元住ブレーメン
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高校生時代にベータマックスで映像に目覚め、フォーマット変遷を何世代と経た今、撮影から編集、映写まで4K環境がついに実現しました。ホームシアターのための家も建て、充実した日々を送っております。 コ…

マイルーム

ホームシアター「建築」記
ホームシアター「建築」記
持ち家(戸建) / 専用室 / オーディオ・シアター兼用ルーム / 16畳~ / 防音あり / スクリーン130型以上 / 8ch以上
我が家の(地下室)ホームシアターです。 もともとは賃貸派の私でしたが、好きなときに好きな映画や音楽を好きなだけ好きなように鑑賞するには、持ち家しかないと一念発起。2005年の10月に地上二階、地下一…
所有製品
  • BDプレーヤー
    OPPO UDP-205
  • AVアンプ
    ACCUPHASE PX-600
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  • D-ILAプロジェクター
  • パワーアンプ
    ACCUPHASE PX-600

日記

お気に入り製品

レビュー/コメント

SC-LX90
PIONEER
SC-LX90(SUSANO)
¥880,000(税込)
発売:2008年3月下旬
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パイオニアのAVアンプ集大成は新時代の原器

パイオニアが苦戦しています。先日発表された今年度の通期業績見通しは170億円の営業赤字と純損失が780億円。売上高7000億円規模の会社としては相当のダメージで、今回の社長交代はことの重大さを社内に知らしめる意味もあったのでしょう。パイオニアはマニア受けする、きちんとお金をかけて作った高性能製品を多く出しているだけに、その会社の業績が不振なのは残念です。新社長も「このままでは生き残っていけない」と悲壮な決意を語っていますが、ぜひ復活して欲しいものです。それは、あるいは分社専業化(高収益のカーエレと苦戦しているホームエレを分割、ホームエレは大量レイオフ後アキュフェーズのような小さな専業メーカーとして再出発、など)の道を歩むのかもしれません。私的には今年はプラズマモニターのKRP-600M、AVアンプSC-LX90、BDプレーヤーBDP-LX91(まだ納品されていませんが)と、随分パイオニアに貢いだ年になったこともあり、なんとか経営を立て直して頑張って欲しいと願っています。

さて、本題ですが別宅のリビングシアターにかまけ、進展がなかった本宅の地下シアタールームですが、ようやくHDオーディオデコード対応のアンプ、パイオニア・SC-LX90を導入しました。シリアルは500番台後半でした。これまでBDを鑑賞する際はソニー・TA-DA9100ESにマルチチャンネルの非圧縮PCM(ただし48KHzまで)を入力していたので、劇的な質の向上がある訳ではありませんが、ハイサンプリング対応やデコードの自由度など、より柔軟に本来のHDオーディオの質を楽しめるようになりました。

SC-LX90は技術的にも見所の多い機種ですが、音質や駆動力を決定する大きな要因として、クラスDアンプの変種である「IcePower」を挙げない訳には行かないでしょう。デンマークB&O社の社内プロジェクトとして発足した後、子会社として独立したという経緯を持ちますが、ポイントは最初から高音質なオーディオ用アンプを目指して開発されたデジタルアンプであるということ。1994年にデンマーク工科大学での自らの研究プロジェクトを産学協同開発に発展させ、以来中心人物として開発を牽引してきたカーステン・ニールセン博士は今年の8月にIcePower社がB&O社の100%子会社になったことをきっかけに、10%の持ち株を手放して退社したようですが、ひとりの秀才が信念を持って長期間にわたり開発した技術であることも、スペックと同様以上にその技術の筋の良さ、フィロソフィの強固さをうかがわせる大切なポイントだと思います。また、一連のジェフロウランドのパワーアンプやB&Wのサブウーファー、最近ではウィルソン・オーディオのパワードスピーカーやマーチンローガンの静電型パワードスピーカーに使用されるなど、ハイエンドオーディオ界でもその地位は完全に確立しています。

