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Orisuke
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バブル世代の趣味人です。 オーディオと写真、山登りは趣味の3本柱で30年くらい下手の横好きをやっています。

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最近入手のリマスター盤から

先日taketoさんがショスタコーヴィチ のバビ・ヤールについて書かれていた時、ちょうど私もこの曲をヘビー・ローテーションで聴いている途中でした。普段は内容のあまりの重さから、聴くのを避けている曲なのですが、今度ばかりは、「この曲にドップリ浸りたい」と思いました。

これまで、体制を表面的に称賛しながら、曲の裏にアネクドート(ロシア風の風刺)の爆弾を仕掛けるという、際どいレジスタンスで奇跡的に生き残ってきたショスタコーヴィチが、冷戦の雪解けとエフトゥシェンコの詩という二つのきっかけによって、勢いあまって自分の本心や手の内まで曝け出してしまったのが13番、というのが私のこの曲のイメージです。危険極まりない行為に、長年の同志であったはずのムラヴィンスキーですら初演を断り、バリトン歌手も二転三転、しまいには歌詞を書き換えて初演まで漕ぎ着けた曰く付きの曲なので、今でも生半可な演奏をする人は誰もいないし、名演も多い曲だと思います。

 この曲で私が最も気になるのは第2楽章「ユーモア」。第1楽章が強烈すぎて緩徐楽章的な位置付けに見えるけれども、この歌詞はショスタコーヴィチ の反体制的立場を丸ごと晒したヤバイ部分で、まるで忌野清志郎の歌みたい。「俺は、お前らを音楽で嘲笑しているんだよ。分かるか?、どうだ、捕まえられるかい?」とエフトゥシェンコの詩を借りて、喧嘩を売ってしまっています。偽書かも知れない「証言」などよりも、この楽章の方が彼の生の声に近いとすら思います。けれども、バビ・ヤールという標題とロシア史の恥部に触れるユダヤ人迫害の衝撃的歌詞を終楽章ではなく敢えて先頭に持ってきたことで、第2楽章での彼の挑発は結果的に上手くマスクされ、ここでも「わかる人には分かる」シニカルなユーモアとなっている、というのが私の仮説。だとしたら、なんという危険なゲームなのだろう。


ショスタコーヴィチ 交響曲第13番「バビ・ヤール」
シャーリー・カーク(b)
キリル・コンドラシン(cond)
バイエルン放送SO、Cho
1980年録音 ヘラクレス・ザール Live
TOWER RECORD PROC-2107(SACD)

ロジェストヴェンスキー、バルシャイ、ハイティンク、コンドラシン(1962)と13番のマラソン試聴のような事をして、最後にかけたのがこの盤。初演者であるコンドラシンが1980年に心臓発作で死ぬ3ヶ月前に振った、幻のライブ盤(国内流通はほとんど無かったらしい)を15年ほど前にタワレコが掘り出してCD復刻。それだけでも快挙だったのに、3年ほど前にSACDリマスターまでやってしまった。タワーレコードの北村氏の漢気は並大抵ではない。

コンドラシンが生涯を捧げたバビ・ヤールの演奏に文句のつけようはない。62年の初演2日後の録音と比較すると、18年の時間の経過が表面的な落ち着きを生み、第1楽章は静謐な美しさの中にヒタヒタと迫る恐怖を感じるようになった。オケはクーベリックが鍛え上げたBRSOなのでキレキレ。ソロはイギリス人、コーラスはドイツ人なので、ロシア語でのシュプレヒコールのど迫力だけは62年盤に分があるが、素晴らしいことには変わりない。

音は、アナログ末期のマルチモノらしい音だが、かなり聴きやすくほぐしてマスタリングしてある。最後の拍手までライブとは気づかないくらい綺麗に復刻されている。Dレンジは大きく、分解感は良好、会場ノイズは徹底的に抑え込まれているので、SACD盤を買う価値はあると思う。音場感にはミキシングで作った感じが漂うが、この記念碑的ライブ録音ではこれが録音サイドとしての落としどころだったのだろう。

