日記
オペアンプMUSES01交換後の評価(その2)
2010年01月19日

新日本無線㈱から発売されたオーディオ用高音質オペアンプMUSESシリーズ。
ブログの方もご覧ください。
メーカーのWebサイトにはこのように紹介されている。
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2回路入りJ-FET入力高音質オペアンプ MUSES 01
心に響く"真実の音"を追求した高音質オペアンプMUSES 01は、
音質に大きな影響を与えるフレームに、世界で初めて※無酸素銅を採用した
ハイエンドオーディオ機器に最適なオペアンプ製品です。
※当社調べ 2009年5月現在
製品機能及び特徴の概要
●動作電源電圧 Vopr= ±9V ~ ±16V
●低雑音 9.5nV/√Hz typ. @f=1KHz
●入力オフセット電圧 VIO= 0.8mV typ. 5mV max.
●入力バイアス電流 IB= 200pA typ. 800pA max. @Ta=25°C
●電圧利得 Av=105dB typ.
●スルーレート SR=12V/µs typ.
●バイポーラ構造
●外形 DIP8 (実装面積8.8×6.4×6.75 mm)
●応用 高級オーディオ機器/プロ用オーディオ機器
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オペアンプ交換後に電源をONしたての第一印象は、イーグルスのHELL FREEZES OVERよりホテルカリフォルニアを再生したときのもの。

長らく使用して聴き慣れてきた、バーブラウン製OPA627BPを積んだDACに比べて、このMUSES01に交換してから出てきた音は、DACを違う機種に変えたほどの変化であった。
新品のチップだからまだ機器に馴染んでないためだろうか、異様にエッジが立ったメリハリのある音楽が、小生に向かって飛んで来る。
といってもインフィニティが奏でる音楽がガラッと変るほどの音質変化ではなく、個々の変化をみると好ましい方向に変化しているのが感じ取れる。
つまり、高音域、低音域ともに再生レンジが拡大したかのような印象を受ける。
ヤマテツさん曰く・・・・・・・・・「最初、パッと明るくなったなと言う印象・・・低域、高域ともに延びて、ワイドレンジになって、細かな音まで聞こえ、位置もハッキリ、きちんと分離、正に、情報量と分解能が上がった・・・と同時にこの時点では、かなりにぎやか・・・何か、我も我もと勇んで音が出てくるような感じだなあと・・・」
naskorさん曰く・・・・・・・・・・「スカッと見通しが良くなって、現代的な音になりましたよね。・・・
」
確かに、パーカッションセクションの重量感ある低音、夜空に吸い込まれていくシンバルを叩くスティックの質感、そしてガットギターと12弦ギターのハーモニーの調和、ライブならではの聴衆のざわめきがより明瞭に近づいて聞こえる。
しかし、小生にはまだ何かしらしっくりこない。
オペアンプ交換によって、「潤い、艶、しっとり感」という、夜の帳がおりたラウンジのソファーに身を沈めて聴く官能の世界に没入したかったのだが、これでは、まるでフィットネスクラブの煌々と明るいスタジオのようではないか。
続いてかけたのは、最近気に入ってよく聴いている、ポルトガルのファド歌手、Mariza(マリーザ)の最新アルバム terraから、Ja me deixou(Now It's Left Me)。

独特の12弦ポルトガルギター(ギターラ)が哀愁のサウダーデを奏で、両親の営む店で幼い頃からファドに親しんできたマリーザの歌声が、OPA627BPに比べて随分元気になり10歳近く若返ったような張りのある声に聞こえる。
これはイイ!
歌に力を、魂を感じる。
淹れたてのコーヒーを飲みながら、3人とも暫しこの歌声に聴き入ってしまった。
気が付くと、最初イーグルスで感じた「異様にエッジが立ったメリハリ感」に加え、音に重みというパワーが増している。
全再生帯域が質感を増してきたことで、歌に魂が宿ったと感じたのだろうか。
ヤマテツさんが音量を測定したら90㏈前後は出ていたと思う。
ここで、バロックバイオリンの名手、メルクスの演奏する、ビーバー 「ロザリオのソナタ」から終曲のパッサカリアを聴く。

キリストの生誕から復活までを表した曲としてはヘンデルのメサイアが有名だが、このロザリオのソナタも、曲ごとに調弦を変えるスコルダトゥーラ調弦法という独特の技法によって、独特の響きをもたらす名曲であるが、バロックバイオリン独奏の影に隠れていた通奏低音のビオラダガンバの伴奏者の音量がグッと上がったかのように明瞭に聞こえる。
このMUSES01オペアンプに交換したことで、今までマスキングされていた音が明瞭に聞こえるようになり、ソースに録音されていた音が余すことなく再生されるようになったのだろう。
この段階で電源を入れてからまだ30分足らず。
いったいこれからどこまでいくのだろうか?
