TAD
TAD-C600(Referenceシリーズ)
¥3,150,000(税込)
発売:2011年12月上旬
圧倒的な音の分離感
昨年C600を購入し、師走も押し迫った月末にようやくアンプが届いたが、最初は低音が暴れるし、高域もややきつく、なかなか思うように鳴らないアンプで聞いていられなかったが、一週間ほど鳴らしっぱなしにして、ようやくエージングが進んだのか、11月に試聴機を聴いた時に近い音で鳴るようになってきた。
ふわっとした上品さのあるノードストのバルハラケーブルの様な音である。
しかし、改めて聴きこんでみると、このアンプの真髄は圧倒的な音の分離感にあると思う。
この音の分解力が凄まじいため、コンプの強い曲や、他のアンプでは音がつぶれて聞こえる悪い録音のCDでも、ボーカルや楽器の音のひとつひとつが明瞭に聴き取れ、ゆえに聴くに堪えうる音楽として再生されるのだ。
無論、良録音のCDならば音が見えるような明瞭感を持って、眼前に響いてくることは間違いない。
ただし、このあまりの解像度の高さに音楽性が無いと考える人もいるだろう。良くも悪くも現代ハイエンドオーディオの方向性を追求した究極の製品であり、マッキンやラックスマンなどの柔らかい音を好む人からは不評であると思う。
だが、アキュフェーズが好きな人ならば別である。C3800がハーフハイビジョンならば、C600はフルハイビジョンに思えるほどの解像度なのだ。
とくにTAD-D600との組み合わせは素晴らしく、D600ユーザーならば、一度は試聴する価値がある。
ただ、C600はこの不景気の中、300万円と非常に高額なアンプである。試聴したならば、必ずや財布の中身と相談する悩みを抱えることになる。
金策に自信の無い方であれば、自賛して申し訳ないのだが、絶対に聴かないで欲しい。
もし、聴いて虜になっても当方は責任を取れないからである。
【SPEC】 <本体部>●入力端子:XLR×3、RCA×3 ●出力:ライン→XLR×2、RCA×2、録音→XLR×1、RCA×1 ●外形寸法:450W×150H×440Dmm ●質量:29kg
<電源部>●外形寸法:220W×185H×430Dmm ●質量:15kg