元住ブレーメン
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高校生時代にベータマックスで映像に目覚め、フォーマット変遷を何世代と経た今、撮影から編集、映写まで4K環境がついに実現しました。ホームシアターのための家も建て、充実した日々を送っております。 コ…

マイルーム

ホームシアター「建築」記
ホームシアター「建築」記
持ち家(戸建) / 専用室 / オーディオ・シアター兼用ルーム / 16畳~ / 防音あり / スクリーン130型以上 / 8ch以上
我が家の(地下室)ホームシアターです。 もともとは賃貸派の私でしたが、好きなときに好きな映画や音楽を好きなだけ好きなように鑑賞するには、持ち家しかないと一念発起。2005年の10月に地上二階、地下一…
所有製品
  • BDプレーヤー
    OPPO UDP-205
  • AVアンプ
    ACCUPHASE PX-600
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    PANASONIC DC-GH5
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  • パワーアンプ
    ACCUPHASE PX-600

日記

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レビュー/コメント

BDP-LX91
PIONEER
BDP-LX91
¥430,000(税込)
発売:2008年12月中旬
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空気感を伝えるプレーヤー

39980円で買えるプレイステーション3でブルーレイディスクが再生できるのに、その十倍以上の価格のBDプレーヤーの価値はどのように見出せるのでしょうか。

パイオニアのフラッグシップモデル、BDP-LX91は素材やパーツ、コンストラクションなどに徹底的にこだわる、古典的なハイエンドAVコンポーネントの設計手法をとったモデルで、実際にその内容は大変充実しています。ドライブを低い位置のセンターに配した低重心二階建て構造のシャシーに二重底、二重天井を擁し、回路はそれぞれ個室をあてがわれる優遇ぶり。側板は波型の形状で高剛性をつきつめ、アルミとスチールのハイブリッドボディは高質感も剛性感もたっぷり。インシュレーターはTAOCの三点支持で、電源はトロイダルトランスを奢り、端子は削り出し金メッキと、ハイエンドホームシアターオーナーが納得する造り。「持つ喜び」を体現した製品といえるでしょう。しかし問題はそれが再生クオリティにどう影響するかです。

機能的にもBDP-LX91はハイライトの多い製品です。映像と音声を二つのHDMI端子から出力するセパレート伝送、BDの4:2:0、8bitのデータを4:4:4、16bitにまで拡張する適応型プロセッシング、1080iの放送番組から映画など元々24コマのコンテンツの24p出力を可能にする「アドバンスド1080/24p出力」はすべて「業界初」。また、CD再生にしか効きませんが、HDMIでのジッターフリー伝送を実現するPQLS対応や、贅沢に8ch独立で搭載したDAコンバーター、HDオーディオもフル対応(予定)と、現在考えられることはすべてやった感のあるリファレンスプレーヤーにふさわしいスペック。しかし問題はそれが再生クオリティにどう影響するかです。

BDP-LX91に初めて電源を入れると、セットアップナビが開始されます。まず、二つあるHDMI出力から映像、音声をセパレート出力するかどうか。二つあるHDMI端子にはMAINとSUBがあり、SUBからはPCMステレオ音声しか出力されません。つまりセパレート伝送する際にはこちらを必ず映像用として使います。MAINを音声、SUBを映像と設定しても、この時点では両方から映像が出力されます。次の設定項目はHDMIハイスピード伝送。最高16bitまでのディープカラーを使用するかどうかをここで設定します。その後はアナログコンポーネント端子の出力解像度を選び、テレビのアスペクトを設定して終了です。ちなみに本機のアナログコンポーネント出力は1080iどまり。ソースもディスプレイデバイスもデジタルの昨今ではDA/ADを繰り返すアナログ伝送を使う利点は何一つありませんが、この機種ではさらに使う理由が減っています。

