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日記

第195話 ピアノ五重奏

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2010年11月27日

今年の2月にオープンした新ヤマハホールに、やっと今日行けた。中に入ると写真で見た印象と違い、意外とこじんまりしたホールだった。このホールの聴き所は、「上方から降り注ぐ響き」を実現させたという音響だろう。側壁下部には、小ホールにありがちな音像をぼかす反射音をちらす拡散体を設置し、鮮明な音を客席に届くようにしているという。この拡散体や傾斜のついたパネルは天井付近では無くなり、ここでは壁面をフラットにすることで、下部からとどいた音を天井と共にここで響かせることで、降り注ぐ響きを目指しているという。実際、ピアノの音などは、うまくステージ上で響いていて、あたかもピアノの音がファサードのように存在感タップリだった。

しかし、ホールの音響だけが、きょうの演奏会のトピックではなかった。日本ブラームス協会が主催した演目は、シューマン・ブラームスのピアノ五重奏だった。この協会の顧問である西原氏による曲の解説は、無知の私にはとても勉強になった。なんでもシューマンによるピアノ五重奏は、今までは、シューベルトの「ます」のようにコントラバスが含まれる編成が一般的だったものを、ピアノと弦楽四重奏という形態にしたことが画期的なのだという。そしてこのシューマンのピアノ五重奏に強い影響を受けたのが、ブラームスだという。ブラームスは当初、多忙なシューマンに対し良い印象を持っていなかったそうだが、回りからの強い勧めで再会したそうで、その後、シューマンがライン川に投身自殺を図ったのを機会に彼を研究するようになり、やがてブラームスによるピアノ五重奏が生まれたという。今日はその2曲が聴けたことは、とてもラッキーだった。

演奏者は、伊藤恵など有名な方もいたが、ヴィオラの金丸葉子の演奏が聴けたことはとてもうれしかった。彼女は2年前にリリースしたデビューCD「シャコンヌの情景」で、ヴィオラ四重奏をProToolsを使って一人多重録音で聴かせるなど、とてもチャレンジングでこのCDを聴いて以来、いつか生で演奏を聴いてみたいと思っていたので、その願いが今日ようやくかなった。席は最前列の中央だったので、ヴァイオリンやチェロは良く聞こえたが、肝心のヴィオラの音は、ちょうど良い具合に譜面台に被さってしまい、あまりよく聴こえなかったのが残念だった。しかし、いつもニコニコしていて、とても楽しく演奏している姿がとてもチャーミングだった。

演奏時間は約2時間だったが、その間お尻が全く痛くなかったのは、特筆すべきことかもしれない。というのは、先日ウィーンフィルの演奏会をサントリーホールで聴いた時、お尻が途中から痛くなり、ラスト30分ごろにはどうにも痛くて、とても音楽鑑賞どころではなかった。しかし、このヤマハホールの椅子は座面がやや硬く、ももの下がやや盛り上がっていたので、体重がお尻に集中しないようにしていたのかもしれない。ヴァイオリンやチェロのような優雅なカーブを採用した川上元美氏によるこの椅子は、「お尻にも優しいホール」と絶賛されるのではなかと感じた一品だった。

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