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日記

川久保賜紀&江口玲 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会・第2回

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2015年05月04日



川久保賜紀が、フィリアホールで3年かけてじっくりとベートーヴェンのソナタ全曲に取り組む。その第2回。

第1回目の昨年、あまりに素晴らしかったので、今年もぜひにとフィリアホールまでやって来た。城北のわが家からは青葉台は遠い。でも今年も来てよかった。いや、昨年をさらに上回る出来で、心がほんとうに華やいだ。

昨年は、初期の作品で組まれていて、霞がかった春のあけぼのといった第1番から、清々しい4番、うららかな「スプリングソナタ」を経て、輝かしい春爛漫の3番と、プログラムの構成と情感の構築が見事だった。今年は、作品30の3つのソナタを並べるといういかにも全曲演奏会という、一見、実務的なプログラムなのだけれど、川久保は昨年以上のプログラムビルダーぶりを発揮している。

その作品30は、ベートーヴェン中期の新緑がいっきに芽吹いていくような劇的な初夏の訪れを思わせる。ベートーヴェンは、難聴に犯されるという人生の嵐を経て「傑作の森」と呼ばれる盛夏へ向けて輝きを増していく。そういう予感に満ちた三部作となっている。

プログラム一曲目は、第6番。比較的地味な曲だけれども爛漫の春が過ぎて花から新緑へ移ろう一瞬の空白のように叙情的。だからこそ、ベートーヴェンは当初構想した終楽章は、「クロイツェル・ソナタ」へと保留し、この愛らしい変奏曲を採用したのだろう。けれどもアクセントの強いフレージングや、ピアノとの充実した対話がいかにもベートーヴェンらしい。

二曲目は、作品30の3番目のソナタとなる第8番。新緑を目の当たりにした喜びに満ちていて、川久保と江口のピアノとのデュオは、さながら軽快なカブリオレ(辻馬車)に乗った若い二人のカップルのように晴れ晴れと疾走する。

そして、休憩をはさんだ三曲目が第7番。「クロイツェル」や「スプリング」と並んで人気のある名曲だけれど、かえって初期の1番などと較べると単独で取り上げられることが少ないような気がする。それが、川久保と江口のデュオによって見事なプログラムのフィナーレとなった。若いふたりが輝かしいばかりの肉体美を惜しげもなくさらして、新緑と初夏の日射しに照り返る水面に飛び込んでいくような躍動があった。



昨年は、江口の弾いたローズウッドの木目の美しい1887年製のNYスタインウェイの音色が強く印象に残ったが、プログラムが進むにつれむしろ現代ピアノと変わらぬ剛性の強さという印象が勝ってくる。しかも、音色の色彩と響きの優雅さがあって、川久保のグァダニーニとほんとうによく合う。

その川久保のグァダニーニは、昨年もその濃潤で艶やかな音色に魅了されが、今年はさらに進化して力があって豊麗なまでの美音にしびれる思いがする。川久保の技術は、左手のポジションの確かさと、右手の完璧な弓のコントロールにあるのだけれど、それがたっぷりとした重音の響きと、官能的なまでのハイノートとなって聴かせてくれる。この楽器は明らかに川久保の手にどんどんとなじんできている。そこから湧き上がってくるベートーヴェンの情熱は爆発的と言ってよいほど。こんなにも高らかに理想を歌うベートーヴェンを目の当たりにすることは滅多にないと言ってよい。

その余勢をかってのアンコールがこれまた見事だった。いずれもアンコールピースとしてはポピュラーなもので、川久保の熱気に会場は大いに盛り上がったが、それが安直になったりホールの品格が崩れないのは演奏家二人の力量なのだといえばその通りなのだが、もうひとつはこのホールの聴衆のレベルの高さなのだとも思った。

外へ出てみると、すっかり暗くなっていてひんやりした外気が初夏の日射しで火照ったような肌を冷ましてくれる。初夏の夕暮れはこの爽やかさがいい。よい演奏会の後は特に心地よい。




土曜ソワレシリーズ 第248回
川久保賜紀
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会2(全3回)

2015年4月25日(土) 17:00

ピアノ=江口 玲

ベートーヴェン:
ヴァイオリン・ソナタ 第6番 イ長調 作品30-1
ヴァイオリン・ソナタ 第8番 ト長調 作品30-3
ヴァイオリン・ソナタ 第7番 ハ短調 作品30-2

(アンコール)
サラサーテ:アンダルシアのロマンス
モンティ:チャルダッシュ
クライスラー:美しきロスマリン

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