ベルウッド
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クラシック音楽ファン:よい演奏会があると知れば遠征もいといません。オーディオシステムは、音楽そのものを楽しむのが本来というモットーのもとにコストパファーマンス重視で小ぶりな装置を目指します。正統オーデ…

マイルーム

メインシステム
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / オーディオルーム / 16畳~ / 防音なし / スクリーンなし / ~2ch
スピーカー:    PSD T4 Limited Special-ネットワークレス・マルチアンプ駆動 調音パネル:    Escart Ventoスクエア パワーアンプ:   金田式DCアンプ…
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日記

東風の見たもの(Loge邸訪問記)

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2014年05月02日

信州へ弾丸日帰りドライブ。Loge邸を訪問させていただきました。



途中、茅野に立ち寄りちょっと一仕事。八ヶ岳高原のふもとはいま桜が満開。「北国の春」は、いまが盛りです。

さらに西北へ。松代PAで和室のユニコーンさんとそのご友人と合流。須坂長野東ICで下りてLoge邸に向かいます。長野市郊外のリンゴ畑が散在し水路があちこちに延びるのどかな田園地帯を抜けていよいよLoge邸に到着しました。


Loge邸はさながら音響機器の博物館。

まずお聴かせいただいたのはクォードのESL57。



型番が示すとおり1957年というステレオ最初期のモデル。平面スピーカーの特徴そのものの、ふわっとした音像が目の前に浮かび上がり、実に、滑らかでなまめかしい音がします。ヒューストンあたりのプレイボーイクラブで金髪美女のストリッパーにチップをやると自分の席に来てくれて「レッツ・ダンス」と息がかからんばかりの超接近で裸踊りをしてくれますが、こちらはじっとしているだけで決して動いたり踊り子に手を触れてはならない…というアレですネ。(あせって手を触れたりすると繊細なESLはご機嫌を損ねます-苦笑)



これをドライブするのは、何とカール・ツァイスの劇場用ヴィンテージアンプ。音源はEMTのCDPで、そこからツァイスのアッテネーターを通じて、パワーアンプに直結。いずれも戦後まもない頃の劇場用の機器だそうだ。アッテネーターは抵抗がぎっしりと並ぶステップ型のお化け。このシンプルな構成ながらどっしりとしたバックがドライブする音の鮮明さにはいきなり度肝を抜かれました。

ところがLogeさんは、あくまでも、このクォードはサブで、ユーミンなどをお気楽に聴くときに愛用されるということ。なんともぜいたくな話しで、本命はこちらですと、二枚のフラットスピーカーをぱたぱたと隅に片づけてしまいました。



本命は、クラングフィルム。かつて米国のウェスタンと劇場用システムの世界をいわば東西分割した一方の雄。励磁型のウーファとホーンの2wayでそれにハイルドライバのスーパーツィターがケースバイケースで追加されます。オリジナルのコンストラクションに左右の平面バッフルを広げた後面解放のシステム。

ツィターは「追加」と書きましたが、音源の時代性とシステムによって外したりする綿密な使い分けをされておられます。「追加」という言い方から誤解しがちですが、決して帯域を単純に上に付け加えるということではなく、中音域とのエネルギーバランスとの取り合いにその妙味があるとのお話し。レコードのレーベルやプレスによる背景の色合いの違いとか、このあたりの和室のユニコーンさんとのお二人の深遠なやり取りは、私にはちんぷんかんぷん(笑)。



音溝から音を拾うのは、ESTの業務用プレーヤー。しかもこの剛健な業務プレーヤーは、ディスクの年代別に、後期ステレオ、前期ステレオ、モノと3台あって、それぞれにつなぎ換えられる。ラインコンソールはシーメンスのこれまたごつい業務用。こういう「王国」には疎い私はもう頭が飽和状態(笑)。

記憶は不確かですが、カートリッジは後期ステレオがEMT・TSD15の楕円ラインコンタクト針、前期ステレオとモノラルがノイマン・DST62だったと思います。

このメインシステムは、2階席正面最前列で聴くような響き。もっと正確に言えば2階のロイヤルボックスシートというべきでしょうか。平土間のかぶりつきなどは下賤で、上流階級は、少し遠目でも2階バルコニーに甘んずる。ストラ氏は思わず椅子をかかえてがぶり寄ったそうですが、それは貴族階級のすることではありません(爆)。「引いた」感覚からは、少し「額縁」感があって上下もあります。それは音を絞って音を遠くへ届かせるという劇場用途というせいなのかもしれません。

