HARBETH AUDIO
HL-P3ESR
¥126,000(税込)
発売:-
いつもの試聴室で、朗々と鳴り響いた密閉型の傑作
HL-P3ESR。ステレオサウンド紙の表紙に載った話題の小型スピーカー。聞くところによると洪水で素材の材木が水害にあってしばらく生産できなかったとか。その時ちょうどステレオサウンド紙の表紙に載った時だったそうで、その足止めから売れ行きが伸びなやんだらしい。今は生産体制が戻っているようだ。
スピーカーネットは本体の溝にしっかり挟まり固定されている。結構取りにくい。シングル接続のみで、密閉型だ。バスレフ型スピーカーが多い中、密閉型でどんな音がするかワクワクしながら幾つかのプリメインアンプで試聴させてもらった。
私がマッキン好きなのを知っていることもあり試聴室に入ったHL-P3ESRに即繋がったのはMA7000。試聴ディスクは私の愛聴盤「菅野レコーディングバイブル」。
2曲目の「オルガン・コラール「人よ汝の罪の大いなるを嘆け」J.S.バッハ」のパイプオルガン低域、重厚こそないが、しっかりと再現されている。理想的なピラミッド型の音だ。全く小型スピーカーとは思えない。常日頃タンノイスターリングで同じ曲を聴いているが、HL-P3ESRの方は音の膨らみは少なく、スッキリした音像でモニター的性質も持っている。また高域も決して固くはない。非常に聞きやすい、良い意味で「聴き疲れしない音」だ。
9曲目、マーサ三宅の「ホワット・イズ・ゼア・トゥ・セイ~ハロー・ドーリー」。ライブ録音の雰囲気がしっかり表現された菅野先生の名録音。これはまさに水を得た魚! 朗々と気持ちよく歌う。導入部の拍手のリアリティも半端ではなかった。HL-P3ESRは本当に素晴らしいスピーカーだ。ステレオサウンド表紙は伊
達じゃない!
次にアンプをアキュフェーズのE-560へ変更。
うわっ!というくらい駄目(笑)。どうもHL-P3ESRはアンプをしっかり選ばないと駄目なようだ。
そもそもE-560は私の好みのアンプだ。自室で以前ウエスギUT-50がスターリングを鳴らしていた音もどちらかと言うとE-560に近い。
しかし、どうしてかHL-P3ESRとE-560の組み合わせは、少なくとも私の耳には受け付けない音だった。HL-P3ESRの「小型な感じ」がしっかりと音に出てしまう。また、ジャズ再生の時のスネア音やウッドベース音も素っ気ない。音色の細さがHL-P3ESRの箱に押さえつけられた感じがでてしまう。
次にマッキントッシュ管球式プリメインアンプMA2275に換えてもらった。
たちまちHL-P3ESRは朗々と歌い上げる。この辺はオーディオの醍醐味。実に面白い。(少なくとも私にはこういう変化が面白いと思える(笑))
MA7000に比べるとやや甘い感じでしかも生々しい。いやこの感触、たまらない!
いや〜いいですね(^_^)。聴いていて気持ちいいですよ、この音。全く無理していないで、モニターライクなのに楽しく聴ける。HL-P3ESRは逸品だ。
LPを聞くならMA2275だ。2275+HL-P3ESR+ADプレーヤーで至福を味わえる!
試聴ディスクをクラッシックへ。ドイツグラモフォンCDシューベルトの『ます』。
アンプはマッキントッシュから変わり、トライオードTRV-845SE。
このセットもすばらしい。コントラバスが朗々と鳴る。高域に艶がますます出てくる。ピアノの繊細なタッチが可憐であり、またダイナミックでもあり。低音が気持ちよく締まるのがなんとも良い。とくにジャズファンには絶好の感触と思える。2275に比べるとTRV-845SEでは一音一音が綺麗に分離している。
HL-P3ESRは価格はペア20万。この音で20万は本当に正直安い。
スピーカーを横にあった、オートグラフミニに変更。しかし、HL-P3ESRの方が高域も低域も気持ちよく鳴っている。いや、つまりHL-P3ESRは「実に鳴らしやすいスピーカー」でもあるわけだ。オートグラフミニはちょっと癖がある。比較するとそれがよく分かる(笑)。
HL-P3ESRとほぼ同じ大きさのオートグラフミニ。幅はHL-P3ESRの方がやや大きい。HL-P3ESRに比べるとオートグラフミニの高域がきつく感じるのが面白い。ただ両スピーカーとも英国製で、アイデンティティはしっかりとあるようだ。両者とくに「中高域の音質」が違う。低域はHL-P3ESRがタイトでコントロールしやすいと感じた。
オートグラフミニ試聴時にアキュフェーズE-560へ変更。しっかりした音像。スッキリした高域。音像のパースペクティブが左右に、前後に広がる。きめ細やかさも抜群だ。HL-P3ESRと比べてオートグラフミニはタイトな低域は出せない。しかしE-560とオートグラフミニは相性抜群のようだ。HL-P3ESRの時に気になった「頭打ちされたような窮屈さ」はオートグラフミニとE-560のセットでは全く感じない。同じ英国製の小型スピーカーとはいえ、オートグラフミニとE-560セットは全く屈託無く非常に上品に音楽を奏でている。
レス一覧
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bySHERRY at2011-08-13 07:24
