日記
60/70年代ロックを救うのはカセットテープだ
2022年01月25日
相変わらずApple Music三昧の日々です。現在はAppleTV 4KでのAtmos再生に加え、MacBook ProからアキュフェーズのSACD/CDプレーヤーにUSB接続してDACとして使用し、セパレートアンプを通して192KHzで再生するハイレゾ/ロスレスのステレオ再生を楽しんでいます。深夜に色々ブラウズしながら聴くのが楽しく、覚えている過去メロを再発見して聴くのがサブスクで定額でできるのも、遠慮なくガンガン聴けるので気に入っています。
現在のシアタールームのシステムで、Apple Musicに関連した部分は以下の図のようになっています。

Atmos側は、AppleTV 4KからHDMI接続で、AVプリアンプに入力し、全13ch+ウーファー(9.3.4ch)をパワーアンプで駆動。ステレオ側は、MacBook Proから、SACD/CDプレーヤーにUSBで接続し、ステレオのセパレートアンプで駆動。Atmosとステレオの切り替えは、パワーアンプの入力切り替えで行っており、基本的な使い勝手や音質には満足しています。
ただ、以前にも話題になりましたが、かつてアナログレコードで聴いていた古めのロックは、ロスレスのデジタルで聴くと音質がクリア過ぎてペラペラの印象。これを何とかしようと持ち出したのは、カセットデッキです。今回は、高音質を追求する話ではありません。当時のロックの印象を今の便利なシステムでどれだけ違和感なく聴けるのか。先日NHKでも報道されていましたが、アナログレコードに続き、カセットテープも人気を盛り返してきているのだそうです。そうだ。カセットテープを使おう!
私は、高校生だった当時、EXCELIAのブランドを冠していたアイワのカセットデッキ・XK-009を、アルバイトをして稼いだお金で新品で購入しており、それ以来大事に使用してきていました(ワンオーナー美品!取説リモコン完備!)。当時の私はレコードもCDも好きに買える訳ではなかったので、貸しレコやレンタルCDをなるべく高音質で手元に残すために、高性能のカセットデッキは重要だったのです。ただ最近ここ数年は使用頻度が激減しており、久しぶりに通電してみたところ、まともにテープを再生できる状況ではないことが判明し、修理から始まることになりました。この機種は人気があるようで、ネットのオークションではジャンク扱いでも5万円近い値段がついています。完動品だとほぼ定価。ちなみに新品当時の定価は¥99,800でした。

XK-009は3ヘッド、3モーターの高級機で、AMTSと呼ばれた機構でカセットハーフを抑え込んで振動を減らしノイズを低減したり、デュアルキャプスタンでテープのテンションを一定にするなど凝ったメカニズムに加え、電気回路も素材や基盤構成、電源トランスなどお金のかかった構成で、調整幅の広いマニュアルキャリブレーションも可能と、当時はソニーの555ESX/ESRや、アカイのGX93と人気を分け合う、時代を代表するモデルだったと言って差し支えないと思います。当時私はセンターメカのソニーと迷いましたが、24セグメントの豪華なメーターが決め手になって、アイワにしました。
我が家にはメタルやハイポジのテープも結構残っていて、中には封を切っていないものもありますが、今回の目的から、今でも安定して買えるマクセルのノーマルテープをAmazonで購入しました。