面白いのは、顔を前後させると音像が違うこと。所定の位置の椅子で、ゆったりとくつろぐ姿勢では、余裕のある響きとなりますが、少し顔を前に出すとホーンの交点に合うのでピンフォーカスとなります。いわば、ロイヤルシートでオペラグラスを使うようなもの。私は、顔を前に出すほうが好みで、ついついのぞき見趣味の本性が出てしまいます(苦笑)。

同じスピーカーであっても、プレーヤー3通りの使い分けでは、やはり同じにはならないようです。録音やディスクとの相性もあって、やはり高貴な方々には気分の違いと選り好みがおありのようです(笑)。

後期ステレオは、少し取り澄ましたところがあります。いかにもクラシック音楽を大きめのホールの特等席で聴くような高雅な気分。高邁な美意識の権化のようなミケランジェリもいつになくへりくだっていて、柔和。カラヤンの「アイーダ」も、クレンペラーの「大地の歌」も、野外劇場やアルバートホールのような巨大ホールでの大興行のようで、オーケストラのソロもちょっと自意識過剰。私にはちょっと苦手なサウンドでした。

それが、前期ステレオになるとぐっと空間が緊密になります。



印象的だったのはコーガンのプロコフィエフと、オリジナルメンバーによるという「三文オペラ」。前者はメロディア、後者は米国コロンビアのオリジナル盤のようで、恐らく貴重なレアものでコレクターには垂涎のディスクなのだと思います。その空間は、資産家の邸宅のサロン、あるいは、戦前の浅草の芝居小屋のように隠微。小林秀雄なのか、永井荷風なのか、いずれにせよ、いかにもエリートくずれの文士の知的で粋な世界。

「三文オペラ」では、あの有名な「メッキー・メッサーのモリタート」(マック・ザ・ナイフ)を聴かせていただきました。最初のバンドによる序奏では、左右の中抜けなのですが、その中央にしっかりとボーカルが登場します。いかにも、初期の劇場サウンドそのもの。このシステムにはベストマッチだったと思います。



モノーラルとなると、その空間の密度と豊穣さがさらに増します。そういう感覚は、フルトヴェングラーの「グレート」ではなぜかミスマッチで、フランス人でも硬派モントゥの「マノン」のほうがぐっと感動的。さながらヴェネチアの宝石・旧フェニーチェ劇場にワープしたかのような豪華で高密度な気分。その響きの豊かさと解像度の高さは、かえってステレオで作られたサウンドを上回ると感じるほどでした。

ドイツのスピーカーだからドイツ語的な音がする…。そう言われましたが、私にはそうでもないような気がしました。かつて業務用として造られ、物量を惜しまず投入された理詰めの機器類からは、むしろ、冷戦時代のソ連や東ドイツのような社会主義リアリズム的な雰囲気を感じます。『東風が西風を圧倒する』とまでは言いませんが、この東風が吹くと、米国産業の黄金期やフランスのヌーヴェルヴァーグまでもが目ざめるのではないでしょうか。

最後は、とっておきの電動(!?)クレデンザでのSPコンサート。これにはやられました。



春菜の芥子醤油浸しや山菜のてんぷらまでご馳走になりました。これでお酒が飲めないのはつらい(爆)。次回はぜひ、お酒、温泉一泊つきでお伺いさせていただきたいと思います。

Logeさん、ありがとうございました。

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  1. ストラさん

    ほんとうにLogeさんの技はすごいですね。ヴィンテージをそのままに活かしきっておられる。聞けばワイヤ類もそのままオリジナルを使用しているとか。コンデンサもすべて容量抜けなどの劣化がなくそのままだそうです。そういうオリジナルの活力を知り尽くして手入れをされているのですね。そこから醸される音楽は、まさにタイムカプセルのようにその時代の最良のものを「今」という瞬間に現出させておられますね。すばらしいことです。

    ところで「マック・ザ・ナイフ」はモノラル盤を聴かれたのですか?

