PIONEER
SC-LX90(SUSANO)
¥880,000(税込)
発売:2008年3月下旬
SC-LX90は世界を変える
このアンプは、世界を変える
所謂HDオーディオ元年と呼ばれた2007年、様々な会社が、己が腕によりをかけて素晴らしいAVアンプを商品化していきました。
果敢に3Dに挑戦したヤマハのDSP-Z11。
ピュアの王道にのっとり、愚直にセパレートでの音質追求を果たしたデノンのAVP-A1HD+POA-A1HD。
他にも、春季からフルラインで挑んだONKYOの05シリーズ、あえて一機種(それも中堅のみ)で勝負を挑んだソニーのDA5300ES等、近年に稀に見る豊作の年でした。
しかし。
誤解を恐れず、あえてしかしと言いましょう。
HDオーディオは、このアンプから始まったのです。
DSP-Z11は素晴らしいアンプです。
11.2chという構成は、まさしくヤマハの今までの集大成と言えるでしょう。
しかし、"HD"オーディオに、これほどのDSPが本当に必要なのでしょうか?
AVP-A1HDは素晴らしいアンプです。
バランス出力端子も完備しており、無駄がありません。
音質もデノンの音ではあり、多少の好き嫌いはありますが、素晴らしいです。
しかし、これは"マルチチャンネルピュア"ではあっても、"HDオーディオ"としては本当に完成系なのでしょうか?
様々な視聴会を渡り歩く中、そんな風な感想を私は持ちました。
「音場は素晴らしいし、音も良いが、無理して買うほどでもない。買うなら高CPのミドル機かな?」
そう思い始めたころ、プロジェクタ購入時にお世話になりましたアバックさんから、案内状が届きました。
「パイオニアのAdvanced MCACCも気になるし、ちょっと聞きに行ってみようかな?」
そんな軽い気持ちで入ったアバック横浜店の地下視聴室、思いついての参加でしたので、当然席も良い席を取れず、端の方の音質的には間違いなく悪いと言われる席でした。
「場所も悪いし、期待しない方が良いかな?」
そう思う中、視聴ソフトに選ばれたのは、自宅の自作スピーカー+SU-XR70+PS3で何度も見た、BDのカジノロワイヤルでした。
唖然!呆然!愕然!
視聴会が終わった瞬間、私の心には嵐が吹き荒れました。
他のどんな組み合わせの視聴会でも、これほどまでに心震わせられたことはありません。
これが、本当のHDオーディオか!
そう納得させられるその音は、まさしく感動でした。
無から瞬間的に立ち上がる音の速さ、それによって得られる静寂の表現は、本機以外ではセパレートでのみ得られる類のモノです。
また、『AV』アンプとして拘り続けたが故に得られる、圧倒的な音場の表現能力は、圧巻の一言。
そして、そう言った表現の領域に足を踏み入れることを許す、HDオーディオのなんと素晴らしいことか!
"DVD"のロッシーの再生としては、人工的に音場感を"作り上げる"DSP-Z11に一歩譲るかもしれません。
"マルチチャンネルピュア"としての能力は、弩級のパワーアンプ及びDACを組み合わせた時のAVP-A1HDや他ピュア製品には一歩譲るかもしれません。
(i.Linkの優位性もありますので、機器によってはLX90の方が有利ですが。)
しかし、"HDオーディオ"としての音の良さ、自然な音場の良さでは、このアンプの右に出るアンプは未だ存在しません。
USB&DLNAプレイヤー+(i.Link及びAC-3及びHDMI付き)DAC+プリ+パワーと考えても、格安であるとは思います。
たとえ2chにフォーカスするとしても、上記全てを定価ベースで計88万で揃えたとして、これほどの音質を得るのは難しいかと思います。
事実、2chリニアPCM収録のDVDもいくつか見ましたが、音質及び音場には圧倒されました。
”フロントスピーカーしか”鳴っていないにも関わらず、回り込むような音場を表現された時には、本当に驚愕しました。
……もちろん、元のサウンドデザインに影響される部分もありますので、全ての2chリニアPCMソフトでそう表現されるわけではありませんが。
あえてサウンドクリエーションの名をつけた意気込み、見せてもらいました。
HDオーディオの最初の一歩で、まさしく新時代を切り開いたパイオニアに対して、私は賞賛の拍手を惜しみません。
追伸 後はアップデートでHDMIでのマルチチャンネルPQLSに対応してくれれば完璧かとw

【SPEC】●定格出力:200 W×7ch/8 Ω、140 W×10ch/8 Ω ●周波数特性:5〜100kHz ±3dB ●ライン入力S/N比:105 dB (IHF-A ショートサーキット) ●音声入力端子:i.LINK2、AC-3 RF1、同軸4、光7(内1系統はフロント入力用、フロント入力以外はアサイン可能)、オーディオ5 ●映像入力端子:コンポジット8、S端子3、コンポーネント3、D5端子2 ●その他入力端子:HDMI6(音声再生可能)、USB1、iPod専用端子1、LAN端子(10BASE-T/100BASE-TX)1 ●音声出力端子:光デジタル2、同軸デジタル1、オーディオ2、プリアウト…フロントL/R、センター、サラウンドL/R、サラウンドバックL/R、SW出力(2系統)、EXTRA L/R ●映像出力端子:コンポジット5、S端子3、コンポーネント2(MONITOR、ZONE2)、D41(DVR/VCR1、DVR/VCR2) ●その他端子:HDMI出力2、RS232C出力1、12Vトリガー出力4、SR入出力1 ●消費電力:550