日記
動き補償
2020年10月13日
先日高性能i/p Convertorの事を調べていてモーションベクトルを用いた動き補償の応用が行われいる事を知り、3D Y/C Separationへの応用でY/C分離精度を幾らか向上させる事が可能なのでは無いかと思いその実例が無いかを調べておりました。
結果としては残念ながら実例は見当たらずとなりました。
その過程でノイズリデューサーへの応用について詳細に記した論文を発見した為、ノイズリデューサー分野での応用について過去の資料を遡り調査を行いました。
ノイズリデューサー分野での動き補償の応用にはNHKが熱心であったようで1980年にブロック単位でモーションベクトルを生成しての動き補償を用いたモノクロ映像でテストされた事について記された論文があり今回調査した中ではこちらが最古の物でありました。
1983年に記された論文ではNTSC方式のカラー映像にそれを適用したものについて記され1985年に記された論文では動き補償がエラーを起こすフェードでの信号処理について記されている事がわかりました。
その後は1993年にHITACHIにより記されたMUSE DecoderのC信号に対してそれを用いる実験の結果の論文が2つあり、その後間を置いて2008年により細かいブロック単位でモーションベクトルを生成する事で高精度の動き補償を行い高性能化を図る実験の結果を記された論文が存在している事を確認出来ました。
動き補償のノイズリデューサーへの応用は基本的に動画部でも静止画部同様にリカーシブフィルタを機能させられる様モーションベクトルを用いて動き分を戻した動き補償を行ったフレームを生成する物であり、残像発生の回避とノイズ低減効果の最大化を図る事を主目的としています。
具体的には従来方式と比較して3dB程度SNR改善効果が向上すると論文には記されておりました。
また、ノイズリデューサーの動画特性改善を行う他の方法としてはアダマール変換を用いたノイズ抽出法があります。
こちらはサンプル毎にモーションベクトルを生成して高精度の動き補償を行うよりも遥かに演算負荷が小さくより現実的な様です。
民生用映像機器では何方の方法のノイズリデューサーの実装に置いてもVictorが熱心に取り組んでいた様に思いますが、民生用機器におりてくる10年以上前から熱心に研究開発を行っていたメーカーは別のメーカーでした。