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日記

川久保賜紀 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会

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2014年04月29日



川久保賜紀が、フィリアホールで3年かけてじっくりとベートーヴェンのソナタ全曲に取り組む。その第1回。

川久保には、あまりベートーヴェンというイメージがない。事実、これまでリサイタルで何曲かとりあげることはあったが、全曲演奏は初めてだという。

そのベートーヴェンがとてもよかった。

川久保のベートーヴェンには、形而上学だとか、苦悩だとか、精神の深みがどうとかいう、面倒でうさん臭い「文学」がない。そこがとてもよい。彼女は、インタビューで『私は音楽に対しては、演奏するというよりは、音楽を話すという感覚があります。』と語っている。若いベートーヴェンの、まさに「春はあけぼの」ともいうべき柔軟で溌剌とした物語を女性らしい気品と優しさで語る。

ピアノの江口玲が、これまた、ほのぼのとした暖かさで川久保との対話を楽しんでいる。ベートーヴェンは、明らかにヴァイオリンとピアノを対等に扱っているが、それは対話的なもので、決して対立的ではない。

最初の第1番(作品12-1)は、少し目醒めが悪かったようだ。音の芯が弱くちょっとぼんやりした「アレグロ・コン・ブリオ」。そういう音のせいか第2楽章の変奏には華やかさよりも遠目でみるようなソフトフォーカスな音楽。

第4番(作品23)は、どちらかと言えば性格の地味な曲だと思うけれど、女性的でしかも気位の高い音楽。それでいて決して過剰にならず、むしろ純粋で清々しい。この演奏が、この日のなかで最も、川久保の話し手としての感性が出ていたような気がする。

休憩をはさんでの「スプリング・ソナタ」。その語り口は、第4番と同格であって、決してここにプログラムのピークを持ってきているわけではない。それが「全曲演奏」の品格なのだけれど、やはり、この曲の息の長いロングトーンの美しさは例えようがない。川久保の音は、均質で滑らかでエメラルドのような静かなたたずまいがある。パールマンと共通の美質。

第3番(作品12-3)は、プログラムの最後を飾るのにふさわしい、輝かしく、確かな構成でヴァイオリンの魅力がたっぷりの明快で溌剌とした音楽。特に、重音の美しさには息を呑む思いがした。なんと正確な左指のポジショニングなのだろう。1779年製のJ.B.グァダニーニの音色に酔いしれるひととき。



江口の弾いたピアノも素晴らしかった。開演前はありふれた黒いピアノに見えたが、客席の照明が落とされステージが照らし出されると赤みを帯びた木目が幻のように浮かび上がる。江口によると「1887年製のNYスタインウェイ。(現代ピアノとしては)過渡期です。」とのことだったが、見た目も、音も、若々しく透明な情感にあふれたもの。川久保のグァダニーニにとてもよく似合う。このふたつの名器の音というだけでも愉悦の極み。

来年は、作品30の三作、さ来年は「クロイツェル」と、次第に対話のなかに「対決」の色合いを強めていく。このふたりがその時にどのようなベートーヴェンを語るのだろうか。その期待を大いにかきたてるかのような、アンコールでの情熱的なフィドラ-ぶりだった。

今から本当に楽しみ。





川久保賜紀
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会第1回(全3回)
2014年4月26日(土) 17:00
横浜市・青葉台 フィリアホール

ベートーヴェン:
ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調Op.12-1
ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調Op.23
ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調Op.24「春」
ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調Op.12-3

(アンコール)
ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番
サラサーテ:アンダルシアのロマンス

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  1. ベルウッドさん こんにちは

    精力的に行かれていますね!
    そして音楽をよく聴かれているので、とてもお詳しいですね。

    私は5月10日(土)サントリーホールのボストン響は残念ながらマゼールが来日できなくなってしまいましたが、妻の観光も兼ねて楽しみにしています。

    音楽も食事も詳しい方に教えていただきながら味わうと、更に素敵に感じます。
    平日の夜は着任後のスタートダッシュで懇親会が続いておりますが、機会があれば演奏会にご一緒させてください。

    bymerry at2014-04-29 07:24

  2. merryさん こんばんは

    ぼちぼち着任後の飲み会の嵐も過ぎましたでしょうか。

    ボストン響はいいですね。マゼールは残念ですが、デュトワもいいですよ。N響で聴き慣れているせいでちょっと新鮮味にかけるのかもしれませんがボストン響となるとまた全然違うのではないでしょうか。つきあいも長く相性は抜群のようです。マラ5はきっといいですよ。

    時間のゆとりができたら、ご一報ください。演奏会にご一緒しましょう。平日の夜のショート・オフ会ということで拙宅にも是非お出でください。

    byベルウッド at2014-04-29 22:02

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