HARBETH、懐かしい響きのスピーカーです。
一度は使ってみたいと思いながら、叶わないままです。
大学生の頃、飲み友達の?おじいさんが使っていて、オーディオのことやその他諸々のことを教えてもらいました。
アキュフェーズは、HL-P3ESRとあわず、オートグラフミニとあいましたか~、意外です。
トライオードが、HL-P3ESRとあうのはすごくわかるんですが・・・
組み合わせの妙味でしょうか。
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byマーサ君 at2011-08-13 11:26
SHERRYさん、レス有り難うございます。
アキュフェーズのセパレートで鳴らしましたら特に気になるような鳴り方をしませんでした。HL-P3ESRを広い部屋で鳴らす場合、駆動力のあるアンプが必要なのかもしれません。今回の試聴でHL-P3ESRを一番強力に、にじみ無く鳴らしたのはパスのX-600でした。その制御力たるやダントツで桁違いでした。また、30畳近い試聴室でのプライベート試聴でしたので部屋との兼ね合いもあると思います。
ニアフィールドリスニングでしたらE-560とのセットでもさほど気にならない可能性もあります。逆にマッキンの2275の朗々とした鳴り方ではぼやけてしまうかもしれません。
HL-P3ESR、是非使ってみたいスピーカーですが、次に買いたいパワーアンプに少しでも回したいのでガマンガマンです!
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byオルフェのサンバ at2011-08-16 09:58
マーサ君さん
いいですねこのHARBETHは。その昔部屋が狭くてダイヤトーンのDS2000が上手く鳴らなかったときにダイナさんかからこれの原型HL-P3薦められ入れ替えました。大丈夫かと思いましたがが交響曲、JAZZもこなしてくれ今でも思い出に残るSPです。
基本性能が高いのでアンプがいいとますます良くなるタイプですね。ステレオサウンドの表紙でも懐かしかったですがこのレヴューもうれしいですね。
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byマーサ君 at2011-08-16 21:09
オルフェのサンバさん、こんばんわ(^_^)!
レス有り難うございます。
>基本性能が高いのでアンプがいいとますます良くなるタイプですね。
仰るとおりで、実際、パスのセパレートパワーアンプで鳴らしたときの凄さと言ったらHL-P3ESRはやはり只者では無かったです。スピーカーの10倍の値段のアンプで鳴らす恐ろしさに、そのサウンドに鳥肌が立ちました。プリはアキュフェーズのC2800だったと思います。
今一番欲しいスピーカーと言えばソナスのガルネリかこのハーベスHL-P3ESRです。
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byナポリの6 at2012-01-17 13:13
マーサ君さんこんばんは
前のモデルしか聴いた事無いですが、
これでいいじゃん。と感じさせるスピーカーですね。。
ESRになって妖艶さに磨きがかかったと聴きますね。
いやあ聴いてみたい
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byマーサ君 at2012-02-24 21:11
なんだか随分前にレス頂いていたのですね。(>_<)
ナポリの6さん、有り難うございます。
ハーベスは典型的なピラミッド型のサウンドですよね。
前のモデルに比べると、やはり良い意味でモニターらしさが増えたと思います。
しかしとは言え、このスピーカーのふくよかな低域は忘れられません。本当に気持ちが良いのです。
仰るとおり「これでいいじゃん」の代表選手ですよ。こんなに気持ちよく歌うスピーカーで、しかも小型。デザインもかなりシンプルでスッキリ。
専用のスタンドがないのが玉に瑕ですが。
このスピーカーの後に試聴したのがB&Wの805D。
高域の広がりが別世界。805Dの良さを客観視できました。
個人的には、HL-P3ESRは音楽寄りで
805Dはオーディオ寄りかと。
好みで、ソースで、気分でこの2つを毎日使い分けられたら最高でしょうね。
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【SPEC】●型式:2ウェイスピーカー、密閉型 ●使用ドライバーユニット:(中、低域)→110mm口径“RADIAL 2”ハイブリッドコーン型、(高域)→19mm口径カスタムメイド・フェロフルードクールド・アルミニウム・ハードドーム型(Open Weaveグリル装着) ●クロスオーバー周波数:3.8kHz(18dB/oct.) ●周波数特性:75Hz〜20kHz(±3dB) ●インピーダンス:6Ω ●最大出力:50W ●出力音圧レベル:83.5dB/W/m ●外形寸法:189W×306H×202D(最大)mm ●質量:6.3kg ●入力端子:バナナプラグ対応シングル接続