日記
平面波理論を応用したスピーカーセッティング
2022年11月20日
低音の再構築を進めるにあたり、平面波の理論がスピーカーセッティングに応用できないかを検討してみます。ウェルフロートを外して低域の質感は満足しましたが、更なる向上が図れれば御の字と期待しました。
【平面波理論からの応用検討】
音は通常、自由空間においては全方向に広がり球面波として伝達する。
この場合、距離の二乗に比例して音圧は下がっていく。
だが、音の発生源に対して隔壁などがある場合は、広がりは壁面で抑え込まれて平面波として進行する。
この場合、距離が離れても音圧は下がらない。(空気の粘性を無視すれば)
線音源のラインアレイスピーカーでは、音は扇形状に広がっていく。
この場合、距離に比例して音圧は下がっていく。

◆平面波理論の応用とは、スピーカーから出た音を効率的にリスナーに届けることであり、指向性が弱くスピーカー後方や上方に回り込みやすい低音のエネルギーを効率よくリスナーに向かわせることが狙いとなる。
更に壁面の作用を考えると、反射波の重ね合わせによる低域の「平面波」補助が考えられる。
スピーカーから出る音と壁面からの反射波が一波長ズレると圧力の重ね合わせで「増幅」し、半波長ズレれば圧力の打消し合いで「減少」する。実際の音の干渉は、このように綺麗な状態で重ね合わせが起こるわけではないが、音の「増幅」や「減少」は間違えなく起こる。
【自宅での活用検討】
①スピーカーが出す音の平面波活用
・スピーカー(B&W802D)がダブルウーファーなので、若干の線音源効果はありそうだ

・左右のスピーカーから出る音はスピーカー間隔(約2.2m)から320Hz(半波長)以下は平面波化の効力がありそう

②壁面からの反射波を有効活用したい
・壁からの反射波を重ね合わせて、定在波の影響を減じたい
拙宅の定在波はStndWaveソフトで計算すると上記となる。(点音源と想定した定在波計算)
10数年前に友人にマイスピーカーソフトを使って計測してもらった結果は以下だった。
理論通りに、8畳の正方形な部屋では定在波の1次は約50Hzに起こる。2次は約100Hzである。その中間部分に圧力の節となる1.5次約150Hz、2.5次約250Hzがある。
◆以上から、拙宅のスピーカーセッティングの狙いは以下となる
1)1次の定在波(50Hz)を抑制するために、1.7mの半円が壁面に接する位置に配置したいが部屋が狭いため不可能である。
2)1.5次の定在波(75Hz)を増強するために、1.2mの半円が壁面に接する位置に配置することも考えられるが現実的でない。
3)2次の定在波(100Hz)を抑制するために、0.85mの半円が壁面に接する位置に配置することは可能である。

