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日記

K氏邸再訪 (オールウェスタンへの回帰)

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2015年02月06日



K氏邸をお訪ねするのは、昨年の11月以来。

その後の成果もあって、是非、聴きに来いとのお誘いがありました。

前回は、長年ウェスタンにこだわり続けたKさんが、テレフンケンEL156のPPアンプに宗旨替えしたこと。もうひとつは、WE555とちり取り+WE728Bウーファーという鉄壁のコンビに載せたジェンセンのツィターのこと。このシステムは、GRFさんと私だけではなく、その後、Yさんご夫妻も聴いておられるのですが、もともとYさんはあまりEL156はお好きではないようでした。確かに私も、現代アンプ的な解像度の高さは感じても音楽としてはあまりまとまらないというもどかしさがあったのです。

EL156は、カッティングマシーンのアンプ用にテレフンケンが開発したもので、最後の大型オーディオ用パワー管と言われ、旧テレフンケン(テルデック)のLPに「真空管アンプ使用」とクレジットされ、自作派にも持てはやされたものです。Kさんがこのアンプをネットオークションで競り落としたのは出会い頭のようなところがあったようですが、背景にはウェスタン300Bや350Bのアンプにパワーやエネルギー感の不足のようなものを感じておられたのであろうということは容易に想像がつきました。

ツィターのほうも、やはりWE555は帯域としてはせいぜい10kHzまでで、古いLPはともかく現代的なCD再生ではやはり雰囲気が不足してやや寂しい感じがあったからなのです。無いと寂しい…、つけると押しつけがましい音になってライブの拍手などがうるさく感じられる…。そういうジレンマも、聴いてよくわかりました。

ところがKさんはその後再び発奮。まさに、春秋いままさに盛りなり…の本領発揮です。



今回、ご披露されたのは、アンプを再びウェスタンに戻し、ツィターもウェスタンの597(レプリカ)に置き換えて、ウェスタンの原点回帰を成し遂げたもの。

それも、単なる逆戻りではないのです。とても型破りなことをやってのけました。プリとパワーアンプ間にもう一段ドライビングアンプを入れたのです。350Bppアンプの出力トランスに350Ωという端子があるのを利用して、600Ωのアッテネーターを介して最終段の300Bppアンプをドライブするというもの。ゲインを上げて、いったん、アッテネーターで落としてトータルゲインを調整しているわけですが、EL156に浮気する原因となったパワー感、エネルギー感を解決しています。



これを聴くと、EL156の音が硬くてがつがつしたところがあったものが、300Bの品格の高さはそのままに厚みのある堂々とした余裕たっぷりの音となりました。イランの砂漠をごうごうと走るベンツの大型トラックが、アメリカのインターステーツを悠然と走るキャデラックの高級車に変身したかのような変わりようです。しかも、古い録音であっても、最新の録音であっても何の屈託もなく音楽を聴かせてくれる。



特に、初めて聴いたカザドシュの1960年と64年にアムステルダム・コンセルトヘボウでのライブ録音は、モノーラルとは思えないような素晴らしい実在感で、堅固な、一見すると即物的に思える演奏スタイルながら、馥郁と香り立つ品格のある演奏を再現。『音楽は、聴覚ばかりでなく、触覚、視覚を総動員して感じるものだが、フレンチ・ピアニズムにはさらに嗅覚も必要だ』という至言を目の当たりにするような演奏録音です。

前回のジェンセンのツィターは、システム上の弱点と思われたのですが、それをYLのD-18000に換え、今回は、励磁式のウェスタン597ツィターにまで到達しました。レプリカといえども高価稀少なもので、ご友人にたまたまこれを遊ばせている方がおられたということで拝借されたそうです。

けれども、そのマッチングの良さには今回もご一緒したGRFさんともども感嘆してしまいました。20kHzという高いカットオフで、まさにスーパーツィターのような使いかたなのですが、あると無いとでは大きな違い。最低域のベースの厚みや音程ばかりではなく、その低音の基音から音楽の微妙なアクセントまで引き出してしまうのです。



試しにと、ダイヤフラムを修理したというYLに換えてみましたが、それを聴いて、GRFさんも私も思わずため息をついてしまいました。リンダ・ロンシュタットの声の浸透度がまるで違う。YLだと胸郭の張りや喉の豊かさはまさにリンダなのですが、597に戻すとその声が彼女自身のスカルにまで響く様子が感じられ、こちらの頭蓋骨まで共鳴するような感覚があるのです。

これは弦楽器やピアノの再生でも同じで、楽器の胴のキャビティを感じさせる豊かな立体感があるのに、YLではムクの塊に響くような硬さや平板さが取れないのです。私の聴き慣れた河村尚子の「バラード」でも、前回はガツンと下から突き上げるような堅い低域だったのですが、今回は豊かな低弦の響きが響板へと伝わっていく感覚があって河村の思いを込めた情感を感じさせてくれるのです。あらためてウェスタンというものの時代を超えた完成度の高さに感じ入った次第です。少しでも異質なものが介在するとスポイルされてしまうのです。

Kさんは、大満足のご様子ですが、それでも「まだ、まだ」と仰ります。そのお気持ちはよくわかります。ドライビングアンプという重複のないシンプルな構成で300Bppからウェスタン本来の品格と両立するエネルギー感が出ないだろうか…、それにはシングル構成であるプリアンプをppにしてドライブ力を上げようという構想です。

それにしても、本当に意気軒昂なKさんにはつくづく感服させられました。

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