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日記

第382話 ランダルのプリエンファシスCD

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2016年10月27日

ピアニストの中村紘子が今年の7月に亡くなってから、彼女の本を読んでみた。内容はチャイコフスキーのピアノコンクールが音楽市場に期待されている役割や、コンクールを演奏会と位置付けているような「ツーリスト」等を明確に説明されていた辺り、他の方も指摘されていたが、とても文才のある方だ。

そんな中、82年のコンクールで最も心をとらえたピアニストとして、エストニア出身のランダルという当時26歳の青年を挙げていたのだ。彼は万能型ではないものの、モーツァルトやシューベルトの作品で繰り広げた肌理濃やかで内面的な世界は彼しか表現できないものだったという。結局、彼はこの年、コンクールでは4位(同年に参加していた小山実稚恵は3位)だった。小山と違って彼はこの先、ソ連国内に埋もれ外国に出ることもなく、人々の記憶から忘れられることが、なんとも残念という形で締めくくられていたのだ。

しかし、ランダルは家族を連れ、88年の8月31日に西独に亡命を果たした。それから数々のレコーディングを果たし、今年、同郷の指揮者でパーヴォの父に当たるネーメ・ヤルビとのCDもリリースされた。これはこれで良かったのだが、今回の日記で取り上げるのは、日本のカメラータからリリースされたオーボエ・ソナタ集。録音は93年で亡命から5年経った頃に行われたCDだ。

このCDを掛けると、CDPの表示がおかしなことになってしまうのだ。表示にはサンプリング周波数とビット数が表示される機能が付いているのだが、CDは44.1/16と表示されるが、このオーボエ・ソナタ集を掛けると、ビット数が24ビットと表示されるのだ。「どおりでこのCDは音が良いのか」とやり過ごしていたが、良く考えたらCDには収録できない容量だった。

後日、CDPのメーカーにこの件についての返事が来た。
プリエンファシスをデコードすると24ビット表示になるそうで、この時、CDに変調を掛けていたことを初めて知った。どうも初期のCDには結構あったらしく、リッピングソフトのEACで、このCDを再生すると、確かにプリエンファシスが掛かっていることが確認できた。

最近では、全く見当たらないので、初期のCDの一部ではこの変調の掛かったディスクがあるのだろう。

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