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20世紀後半、日本のバブル時代のテクノロジー遺産ともいえるスピーカーOnkyo GS-1は、ネット情報によると1984年7月の発売です。それを偶然の巡り合いで手に入れたのですが、長年温めてきたアイデアを実行しました。それは同年代に発売された、あるビニール盤をこのスピーカーで完璧に再生させることでした。 そのビニール盤(レコード)の作者はPublic Image Limited, アルバムは”Metal Box"です。当時のパンク・ニューウェイブ・オルタナティブシーン屈指の名作です(いわゆるロックミュージックの少数派の作品)。発売は1980年前後。1979年の暮れか。しかしこのアルバム、通常の紙ジャケットで販売された時の題名がセコンド・エディション(第二版)というものでとても奇妙です。 その理由は当時特別に限定部数販売された初版(ファースト・エディション)としてのアルバムがあったからで、それが”Metal Box"です。 45回転3LPを納めた本当のブリキ缶が師走の御茶ノ水の某レコード店の壁に飾られた時の、その場にいたお客さん達の静かな驚きようを、書きながら思い出しました。当時六千円ぐらいで売られていて、学生時代の私にはちょっと簡単には購入できない値段でした。 40年近く時を経ったMetal Box外観です。 ブリキのジャケットを開けたところ。 針飛びしそうな深い溝です。音が聴こえてくるようです。ネットで検索かけてみると海外ではこのレコードをスピーカーの性能チェックに使っている人もいました。 当時の音楽雑誌に掲載されていた第二版、「セコンド・エディション」の広告には以下のような、リーダー、ジョン・ライドンの言葉が引用されています。ほとんど現代美術作品のようなこの強烈な存在を発案、実現にこぎつけさせた人物です。 「サウンドも最高、なるべくいいステレオで聴いてくれ」(ジャム・インタビューより) このインタビューが掲載されていたジャム日本版の翻訳記事の詳細は今でもありありと覚えています。なぜなら本来はこの一節の次にこう書かれていたからです。 「それも日本製の。 特にベースの音にはぶっとぶぜ。 日本の木の家なんてガタガタ揺れるかもしれない。」 同じような体験をしている方のブログを発見したのでリンクさせていただきます。こちらに詳細が書かれていますので、それを参照しながら本来の目的に移ります。 つまり当時突出していた怒れる若者が、彼らの最先端かつ重低な音響を、高音質の45回転に、採算度外視で刻み込んでしまった掟破り、限定ファースト・エディションが”Metal Box"でした。 高性能の日本のオーディオ装置(少なくともジョンはそう考えていた)と時代の寵児による当時のカッティング技術の限界を試すかのような限定作品を約40年弱後にきっちりとしたコンディションで聴いてみたのです。 使用装置は以下全て日本製です。パワーアンプ以外はだいたい同年代に流通していたものです。 カートリッジ DENON DL-103 プレーヤー KENWOOD KP1100 プリアンプ SONY TA-E86 パワー・アンプ TIME DOMAIN Yoshii9 Engine YA1 スピーカー ONKYO Grand Scepter GS-1 再生しました。念のためサウンド・チェックをカセットデッキSONY TC-K222ESGで行いました。なんとなく無意識に集めていたオーディオ装置は全てこのアイデア実行のためにあったと思い込んでしまうような製品流通時代の同期です。 結果としてDL103は完璧に荒ぶる盤面をトレースし、GS-1は飄々と重低音を再生しました。見事です。すっきりと澄んだ(ほとんど付帯振動がない)重低音はこのように聴こえるのかという感じです。スピーカーが負けてスピーカー自体が泣いている時の音もいいのですが、GS-1での出音はみんな録音時の素音を出す感じです。と同時にミックス時点での音源の定位についての作り手側の意志などがそのまま出てくる感じでした。 つまりMetal Boxの音作りの意図をも露わにしてしまったのは、スピーカー側の性能が高すぎたためと考えることもできます。ここにはレコードの発売時期とGS-1の流通開始時期とのズレが反映されているように思います。1982年ごろからコンパクト・ディスクが流通しはじめ、音楽情報のあり方に革命が起きるわけですから、GS-1はその移行を見据えつつ、その性能を検討していたからなのでしょう。以下、簡単にiOSアプリのRTAで視聴位置から計測した一曲目アルバトロスの周波数測定値です。ようやく念願叶った感じです。 次はこれを70年代前後の海外オーディオ装置のコンポーネントで聴いてみる楽しみが生まれました。
この記事へのレス(6)
2018年1月ごろの様子 基本的には安物買いの玉石混淆。 たまにえいやと買い物をします。