デジタルアンプというとソニーのS-Master(Pro)があり、我が家にもその(未だに)最新モデルであるTA-DA9100ESがある訳ですが、S-MasterもIcePowerもPWMであることは共通している一方で、セットとしてはソニーがDAを行わないフルデジタルで無帰還なパワーアンプなのに対して、パイオニアはDAを行いアナログ信号をデジタルアンプで増幅し、多重帰還するという違いがあります。このあたりがどう音質に影響するかも興味津々です。ちなみにTA-DA9100ESの特徴であった9.1chサラウンドは、スピーカーの配置をそのままにSC-LX90につなぎかえることが出来ます。SC-LX90ではさらにサラウンドアレイは独立したアンプ駆動になり、ディレイなども調整できるようになり、サブウーファーもステレオ構成になりました。我が家では、メインのサブウーファー(エクリプス・TD-725sw)を前方左に、サブのサブウーファー(ビクター・SX-DW7)を前方右と対角線上の後方左手に配置した9.3ch構成にしています。

その他、このアンプの多機能さぶりは雑誌などのメディアに詳しいので、ここで重複することは避けますが、新時代のリファレンスとして視聴環境の整備を助ける機能が充実していることは特筆に価すると思うので、それを紹介しておきたいと思います。まず、スピーカーの位置の精密調整。これはパルストーンを出しながら測定ポイントとスピーカーまでの距離を測定する機能ですが、リアルタイムで基準となる左スピーカーとの距離差を表示することが出来、これによってスピーカーの設置位置を1cm単位で揃えることができます。これはソフトに収録されている信号を補正をかけずにそのまま聴きたい時に、スピーカーの素のセッティングの質を向上させることができます。やはりフロント3本は等距離に揃えておきたいもの。特にSACDのDSD信号は各種補正をかけると88KHzのPCMに変換されるので、補正をかけずにピュアダイレクトで聴きたい時に役立ちます。補正に関しても、サラウンドスピーカーの周波数振幅特性を揃えるオートEQや設置位置を補正するオートディレイは一般的になりましたが、このアンプはさらに一歩半進んで、周波数位相特性、群遅延特性や残響特性の調整、定在波制御にまで踏み込んでいます。実際に使用してみると、これらの機能は確かに効果があり、有用ですが、一方でスピーカーの個性をどんどん殺してしまう一面もあるので、さじ加減を考えながら使うのがよいのでしょう。一方で、測定結果はビジュアルに表示できるほか、PCへ転送もできるので、自分の部屋の特性を把握するツールとしても非常に有用です。私は音楽はピュアダイレクトで、映画はフロントアラインのMCACCで聴いています。測定は一度で「シンメトリー(左右対称)」「オールアジャスト(全チャンネルフラット)」「フロントアライン(フロントに合わせる)」の3種類の結果を得ることが出来、メモリーは6つあるので、うちではパワーアンプを使うときと使わないときのケースでそれぞれ3種類をメモリーしています。

肝心の音質ですが、これまで使用していたソニーTA-DA9100ESとの同一条件での比較では、ソニーが超高解像で、質感・量感ともに解像度によって雰囲気、空気感で表現する印象が強かったのに対し、パイオニアは実体を伴う量感を兼ね備えている部分に3年分の進歩を見て取ることができるような気がします。ソニーを最初に聴いた際はその音の粒子の細かさに感動しましたが、パイオニアではその粒子のひとつひとつに質量があることを感じます。ノイズフロアのレベルは聴感ではっきりわかるほど低下しました。TA-DA9100ESの弱点のひとつがノイズだったのですが、SC-LX90では静謐と言ってよい静けさを実現しています。ここからの立ち上がりも鋭く、パワーのないアンプが全チャンネルで大アタックを再生したときの、音場がふっと輪を縮める感覚とも無縁です。サラウンドスピーカーをアレイ構成にした9chサラウンドのつながり感は両者同等ですが、高さ方向の表現、特に地面のあたりの低さでの表現力はパイオニアに進歩を感じます。ピュアなオーディオアンプとして考えてもパワーも十分にはいり、私のシアタールームでのボリューム位置-5~+5の大音量での視聴でも決して腰砕けにならず、かつ解像感を失わない、ダイナミック性能と、極小音量域での解像度を両立しています。量感、力感、瞬発力に関してはソニーからかなり進歩しているといってよいと思います。もうひとつ、プリアンプとしての品質も「ニコイチ」のコンストラクションの効果もあるのか、ソニーから二ランクくらい上がった印象です。

