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日記

イリーナ・メジューエワ ピアノリサイタル(名古屋・電気文化会館)

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2015年07月03日



メジューエワを聴きに、わざわざ名古屋まで行きました。

その《ナマ》メジューエワ体験はまさに驚き!

この名古屋行脚にはいきさつがあって、まずは2年ほど前のRICHEBURGさんの日記での紹介があって、さらに続いて昨年末にK&Kさんの日記でそれぞれに横浜みなとみらいでのリサイタル公演のことが紹介されていました。

以前から気になっていたピアニストだったので、お二人のコンサート印象記を読んでついに気もそぞろとなってオーディオファンの間で話題になっていた若林工房のCDのひとつを思わずポチリとしてしまいました。



このドビュッシーのCDには、ピアノのオーディオチェックには最適ともいえる「沈める寺」が入っていて、名だたるピアニストの名演・名録音と聴き較べてもなかなかのもの。それでこのCDをGRFさんに紹介したところ、GRFさんが強い興味を持たれてどうしても実演を聴こうということに。ところが、リサイタル公演がとても少ないひとで東京で待っていたら機会はない。名古屋に行こうということになったわけです。

これだけでも、いささか長いお話しなのですが、さらに遡ると、原田英代さんの「ロシア・ピアニズムの贈り物」という本に突き当たります。この本もやはりこのコミュでかもんさんの日記で紹介されていたもの。私の読後感想に触発されたGRFさんは、原田英代さんのレクチャーコンサートに行かれてロシア・ピアニズムの真髄を目の当たりにして驚かれたというのです。

今年は、ロシア・ピアニズムへの覚醒の連続。そもそもが生誕100年というリヒテル・イヤーですし、GRFさんとはメルニコフ、レオンスカヤにもご一緒しロシアのピアニストに対する驚愕と尊崇の連続だったのです。そういう大きな流れのなかに、今回の名古屋遠征があったのです。

何に驚いたのか。

まず、冒頭のポロネーズの強音に飛び上がるほど驚きました。

メジューエワさんは、CDのジャケット写真でも見ても透き通るような白肌の美貌で、少なからず華奢な印象があります。そういうひ弱なイメージを吹き飛ばすような剛健な打鍵と音量に驚いてしまいました。

GRFさんが、「とにかくオーディオ的な満足感がいっぱい」と評しておられましたがまさに至言。このことは静と動、激情と繊細が交錯するショパンも然り、精緻で美麗なラヴェルも然りですが、やはり大きな頂点はムソルグフスキーの「展覧会の絵」でした。

この演奏を聴くと、横浜みなとみらいの大ホールに押しかけたファンが大喝采し、また、オーディオ志向のインディーが次々とメジューエワさんのリサイタルCDをリリースしてオーディオショーのソフトコーナーで話題になるというのもわかる気がするのです。

でも…

あの演奏への驚きは、CDでは再現が難しい。

そもそもCDから受けるイメージは、その美貌と小柄で華奢な印象も相まって美しく透明度の高い端正な音楽でスペーシャスな響きを伴った佳演というものです。確かに、透明な音色、正確なタッチやフレージング、音楽的構成力などは伝わりますが、あの強靱な打鍵や湧き上がるオルガンのような和声の厚みは、並のオーディオでは無理。それでも、一度、そのナマ演奏に接してからCDを聴き直してみると、強烈なナマ体験で脳細胞が組み替えられてしまうのか、いろいろな気づきがあって脳内補正が働くようになるのがこれまた摩訶不思議です。

こんな凄いロシア人のピアニストが、日本在住でしかも京都にひっそりとメジャーのレコード会社やプロモーターとは無縁のままに暮らしているということも驚きです。しかも、何の秘密めいたこともないし、かつて鉄のカーテンの向こうから登場しておどろおどろしいほどの評判で世間をにぎわしたロシア人たちの胡散臭さなど微塵もないのです。演奏が終わると、とても温和な日常の笑みにもどります。そのはにかむような表情や愛らしい仕草には日本人にとっても東洋的な親しみを感じさせるのです。

