日記
Anti-Mode 2.0 Dual Core導入レポ(3)拙宅での音場補正の実際(2)
2013年09月30日
続きです。
【1】パラメトリックEQ
140Hz近辺のディップを何とかするために、パラメトリックイコライザーの機能を使ってみます。AM2DCでは最大16のパラメトリックEQフィルタを作成でき、適用させることができます。逆に言うと16がせいぜいですので、全ての帯域にわたってあれこれ手を加えることは想定されていないことがわかります。
さて、140Hz位に4.5dB程度盛ってみました。幅はやや狭目にしておきます。その結果を測定機能(200Hz以下)で確かめますと、こんな感じです。


あんまり変わってないような…。しかし測定結果はBefore/Afterで比較できます。こんな感じです。赤はBefore、黒はAfterです。

もっと盛ってもいいのかも知れませんが、この辺でやめときます。
【2】500Hz/FullRange測定結果
次に500Hz以下での測定をします。次の通りです。

拙宅は部屋の全ての面が堅い木製ですので、反射は強く、必然的にF特は乱高下します。それにしても結構上下してますね。ただこれだけ見ていると特定の帯域での問題は一見ないように見えます。しかし…

上がFull Range(実際は10kHz以下)の測定結果です。
300Hz代の窪み、500Hz位のピークが特徴です。
またこの画面ではわかりませんが、過去数度の策定では、2k~4kHzにかなり深いディップが検出されることがあります。
これはリスニングポイントすぐ後ろの吸音措置(Kripton AP-10やソネックス)、リスポ左手のPCモニタ等が疑われますが、実はこの部分は測定ごとに微妙に結果が変わっており、真の原因の究明はこれからの課題です。
ただ中高域の測定は、低域と比べると結果の変動が微妙にあって、正確な実態をつかむのはやや難しいのが実情です。(私自身の居場所さえ、測定結果に影響を与えるようです!)中高域については、もっと精度の高い測定機器を用いるべきかも知れません。
とはいえ、差し迫った問題を感じているわけでもないし、AM2DCの測定でもある程度の対策の見込みは立てられるので、これで良しとします。
なおパラメトリックEQ等の機能は低域だけでなく、全帯域に適用可能ですので、実態さえ正しく把握できれば、イコライジングで補正可能です。
※私はさらに超低域カット(15Hz以下)機能を使っています。
【3】音場補正の感想
さて、以上の操作による音の変化ですが、これはもう、あえてこまごまと報告する必要がないと思えるほどです。
結論を言えば、低域の聴こえ方は歴然と改善し、もう元に戻ることはできないほどです。変化とか、好みの問題ではありません。はっきり「改善」と言えるものです。
楽器で言うと、バスドラとベースです。いったん補正後の音を聴くと、以前の音がいかにボワついていたか、またそのせいで低域の見通しが悪くなっていたかがわかります。ビル・ブルッフォードのドラミングの全体像が初めて正しく聴けた気がします。
また低音楽器の定位がはっきりし、はみ出たような響きを出して暴れることがなくなりました。いわば行儀よく、SP向こうの空間にきれいに定位するようになりました。この辺は迫力が減じたと感じる人もいるでしょう。しかし音の聴こえ方としてはこれが正しい、と思わせる説得力を感じます。
音場補正、という本来の機能に限って言うなら、その気軽さといい操作の簡単さといい効果の確かさといい、AM2DCは実にすばらしいものです。低域の暴れは今まで拙宅の最大のウィークポイントと思えていただけに、導入してよかったとホントに実感します。
※
さてしかし、こうした機器を既存のシステムに組み込み、その恩恵を味わうには、ある恐れを克服しなくてはなりません。
接続点を増やし、音声信号を何らかの形で操作することによる、「音質劣化」の恐れです。
この問題はそんな単純にキャンセルすることはできません。次はその辺について報告します。
続きます。
レス一覧
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おはようございます。
当方もいろいろなイコライザを試してきておりますので、非常に興味深く拝読いたしました。
(ASM2DCのデジタル出力が48Kまでなのが少し残念に思いますが)
続きが楽しみです!
byゴンザエモン at2013-10-01 08:37
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ゴンザエモンさま
こんにちは。
AM2DCのデジタル出力が48kHzまでというのは、確かに残念です。しかしこれは後のレポで書く予定だったのですが、AM2DCのもともとの設計思想は、アナログ段に挟み込むのを前提としていたようです。つまり信号処理は、デジタル信号のフォーマットに左右されない段階、即ちアナログ段において、音声信号処理としてはオーバースペック気味の極めて高いレート(6.144MHz/40bit)で同一筐体内処理を行う。それがこの製品のコンセプトであると感じました。
信号の処理はデジタル段で行うのが当然、既存のシステムのアナログ段に挟み込むなんてとんでもない!というのが私の思いこみでしたが、今回AM2DCをいろいろ触ってみて、どうもそれはケース・バイ・ケースみたいです。この件については、後日ご報告させていただきます。
byキングジョー at2013-10-01 16:16
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yotabeさま、こんにちは。
今の私は、まさにAM2DCをプリアンプとして使いたければ使えるようなつなぎ方をしております。
そこでご質問にお答えするならば、機能的にも、音質的にも特に問題なく使えるとは思います。
0dBをMAXに0.5dBずつカッキリ音量増減ができますし、音質的に特に変な癖とか、悪い意味での個性などは感じません。
ただ私の価値観でお答えしますと、次のような点が気にはなります。
(1)プリアンプは、システム全体の音色とトーンを決定する、非常に存在感の大きいコンポだと思います。ユーザーの嗜好がもろに問われる機器です。これを考えると、yotabeさまがプリアンプとしてのこの機器のトーンに満足されるかどうかは、私には全く予想も保証もできません。
(2)小さなリモコンで操作する(それしかない)わけですが、操作の重厚感とか、そういうのは皆無です(笑)。またリモコンがどっかへいったり、ボタン電池が切れたりするとプリとしての操作ができなくなります(音場補正機としてはそれでも問題ないわけですが)。プリとして使う場合、個人的にはそれは心もとなく感じます。
ただAM2DCの採否は、設計思想というかコンセプトが納得できるかどうかにかかっていると思います。グライコではなく、専用の音場補正機としての方向性に納得できれば、いずれ良いプリアンプに出会ったとしても、AM2DCの活躍場所は残り続けることになり、高い満足度は得られるでしょう。
byキングジョー at2013-10-05 22:05