その後、時間の許す限り様々な音楽を聴いてみたのだが、どんどん実在感が増し、音楽性も高まっていく方向に変化をしていることは間違いない。
これから何十時間、何百時間が必要なのか判らないが、限りない可能性を秘めたMUSES01の今後に期待したい。
レス一覧
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椀方さん 今晩ワ
>オペアンプ交換によって、「潤い、艶、しっとり感」という、夜の帳がおりたラウンジのソファーに身を沈めて聴く官能の世界に没入したかったのだが、これでは、まるでフィットネスクラブの煌々と明るいスタジオのようではないか。
ここに椀方さんの思いがよく表現されていると思いました。
でもこれなればエージングで解決するものではないかと思います。
>このMUSES01オペアンプに交換したことで、今までマスキングされていた音が明瞭に聞こえるようになり、ソースに録音されていた音が余すことなく再生されるようになったのだろう。
この部ではオペアンプの交換で非常に期待の持てるDACに変貌したのでは無いかと思われました。
この後のエージングが楽しみですネ。
byRay at2010-01-20 00:30
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曲が変わるたびに、表情が変わるような驚きでした・・・
流れた曲が、当日、訪問して直ぐに聞かせていただいただとは、全く気付かず・・・少し明るめのラテン系のノリが良くて、厚みのある熱い歌だなあ・・・と、椀方さんが演奏中CDのディスプレイスタンドに置いたCDケースを見てビックリ!
これが、今日最初の方に聞かせていただいた奴ですか?・・・
全く、別の曲だと思ってました!・・・って言うか、一緒にはとても聞こえません!・・・
若返ったような張りのある声に、ラテン系らしい動き出さずにはいられない、熱く躍動感のある曲に聞こえました・・・(^^;
σ(^^)私的には、こんなに変わるんなら最高じゃない!と、大成功の感触だったんですが・・・問題は・・・手放しで喜べない・・・本当にこれは改善?したのだろうか?・・・今一歩乗り切れない椀方さんの不安げな表情・・・
その直前に聞かせていただいた椀方さんのシステムに対する私の印象で、非常に纏まりもバランスも素晴らしく、陰りやせつなさなんかが、受け取りやすいなあと感じていた部分が・・・果たして、その部分が感じ取れるようになるのか?・・・
ってのが、次の印象でした(^^;
byMt.T2 at2010-01-20 04:09
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椀方さん、ヤマテツさん
ちょっと気になったのでコメントします。
元エンジニアとしてのアドバイスです。(笑)
オペアンプの置き換えは、オシロを観測しながらはやられていないようですが、異常発振してないのかちょっと気になります。
椀方さんのDACの中でどのようなゲイン(利得)でOPアンプが使用されているのかによるんですが、
データーシートからは、
OPA627BPは、The OPA627 is unity-gain stable
ですが、
MUSES 01は、データシート見る限りその保証がなされていません。
データーシートの測定例では、ゲインが10倍の例があるだけで、unity-gain stableの保証はしていないようです。
発振していなければ問題ないのですが、
発振しないまでも、負帰還の安定度が十分に確保されていないと、高域で大きなピーキング特性を招いているケースがあり、音の印象にあるような表現になることがあります。
デバイスの換装は、ゲインを知る意味でも
オシロは最低限必要ですよ。(笑)
byかつどん at2010-01-20 06:43
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かつどんさん、コメントありがとうございます。
>オペアンプの置き換えは、オシロを観測しながらはやられていないようですが、異常発振してないのかちょっと気になります。
チップの互換性については色々調べましたが、このLITE Audio製DAC-AMの回路図や詳細な特性データが入手できませんでした。
しかし判ったことは、このDACの基本モデルに搭載されていたオペアンプは、定番品といえるNE5532でした。
ということで、MUSES01であれば十分互換性があると踏んでいますがいかがでしょう?