メジューエワさんは、暗譜ではなく、ずっと譜面を見て演奏していました。

このことは、リヒテルを始め、ロシア・ピアニズムの伝統で、そこには作曲家への奉仕という哲学が潜んでいるということは以前に触れたことがあります。ところがメジューエワさんは、時々、確認のために譜面を一瞥するとか、単に目で追うとかいうのではなくてとても真剣な目つきで片時も譜面から目を離すことがありません。音符ひとつひとつに潜んだ意味のすべてを確認し細大もらさず音にしようという裂帛の気迫を感じます。その眼光の鋭さは、やはり、「展覧会の絵」に至って凄みの頂点に達します。ムソルグフスキーの譜面づらは、素人からすれば、実に単純で素朴なのですが、メジューエワさんは般若のような形相でその鋭い眼光は紙面を射抜き紙背に徹するかのよう。これにもたじたじになりました。



会場の名古屋・電気文化会館ザ・コンサートホールは、400席足らずで理想的なリサイタルホール。地下ホールというのはユニークです。しかも前の通りには地下鉄が通っているはずですが遮音性はまったく問題がありませんでした。天井高もあってワンスロープのシューボックスの素晴らしく密度の高い響きで、このホールを知ったということも大きな収穫でした。側面ロゴのないスタインウェイもとてもよい音で、正確な音律も極上でした。おそらくこのホール備え付けの楽器だと思います。その熟成味のある音調はすでにヴィンテージの域に達しているような印象がありましたが、HPで見ると、1986年製のハンブルグ・スタインウェイ(D274 象牙鍵盤)とありましたので、おそらくこの楽器なのだと思います。

この日は、梅雨前線の影響で名古屋も大雨。ホテルの階下にイタリアレストランがあって、とてもおいしくて、値段もリーズナブル。GRFさんとここで大いに感想戦を楽しんだことは言うまでもありません。






イリーナ・メジューエワ ピアノ・リサイタル

2015年6月26日 19:00
愛知県名古屋市 電気文化会館 ザ・コンサートホール

■ショパン:
 ポロネーズ第1番 嬰ハ短調 op.26-1
 ノクターン第5番 嬰ヘ長調 op.15-2
 ワルツ第5番 変イ長調 op.42
 バラード第4番 ヘ短調 op.52
■ラヴェル:
 亡き王女のためのパヴァーヌ
 ソナチネ
 
■ムソルグスキー:
 瞑想
 組曲「展覧会の絵」

(アンコール)
■ラフマニノフ: 前奏曲 嬰ト短調
■ラヴェル: 前奏曲

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  1. ベルウッドさん、

    メジューエワさんのコンサート行かれたのですね。
    それも名古屋まで「追っかけ」とは… (笑)
    でも、名古屋まで行ったカイがあったようでよかったですね。

    私が聴いたみなとみらいの時と似たプログラムですが、会場が小さい分もっと良い音で聴くことができたのではないかと思います。

    あのルックスと演奏の迫力のギャップは最初に聴いたときにはビックリでした。何度聴いてもその都度スゴイと思うのですけれど…

    ロシア・ピアニズムといえば最近NHKのTVで録画したN響公演のアレクサンダー・ロマノフスキーのラフマニノフ作曲、パガニーニの主題による狂詩曲に感激しました。彼はウクライナ出身なのでもしかするとロシア・ピアニズムの系譜からはちょっと外れているかもしれませんが…。彼もインタビューを受けているときの柔和な表情と演奏時の鬼の形相とのギャップがあったので、ベルウッドさんの「メジューエワさんの般若の形相」で思い出してしまいました。

    明日はご紹介いただいた三浦 友理枝さんのラヴェル、聴きに行きます。

    byK&K at2015-07-03 14:11

  2. ストラさん

    そういえばストラさんは、カルチャースクールで超接近しているのでしたね。確かに彼女は、よく見るとやっぱり日本人とは違って骨がしっかりしています。鍛えられた女性ピアニストのように二の腕が太いということはないのですが骨格がやっぱり大きいような気がしました。メジューエワさんの身長はどのくらいですか?ステージだと並んで立つひともいないのでわかりません。演奏が素晴らしいと背丈まで大きく見えますね。

    byベルウッド at2015-07-03 23:42

  3. K&Kさん

    ほんとうに見かけと演奏のギャップが大きいですね。

    あのポロネーズ第一番は、「私を甘く見ないでよ!」という一喝のように聞こえましたよ(爆)。

    三浦さん、行かれますか。そういえばこちらもラヴェルでしたね。オール・ラヴェルというのもかなりタフなプログラムですよね。最近の女性はすごいなぁ。ピアニストもなでしこジャパンですよ。

