MARANTZ
AV8805
500,000円(税抜)
発売:2018年3月中旬
クラッシック再生用オーディオとしてのAuro3D
ここに引っ越してきましたので、かつて価格コムに書いたレビューを以下に転載します。
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表題にありますように、当方、本機を映画用ではなく、音楽鑑賞用に買い求めました。ゆえにオーディオ機器としての評価のみに絞らせていただきます。
結論を先に書きますと、本機のAuro3Dによる音楽再生のクオリティは、特定の音楽ジャンルにおいては、30年以上の年月をかけ、車数台分の費用をつぎ込んだ2チャンネルステレオを、はるかに上回り、大げさに言えば、ちょっとショックを受けております。
当方、モーツァルトのレクイエムのような、合唱の入ったクラッシックを好みますので、以下、音楽ジャンル的にはかなり偏った評価となりますことをご承知おきください。
【再生環境】
7.2.7.1環境です。フロア面の7は、KEF、SWはヤマハとFostex、2層目の7はヤマハ、3層目のトップスピーカーは、Dynaudioです。
パワーアンプは、KEFにはNuprimeのステレオパワーアンプを4台、ヤマハは、ヤマハのマルチチャンネルパワーアンプ1台で賄い、トップSPはXEOというパワードSPです。
部屋は屋根裏の無いつくりの勾配天井吹き抜けで、最低の高さが2.5M、最高の高さが7Mの約25畳の変形洋室です。
【AVC-X8500Hとの比較】
購入に際し、同じく13チャンネルのAuro3Dを再生できる表記機種とショップで聴き比べをしましたが、音の品位に違いがあり、当方の目的であるクラッシック音楽再生にはこちらの方がいいと判断しました。「映画効果音再生機器」としては、Denonの方もいいかもしれませんが(8805の場合は組み合わせるパワーアンプ次第です)、「オーディオ機器」として比べれば圧倒的な差がありました。
【Dolby Atmosとの比較】
現在のSP配置は、15チャンネル分あり、Auro3DとAtmos両方に対応しています(それぞれ13chを使用します)。ただし、天井にSPを埋め込めない部屋なので、Atmosが最も推奨する「3組のトップスピーカー群」の代わりに、「3組のハイトスピーカー」設置となっております。つまり、私の部屋のSP配置はAuro3Dに最適化されているので当然かもしれませんが、両者を聞き比べると、音質と空間表現力ともにAuro3Dが勝っています。特に、Auro3Dで録音された2Lレーベルのソフト(教会録音版など)で合唱曲を聴くと、教会の上部のステンドグラスが共鳴している(かのような)臨場音の音質に決定的な差があります。また、教会の「高さ」をより感じられます。この差は、やはり頭上4Mほどの位置に備え付けたSPの有無(AtmosではこのSPは鳴らすことができない)が大きいと思います。ゆえにAuro3Dを十全に楽しむには、この頭上SPはMustだと思います。
【結論】
当方、2チャンネルシステムとしては、現在はKEFのReferenceをLuxmanのセパレートで鳴らしていますが、ジャズ、ロック、ボーカルなど、「音像の定位」が音質の重要な要素になるジャンルにおいては、2chにいまだ優位性を認めますが、室内楽、オペラ、交響曲、合唱曲のような、「音像」より「音場」の再現品位が重要な音楽ジャンルにおいては、メルセデス1台分の2chシステムより、カローラ1台分のAuro3Dの方が勝っているのではないか、という感じです。クラッシックファンの方には、「オーディオ機器」としてAVアンプを捉え、この機器が実現するAuro3Dを試してみることをお勧めします。
【SPEC】●入力感度:バランス…400mV、アンバランス…200mV ●周波数特性:10Hz - 100kHz(+1、-3dB、ダイレクトモード時)●S/N比:105dB(IHF-A、ダイレクトモード時)●歪率:0.005%(20Hz – 20kHz、ダイレクトモード時)●定格出力:バランス…2.4V、アンバランス…1.2V ●接続端子:HDMI×入力8/出力3、コンポーネント×入力3/出力1、コンポジット×入力5/出力2、音声入力×XLR 1/RCA 8、Phono(MM)入力×1、7.1ch入力×1、光/同軸デジタル音声入力×各2、15.2chプリアウト×XLR1/RCA1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドホン出力×1、LAN×1、USB×2、他 ●Bluetoothバージョン:ver.3.0+EDR ●対応プロファイル:A2DP/AVRCP ●対応コーデック:SBC ●消費電力:90W(待機時0.2W) ●外形寸法:最大440W×185H×410Dmm(ロッドアンテナ含まず) ●質量:13.7kg