このDiskの「バックロー度」★★★★



リスト ピアノ協奏曲 第1番、第2番
リヒテル(pf)
コンドラシン指揮LSO
1961年7月録音 ウェルサムストウ・アセンブリー・ホール (London)
D: ウィルマ・コザート E: ロバート・ファイン
(フィリップス原盤)

ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第1番
リヒテル(pf)
ミュンシュ指揮BSO
1960年11月録音 ボストン・シンフォニーホール
(RCA原盤)

GRAND SLAM GS2248

 バビ・ヤールが初演された1960年前後の「雪解け」には、録音史上でも色々な事件が起こっており、1960年には、35mm磁気フィルム録音機を最初に開発した「エヴェレスト」を創業者ハリー・ベロックが経営放棄している。Westrex製35mmフィルム録音機とエヴェレストスタジオはマーキュリーのロバート・ファインの手に渡り、その後のマーキュリー、コマンド両レーベルの伝説的録音に貢献する。翌1961年にはマーキュリーにフィリップスの資本が入り、マーキュリー製作陣がフィリップスから両者のシナジーを発揮したレコードづくりを求められる。こうしたタイミングで、鉄のカーテンの向こうから姿を現したのが、ソビエト音楽界の最終兵器、リヒテル。このリヒテルとマーキュリー録音陣の一期一会の出会いというのは、キューバ危機が目前に迫っていたこと、63年にはコザートとファインがマーキュリーを去ってしまうことを考え合わせると、録音史上の奇跡だと思う。

 リヒテルはカーネギーとロイヤルアルバートの西側デビュー公演で一大センセーションを巻き起こし、彼を巡るレコーディング合戦が勃発、1960年にミュンシュ/ボストンとベートーヴェン(RCA)、1961年ロンドンでコンドラシン/LSOとリスト(マーキュリー/フィリップス)、62年はザンデルリンク/ウィーンSOとチャイコフスキー、ベートーヴェン(DG)という具合に文字通り取り合いになった。この盤は、その前者2つ、ロンドンとボストンでの録音を2tr/38cmテープからマスタリングしてCD1枚に納めている。

 リストの協奏曲1番・2番は古いファンなら知らぬ人のない超名盤。35mm磁気フィルム録音で、エンジニアはもちろんロバート・ファイン。永らくフィリップスレーベルで販売されてきたが(https://community.phileweb.com/mypage/entry/4063/20150421/47098/)、現在は様々なリマスター盤が市場に出回っている。マーキュリーボックス第3集に入っていたものやユニバーサルのリヒテル全集でも音は充分良かった。が、このCDは「私家版」とだけ記された出所不明の2tr/38cmのオープンリールからの復刻で、良いのか悪いのか買ってみないと判断がつかない。常識的にはアナログマスターから直接デジタルマスターに写した方が音は良いはずだけれど、1960年代初頭の35mmフィルムの場合、保管中にアセテートベースが変質していることがあるので、2tr/38cmコピーからの復刻が相対的に良くなる可能性もある。そもそも、GRAND SLAMレーベルで、平林直哉氏が出所を隠してまで出してくるのは、余程のものなのではないかという読みもあった。

 予測的中、これ最高。リヒテルのピアノは輝かしく浮き上がり、ドラティが鍛え上げたLSOの地を這う様な低音がバックロードホーンから噴き出してくる。DレンジはCDの限界一杯だろう。音に集中してしまって、もはや演奏内容や曲のことなどどうでも良くなる本末転倒ディスク。元々、そういう性質の録音だったけれども、それにしてもこれは凄い。併録の60年のベートーヴェンも音はかなり良く、これだけ聴けば充分優秀録音だが、ベストの状態に復刻されたマーキュリー35mmが相手では勝ち目はない。16cm以上の口径のバックロードを使われている人に、文句なしのお薦め。

このDiskの「バックロー度」★★★★★



グリーグ 
 ペール・ギュント(抜粋)
 4つの交響的舞曲
 演奏会用序曲「秋に」
 古いノルウェーの民謡による変奏曲

ビーチャム指揮ロイヤルフィル
イルゼ・ホルヴェーグ(S)
ビーチャム合唱協会
1955-1959年録音 アビーロード第1スタジオ
E: Robert Beckett, Neville Boyling, Chiristopher Parker
SACDマスタリング 藤田厚生
TOWER RECORD TDSA-206 (SACD)