    ぜひ、お楽しみください。レポート楽しみにしています。

    byベルウッド at2015-07-03 23:47

  4. ベルウッドさん
    こんばんわ

    メジェーエワさんの音、たしかにロシアのピアニスト特有の辛口の音がビシビシきて、素晴らしいですね。ディスコグラフィを見ると、これは、リヒテルとギレリスが得意にしてきた曲の数々で、「ああ、彼女はまさに伝承者なのだな」と感じ入りました。

    以前に仕事でロシア極東に頻繁に通っていたことがあるのですが、ロシアの人達って、本当にスケールが大きくて人間味あふれる人が多いと思います。「過酷な境遇を体験しているぶん、ヨーロッパ人の中で最も日本人を差別しない人達」と、かつて司馬遼太郎が書いていましたが、わたしの実感としてもそう思います。で、女性が圧倒的に強いのも特徴で、優秀な役人や会社幹部の多くは女性。ウォッカばかり飲んで仕事をしないダメ亭主はバシバシと粛正(離縁)されてしまうという・・・(怖)。

    byOrisuke at2015-07-04 00:18

  5. ベルウッドさん、お早うございます。

    昔はたしか電気文化会館でオーディオフェスタを行っていました。

    地上のフロアには各社のブースがあって、順番にデモをしていましたが、地下のこのホールでは、各メーカーがスケジュールに沿って次々と舞台に機器やスピーカーを並べてデモを繰り広げる。

    観客は一度特等席を確保したら、座っているだけで次々と新しい音が聞ける。お腹は減りますが、1日中でも座っていたい、夢のようなオーディオフェアでした。

    こぎれいな今の国際会議場よりずっと好きでしたね。
    まさか、ちゃんとコンサートが開かれているとは…

    PS
    メジューエワsんのCDも聞いてみたくなりました。

    by矢切亭主人 at2015-07-04 06:20

  6. Orisukeさん

    ロシアというのは何しろ隣国ですからね。いろいろあります。

    まあ、悪いほうは置いておくとして…

    ロシアのお客さんをすき焼き屋の招待して、冬の暖房が話題になりその座興でみんなで「ペチカ」を合唱したら、目を丸くして大喜び。「なんでそんな歌を知ってるんだ?」って。それから「トロイカ」だの「黒い瞳」だのロシア民謡シリーズ。考え見れば確かに、「何で知ってるんだろう?」って気分でした(笑)。

    byベルウッド at2015-07-04 09:10

  7. 矢切亭主人さん

    ええ?あそこがオーディオフェスタの会場だったのですか?何だか贅沢…という気もするし、もったいない(笑)という気もします。べつにオーディオ蔑視ではないですが(爆)。

    地下の小さなコンサート会場と展示ブースということでは使い勝手は悪いでしょうね。国際会議場は「出世」ということなのでしょう。

    このコンサートホールのコンサートスケジュールを見ると、ぎっしりと詰まっていますし、主催コンサートにはポール・ルイス、イブラギモーヴァ、河村尚子と辛口の顔ぶれがずらり。内容も素晴らしいと思いました。

    byベルウッド at2015-07-04 09:21

  8. ベルウッドさん、遅れましたがこんばんは。

    遠征お疲れ様です。
    録音と実演で特に違いを感じない方とまるで別物な方といらっしゃいますが、メジューエワさんは後者と言う事なんですね。
    私が今まで積極的にピアノ曲を聴いていないもので、メジューエワさんについては日本在住であることくらいしか知りませんでした。
    (某雑誌にメトネルのディスク発売時に紹介されていたと記憶しております。)

    私もメジューエワさんの演奏を聴いてみたくなりました。
    ディスクだけでなく、実演の方もですが。

    byfuku at2015-07-04 20:17

  9. fukuさん

    メジューエワさんオススメです。

    とはいえ、私もまだCDはドビュッシーしか持っていません。GRFさんはかなり買い集めて聴いているそうですが、ライブ録音が多くしかも客席雑音が大きくて必ずしもコンディションがよくないそうです。私は、若い頃のデンオン盤をいくつか手始めに聴いてみることにしました。メトネルもそのひとつです。

    byベルウッド at2015-07-05 09:05

  10. ベルウッドさん ピアノの音はとても良いのですよ。デンオンの音とは比較にならない程、良い音です。会場で聴いたときと同じ様に驚く程良いのです。

    でも、聴衆の雑音を上げるレベルが残念です。リュートピアと京都の聴衆はそれほど悪くはありません。

    byGRF at2015-07-05 14:26

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