最近めっきり聴くことがなくなったカセットデッキのスイッチを久々に入れてみた。
デッキはパイオニアのCT-A9D。
高校時代にバイトに精を出し、なけなしの貯金をはたいて買った思い出の機器だ。この前購入したDVD-A1XVAの時もそうだったが、早く聞きたくてもちろん即日お持ち帰りだった。
千葉県に住んでいた当時は、アキバまで電車とバスを駆使して片道2時間、
とても重かったのを覚えている。
なんと言っても精悍なブラックボディーに、37セグメント(位?)の詳細なレベルインジケーターに一目惚れであった。
最近の録音、録画機器はデジタル化されて録音レベルに気を使うことはほぼ必要ないが、
当時はレベルオーバーすると音が歪んでしまって聞くに堪えなかった。
レベルインジケーターはそんな時代の象徴的な機能だったような気がする。
実際はオートレベルで使うことが殆どではあったが・・・。
店頭で同価格帯のナカミチのデッキを比較試聴すると唖然とした。
音の良し悪しの判断が未熟であった高校生の耳にも、明らかにナカミチのデッキのほうが
いい音で鳴っている。それでも、派手な外見とドンシャリ気味な音のA-9Dを選んでしまった。
デザインも機能の一部と言ったところか。
押入れの奥をひっくり返してカセットテープを取り出した。
テープはTDKのMAR、当時確か一本1000円以上した代物で、S61年録音の昔のアイドル歌手のCDをコピーしたものだ。
再生してびっくり、なんとナローレンジだこと。
最近のデジタル機器のワイドレンジな音に慣れた耳にはいささか物足りない。
でも、暫らく聴いているとこれはこれで味があるのかなとも思ったりする。
もう録音機器としての使命はとうに終えてしまったが、
今しばらくインジケーターをちかちかしておくれ。