    byベルウッド at2014-05-02 18:51

  2. ベルウッドさん
    今晩は。

    Logeさんのシステムはレベルが高そうですね~♪
    機器も素晴らしいのですけど耳(または感性)もオーナーのセンスが表れているのではないかと想像しました。。。
    もちろんキャリアも。

    やはり表現力が素晴らしいのでしょうね(^^♪

    byはやぶさ at2014-05-02 21:28

  3. はやぶささん

    >機器も素晴らしいのですけど耳(または感性)もオーナーのセンスが表れているのではないかと

    そうなんです。お部屋もちょっと劇場っぽくてセンスがあふれています。

    そのサウンド(音楽)はとても鮮度が高いものでした。よく古い録音の復刻盤というとまさに古色蒼然とした音がしますが、今回、聴かせていただくと、そういうものはわざとそういう音作りをしているのではないかと疑ってしまいます。

    byベルウッド at2014-05-03 08:24

  4. ストラさん

    もしかしてストラさんとは別のレコードを聴かせていただいたのかもしれませんね。

    私が聴かせていただいたのは、米国コロンビア盤。ステレオ初期とは思えないほどのクリアなサウンドでした。日記にも書いたとおり、左右と中央という3ch的な録音ですが、そういうステージ感を活かしたステレオです。

    写真ではヘッドが切れてしまっていますが、MASTERWORKSのSIX EYESでステレオと明記されています。1958年発売のオリジナル。確かその年の1月にベルリンで録音されたものということだったと思います。まだベルリンの壁ができる以前で、東西の往来が自由なころだったということになります。

    オーケストラは、「ベルリン自由放送交響楽団」となっていて西側の放送局所属で、以前はRIAS放送協会の専属の「RIAS放送交響楽団」と称していました。フィレンツェ・フリッチャイによる名演がモノーラルで残されています。西側ですが、ベルリン・フィルに較べるとぐっと北ドイツ的な音がします。もっともこのレコードでは、芝居小屋風のバンド編成でしたが(笑)。

    SP時代のオリジナルメンバー版というのも面白そうですね。

    byベルウッド at2014-05-03 08:48

  5. ベルウッドさん

    遠距離&強行軍、お疲れさま&ありがとうございました。また、詳細で忌憚の無いご意見ありがとうございます。
    今回は時間が限られていたので、3系統の現状などもう少し突っ込んだ話しをする時間を惜しんだのでバラバラな印象になってしまったかも知れませんで失礼しました。
    またゆっくりとお運び下さい。

    そうそう、ストラさんにはSP盤もお聴かせしたかも、で混じったかもですね。
    LPは58年のステレオ録音です。実はこの時代なのでモノラルカットされた6eye盤もあります。まだ何方にもかけた記憶はないのでそのことでは無いと思いますが、後学の為にも次回は比較してみましょうか。
    自分は好きになるとしつこい?ので(笑)ステレオ盤2セットとモノラル盤1セットあります。
    バンバンかけても大丈夫ですよ。というかLPやSPはかけた方が音が良くなるんですよねえ、不思議な事に。(80年以降の薄いレコードはその限りではありません)

    byLoge at2014-05-03 09:36

  6. Logeさん

    ほんとうにありがとうございました。

    こちらが急いてしまってゆっくり聴くことができなかったのが残念です。そのことだけでなく、私の知識が足りずどうも頭の整理ができていません。次回はやっぱり温泉一泊つきでゆっくりお聴かせください。お酒つきで(爆)。

    ディスクの寿命(+ダイヤ針)については一般に誤解されていますね。当時のメーカーの陰謀でしょうか。

    仰るようにLPは、むしろ、かければかけるほど音がよくなりますね。

    ただ、SP盤は塩化ヴィニル以前の天然樹脂(シェラック)なので硬く割れやすかったです。また鉄針で針圧もケタ違いに大きかったのでかなり傷みやすかった。父がアメリカから船便で持ち帰ったレコードにもSPが何枚かあったのですが、ほとんど割れてしまいました。

    使用方法が適切でない中古盤も多いので保存のよいディスクを見つけることはかなりリスクがあるとオーディオ塾の新先生も仰っていました。Logeさんのように適切な方法でかければ、実用上は何ら問題ないということですね。時間が許せばその辺りの秘術をお聞きしたかったのです。それも次回ですね。

    byベルウッド at2014-05-03 13:34

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