3Dが映せるプロジェクターの購入にともなって導入しました。ポイントは、フォーマット対応が充実していること、特にネットワークオーディオプレーヤーとしてマルチチャンネルのFLAC再生に対応していること、SACDやDVD-Aにも対応していることなどありますが、Oppoのプレーヤーは出力の特性がリファレンスとして優れていることが評価されており、これが決め手になりました。ホームシアター大国の米国では制作者の意図に忠実なコンテンツの再現を目指して「正確な」再生能力が重視されており、Oppoのプレーヤーは常にデコードエラーが少なく、本来の出力値からの差が最小であることが評価されています。VPL-VW1000ESのキャリブレーションで相当の紙面を費やしましたが、正確なコンテンツの再生には正確なプレーヤーもかかせません。この観点からは、せっかくの正確な出力が変わってしまうようなこの製品の改造機は避けることをお勧めします。
この製品を使った「正確な」再生のためのノウハウとして、ソフトのオリジナルの信号がそのままディスプレイに伝送されるよう、なるべく色づけのない、ストレートな再生をするようこころがけましょう。最近は色々と映像を補正する機能がプレーヤーにも搭載されており、この製品も例外ではありませんが、カラーコレクションやカラーエンハンスメントなど輝度や色合いを変えてしまうような設定はもちろん、カラースペース変換につながるような設定も避けた方がよいです。具体的には、アップコンバートの際に生じるNTSC -> HD709変換や、HDMI出力をRGBにした際に生じるYCbCr -> RGB変換はその過程で信号を変えてしまうリスクを伴うので、再生解像度は「オリジナル」を、カラースペースはブルーレイのオリジナルに一番近いYCbCr 4:2:2を選びましょう。ディープカラーについては、再生できるビット数は結局ディスプレイの実力によるので、これまた再生映像に明らかにメリットがある場合以外はオフにした方が良いと思います。これらの設定値はビデオの伝送に必要とされる帯域を低減し、音質の改善につながるケースがあるという、プラスの副作用があります。さらに再生品質の向上が期待できるAV完全セパレート伝送も二つのHDMI端子を通して可能です。
製品の使い心地としては、スピーディでストレスを感じないこと、比較的自由度が高いことが挙げられます。字幕の高さを自由に変えられるので、シネスコスクリーンを使用している方は中に入るように、16:9のスクリーンを使っている私などは映像の外に出るように設定が出来ます。ディスクを抜いても再生場所を覚えている(ディスクによりますが結構がんばる印象)機能もあり、視聴を中断しなければならない際に便利です。なによりも、ディスクの種類を気にせず再生できるのはストレスフリーです。私はOppoのダイレクトストアで購入して支払額は90110円でした。コストパフォーマンスの高さは白眉と言える一方で、高級機の魅力と言えるエレガントさに欠ける点もちょっとあります。動作させるたびにリレーがカチカチいったり、BDの映像コンテンツが頭一秒くらい常に欠けて再生されるなど、ガレージメーカーっぽい雰囲気もアリアリ。これらを併せて受け入れられる人なら、この機種はコストパフォーマンス随一のリファレンスBDプレーヤーです。ピリオド。
ちなみに価格が$3500のレキシコンBD-30は中身は$399のOppoのBDP-83そのままで、米国では色々な意味で大きな話題になっています。ゴールドムンドとパイオニアのデジャブを見ているかのようですね。