by椀方 at2010-01-20 10:19
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丹波さん、はじめまして。
小生のDACは元々付いているオペアンプは何かを色々ネットで調べてみたら、上のコメントにあるように定番品のNE5532だということが判りました。
丹波さんの機器にもOPA627BPが使われているのですね。シングルとデュアルの交換ができる機器なら、一度試してみる価値はあります。
先ほど日記を拝見したら、オペアンプの足まで磨くんですね。
小生も単身赴任のため、普段構ってやれないSP端子のバナナプラグやインコネなどを定期的に抜き差しすることはやってますが、機器のボンネットを空けてまでは磨きませんねぇ。
by椀方 at2010-01-20 10:36
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椀方さん
互換性という意味でコメントします。(笑)
NE5532のデータシートを確認してみました。
そのまま一部を引用します。
FEATURES
• Small-signal bandwidth: 10MHz
• Output drive capability: 600W, 10VRMS
• Input noise voltage: 5nV Hz (typical)
• DC voltage gain: 50000
• AC voltage gain: 2200 at 10kHz
• Power bandwidth: 140kHz
• Slew rate: 9V/ms
• Large supply voltage range: ±3 to ±20V
• Compensated for unity gain
デバイスの特徴が列記されてますが、
しっかりと、
• Compensated for unity gain
と明記されてます。
内部のデーターシートにもテスト回路として、
ボルテージ・フォロワー(バッファアンプ)
の試験回路が明記されてます。
ユニティゲインの安定度に関しては、
バーブラウン製OPA627BPは互換性がありますが、
MUSES01に関してはデーターシートを見る限り裏付けが取れませんね。
一度、ユニティゲイン(ゲイン1倍)アンプとしての安定度を新日本無線の営業に確認されたら如何でしょうか?
もっとも、バッファアンプで使用しているかどうか定かではありませんが・・・(笑)
byかつどん at2010-01-20 10:45
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丹波さん、こんにちは。
メーカのWebサイトには、MUSES01と02の違いをこのように表現していますね。
「新日本無線では、オーディオIC技術を結集したJ-FET入力高音質オペアンプMUSES01を開発しましたが、MUSES02は市場要求に柔軟に応えるために開発されたバイポーラ入力の高音質オペアンプです」
J-EFTの01に対し、より「市場要求に柔軟に応える」ため開発した02という位置づけのようですが、音質の違いについてはメーカーサイドからはこのようなメッセージを受け取っています。
小生は未だ、01と02を比較試聴したわけではないですが、01の印象はこのメーカーサイドのコメントと近いものでした。
「J-FET入力のMUSES01は真空管の響きに似ており、すっきりしてやや華やか系、バイポーラ入力のMUSES02は芯のある音が出て、解像度が良く、しいて言うと弦楽器にはぴったりです。・・・・・・」
by椀方 at2010-01-20 13:46
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椀方さん、こんばんは。
私が聴いたMUSES01と同じ印象で、解像度もぐっと上がったのは良かったです。
ちょっとかつどんさんのコメントに対して。
このMUSES01のデータを良く見ますと、安定性に対する項目がきちんと載っています。
安定性を判断する項目として「位相余裕」があります。
これは、ユニティゲイン(0B)周波数における位相の変化具合を示しており、MUSES01は60°あります。
このくらいの値ならば、発振はしにくい、つまり安定していると考えられます。
あと、後半の特性例で「40dB電圧利得 対 周波数特性例」からも位相余裕が読み取れ、温度に対しても安定であることが分かります。
また、「過渡応答特性」も載っており、これはかつどんさんがいうユニティゲインでのパルス応答特性です。
発振しているとサイン波のようなものが観測され、またほとんど安定性がないと立上り時、立下り時に大きく波打ち減衰していきます。
それがありませんので、ここでも安定していると言えます。
このデータシートから安定性に関して問題ないと読み取れるでしょう。
きちんとデータシートを見ると、これら安定性の項目を測定している条件にきちんと容量負荷10pFと掲載されているのも親切だと思います。
OPA627のデータシートを見たところ、容量負荷が示されていませんでした。
容量負荷で安定性が変わるオペアンプもあります。
ちょっと問い合わせたところ、電源電圧±12Vにて、この容量負荷が100pFあっても全温度範囲で安定しているとの回答でした。
ちなみに電源電圧が(推奨動作範囲内で)高くなると安定性は良くなる方向になります。
MUSES01は安心して使えるオペアンプでしょう。
また試聴感想のつづきを楽しみにしています。
