日記
聖地巡礼、Jazz Spotベイシー
2012年04月22日
先日、東北に出張に。この帰路、一ノ関に途中下車、ジャズオーディオの聖地ベイシーに初めて詣でて来たところです。 昨年夏にもドキドキしながら訪れるも、この時は「三日間、お盆休み」の張り紙を前にすごすごと帰路に。そもそも営業日や時間もまちまちである模様です。 何でも便利なこの時代、毎度岩手県のお店の玄関先まで直接訪ねた挙句、コトが相成るかどうか確認している訳ですが、実はこの手間も楽しみだったりしますかね。こうしたお店の営業についても、自由で媚びない姿勢というのはまたジャズにも通じているようでもあり、憎らしいかも。
当日は13日の金曜日にも関わらず、そろそろと近寄ると幸運にも店内からズズーーンとベースの音が漏れてきて、開店を察知。少々緊張しながらもドアノブに手をかけ、ググッと押し込み、二重扉のその奥へ。薄暗い店内に目が慣れるまでしばらくかかるもの、がらんとした店内にはわずか二人の先客がいるのみでした。 最後列の中央席に少々遠慮しながら着席。当日はあの店主がおひとりで切り盛りされており、のしのしと席までいらして、注文やら聞いて頂き、直接コーヒーを運んで頂きました。早々に先客は退席されたことから、この後二時間にわたりほぼ私一人の貸切状態となり、店主には黙々と以下のようなレコードをかけて頂くなど、なかなか贅沢な時間でした。
しばらく、ただ阿呆のように聴いていましたが、なんというか、演奏が実物大。全体に素晴らしいですが、とりわけ力を溜めて弾むような低音の出方が印象的。ウーハーボックスは密閉箱であり、このあたりが大きいのでしょう。ドラムスは息をのむ良さで、Quartet、トニーウィリアムスのソロでは音が飛び出してくるので、思わず後ろの壁にのけぞり張り付いてしまいました。375+巨大ホーンは使い込んで熟したというか、枯れた音。金管は等身大に自由自在に必要な大きさで噴出いたします。余計な刺激がなく、とろっとした甘みすら伴うよう聴けまして、これにはアナログソースの貢献も大なのでしょう。 全体の音の質感も、絹目にならない、ツルッとしてない、軟調に流れない、演奏の時代の空気と共にピシリと立つ様子は、「うーんこれだよな」と印象的。また大音量にびくともしない蔵造りの部屋も音には影響甚大なのでしょう。 店内の意匠についても、隙がなく。正面の壁にドカンと鎮座のJBLとその脇のドラムセット、周囲一面のレコード群、その他あらゆる雑多なジャジーなものども、これらの全てをフロア中央のピアノの上の一輪挿しの赤一点がキリリと引き締めています。
コルトレーンのお馴染みの演奏の間、19:30頃に軽微な地震があり、針飛び。店主は血相を変えてトーンアームを上げ、「このところ毎日起こるんだよね、地震、今日もそろそろと予感してたんだ」とのお話。コーヒーをお酒に代えて居座るつもりも、あっけなく本日は営業終了に。「また、ゆっくり」と笑顔で声をかけられ、「今日はありがとうございました」とつい直立不動でお礼(苦笑)。
頭も自然に下がるほど、胸がいっぱいになるジャズスポット。
ジャズファンの揺りかご。お一人で。
Quartet, Herbie Hancock

