日記
アナログ再調整
2012年03月28日
3月20日にマイソニックラボのウルトラエミネントBCが到着してから、DSメインをアナログメインへと移行しようとしていましたが、思わぬ伏兵にノックアウトされてしまいました。それは、グレート・ジャズ・トリオのトニー・ウィリアムスです。
トニーは元々ボストンのライブハウスでドラムスを叩いていましたが、ジャッキー・マクリーンに誘われるように、ニューヨークへやってきました。そのトニーの演奏を聞いたマイルスが、彼をまた引き抜いたわけです。その後マイルスのバンドを卒業した彼は、興味のあったロックへ転向してしまいました。
その後1975年にハンク・ジョーンズがCBSのスタジオミュージシャンを卒業したという、情報を得たビレッジ・ヴァンガードのオーナーが、ハンクに声をかけ、トニーとマイルスバンドで一緒にやっていたロン・カーターに声をかけ、グレート・ジャズ・トリオが結成されました。
At The Village Vanguardのジャケットです
1975年のライブは録音されませんでしたが、その情報を聞きつけた日本のレコード会社が、1977年に録音したものがAt The Village Vanguardです。この中でトニーが使っているドラムスがグレッチなのですが、何とキックドラムが24inchもあるものなのです。
24inchというと、普通はビッグバンドで使うキックドラムで、これをトリオに持ち込んだのですから、何ともまー、いやはやなのです。おまけに録音エンジニアのデイビッド・ベイカー氏が、低音を3dbだか6dbだか忘れましたが、音量を上げて録音したものですから、窓ガラスは割れるワ、天井は落ちるワ、床は抜けるワ、はまあ冗談ですが、調整が悪いとカートリッジの針が追随出来なくなって、見事にバスドラムのところで音が歪んでしまいました。
何が原因で歪むのか、針圧を変えたり、インサイドフォースを変えたりしていましたが、一向に埒が明かないので、ついに意を決してLP12の3個のサスペンションをばらすことにしました。
全部抜いて、再セットしたのですが、最初はものの見事に大失敗で、プラッターを押してもバネが柔軟に振動を受けてくれません。振動が直ぐに収束してしまうのです。色々やったのですがやっぱりダメで、再度バネを外して、手で嵌め具合の感触を探りながら、再セットです。最初は水平バランスを完璧に取った後、3個のバネの方向を合わせていきます。
詳しく書くと長くなるので、途中を端折りますが、やはりLINNの古川さんの様にはいかないですね。いつかは追いつこうと思っていますが、中々あそこまで完璧には出来ないです。調整は一度にやってもダメで、途中で時間を置きながら、少しずつやらないと、バネが落ち着かないので、何度も再調整をさせられる羽目になります。
さてここまでやって、一旦全部組み立てを終了、水平、針圧、他を全て調整し、音出し、何か歪みが少し減ったような気がしています。ここまでは従来のままですが、ここからちょっと鼻薬を効かせるために、カートリッジを固定するネジを変えてみようかという気になりました。
それまでは、エミネントに付属していた、多分真鍮に金メッキしたネジを使っていました。これをチタンかマグネシウムに代えてみようと思いました。チタンは完全非磁性体、マグネシウムは制震と軽量化です。
チタンはマグネシウムがダメだったときの補完用です。早速マグネシウムに交換してみました。
重さを量れるのが針圧計しかないので、これで計測、こちらはマグネシウムです。重さは何と7/100g
こちらはエミネント標準付属ネジ、重さは37/100g
結果的には(37/100 - 7/100)x2=0.6gの軽量化ですが、実際の数字以上に、アームを持って移動するとき、水平方向に軽く動くように感じられます。
最初に音を出したときの感想は、ちょっと低音不足か。でも時間をかけて聞き続けないと良く分からないので、3日間ほど聞いていますが、兎に角トニーのバスドラムで歪むことは全くなくなりました。そして今まで少々重いなと思っていたバスドラムが、軽々と出てくるようになったのには、2度目の驚きでした。
だったらもっと軽いタダのエミネントを、ボロンカンテレバーにしたらどうなるか、これはこれで興味はあるのですが、軍資金不足なので当分は棚上げです。
オーディオは何をやっても変わりますから、飽きずに長くやっていれば、色々良いこともあります、と言うお話しでした。
レス一覧
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山田野案山子さん 今晩ワ
このGreat Jazz TrioのAt The Village Vanguardが拙宅に届きました。
'77年 Feb,19,20に録音、'79 Printed in Japanとあり、EAST WIND盤です。
レコード番号はやはりBT-5307となっております。
改めて聞いてみると、32Hzくらいにピークが有る様にバスドラの音が普通よりズッーと沈み込んでいますね。このドラムにはしびれました。
byRay at2012-03-28 23:35
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Rayさん今日は
レス有り難うございます。
このアルバムは何度も再発売されていて、オリジナルのレコード番号が何番なのか、私も知らないのです。
At The Village Vanguardは全部で3枚ありまして、後の2枚はVol.2とAgainです。AgainはLPもあるらしいのですが、私は見たことはありません。散々苦労してCDは手に入れました。
Vol.2は結構LPも出てきます。私はハーフスピードカッティングの再発売盤のホワイトレーベルを手に入れましたが、素晴らしい再生が出来ます。
トニー・ウィリアムスのGJTは他にも何枚かあって、全部手に入れましたが、全部半端ではなく凄い録音です。
by山田野案山子 at2012-03-29 09:01
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ストラさん今日は
本日はもう出かけられたと思います。
トニーのバスドラムを擬音で書けば、ズドドドドドドドーンでしょうか、CDでも持っていてDSでも再生できますが、やはりアナログが凄いのです。
今までは少し重いなと思っていたのですが、軽く反応の良い再生になったので、ドドドドドドがきちんとリズム感を持って再生されて、気持ちが良すぎです。
近所迷惑が酷くなりそうなので、自制しないと、ストレス溜まりそう。
by山田野案山子 at2012-03-29 11:08
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山田野案山子さん、こんばんは。
トニーのドラムは凄いと思いますが、マイルスバンドの頃はまだ24inchのバスドラを使ってなかったんでしょうか・・・?
GJTのLPは1枚だけMilestonesしか持っていませんが、確かにこのバスドラは大きく響くなと思ってました。
LP12の調整はじっくり手間暇をかけなければならないんですね。
かなり勘とセンスも要求されそうですね ^^;
カートリッジの固定ネジでも調整できるとは・・・やはりアナログは奥が深いですね。
byKYLYN(キリン) at2012-03-29 23:14
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キリンさん今日は
マイルス当時は普通のバスドラムだった様です。GJTになって初めて持ち込んだ物ではないでしょうか。
GJTの時はほとんど24inchを使っているようです。
LP12の調整は確かにやっかいです。どのネジをいじっても全部再生音に影響してきます。だから面白いとも言えます。
カートの固定ネジ、トニーのバスドラムには良かったのですが、昨晩エリック・ドルフィーのバスクラリネットをかけたら、実に情けない演奏になってしまったのでです。
キャンディーで聞いた、ドルフィー・イン・ヨーロッパ VOL.1 B面のオレオです。ウサイン・ボルト並に疾走してくれないといけないのですが、私の足並みにとろいのですよ。こりゃあきまへん、と言うことで、今晩か明日にはネジを代えます。
by山田野案山子 at2012-03-30 08:56
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