BDP-LX91の取説には、HDMIのセパレート伝送を行う場合、MAIN側をつないだAVアンプから、SUB側をつないだディスプレイにHDMIケーブルをつないではいけないと書いてあります。実際にはAVアンプにはBDレコーダーやDVDプレーヤー、PS3など、本機以外のHDMIデバイスをつないでいることが多いはずなので、これでは不便です。我が家ではBDP-LX91からパイオニアのAVアンプ・SC-LX90とビクターのプロジェクター・DLA-HD750をつないでいますが、SC-LX90とDLA-HD750をHDMIケーブルでつないでも問題なく動作しています。推測ですが、問題なく動作するかどうかはHDMIケーブルの終着点であるディスプレイによるのではないでしょうか。非選択のHDMI端子が回路的にはアクティブになっているモデルだとクロックの伝送などが行われ、問題が発生するものと思われます。いずれにせよ、パイオニアが動作を保障しない以上、自分の責任で使うしかありません。

私が重要視していた、1080iで放送された映画の24p出力は、再生中に解像度切り替えで「1080/24p」を選ぶことで2-3プルダウンが行われ、ぶれゴマのないピュアな24p出力を実現しています。解像度を「自動」にしておくと、1080/24pの素材はそのまま、他の素材は1080/60pで出力される(ディスプレイによって異なる)ので、WOWOWやNHKハイビジョンシネマなどのコンテンツを見るときは毎度解像度切り替えを行わなければなりません。このあたり、自動で認識・切り替えをしてくれるようになると良いのですが、贅沢な注文でしょうか。

本機には「ピュアオーディオモード」があり、信号の出力、本体ディスプレイの消灯をひとまとめに設定することが出来ます。モード1は一切の映像関連の出力を行わないモードで、オーディオのみを高音質で聴きたい場合のモード、モード2は映像出力をセットアップナビで設定した端子に限定するモードで、HDMI MAINはオーディオのみ、HDMI SUBはビデオと完全セパレート伝送を実現します。ディスプレイ消灯は電源のインジケーターを含め、すべての表示を消すことができ、文字通り「真っ暗」にすることができます。SC-LX90は明るい電源のインジケーターを消すことが出来なかったので、進歩したといえます。

そんなBDP-LX91はどんなパフォーマンスを見せるのでしょうか。ビクターのプロジェクター・DLA-HD750を通じて映し出される映像で印象的だったのは、映像の空気感を良く伝えるということです。「ダークナイト」の冒頭、銀行襲撃のシーンはストーリー自体は残虐な強盗ですが、IMAXカメラを使った映像はクリアでシャープ。被写界深度の浅さとあいまってボケが大きく、光の陰影が印象的な美しいシーンです。本機はその場の奥行き感や質感を含め、空気を感じさせる巧みな絵作りを見せます。開発に関わった人の「絵心」を強く感じます。スペックや機能では語りつくせない巧みさを感じますが、それは本機のふんだんに投入された物量に裏付けられたものでもあるのでしょう。冷静に見ると、色の純度が高くピュアな美しい発色と、圧縮ノイズの巧みな処理が目に留まります。ブロックノイズやモスキートノイズは圧縮の宿命ですが、その処理が巧みなのです。単にノイズを除去してしまうだけではフィルムの粒子感や映像のディティールをも消してしまい、平面的なのっぺりとした絵になってしまいがちですが、BDP-LX91ではあたかも非圧縮のデジタルマスターを見ていると錯覚しそうなクリアで立体感のある、美しい映像を見せてくれます。ピクセルひとつひとつを磨き上げたかのような精緻な映像はそれだけで感動できる品格の高いものです。