SC-LX90の音場プログラムに関しては、ストレートデコードしか出来なくなってしまうことの多い、安い価格帯のHDオーディオ対応アンプと異なり、HDオーディオデコード時も機能の制限は少ないのですが、このアンプの数少ない弱点を挙げるとしたら、マルチ系で12種類しかないストイックな設定の音場プログラムでしょうか。特に不満という訳ではないのですが、ヤマハの豊富なDSPプログラムやソニーのと比べると、ストレートデコード指向なのがよくわかる構成です。それこそが持ち味ということなのでしょう。もうひとつ文句を言うとすると、明るすぎる電源ランプ。他の照明は消せるのですが、これだけは消せません。私は上から黒いビニールテープを貼ってしまいました。

まだ導入して日は浅いのですが、かつて導入したどの製品よりも稼働率がいきなり上がっています。アキュフェーズのセパレートは二週間昼夜フル音量でエージングした後でようやく聴く気になりましたが、このアンプは最初から聴けます。ソフトの質を明瞭に伝えてくれる信頼できるリファレンスにふさわしいマルチチャンネルアンプ。OSDの豊富さもありスクリーンのない人(マルチチャンネル・ピュアオーディオ派)にも躊躇なく薦められます。

レス一覧

  1. byMt.T2 at2008-12-12 02:18

    元住ブレーメンさん、これぞレビューと思えるす晴らしい超大作レポートをありがとうございます。
    特にTA-DA9100ESとの比較、非常にうれしい情報でした。当初、中古のTA-DA9100ESで踏みとどまるか、1歩を踏み出すか悩んで出した結論が間違いでなかったと、安堵しております。
    フルデジタル無帰還への強い憧れがあったのっですが、i-Link搭載の次期機が出てこない以上、選択肢はSC-LX90しかなかったのが実情です。このため、本当にその判断が良かったのかどうかがずっと気がかりでした(^^;
    SC-LX90の多機能性、自動補正の先進性の面では非常に満足している一方、SACDの補正時の88.2へのコンバートや、これだけ素晴らしい筐体とパワーアンプを持ちながら、アサインの自由度を奪ってしまった構成など、一部ユーザーの本心を汲めていないある意味未成熟な部分を感じてしまいます。このあたりの商品構成力が、パイオニアの現状を生み出しているのではないかと思ったりもします。
    とは言え、σ(^^;もSPとアンプもがパイオニア(都合により同時使用できたませんが)という、ある意味パイオニアフリークなので、元気に復活してくれるよう願っています。

  2. byMac_cel at2008-12-12 02:31

    ほんとに素晴らしいレポートですね。私にはとてもかけません・・・

    うちの個体もトラブルで交換後のシリアルは500番台でした。
    ほとんど同様の思いですが、私の場合は肝心のアイスパワーを全く使っていませんので、この部分の音についてはまったくわかりません。
    プリ部に関してはこれはもう素晴らしいです。外付けのパワーアンプをきちんと駆動していて、現時点では私的には一番だと思っています。
    選択筋が私の場合もiLinkが必須だった物でこれしかありませんでした。今後もHDオーディオにSACD・DVD-Aのマルチチャンネル再生に十分に活躍してもらおうと思っています。

    何にしても私も毎日必ず電源を入れて使わない日はないくらい稼働しています。

  3. byアコスの住人 at2008-12-12 12:56

    元住ブレーメン様

     素晴らしいですネ  (^_-)-☆  ブレーメン様のレビュー記もさる事ながら LX90の素晴らしさや 見事さが 沸々と感じてきます。   多機能で有りながら シンプルな造りなのですね・・・ 違うのかな・・・?  


     Pioneerには・・・  ガンバって頂きたいですネ  今のAVが存在するのも パイオニアの牽引力があっての事。  本格的なAV用途のディスプレイの開発から 大型リアプロジェクションTV そしてプラズマディスプレイ。  もとろん LDの開発&発売。  カラオケと言う バックボーンが有った事も事実ですが 決して腐らずに 高級LDプレーヤーを作り続けていた事には敬意を表したいですね。    ピュア製品にも数々の名作が有りましたネ (^o^)丿   だから・・・  ピュアの製品(アンプやプレーヤー)も返り咲いて欲しいものデス。 