 タワレコ復刻のSACDには、海外のマスタリングスタジオに委託して復刻するタイプ(DG、DECCAなど)と日本のマスタリングスタジオがアナログマスターから直接復刻するタイプの2種類あるが、旧EMI系やエラートの音源は後者で、ディフィニション・シリーズとして他のSACDとは区別される。これまでも、クレンペラー、ケンペ、バルビローリなどEMIの看板指揮者達の録音をSACD化してきた。このシリーズのマスタリングエンジニアは藤田厚生(有限会社エフ、元東芝EMI)。マスタリング界の魔術師もしくはブラックジャックではないか、と個人的に思っているのだけれど、この人の場合もはや「リマスター」というより「蘇生」という感じで、イマイチだった音源が豹変する。今まで聴いてきたものとあまりに違うので、マスターに本当にこういう音が入っていたのかそれとも整形美人なのか疑ってしまうのだけれど、「この演奏はこういう迫力で鳴って欲しかった」というこちらの願望をいつも超えたものを出してくるので、だんだんどうでも良くなって「あぁ、これをずっと聴いていたい」となる。

 藤田氏の仕事の典型は、アビーロード第1スタジオで録音されたEMI音源にある。「ビートルズをディストーションかけて録るためのスタジオだからクラシックは超音悪いんじゃね」と諦めて脳内補正で聴いていた名盤達。ところが、テンシュテットのマーラー全集のアナログ録音4曲が藤田氏の手にかかり豹変してしまった(https://community.phileweb.com/mypage/entry/4063/20200502/64974/)。私は藤田マジックにすっかり心酔し、それ以来ディフィニションシリーズのめぼしいものを買い漁ってきた次第。しかし、よもやこのビーチャムのペール・ギュントが出てくるとは思わなかった。半世紀前、私が物心がつくかどうかという頃に親父がよく聴かせてくれたのが、このビーチャムの東芝Angel盤で、レコードの扱い方はこの盤で覚えた。音楽やオーディオ好きになった原点もこれだったのかも知れない。ビーチャムの慈愛に満ちた音楽は、子供の深層心理に浸透するくらい真っ正直なものだったのだと今ハイドンやディーリアスを聴き直して思う。

 ペール・ギュントの音は、やはり劇的に「蘇生」していた。本盤はロンドンで起こした24/192を日本側でDSD変換したあとマスタリングしている。自由度が下がるにもかかわらずマルチビットの段階で敢えていじらないのが藤田流なのかもしれない。藤田氏はDVD-AとSACDの両方の立ち上げに関与した人で、その結論としてDSDの音の優位性を最大限に活かしたマスタリングを心がけているという。本盤では、中高音はステレオ初期の独特の中高域の堅さをある程度残しながら、ゴムのようにくっついて固まっていた低域をほぐして大幅に拡大。粗野な感じだった音の質感も滑らかになり、ぐっと厚みが増している。「ソルヴェイグの唄」とか「アラビアの踊り」「山の魔王の宮殿」にちゃんと歌手やコーラスがついているのが他の「組曲版」と違う「ビーチャム抜粋版」のチャームポイントなのだけれど、その美味しいところが期待を超えてバッチリ良くなっているというのが、まさに藤田マジック。素晴らしい声の迫力だ。大音量で雄大に鳴らして子供と一緒に聴きたい一枚。

このDiskの「バックロー度」★★★★★

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UDP-205

OPPO

UDP-205

¥OPEN(予想実売価格200,000円前後)

発売:2017年7月上旬

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オーディオ専用機としても最高のコストパフォーマンス

BDP-95以来、BDP-105JP、BDP-105JPLimitedとOPPOのプレーヤーをオーディオ専用機として使用し続け、UDP-205で4代目となります。本来の画像を楽しむための機能やマルチチャンネル出力を封印することは、本機の持てる能力の2割程度しか使用しないことになりますが、その様なもったいない運用をした場合でもOPPOのユニバーサル機の音は、同価格帯は言うに及ばず、高級機クラスの音楽専用SACDプレーヤーを一蹴してしまうことがあり、思わず「史上最大の下剋上」というかつて某千葉県で飛び交っていたキャッチフレーズを使いたくなる魅力があります(笑)。

