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東京都在住のオーディオマニアです。リビングオーディオです。狭いスペースを与えられてやっています。MPS-5,Marklevinson No32Lなどを愛用中。クラシックはほとんど聞かず、ポップス、ラッ…

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日記

Weiss MEDEA+OP1-BP の私的レビュー:世に隠れし名匠

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2011年11月07日


ずっと探し続けてきた・・・・。
KLIMAX DS/K(旧名KLIMAX DS/1)に対抗できる
コンピューターオーディオマシーンを。
Continuum0037にその力を求めたこともある。
しかし彼はDAC次第でどうにでもなるやや不完全な存在であった。
dcs ドビッシーDAC?
USB接続ではやはり迫力不足。
この接続だと、大人しくて薄い音だ。
その他のUSB入力を持つDACも
現在のところは
少なくともUSB接続では
KLIMAX DSほどのシリアスな音のインパクトに欠ける。
こうして試していくと
やはりPCへの特化度の高さというか、
その方面への情熱の温度差というものは音に出てしまうのが分かる。
結局、唯一、
彼を音の面で打ち負かせる
PCオーディオ対応DACは
Weiss MEDEAではないかと私は期待していた。
デジタル・アナログ変換技術の
世界的なエキスパートと言われるダニエル ワイスが
長い期間をかけて熟成させてきたハイエンドDAC。
ネットワークオーディオ機器である
KLIMAX DSほどPCとの接続に特化しないものの、
インターフェイスにFirewireを頑固に採用、
流行のUSBには見向きもせぬ。
そこらへんのこだわりにも、
PCオーディオへの指向性はありありとしているわけである。
そうこうするうち、
最終進化形であるWeiss MEDEA+OP1-BPが、ついにリリースされた。
ここでWeissへの私的オーディオ熱は最高潮に達したものの、
如何せん扱う店舗がなく、
東京中どこへ問い合わせても常設の展示はなく、空振りばかり。
やっとのことで都内某所にて展示が始まるとの知らせを受けたのが
2011年10月の下旬である。
随分と待たされたものだ。

このレビューは
2011秋のヘッドホン祭りと同日の夕方、
Weiss MEDEA+OP1-BPを
Mac book proからのFirewire接続で楽しんだあと、
転進して、
某所のKLIMAX DS/Kで
同じソースを聞くという企画から来たものである。
この試聴の印象を詳しく書き留めて、
MEDEA+OP1-BPのサウンドを浮き彫りにし、
滅多に聴けず、かつレビューも非常に少ない
このハイエンドDACの購入を
検討する方々の一助とするのが本稿のねらいである。

このDACとの出会いについては、
私個人は随分と感激させられたので
思いの丈を余すところ無く書かせて頂いた。
結果、文章全体がかなり長くなったので、特別に二部構成とした。
まず第一部としてDACの外観とサウンドについてのレビュー、
次回、第二部で
KLIMAX DS/K等の送り出し機器との比較レビューをお送りしたい。

なお、ここではあえて純正CDトランスポートの
Jasonと組み合わせたCDサウンドには言及しない。
(かなりイイらしいが)
JasonとMEDEA+OP1-BPのペアではSACDが聞けない。
私はSACDを愛する手前、
SACDがかからないプレーヤーはあまり買う価値がない。
しかしPCオーディオマシーンとして
MEDEA+OP1-BPは十二分に価値があると判定し、
その視点で書いている。
(掲載の写真はほぼ外見は同一のMEDEA+。
 ただしMEDEA+OP1-BPは右の二つのボタンがない。)

