平成25年1月1日から改正著作権法が施行されている。文化庁ホームページに詳しく解説されている。
それによると、「第2条第1項第20号において,技術的保護手段の対象に,著作物等の利用に用いられる機器が特定の変換を必要と するよう著作物,実演,レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し,又は送信する方式(暗号方式)を加えることと されました。また,第30条第1項第2号において,技術的保護手段の回避に係る定義に,特定の変換を必要するよう変換された著作物,実演,レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元を加えることされました。このことにより,私的使用目的であっても,暗号方式による技術的保護手段の回避により可能となった複製を,その事実を知りながら行う場合には,民事上違法となることとされました。・・・なお,暗号方式による技術的保護手段は,具体的には,現在DVDに用いられているCSSやBlu-rayに用いられているAACS等が該当します。」
大事なところは「私的使用目的であっても,暗号方式による技術的保護手段の回避により可能となった複製を,その事実を知りながら行う場合には,民事上違法となる」点である。
それでどうなるの、と言えば、文 化庁の解説では「DVD等に用いられる暗号方式の保護技術を新たに技術的保護手段の対象とすることにより,第30条第1項第2号において,私的使用目的で あっても,技術的保護手段の回避により可能となった複製を,その事実を知りながら行う場合には複製権侵害となり,民事上の責任(損害賠償など)を負うこと となります。ただし,刑事罰はありません。なお,技術的保護手段の用いられていないCDを私的使用目的で複製すること(例えば,携帯用音楽プレーヤーに取り込むこと)は,著作権侵害とはなりません。」とある。
このように「民事上の責任(損害賠償など)を負うこととなります。ただし,刑事罰はありません。」つまりコピー制限のかかっているDVDやBDをコピーすることは違法であり、著作権者から差し止めを請求されたらコピーをやめないといけなくなり、著作権者に損 害を与えた場合、損害額が立証されれば、損害賠償しないといけなくなる。
そこでまず、違法でないと思われる行為をあげると、(1)DVDやBDの複製(コピー)行 為が対象であり、単に再生することは問題とならない、例えばPCのDVDドライブにお皿を突っ込んでリアルタイムで再生することは問題ない、(2)著作権の切れた古いDVDはコピーガードがなく、いくらコピーしてもよい、(3)コピー制限回数のある音楽データなどは制限の範囲回数内なら自由にコピーできるが、回数を超えたコピーは違法である、(4)回避手段を著作権者から取得してコピーガードを回避することは問題ない。
しかし個人がコピーガードの付いているDVD,BDを購入して、その人はBDプレーヤーやBDレコーダーを持っていないので、コピーガードを外して、いったんPC内にコピーして、それを再生して個人や家族で楽しむ場合がある。もちろんPCにBDドライブが付いているので、それを直接再生すればよいが、回転音がうるさいのでBDドライブを使いたくない。それと、いったんPCに取り込んでコーデック変換してより綺麗な画像で再生したい、あるいはスマホやタブレットPCでも再生できるようなコーデックに変換して、スマホやタブレットPCでも再生したいという欲求がある。特に「PCに取り込んでコーデック変換して、より綺麗な画像で再生したい」というのはマニアックな楽しみである(そのための変換ソフトも入手可能であるのに)。
もしこれらのコピー行為が「違法」だったら、せっかくDVDソフトを持っているのに、PC、スマホ、タブレットPCで観るために同じソフトをネットからダウンロードして再度購入しないといけない。しかし、ネットからダウンロードできるソフトの種類は限られている。DVDでしか観れないソフトも多い。DVD画質を加工して綺麗な画像で観たいというマニアの要望も実現できなくなる。
それと、著作権者が現実に違反している個人を探して「違法コピーだからやめてください」、なんて言ってDVDの値段を回収しようとしても、その調査費用の方がはるかにかかるし(探すにはその人の生活に入り込まないとできない)、刑事罰もないし、なんでこんな法律作ったんやろ、と言う気もしないでもない。道徳心に訴えるだけの法律のようだけれど、法律破りが横行すれば、かえって法の権威が落ちます。