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日記

チャバと奏でるアンサンブルの悦び(紀尾井シンフォニエッタ東京)

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2014年04月15日



ペーター・チャバという指揮者は、正直、ノーマークだった。

例によってダブルブッキングしてしまい、危うく聴き逃すところだったが定期会員券の振り替えで金曜日の初日に足を運んだ。そしてこれが、久々の紀尾井シンフォニエッタ東京(KST)の大ヒットだった。



チャバは、現在のルーマニアで生まれたハンガリー系の音楽家。もともとはヴァイオリニストだったそうでリヨン・オペラ座と国立リヨン管弦楽団のソロ・ヴァイオリニストを務めるなど、現在ではフランスを拠点にしている。

そういう多彩な民族性とフランスのエスプリが充溢していて、この日のプログラムもラヴェル、コダーイ、R.シュトラウスと多彩。しかも、それぞれが室内オーケストラのアンサンブルの妙が尽くされた実に洒脱なもの。室内オーケストラとしては打楽器なども参加する規模の大きなもので、そこに名人芸的な技巧やソロが満載。実に彩色豊かな華麗で、しかも洗練味あふれる演奏だった。



ゲストコンマスにパリ管の副コンマスである千々岩英一を迎え、トップ2は玉井菜採とのフランスものとしては最強コンビ。指揮者のチャバとこのトップを起点とした楽曲への理解がオーケストラのすみずみにまで行き渡った演奏で、一糸乱れぬ統制のもとでひとりひとりのケレン味たっぷりの技巧と音楽が随所で華を咲かす演奏となった。

最初の「マ・メール・ロワ」は、ゆっくりとしたていねいなテンポで、ラヴェルのオーケストレーションの明晰さを際立たせている演奏。特に木管群が美しく、この日、うれしかったのは池田昭子がいよいよ登壇したことで、この曲では見事なイングリッシュ・ホルンのソロを聴かせてくれた。この曲は、小澤/水戸室内管のキレのよい名演を聴かせるCDを愛聴しているが、このチャバの演奏はちょっと別格。実にフランス的エスプリに満ちていた。


二曲目は「亡き王女のためのパヴァーヌ」。冒頭のホルンでは、丸山勉が渾身の名演。CDなどで聴く完璧さは虚構のものだが、実演としてはほぼ理想の安定感。柔らかい音調というよりは朗々と歌う。チャバは、むしろソロをくっきりと浮かび上がらせながらアンサンブル全体のバランスを絶妙に取るということで卓抜の技量を示す。これにはオルフェウス室内管の不朽の名盤があるが、ナマで、しかも日本人の手でこれだけのものを聴かされる感動は何ものにも換えがたい。


前半最後の「ガランタ舞曲」では弾け飛んだ。これはもうチャバのお国ものというわけだろう。私には、若き小澤がシカゴ響を指揮したLPレコードが思い出の一枚。小澤のフレッシュなリズムのキレとシカゴ響の名人技が炸裂。

これに対して、この日の演奏は、むしろマジャールの血がたぎるような大変な熱気を帯びたもの。テンポの上げ下げや切り換えがことごとくツボにはまる。その点では小澤/シカゴ響はいかにも一本調子。クラリネットの鈴木豊人が体をくねらせての大熱演。ふだんはどこか窮屈な鈴木ブラザースだが(この日の相方は鈴木高通ではなく金子平)、この日はまるで別人のようにひとり弾け飛んで、大道のチンドン屋さながらにノリノリ。後半でも熱演していて、この夜の最大の立役者はクラリネットの鈴木(豊)だろう。

後半は「町人貴族」。数年前、準・メルクルが水戸室内管を振ったことがあるが、あの時はプログラム第一曲目で、しかも、後にはポストリッジとバボラークによるブリテンが控えていたせいか、かなりばたばたした演奏だった。それほど一筋縄ではいかない曲なのだが、この夜のKSTは稀に見る名演。R.シュトラウスの精緻を極めた技巧的なオーケストレーションとラモーやクープランといったフランス古典派の宮廷の典雅さを擬した曲造りがチャバの手にかかると魔法がかかったように本性を現し洒脱で起伏に富んだ音楽となる。千々岩がいよいよ本領を発揮しそのソロが美しかった。バストロンボーンの黒金寛行があっけにとられるほど巧い。表面的な技巧ではなく、その音色とハーモニーのバランスが絶妙。先日の「ラインの黄金」にはやっぱり彼も参加していたのだろうか。

チャバは、クフモ音楽祭(フィンランド)の芸術監督を務めるなど北欧でも活躍しているという。ぜひ、再来して、KSTのレパートリーに不足気味のシベリウスやショスタコーヴィチを加えてほしい。




紀尾井シンフォニエッタ東京 第94回定期演奏会
2014年4月11日(金) 19:00
東京・四ッ谷 紀尾井ホール

紀尾井シンフォニエッタ東京
ペーター・チャバ(指揮)

ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
コダーイ:ガランタ舞曲
R.シュトラウス:町人貴族 作品60 TrV228c

(アンコール)
「町人貴族」から

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