One Flight Up, Dexter Gordon

The Way It Was, Art Pepper

Super Session, Tommy Flanagan

My Favorite Things, John Coltrane

レス一覧
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manbanzakuro さん今日は、そして初めまして
ベイシーに行かれましたか。1発目が不発でも2回目も挑戦されたという、中々の猛者ですね。
私は9回行って3回不発でした。
これだけインターネットが発達しているし、他店の店主に頼んでるとはいえ、HPもあるわけですから、休みの日位事前に発表してもらいたいものだと思っていますが、多分この営業姿勢は辞めるまで変わらないでしょうね。
地震で針が飛んで閉店になったのですか、それは誠に残念でしたね。
店主の菅原さんは、元バンマスでドラムを叩いていましたので、やはりあそこの音の原点は、手前にあるドラムセットだと思います。
なので、エルビン・ジョーンズとか、ソニー・ペインとか、トニー・ウィリアムスのドラムスは最高ですね。
もうご高齢なので、いつまで現役でやっておられるか、チャンスがあれば何度でも、チャレンジしてみて下さい。
by山田野案山子 at2012-04-22 06:35
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manbanzakuroさん こんにちは。
ベイシーへ行かれたのですね。
うらやましいなあー・・・。
一度はあそこのサウンドも聴いて置きたいと願っています。
同じ様なJBLのユニットを使っていますので気になる処です。
byしき at2012-04-22 11:07
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manbanzakuroさん
今晩は。
ベイシーに行かれたのですか!
大音量ですか。
有名なので、一度は行ってみたいですね(^^)。
byはやぶさ at2012-04-22 22:19
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こんばんは。そしてはじめまして。感動が伝わってくる日記ですね。
ベイシーには2回行ったことがあります
私もあの音が忘れられません。
お店が開いたばかりで、私しか客がいなかったのです。
まずかかったのが
Tommy Flanaganの「Confirmation」。
一曲目のMaybe Septemberから、「何じゃこれはぁ」と茫然自失でした。
Tommy Flanagan のリリカルなピアノ、George Mrazの素晴らしいタイム感、そしてなんといってもElvin Jonesの繊細に 飛び散るブラシと地の底まで蹴破りそうなバスドラ、独特なリズム感・・・・・・・。
まるで3人がそこで時を越えて演奏しているようでした。
あっという間にLP片面が終わるころには涙が出ていました。
私はジャズはトンと詳しくありませんので、当時Tommy Flanaganも、「Confirmation」も知りませんでした。
あまりに、あまりに素晴らしかったので、勇気を出して菅原さんにこれはいったい誰が演奏しているレコードなのか、尋ねたら
興奮している若造を不憫に思ったのか、奥の丸テーブルに手招きしていただいて。
手もみしながら「ElvinはFlanaganと相性が良いんだよなぁ。いいだろ」と・・・・・。
そして、著書にサインしてくださったのです。
もう、帰ってきて、早速「Confirmation」を買い求めました。輸入CD、紙ジャケ盤と2枚購入しました。
どきどきしながら再生しましたが・・・・・
ぜんぜんダメ(当たり前なのですが)
LP買えばいいじゃないかといわれそうですが、私はデジタルでいくんだと決めたんだからと意地を張って(くだらん意地なのですが)
Klimax-DSを導入し、今度こそと思って、リッピングし聴きましたが
やはりぜんぜんダメ
そして、昨年eONKYOで「Confirmation」24Bit/94kHzデータが発売されたときは
小躍りして、すぐさま購入し、今度こそと思って再生しましたが
全く及びません。
ここから先、signature diamondででるわけがない、と笑われるかもしれませんが
全く同じ音でなくても
あのベイシーの音のスピリッツが出てくれればなぁと。
クラッシクと違い、ジャズのライブの経験はあまりない私にとって
ジャズの心の羅針盤は、ベイシーで聴いた「comfirmation」です。
今後もよろしくお願いします。
byakahanamizuki at2012-04-22 22:28
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manbanzakuroさん、こんばんは(*^_^*)
ベイジーに行かれたのですね。しかも閉店にめげず。
当地には「ムシカ」という戦後から続く由緒ある「うたごえ喫茶」があるのですが、ここもやはり「勝手に」休みます(笑)。なんどふられたことか。
>頭も自然に下がるほど、胸がいっぱいになるジャズスポット。
ジャズファンの揺りかご。お一人で。
やはり一人で、、、行きたいです。
行くチャンスを作らないといけないようです。しかもすぐに。。
byマーサ君 at2012-04-23 00:15
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山田野案山子さん
こんにちは、はじめまして、これからもよろしくお願いいたします。
その後、遠路はるばるの出張に出かけてしまい、レスが遅くなりすいません。
ということはヒット率2/3、相場観がよくわかりました。気長にこの先も通い続けてみるつもりです。居る間、店主を横で観察していると、丸テーブルでなにやら紙に書かれては、表に張り紙されていたようですので、ご近所の方にこれを撮影して頂き、どこかにアップして頂けるとよさそうですが、、。
bymanbanzakuro at2012-04-24 12:11
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ORCAさん こんにちは
お立ち寄りをお勧めします。刺激的で、いろいろ考えさせられるかもしれません。駅から歩いて15分+くらいでしょうか。遅ればせながら、新型SP導入おめでとうございます。あのシリーズの立ち姿は良いですね。
bymanbanzakuro at2012-04-24 12:13
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しきさん こんにちは
ジャズの雰囲気、エネルギーというのが全体に満々と漲っておりまして、参考になるよう存じます。 私なりに130系の可能性が大きいことがよく解りました。あと王道はやはり4インチのドライバーにありということでしょうか。
bymanbanzakuro at2012-04-24 12:15
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はやぶささん こんにちは
はい、なかなか大音量です。一番後ろの席でしたので、洗礼は控えめだったかもしれませんが、笑。
bymanbanzakuro at2012-04-24 12:16
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Akahanamizukiさん
はじめまして、こんにちは。これからもよろしくお願いいたします。投稿よりも素晴らしいお話で、私の方が感動しました。当日のペッパーの奏でる枯葉はいかにも悲しく、目頭を押さえました。
あの音は、当然ながら我が家でも出ません。
帰宅して同じQuartet (CD)をDuoの方で聴いてみましたが、そもそもドラムスが飛び出すという現象はまるで起こりませんで、首をひねっています。定位にはさほど問題はないはずで、どうも音源ではなく、お店のシステム(店主)の側で、音楽をそう整理・解釈しているものと睨んでいます。うまく言えませんが。
次にD130+175+075の方で当日の古い録音の方を聴いてみると、さすがに少しは似たような質感、雰囲気は出るものの、2~3回りはこぢんまりとしており、やはり別物です。それではと、音量をぐいと上げてみたところ、彼我の差はむしろ広がるばかり、、。
心の羅針盤とは素敵ですね。私もこの先の景色を見に行きたいですが、まあのんびりと前進できれば。
bymanbanzakuro at2012-04-24 12:21
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マーサ君さん こんにちは
ご無沙汰しています。愛機のパワーアンプの復調をお祈りしております。遠路はるばるになりますが、あのジャズ再生を一度体験されると良いよう思います。
東北の地震も収まってほしいものです。
bymanbanzakuro at2012-04-24 12:24