音声面では、世界初のセパレート伝送がどれだけ効くか興味深いところです。事前にはあまり過大な期待をしないようにしていたのですが、我が家の環境では効果をはっきりと感じることが出来ました。試聴に使ったソースはNHKが発売した小澤征爾/ベルリンフィルの「悲愴」。このディスクは1080iの映像と、96KHz/24bitの5.0chリニアPCM音声が収録されています。音声だけで13.82Mbpsの帯域を使い、20Mbpsあたりから時折30台半ばまでに達するAVCの映像との組み合わせ。映像は常にプレーヤーでデコードされ、非圧縮で伝送されるので、その影響を図るにはうってつけのソフト。アンプへの映像入力を1080p、1080i、なしで比べてみると、1080pとデータ量が半分になる1080iではそれほど大きな差を感じませんが、映像をオフにすると音楽のボディがしっかりし、響きの分離が良くなり、音場の見通しがぐっと向上します。この音はBDレコーダーやPS3とは相当次元の異なるものです。音楽の密度が高く、音の粒子が細かい。骨格がしっかりとしている上、余韻が薄くならない、オーディオグレードと言ってよい音をこのプレーヤーは持っています。ただしハイエンドの範疇とは言いがたいものがあります。例の「トロンハイムソリステン・ディベルティメンティ」の192KHz/24bit PCMをこのプレーヤーで再生した音と、SACDをSCD-DR1で再生したものでは、明らかにSCD-DR1が高いグレードの音を出します。音楽のグリップ感、複雑な響きのテクスチャーなど、音楽がより生き生きと感じられるのです。ただしこれは比べる相手が悪いというか、映像回路を持たず、ドライブからシャシーから全てが専用設計のピュアなオーディオプレーヤーの矜持といったところでしょうか。

CDやDVDなどのコンベンショナルなフォーマットも無難にこなす印象ですが、このプレーヤーはやはりBDの再生クオリティを語るべき製品で、あまり万能性を求めるべきではないと感じています。

使い勝手に関して、電源オンからの起動時間や、ディスクの読み込み時間は順当で特に不満はありません。本体のボタンが小さく、フロントパネルがグロッシーなので、指紋が残りやすいため、私はイジェクトは必ずリモコンで行っています。不具合も少々。両方のHDMI出力から映像を出している状態でディスプレイ側で入力を切り替えると、映像・音声の設定が勝手に変更されてしまいます。残念なのは第一世代の殻つきBD-RE1.0ディスクが再生できないこと。これが出来たら私の300枚のライブラリーがもっと生きたのですが。。。

BDプレーヤーとしてはひとつのマイルストーンを築いた製品と言ってよく、現時点で出色のクオリティを持ったプレーヤー。43万円のプライスタグの受け取り方は人それぞれでしょうが、私は高いとは思いませんでした。むしろなんでも軽薄短小流行りの昨今、こういう物量を投じた製品がまだつくられていることを素直に喜びたいと思っています。

レス一覧

  1. byレーザー at2009-01-05 00:57

    こんばんは

    丁寧なレポートありがとうございます。
    非常に参考になりました。
    ただ1点。
    アナログマルチアウトの出来は、どうなんでしょうか。
    これを使わないのは、勿体ないような気もします。
    HDMIを完全に映像のみにして
    音声は、アナログで完全デコードする。
    ・・・・でも、アンプでやったほうがいいのかしら。
    市場価格は、33万円くらいなので、中級機としては
    値頃感があるのかもしれません。

  2. by元住ブレーメン at2009-01-05 13:10

    アナログアウトは個人的には使う予定もつもりもありません。日々仕事で信号の劣化と向き合っている私には、誤り訂正が効かず、位相の管理ができないアナログ伝送は劣化の元としかうつらないからです。しかもアンプ内で再度ADする訳で。。。

    私はこのプレーヤーを税込み318000円で買いました。「中級機」との仰せではっと目が覚めましたが、確かにCDやDVD、SACDプレーヤーではさらにハイエンドがありますね。そういうBDプレーヤーの登場も楽しみにしたいと思います。まぁ当面はこのプレーヤーがリファレンスでしょうから、それが30万円ちょっとというのはこの趣味にしては安いと言ってもよいと思います。

  3. byレーザー at2009-01-05 14:56

    こんにちは

    中級機と言ったのは、軽率でした。申し訳ありません。
    BDとしては、フラッグシップでした。
    オーディオ部分としては、中級機と認識しております。
    (50万円くらいが高級機というイメージです)
    なかなか難しいですね。
    その昔、SA-CDを販売したら、10万円くらいのは、全然売れなかったそうです。
    20〜30万円が売れたそうです。
    そういった意味では、オーディオとヴィジュアルでは
    だいぶ垣根が違うのかもしれません。
    私的には、ヴィジュアルが、この価格帯が高級機です。