キャリブレーションはとりますが、ノイズリダクションは使いません。テープのヒスノイズが早速懐かしい。クロストークの関係か、音場は中央寄りになり、低音はゆるくなりますが、厚く聴こえて逆に良い感じ。高原型の周波数特性がピラミッド型になるイメージです。ギターの弦を指が摩る音はマイルドになって聴きやすい。アタックは「カン」が「ブン」になりますが、細かい音が聴こえなくなるということはなく、十分「ハイファイ」です。単に周波数特性を変えるイコライザーではなく、クロストークや応答特性まで変わる「あの時代フィルター」という感じでしょうか。ディープパープルとか、レッドツェッペリン、ピンクフロイドなどなど片っ端から聴いてみましたが、なかなか良い感じです。
我が家の2chのシステムは、アキュフェーズのSACD/CDプレーヤーから、プリとパワーのセパレートアンプをバランス端子で接続していますが、ここにアンバランス端子しかないカセットデッキを追加しても、問題なく録音・再生できます。ただ、普通につなぐとカセットテープに録音している間はカセットデッキの音は聴こえません。カセットテープでライブラリーを増やそうとしている訳ではないので、これだとちょっと不便。そこでカセットテープの音質を手間なく楽しむために、アキュフェーズのSACD/CDプレーヤーのアンバランス出力を、カセットデッキの「CD/DAT Direct In」入力端子につなぎます。この端子は、通常の「Line In/Line Out」とは別にプレーヤーにダイレクトに接続するための端子で、これで録音している再生音が聴ける3ヘッドのカセットデッキの特徴を利用し、アンプの入力はテープを選択し、録音している音楽をそのまま「追っかけ再生」して聴くことができます。60分テープだと30分ごとにサイドをひっくり返す必要はありますが、まさにフィルターのようにカセットデッキを使えます。比較的最近の曲でも、大ヒットしたX・アンバサダーの「Unsteady」とかもカセットを通した方が雰囲気がでる印象があります。トレーシー・チャップマンとかマイケル・キワヌカなんかもアリだと思います。
カセットデッキの、音楽に合わせて動くピークメーターも気分が盛り上がりますね。fooberではさらにスペアナも表示できるので、Apple Musicのソフトにも取り込んで欲しいです。
今回のカセットデッキ活用は使い勝手の点からは全く悪くないと思いましたが、一方でコロナが終わって時間があったら、当時発売の安価の中古アナログレコードを求めて餌箱あさりに行くのも良いと思いました。
過去ログは検索しやすいこちらをどうぞ。
レス一覧
-
元住ブレーメンさん
音質劣化するのでNRは当初から使ってませんでした。
ヒスは若い頃は"煩い程"聞こえましたが、最近聞こえないので、
NRの意味が無くなりました...。
所で、愛用していたデッキは松下RS-275CU、赤井GX93。
RS-275はカセットがオーディオ用としてやっと認知され始めた時代のものです。試しにGX93の特性を測るとフラット(メタル)で、当時の技術の完成度が高さを再認識した次第。
byナショナルキッド at2022-01-25 19:25
-
元住ブレーメンさん。おはようございます。
3ヘッド式のカセットレコーダーをエコーマシーン‥ではなく、素敵な音声フィルターとして再活用するのも有りですね。
昨年、TOTOⅣ('82年の聖なる剣)のSACDの入手を企てましたが余りにも高価なためハイレゾをDLし聴いてみましたが、アレアレってなくらいレンジの狭いサウンドでアナログ盤を48kHz24bitでリッピングしたwavファイルのほうが気持ち良く聴こえました。
おそらく、このハイレゾも「元住ブレーメン式?」カセットテープフィルター効果が期待できるかもしれませんね。
確かDAWの主流であるPro Tools(プロ・ツールス)では以前からAmpex社のテープレコーダーをシミュレートできるプラグインもあるようですからテープサウンドは一種のDither効果があって気持ち良く聴かせる効果があるのかもしれません。
ちなみに静かな部屋で「シーン」と聞こえるのも、耳の中の有毛細胞の聴毛が本当に振動して聴こえるそうで、自ら震えてDitherとして働き微かな音でも拾い上げられるようにしているそうです。
byたかけん at2022-01-28 03:48
-
ナショナルキッドさん、
私は当時は聴くのは主にポータブルカセットプレーヤー(いわゆるウォークマン族)で、KENWOODのDolby-C対応の物を持っていたので、NRは必須でした。NRなしだとダイナミックレンジもスカスカだった覚えがあります。
たかけんさん、
「耳の中の有毛細胞の聴毛が本当に振動して聴こえる」って、すごく面白いですね。人間の耳が環境にアダプティブというのは想像できますが、それに対してどう対応したら「気持ちよく」聞けるのか、というのは結構奥が深いお題なのだと思います。山下達郎が「48KHz/24-bitがベスト」と貫いているのも同根なのかもしれませんね。
by元住ブレーメン at2022-01-29 00:25
レスを書く