VIENNA ACOUSTICS
T-3G
¥669,900(税込)
発売:2005年3月15日
コンデンサー型からウイーンアコースティックへ
ウイーンアコースティックTG-3にした理由は、2つある。今までは10年近くマーチンローガンを使い続けていた。聴き方も、どちらかというと対峙して聴く、緊張感のある聴き方だった。音の出方は前後に放射する平面型のコンデンサースピーカーだったので、きわめて音場感が出る優れたスピーカーだった。ピアノやソプラノなどのボーカル表現に特に長けていたと思う。ただ、一点だけ欠点をあげると、バイオリンのハイが時々きついのだ。ケーブルの選び方でなんとかごまかしているのだが、ある時妻がバイオリンの音が絶えられないというのだ。我が家では、音量はコンサートホールの原寸大よりちょっと小さめで聴くのだが、それでも相当な音量だ。ながら聴きはできる音量ではない。緊張を強いる音に加え、ハイが連続すると、自分でもきつかった。たまたまちょっと前に二人で上野池之端の鴎外荘で懐石をいただきながら、芸大の学生のバイオリン独奏を目の前で聴いた。バッハのG線上のアリアなどをやったのだが、どんなにハイが高くても柔らかくリッチなのに二人で驚いた。だから、マーチンローガンの奏でる音はどうしても癒されない、きつい音なのだ。このときから、バイオリンがあの本物に近い柔らかくリッチな音の出るスピーカーに変えようと思ったのだ。
もう一つの理由は、東京足立で震度5を記録した地震だ。大阪出張から帰ったらマーチンローガンが倒れていたのだ。しかも見事に売り物の振動膜に大理石テーブルの角を当てて、穴が開いていたのだ。
バイオリンが本物のように聞こえるスピーカーを求め、あちこちと聴き歩く。きっとソナスファベールのクレモナならバイオリンの技を使っているから、バイオリンのいい音が出るに違いないと思い、秋葉の新しい話題のハイエンドショップで聴いてみた。店頭の展示場所だから、条件は悪いがそれにしても、刺激的でないだけで、魅惑的なハイの柔らかい音は出そうにない。
ある時秋葉の家電ショップにオーディオ売り場があるので、見たら気になっていたウイーンアコースチックのTG-3があるではないか。ちょっと聴いてみると、この時はハイドンの協奏交響曲をかけてもらったのだが、これが柔らかくリッチにハイを出すのだ。まさか家電屋でオーディオを買うとは思わなかった。
こうして、今私は柔らかくリッチな弦の音や、オペラのボーカルを楽しんでいる。ただし、対峙する緊張感を強いる音ではないので、夜中の2時過ぎに、大音量が鳴っているのに、癒されて寝てしまうことがあるのだ。マーチンローガンではありえなかったことである。

【SPEC】
●型式:3ウェイ5スピーカー リアバスレフ型 ●ユニット:17.5cm XPPスパイダーコーンウーファー×3、14cm X3Pコーンミッドレンジ、2.5cmシルクドーム型トゥイーター ●インピーダンス:4Ω ●再生周波数帯域:28Hz〜22kHz ●音圧レベル:91dB ●クロスオーバー周波数:110Hz、2.5kHz ●許容入力:50W〜300W ●カラー:ローズウッド ●外形寸法:190W×1085H×400Dmm(アルミ製スタンドを除く) ●質量:32.5kg(1本)