     パイオニア精神を持ち続けて 今後の活躍を祈るばかりです。

     アコス。

  4. by元住ブレーメン at2008-12-12 13:58

    コメントありがとうございます。TA-DA9100ESの場合もDSD入力時は距離の補正しかかからなかったので、チョイスのあるSC-LX90はマシという見方もあると思います。また、TA-DA9100ESは本質的には7.1chアンプだったので、本当にパワーアンプを10ch搭載していて、サラウンドアレイ間でディレイの設定も出来るSC-LX90は一枚上手といってもよいのではないでしょうか。確かに、全てのデバイスを内製で調達できるソニーと、パワーアンプに始まり、DACやサンプリングレートコンバータなど相当の部分を他社に頼るパイオニアでは会社としての規模、地力の差を感じないといったら嘘になりますが、最終的に製品になる際は絵心、音心のあるなしが大事で、パイオニアにはそれがあると思っています(例えばシャープの液晶テレビはデバイスはあっても絵心がない良い例)。

    SC-LX90でもうちょっとがんばれたかと思う点はMt.T2さんのおっしゃるパワーアンプのアサインもそうですし(センターのみバイアンプとかが出来ると嬉しい)、サウンドレトリバーのマルチチャンネル対応とか、HDMIのPQLSマルチ対応、HDMI入力時のフロントパネルでのプレビューとかでしょうか。うちではプロジェクターをつけなくてもフロントパネルでダビングなどの操作が出来るように、わざわざBDレコからアナログコンポーネントでもつないでいます。

    Mac_celさん、パワーアンプは試しに使ってみてください。うちもアキュフェーズのA級アンプととっかえひっかえしていますが、確かにスピーカーのドライブ力、グリップ感などは一歩半くらい譲るものの、ふわっと漂う空気感などはまた別の味わいがあります。ちなみに、交換前後の個体で発熱に差はありましたか??私は今年の初頭に試聴したいくつかの個体がすべて相当発熱量が多かった覚えがあるのですが、自分のものはそうでもないので何か変更があったのかと勘ぐっているところです。

    今年はソニーからはハイエンドのAVアンプは出ませんでしたが、SC-LX90への回答になるような素晴らしい製品が出てくることを期待したいと思います。そしてもちろんパイオニアにもさらにエポックメイキングな後継機をつくって欲しい。パイオニア精神、まさにそうですね。

  5. byMac_cel at2008-12-12 15:50

    発熱に関してですが、交換前後で差はありませんでした。相変わらずの膨大な発熱です。

    一番違ったのは交換前後で音にずいぶん違いがあったことでした。明らかに交換後の方が良くなっていました。MCACCのチューニングやパーツの変更など何かしらの変更があったのは間違いないと思います。

  6. by元住ブレーメン at2008-12-12 17:39

    そうですか。初期のものは天板が相当熱かった(ずっと触り続けるのはつらい感じ)覚えがあったのが、私のはほんのり温かい程度なので、ずいぶん変わったのかと思っていました。

  7. byMac_cel at2008-12-12 18:34

    ええーっほんのり温かい程度ですか・・・
    うちのはそれこそかなり熱くて、とても触り続けられません。
    いったいどうなっているのでしょうね。

  8. by元住ブレーメン at2008-12-12 21:38

    ちょうど良いお風呂(笑)くらいの感じです。ボリューム位置はそれほど違わないようなので、まさかパワーアンプを使わないほうが発熱するとかでしょうか!?!?

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【SPEC】●定格出力:200 W×7ch/8 Ω、140 W×10ch/8 Ω ●周波数特性:5〜100kHz ±3dB ●ライン入力S/N比:105 dB (IHF-A ショートサーキット) ●音声入力端子:i.LINK2、AC-3 RF1、同軸4、光7(内1系統はフロント入力用、フロント入力以外はアサイン可能)、オーディオ5 ●映像入力端子:コンポジット8、S端子3、コンポーネント3、D5端子2 ●その他入力端子:HDMI6(音声再生可能)、USB1、iPod専用端子1、LAN端子(10BASE-T/100BASE-TX)1 ●音声出力端子:光デジタル2、同軸デジタル1、オーディオ2、プリアウト…フロントL/R、センター、サラウンドL/R、サラウンドバックL/R、SW出力(2系統)、EXTRA L/R ●映像出力端子:コンポジット5、S端子3、コンポーネント2(MONITOR、ZONE2)、D41(DVR/VCR1、DVR/VCR2) ●その他端子:HDMI出力2、RS232C出力1、12Vトリガー出力4、SR入出力1 ●消費電力:550