・外観について:
Weiss MEDEA+OP1-BPは
平らで奥行きの狭いリジッドな筐体を与えられた
やや細長い形のDACである。
この筐体は異種金属の二重構造となっており、
振動、ノイズへの対策としている。
なお、前バージョンよりも
筺体の光沢が増した仕上げに変更されている。
またオプションでブラック仕上げも選べる。
フロント中央に4つのボタンがあり、
デジタル入力をセレクトする。
リアパネルのデジタル入力はRCA同軸が二口、
AES/EBUも二口、TOS光、ST光が一口づつ。
そして今回使うIEEE1394(Firewire、6ピン)が一口である。
デジタル入力は24bit,192KHzまでのデータに対応する。
44.1,88.2,176.4kHzのデジタル信号は
最大で352kHzにアップサンプリング、
48,96,192 kHzのデジタル信号は
384kHzにアップサンプリングされたあと
D/A変換される。
クロックは標準的なグレードのものを使っているようだ。
もちろん、外部クロック入力はない。
アナログ出力はRCA、XLRそれぞれ一系統づつ。
XLRが推奨出力だが、RCAとそう大きく音は変わらないようだ。
内部はFirewire入力のためINT202で使われていた基盤が、
元々ある基盤に追加されるように重ねられている。
また強化されたディスクリートのアナログモジュール8枚も
同様な形で追加されている。
この改変はかなり大掛かりで相応の音質向上が期待できよう。
ただし、中身の見かけでは屋上に屋を架すような印象で、
付け焼刃感がないこともないが。
足は四足。
一見、
シンプルなアルミ製のフットだけで立っているように見えるが、
ボコボコした突起がリング状に配置された
特殊な形状のパーツが接地面に張られており、
振動をキャンセルする。
全体のルックスの印象としては
精密なれど、ややそっけない感じで、
正直、素晴らしい音がいきなり飛び出してくる期待は薄い。
しかし、ハービーハンコック様ご用達というWeissの
最高級DACが大したことないはずもない。


・音質について:
音源は16bit 44.1kHzのCDリッピングのWAVデータのみ。
Macbook proには、お決まりのAudrivana。
Fire wireケーブルはごく一般的なもの。
アンプはAyre KXR,MXRのペア。
スピーカーはKharmaという布陣である。
ウォームアップが十分になされた状態から試聴スタートである。

素晴らしい。期待以上だ。
試聴スタートの五分後には、はや賞賛の呟きが漏れる。

この音を言葉で表現すること。
それは私にとっては、かなり難しいことだ。
何故なら
私がこれまで、
ほとんど聞いたことがないような音だからだ。
また、このサウンドには多様な側面があり、
短い言葉ではとても言い尽くせない。
嬉しい困惑の中でなんとか筆を進める。

まず、音に独特の弾力というか美味しい食感というか、
最上級の聞き味のよさが備わっている。
アナログ出力部の強化の賜物か。
しかし、それが個性で、
音楽を自分の個性に染めて聞かせるタイプではない。
音作りをまるで誇示しない印象がある。
ソースの音がそうあるのなら、
たとえ暴力的な音であっても、そういう凶悪な雰囲気で出す。
表現のポケットは数多く、
それらをフルに活用して
ソースの音調、雰囲気を詳しく正しく伝えてくれる。
音楽ジャンルも録音の良し悪しも選ばない。
なんでもござれである。
Weiss氏は、もともとはスタジオ向けの機器畑の技術者ということで、
モニター的な忠実性を重視するからだろうか。

言うまでもなくワイドレンジであり、
高SNであり、
全ての帯域でハイスピードであり、
どの帯域の解像度も抜かりなく高い。
サウンドステージも三次元的に極めて広大に描出する。
そのような一般的な音質評価の指標においては
すべからく満点に近いところにある。
なんとか文句をつけたいが、これでは難しい。

それにしても
この広々としつつも密度のある音は・・・なんなのだろう?
音がみっしりとリスニングルームに充填されており、
まるで満天の星空を眺めるようである。
最初は、このDACの音数の多さに
なかなか耳がついていけなかったほどだ。

最近、静寂感のあるSACDプレーヤーとか、
静寂のアンプとかいう言葉を聞く。
これは、かなりSN感が高いという意味であるが、
このWeiss MEDEA+OP1-BPのサウンドは
そのような表現にあてはまらない。
これは、
それまで静寂と考えられていた部分に、
実は微かな響きが無数にあることに気付く音だ。

以前、特殊な超高感度カメラで
夜空を撮った写真を見たことがある。
その写真に写っていた全天は
星の光の占める面積の方が、
闇が占める面積よりも明らかに広かった。
つまり、
夜空には人間にはとても見えないほど
弱い光しか届けない星が無数にあり、
それらを全て可視化すると、実のところ闇は駆逐されてしまう。

