kHz 内部的には+12dB at 20Hz程度)のでそのまま使うと低音天こ盛りのプロファイルになります。キャリブレーションプロファイルの提供も無いので止めときましょうね!
(コンデンサ型のIK000002及びIK000008とMEMSチップのIK000098のキャリブレーションプロファイルの比較)

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