byきみぞう at2010-01-20 22:56
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きみぞうさん
了解いたしました。
ちゃんと、データーシートをくまなく見るべきですね。
PDFファイルを拡大せずに眺めて判断して見落としてました。汗汗
よく見ると、温度範囲、電源電圧範囲、容量負荷など
たいへん細かく測定データを開示していて、さすがだと思いました。
チャンネルセパレーションなどは、超エクセレントな数値ですね。
オーディオ用ハイエンドオペアンプとして打って出るわけが納得できました。(笑)
椀方さん
MUSES01は安心して使えるオペアンプです。
またの試聴感想のつづきを楽しみにしています。
byかつどん at2010-01-21 05:17
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きみぞうさん、詳しいコメントありがとうございます。
ラダー型ケーブルの日記からマルチョウエンジニアリングのケーブル導入に至りましたが、小生のシステムにうまくはまっているようです。
要はメーカーから公表されているデータによると、基本設計として、NE5532が搭載されていたならば、安心してMUSES01を使用できるわけですね。
安心しました。
小生が今度帰宅するのは来週末となります。
どのような状態になっているのか、またレポートしますので宜しくお願いします。
by椀方 at2010-01-21 08:00
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かつどんさん、コメントありがとうございます。
きみぞうさん、かつどんさんには、小生が一番弱い技術的なところの確認をしていただき感謝いたします。
これで、安心して使えます。
実は、毎日3~4時間は音楽を聴いている奥には、今回のオペアンプ交換については未だ公表してませんが、何だかヴォーカルの声に張りが出てきて、ベースやドラムの音が随分力強く感じるそうです。
一方、高音域はどうかというとムターの独奏が随分あっさりと淡白になったということを話してました。
でも、フルオケのように沢山の楽器が鳴る音楽では、各パートごとの音がよく聞こえるので面白いとも。
自分自身ではどうしても「換えたんだから変わる筈」という思い込みがでてしまいますが、奥は何も知らないのに変化の傾向は同じことを感じているようですので、これは本物ですね(笑)
勝手なお願いがあるのですが、MUSES02についてもいずれ比較試聴してみたいと考えていますので、これは「安心して使える」のでしょうか?
小生が求める「潤い、艶、しっとり感」が実現できるオペアンプがMUSES01なのか、02なのか、それともOPA627BPに戻した方がまだマシなのか?
先が楽しみであり、悩みの種でもあります(笑)
by椀方 at2010-01-21 08:11
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椀方さん
なるほど、奥様の第三者としての主観的な評価と結びつけると
相当に客観的な評価が可能になると思います。
椀方さんの環境がうらやましいです。
我が家では恐妻が、ウルサイ!の一言ですよ。(笑)
>勝手なお願いがあるのですが、MUSES02についてもいずれ比較試聴してみたいと考えていますので、これは「安心して使える」のでしょうか?
今度はデータシートをくまなく見ました。(笑)
これも安心して使えるオペアンプです。
専門的には、たいへん面白いライバルですね。
簡単に要約しますと、
ローノイズ特性 MUSES02 > MUSES01
歪率特性 MUSES02 > MUSES01
周波数特性(小信号ワイドレンジ) MUSES02 > MUSES01
大信号スルーレート(ライズタイム)MUSES01 > MUSES02
となりますが、
これがどんな音楽表現になるのか興味津々といったところです。(笑)
特筆すべきは、
温度範囲が、-50°C~150°Cまでの測定データを開示していることです。
これは、いわゆるMIL規格(アメリカ軍用規格)やNASAが採用する時に検討する最も厳しい環境温度であり、
そのことからも、たいへん優れたオペアンプに仕上がっていると思います。
参考にしてください。
byかつどん at2010-01-21 09:36
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かつどんさん、早速のMUSES02のデータシート解析ありがとうございますm(__)m
いや~これで01と02の比較試聴が現実味を帯びてきました。
by椀方 at2010-01-21 12:17
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クロ大好きさん、コメントありがとうございます(^_^)v
部屋の工事は進んでますか?
>「潤い、艶、しっとり感」…これは拙宅のLS-80の方に欲しい感触ですね。
小生宅の音も、プリの真空管をGEからMullardに換えたときにその方向に変化して喜んでいたのですが、人間の耳は慣れますから「もっともっと・・・」となりますよね(^^ゞ
来週末に帰宅しますので、またレポートしますね。
by椀方 at2010-01-21 16:48
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