それと似ている。
Weiss MEDEA+OP1-BPは録音現場に漂っていた、
微細な音を丁寧に拾い上げ、音に力を与えて再び送り出す。
我々は静寂に聞こえた闇の中に多くの音たちが隠れていたのを知る。
その多くは、おそらく残響音や倍音である。
坂本龍一氏がかつて、
ひとたび出た音は決して消えてなくなることはない、
限りなく小さくなっていくだけだ、
と発言していたが、
残りの響きが完全には消えずに、空間に長く長く滞空し
後続の音たちと絡み合う様を聞くのはオーディオの愉悦だ。
現代の多くのオーディオ機器は
ノイズを徹底的に下げることで
この悦楽を実現しようとする場合が多いが、
Weiss MEDEA+OP1-BPは
SN感の向上を図るのみならず
音たちに強く生きる力を与え、
音が不自然に減衰するのを未然に防いでいるかのようだ。

また、
オーケストラなど大編成の楽曲において、
全ての楽器が一斉に鳴り出した際の表現にも驚かされる。
大抵、そんな時は楽器の音と音が重なって
見えなくなる音が出てきてしまうのが普通だし、
うまくいっても優先順位がついてしまうものだが、
このDACでは全ての音が重層化しつつも、
全く対等に並立して存在感を誇示する。
この感覚は未知のもので
私自身、この新しい音に覚醒させられたような気がした。

Weiss MEDEA+OP1-BPの音は
最新のハイエンドDACにありがちな
マジメで優秀だが、
いかにも低ジッター風のつまらない音調ではなく、
むしろ常に愉しい音だ。
音楽性の高さが際立っているDACだと思う。
音楽を信号やデータとしてでなく、
有機的なつながりを持つ、音波の連続として捉えるDAC。
音楽の内面に寄り添い、その内幕を必ず表現するDAC。
Weiss MEDEA+OP1-BPは
結果的にはそういうDACに仕上がっている。

今回の試聴でマーカスミラーのM2を聞いたのだが、
この音楽データは
他のハイエンドDACを通しても、
高々、彼のベースは巧いという客観的理解に留まっていた。
私が彼の大ファンという訳でもないからかも知れない。
しかし、Weiss MEDEA+OP1-BPだと、
その冷めた客観性を超え、
彼のベースが“カッコイイ”という
主観的な感動に浸ることができた。
マーカスの大ファンの人が
彼のベースをいい音で聞いている時の感興に近づいたと思う。
心の琴線に触れる、届くという表現が適切かもしれない。

アンプもスピーカーも、試聴に使ったことが何度かあるので、
彼らの力は熟知しているつもりだが、
これほどまでに、これらのアンプを縦横にドライブし、
このスピーカーを朗々と歌わせたDACは記憶にない。
見かけによらず強力なパワーを持つDACである。
下流機器への支配力は強い。
バックパネルにロータリースイッチによる
多段階ゲイン調整がついているが、
これを上げていくと、さらに支配力は強まるらしい。

とにかく、この音が
日本のほとんどのオーディオファイルに
まだ知られていないということは残念だ。
その意味で、このDACは世に隠れた名匠だ。
このDACを聞く機会が日本でも、もっと増えるべきと思う。
必ず、多くのオーディオファイルの感性の琴線に触れるはずだ。

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  1. 上奉書屋 様

    こんにちは、御無沙汰しています

    WEISSのDACは、私も何処かで試聴してみたいと思っていました
    早くもレビューを拝見できるなんて夢のようです・・

    そして、音色も素晴らしいようで・・

    都内で試聴できるお店は目星がついているのですが
    なかなか行けない状況です

    暇をみつけて、試聴しに行きたいです

    今後もさらなるレビューを期待しています
    ありがとうございました

    byみーちゃんと共に at2011-11-08 14:21

  2. みーちゃんと共に様、レスありがとうございます。このDACは送り出しではそれほど新しいものではないですが、かなりいいものと思います。よろしければぜひ西麻布まで足を運んでください。
    比較レビューもアップしました。よろしければ続けてどうぞ。

    by上奉書屋 at2011-11-08 22:11

  3. At様、レスありがとうございます。USBもいいものはありますが、このDACを聞くとなるほどFirewireはいいのかな、と思わざるをえません。とはいえ、音の良さがどこからくるのか、私にはよくわかりません。もちろんFirewireだけではないのでしょうね。
    続けて比較レビューもアップしました。よろしければどうぞ。私が聞いて理解できたものだけしか比較できませんでしたが。エソテリックのプレーヤーについては、まだまだ理解が足りません。もっと時間をかけたいです。

    by上奉書屋 at2011-11-08 22:18

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