◇ここまで机上で検討してきたが、現状のスピーカーセッティングがほぼ同様な状態となっていた。やはり聴感で追い込んでいったものは理論とも一致してくるようだ。
と言うことで、強い興味を持った「平面波」であったがすでに応用済とのことで頭の体操に終わってしまった。興味が湧いた人がいたら試してもらいたいと思う。
◆今後は現状のスピーカー位置をベースに聴感で追い込んでいくこととします。
※ラインアレイスピーカーの情報を教えてくれた、TomyさんとAuro3Dさんに感謝いたします。
レス一覧
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ヒジヤンさん
もうここも終わりが近く、月末を過ぎると、投稿はおろかレスまで付けられなくなるそうですから、皆さんがレスをつけるのを躊躇するのも当然ですね。だって、議論が盛り上がっても「途中で打ち切り」が見えているわけですから(笑)。
とまあいいながらも、この話題でしたら興味を持っている人も知識を持っている人も少なく、盛り上がることもなさそうなので(笑)、ブログのレスのお礼に。
>更に壁面の作用を考えると、反射波の重ね合わせによる低域の「平面波」補助が考えられる
というくだりに一番関心を持ちました。私のようにマルチをやっている人間は、スピーカーの「数」で「平面波的な効果」を狙えますが、2chの場合は、2台しかないので(ただ、理論的には4台以上のSPシステムを使う「2ch」もあり得るでしょうが)、平面波(というか、ラインアレイ)の理論では、3つ以上ないと線音源は形成できないそうですから、2chの場合はどうしても「壁からの反射」という援軍がないと、平面波的な効果ないし線音源的な効果は期待できないわけです。
その意味で、2chの場合は、壁からの距離というものもかなり繊細な調整が必要なんだろうな(完全に壁がないかの如く調整することも可能ですが、その場合は、2台のSPの「チカラ」だけを頼った低域ということになります)と理解しました。
仙台で仲間たちと話したのですが、実はAuro-3Dって、それなりの部屋さえ用意できるのであれば、「2chより安上がりに、いい音を部屋に充満させることができる」んですよ。ふと計算してみたら、うちの13+4台のSPの合計金額って、800D3二台と同じぐらいなんです。でも『Magnificat』のようなソースであれば、<絶対に>負けていませんから(笑)。ただし、狭い部屋なら800D3には敵わないですが。
byAuro3D at2022-11-21 19:07
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ヒジヤンさん Auro3Dさん こんばんは(^^)
平面波とは違う話ですが、1万円の?サブウーファーの取扱説明書にも書いてありそうな 「ウーファー床置きすると+6dB」の事実。 古くはスピーカーセッティングの基本として、低音がボワ付いたり出過ぎたら、床と壁の両方から離す。
ちなみにコレを逆手に取ってJBL 4344 を床置きして、ボワつく低音をイコライジングで抑えたらどうか?スピーカースタンド使わなくても良いからセッティングが楽なんじゃね? 結果はFUCK!!でした。 周波数特性だけでは語れないその結果。ウーファーには存分に前後の激しいPiston運動というか仕事をしてもらって、小音量でも部屋というか空間にエネルギーを放出しないことにはオーディオは始まらない。 そう感じた昔の実験でした。 床や壁に頼らない。 今では地味にTAOCのスタンドに乗せています。丁度よい高さがありますですね。 WOWOWのスタジオ?みたいにウーファーが高い位置にあると気持ちよいです(^^)。スタジオはミキシングコンソールがあるせいか、ウーファーが頭上にあることも珍しくないですよね。
オーディオアクセサリーで、スピーカーの高さを上げると・・・ まぁ
パッと聴き、良くなったように聞こえるでしょうね。ミリ単位のマニアの世界、数センチレベルで高さを変更したならそりゃあ。※例外はあるでしょうが。
そういえば、IMAXシアターで後ろをふり返るとフェイズドアレイレーダーみたいな巨大なウーハー???が天井の隅に見えました。制約にとらわれない自由な発想ではあーゆーのもアリなのか。
ただの雑談でした m(_ _)m
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bynightwish_daisu at2022-11-21 19:54
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Auro3Dさん、レスありがとうございます。
そうなんです。
2chは単純原理から言えば「2次元平面」しか定義出来ないわけで、Auro-3Dのように「3次元空間」を定義出来るシステムとは、そもそものポテンシャルが違いますね。一部の方々が熱心に取り組んでおられる無指向性スピーカーも原理的には同じことです。
ですが、ステレオ再生の歴史の中でやり方次第で立体を表現することが可能と実証されているわけです。簡単ではないのですが・・・
ポイントは、壁によるメリットとデメリットへの対処が大事なんです。完全無響室で聴くステレオ再生は、原理通りの2次元平面しか定義しませんでした。まるでラジカセを聴いているようでした。
Auro-3Dはまだ歴史が浅く、使いこなし方法を構築していくのは時間もかかるでしょうし、大変なことだと思います。その面から、Auro-3D友の会の活動は注目しています。
個人的にはコスパよりも最高を目指して欲しいです。
ただ、スピーカーの数が増えると、「相互干渉」というデメリットも生じるわけで、メリットを活かしつつデメリットを補う手法の確立も必要だろうと横目で見ています。
今後もAuro-3D友の会の活動に注視しています。
byヒジヤン at2022-11-21 20:51
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nightさん、レスありがとうございます。
いつもながらに面白いフリをしますね。
ウーファーを高い位置に設置ですか。。。ディナウデオにウーファーが一番上でツイーターが一番下のフラッグシップスピーカーがありましたね。低音の床の影響を受けないようにする考え方ではありかと思います。
ただ、低音は下から聞こえ、高音は上から聞こえるという自然の法則があるので、それに従うのが自然であると自分は感じています。
「沈み込む低音、降り注ぐ高音」が好みです。
byヒジヤン at2022-11-21 21:02
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ヒジヤンさん、こんばんは
PhileWebももう直ぐ終わりで、寂しい限りです。Phil-Mに投稿しようかと思っていますので、またこれからも宜しくお願いいたします。
平面波はどういう風に利用されるんだろうと興味津々でした。WFが縦に二つ並んだB&W SPは、Auro3DさんがSonasの3つ並んだSPを平面波を作り易いSPだと仰っていたように、確かに面白いアイデアだと思います。実は拙宅のマルチも802Matrixでウーハー縦二つ並びなので、良く似ています。もし、100Hz以下くらいで、左右のSPから同じ音が出ていれば、擬似平面波となって、低音は増強されるし、センター定位もし易くなるのかな・・と思う一方、左右に定位する低音楽器にとっては、問題もあるので、どうなのかなとも?入交さんたちの、平面波の効用の真意を聞いてみたいですね!
ヒジヤンさんのアイデアは定在波を平面波の応用(壁からの距離)で、押さえ込むことだったのですね。でも、もうできる限りのことは、セッティングの追い込みでしてしまっていたと。
50Hz付近の定在波による音圧上昇は気になるとは思いますので、今後、これをどのようなアイデアで解決していかれるのか、ご報告を楽しみにしています!
byTomy at2022-11-21 23:05
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Tomyさん、レスありがとうございます。
B&Wのダブルウーファーを事例に上げたのはそれらしく見えるからです(笑)大口径ウーファーならそれ以上に「平面波」を創出するはずですね。やはりピストンモーションする振動版は、前後方向に粗密波を生み出すものです。それが徐々球面状に広がっていくと。ラインアレイも同様に最初は扇形状に広がるものの徐々に球面状に広がろうとしますね。
人為的にどう操作しようと自然の摂理には叶いません。
>入交さんたちの、平面波の効用の真意を聞いてみたいですね!
これは本当にそう思います。
Auro-3Dの上下6本のスピーカーでは、どう考えても平面波の創出は難しく、それに近い音波の流れを補助する役割しか持たないように思います。それでも、聴感上は大きく作用するのでしょうね。
>50Hz付近の定在波による音圧上昇は気になるとは思いますので、今後、これをどのようなアイデアで解決していかれるのか
正方形の部屋で前後左右の1次の定在波が50Hzとなるので、中々やっかいです。気柱共鳴を活用した吸音なども試しましたが、いかんせんエネルギーが大きすぎて吸音効果など極少でした。
・電気的な補正
・アクティブ低音アブソーバーなる装置
なども考えられますが、クラシックの大編成ものなどはこの定在波が低音の響きを増強して臨場感に効果があったりもします。ポップスの打ち込みに対しては邪魔そのものですが・・・
低音と戦ってきた話は尽きませんが、この場はこの辺で止めておきます。
引き続きPhil-Mコミュでよろしくお願いします。
byヒジヤン at2022-11-22 08:54