  4. by元住ブレーメン at2009-01-05 15:52

    まぁGOLDMUNDの手にかかるとパイオニアのDVDプレーヤーも70倍の価格になるようなので、価格で判断しないほうが良いかもしれません(苦笑)。

    http://homepage1.nifty.com/iberia/column_audio_goldmund.htm

  5. byMac_cel at2009-01-05 18:02

    なんと買った金額が私と同じです。

    詳細なレポートにいつも感心します。私なんかただひたすらBDで映画を見続けているだけです。
    もう20本以上見ましたが、だんだんとこいつの凄さが実感出来るようになってきました。とにかく情報量が多い。
    今までの所フリーズ等の不具合は出ていません。
    おっしゃるように本体は指紋が大変目立つので、私もなるべくリモコンを使って操作しています。

    アナログアウトは私も同様に全く使う予定はありません。SC-LX90を使っているので、当然HDMI接続のみです。こいつではBDしか見ないので・・・音楽系のCD・SACD・DVD-Aは別のエソのUX-1Piで再生します。その方が遙かに高音質だからです。

  6. by元住ブレーメン at2009-01-05 20:20

    私も正月休みは妻と毎日4-5本観ていました。情報量の多さとともに、ディティールの出し方のうまさ、各種ノイズの処理のうまさが印象的でした。16bitだからどうこうではなくて、絵作りのチューニングが巧いなぁと映像機器を生業にする身として感心しました。

    うれしい驚きは、WOWOWの映画をより「映画っぽく」観られたことです。プロジェクターを変えた影響も大きいのですが、やはりすっきり24コマで見られるのはいいものですね。

    昨年はアンプもプロジェクターも交換した上に、課題だったBDプレーヤーも納得のいくものが手に入ったので、やることがなくなってきました。。。

  7. byケンケン at2009-01-12 22:05

    ブレーメン様

    はじめまして。いつも緻密なレポートを楽しみにしているAV初心者です。ここ以外でブレーメンさんのブログを拝見しいつも参考にさせていただいてきました。実は当方このたびやっとリビングシアターから4畳半の専用室が設けられ超狭いながらも毎日楽しんでおります。いつかは20畳くらいの専用室を作りたいと思っています。
    もし機会がありましたらブレーメンシアターにお邪魔してみたいものです。今後お見知りおきください。

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【SPEC】●再生可能メディア・ファイル:BD-ROM(BDMV)、BD-R/RE(BDMV、BDAV)、BD-R DL/RE DL(BDMV、BDAV)、DVDビデオ、DVD-R/RW(ビデオモード、VRモード)、DVD-R DL(ビデオモード、VRモード)、DVD+R/+RE(ビデオモード)、DVD+R DL(ビデモード)、AVCHDディスクAVCRECディスク、音楽CD、CD-R/RW(音楽CDフォーマット) ●再生可能メディア・ファイル(PCファイル):メディア→CD-R/RW、DVD-R/RE、DVD-R DL、DVD+R/+RE、ファイル→WMA9、MP3、JPEG、DivX ●出力可能解像度:480/60i、480/60p、720/60p、1080/60i、1080/60p、1080/24p ●周波数特性:4Hz〜88kHz(192kHzサンプリング) ●S/N比:115dB ●ダイナミックレンジ:103dB ●全高調波歪み率:0.0015% ●入出力端子:HDMI×2、コンポーネント映像出力×1、S2映像出力×1、映像出力×1、光デジタル出力×1、同軸デジタル出力×1、アナログマルチch音声出力×1、LAN端子 (100BASE-TX)×1、予備×1、コントロール×1 ●消費電力:52W ●外形寸法:420W×143H×365Dmm ●質量:13.9kg