UDP-205は、前任のBDP-105JPLimited比で脚や底盤の構造で一歩後退したものの、回路面ではESS9038Proという現時点で最高のDACを使用することで能力大幅向上。音質面でも脚のセッテイングだけ工夫すれば、楽々と過去のOPPO機を上回る音質に到達します。我が家のセッテイングはTAOC TITE35Sを用いた4点リジット。高剛性無共振セッティングは、機械によっては高域が鋭くなり過ぎたり低域がスリム化したりというアンバランスな音を作る元になりますが、本機ではその弊害は感じません。

CD、SACD再生時の音質は、歴代OPPO機の中では105Limitedよりも95の延長線上にあり、精度を大幅にアップした感じ。OPPOはすべての機材でDACの回路の詳細を開示しているわけではないので間違えがあるかもしれませんが、95も205もアナログバランス出力時は各チャンネルのプラス、マイナス毎にDACがパラレル駆動になるはず(95は2個、205は4個?)。105系はシングル駆動であり、この違いが音の傾向に出ているのかもしれません。105系以降はヘッドフォン出力に2ch基盤側DACの半分を割り当てているので、105系はその割りを喰った形で、205ではチップの能力が4倍になったことで倍返しで進化した計算になります。

音は、質感の良さと高S/N比が印象的で、しかも「デジタルを突き詰めたらアナログになった」という感じのキメが細かくまとまりの良いサウンド。アコースティック系の音楽との相性は特に良く、分解能の高さをことさら主張するわけではないのに、よく聴くと見事に分解されており個々の音に余裕や安心感を感じます。音場は特に広大でも狭いわけでもなくソース次第。進化したのは高さ方向や奥行き方向の表現で、位相管理のしっかりしたスピーカーやフルレンジで違いがわかると思います。音像は輪郭線がなく、空間の中にフッと立ち上がる生音に近いもので、過渡特性の良さが伺えます。7種類選択できるデジタルフィルターは、音の立ち上がり、立ち下がりにスパイスを加える感じの変化になりますが、セッテイングが決まってからの隠し味という感じです。

音の癖や暴れが少ない一方で組み合わせるアンプやケーブル、電源にはかなり大きな影響を受け、特に出力ケーブルによる変化は、これまで私がメインで使ってきた10台ほどのデジタルプレーヤーの中で最大。ケーブル次第でダイナミックなオーディオ的な音にすることも、柔らかい音楽性重視の音にすることも可能です。また、ネットワークプレーヤーやUSB-DACで使った際の音もディスク再生のクオリティに肉薄しているので、音楽専用としても多彩な使い方が可能。マルチチャンネルやHDMI出力は私は使用しませんが、使えばさらに二度、三度美味しいのでしょう。値段を考えると、BDP95以来の「黒船再来」と言えるでしょう。

【SPEC】●出力端子:7.1chアナログ×1系統、2chアナログ×1系統、XLR端子×1系統、光デジタル×1、同軸デジタル×1、HDMI×2(うち1つは音声専用) ●入力端子:光デジタル×1、同軸デジタル×1、HDMI×1、LAN端子×1、USB3.0×2、USB B×1 ●電源: AC 100V / 230V, 50/60Hz ●消費電力: 65W (スタンバイ時: 0.5W 省エネモード) ●外形寸法: 430W×123H×311Dmm ●質量:10kg

マイルーム

D58ESのニアフィールドリスニング?
D58ESのニアフィールドリスニング?
借家(戸建) / 専用室 / オーディオルーム / ~10畳 / 防音なし / スクリーン~100型 / ~4ch

単身赴任をいいことに、一軒家の貸家の一室を念願のオーディオルームにしました。しかも、「ど」のつく田舎なので音は出し放題。ただ、D-58にはちょっと狭いかな・・・・。巨大なヘッドホンの中にいるような、巨大なニアフィールドリスニングのような。 長岡系自作派を自認していますので(笑)、基本はケチりながらハイパフォーマンス、生々しい過渡特性重視の音を目指します。ホームシアターはまだ初心者です。 …

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