ベルウッド
ベルウッド
クラシック音楽ファン:よい演奏会があると知れば遠征もいといません。オーディオシステムは、音楽そのものを楽しむのが本来というモットーのもとにコストパファーマンス重視で小ぶりな装置を目指します。正統オーデ…

マイルーム

メインシステム
メインシステム
持ち家(戸建) / リビング兼用 / オーディオルーム / 16畳~ / 防音なし / スクリーンなし / ~2ch
スピーカー:    PSD T4 Limited Special-ネットワークレス・マルチアンプ駆動 調音パネル:    Escart Ventoスクエア パワーアンプ:   金田式DCアンプ…
所有製品

レビュー/コメント

レビュー/コメントはありません

カレンダー

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

お気に入り製品

お気に入り製品はありません

日記

紀尾井シンフォニエッタ東京 第101回定期演奏会

このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年09月15日



新しい音楽シーズンが始まりました。紀尾井シンフォニエッタ東京にとっては創設以来の第100回を超え新たなるステージへと踏み出す第一回の演奏会でもあります。そういう演奏会にふさわしい内容の濃い、充実したコンサートでした。

この日もいつものようにGRFさんと休憩時にワイングラスを傾けていると、GRFさんの顔見知りの宮崎のEさんが談笑に加わりました。そのEさん、近々、出水電器さんの電源工事をされるとか。なんでも「お師匠さん」の音が電源工事でびっくりするほどよくなったからだそうです。「お師匠さん」というのは宮崎では有名なハイエンダーのHさんのことで、これにはGRFさんが苦笑しながら「それならこちらのベルウッドさんが先輩ですよ」と私を紹介します。

なぜ『苦笑』なのかというと、それは実はGRFさんが《アンチ・出水電器》だから(笑)。電源工事というのは、無知で不勉強なオーディオマニアや金満ハイエンダーに付け入る『悪徳業者のようなもの』というわけなのです。私はいつも受け流すしかないのですが、気の毒なのは誤解されている出水電器さん。ところがご本人の島元社長は誤解や《アンチ》には慣れっこだそうでそういう話しが出てもいつも涼しい顔をしています(笑)。

そのEさんが「今日のコンサートに来たお目当ては何ですか?」と私たち尋ねるのです。「いや、私たちは定期会員なので…。Eさんのお目当ては?」と逆質問。何しろわざわざ宮崎から来られているのですから。すると「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の実演を聴いたことがないのです。」という意外なお答え。

この軽妙な答えに「え?」と言ったあと、思わず三人で顔を合わせて笑ってしまいました。聴き慣れているはずの名曲も、意外に生の実演を聴いたことがないということはよくあること。実は、私もよく考えてみると、この名曲をいつ誰の演奏を聴いたのかまったく思い出せないのです。記憶としてあるのはヒラリー・ハーンの日本公演。しかも、それは聴いたのではなく、聴き逃したという後悔なのです。当時の私はまだハーンを認めていなかった。技巧は正確だが、機械人形のようで無機質な演奏という批判を信じていたからです。ところがCDを何度か聴いているうちに好きになってしまいました。



ある時、「おや?」と思ったのです。ハーンのチャイコフスキーは、どこか物寂しく淡泊が響きがします。とうてい技巧を誇示して大向こうの受けを狙ったり、しなを作って情感を煽るような演奏ではありません。素顔のままのヴァイオリンの音色、質素なまでに抑制されていて静謐なまでの精密な意匠。静かな知性とプライドの高さともいうべき確固とした主張があるのです。それに気がついた時、それがハーンが好きになってしまった瞬間でした。

この日のチャイコフスキーもそこに通じるものがありました。

ソロは今シーズンから正団員としてコンサートマスターに名を連ねることになったアントン・バラホフスキー。現バイエルン放送響コンサートマスターです。

そのコンチェルト・ソロは、華々しく前に出てくるソロではないのです。通常、ソリストは自分の音色を際立たせるために微妙にうわずったピッチで演奏するのですが、バラホフスキーはそうせずに正確なピッチでオーケストラとの調和と融和を重んじているかのよう。カデンツァに至るまでの展開部の高揚感にはちょっと物足りなさも感じたのですが、そこはやはりオーケストラとの響きの協調を丁寧に弾き込んでいる風でした。それだけにカデンツァの静けさがより引き立つのです。

指揮者のタカーチ=ナジは、タカーチ弦楽四重奏団の創設メンバーでリーダーだったひと。室内楽アンサンブルや指揮者として特に室内管弦楽団の指導に当たってきただけに、小編成の簡素な響きとそれぞれの楽器ソロの音色を際立てながらバラホフスキーのソロに寄り添っていく。そういう美意識が、第二楽章ではひときわ鮮烈。フルートの難波薫、オーボエの池田昭子の美女ふたりがオーケストラ中央で匂い立つような音色を奏で、ベテラン鈴木高通のクラリネットがひときわ柔らかく、ソロヴァイオリンと愛を呼び交わす。第三楽章は、激しいトレパークのリズムで熱狂的に盛り上がります。ソロがオーケストラを牽引していく様はまさにコンサートマスターです。

アンコールは、歌劇「エフゲニー・オネーギン」の一節。普通は、無伴奏曲などを披露するはずですが、ここはまさにオーケストラとの一体感を強調。あくまでも仲間の一員としての自己紹介なのでしょう。そこにコンチェルトの演奏の意図を敷衍しているかのようでした。

ベートーヴェンは滅多に聴かない祝典的な序曲。晩年のベートーヴェンの響きは、初期ロマン派のメンデルスゾーンにも通ずるものがあります。「宗教改革」は、私などはトスカニーニの剛直で豪壮な演奏ばかりを聴いて育ったので、やはり本来の二管編成に忠実な小編成オーケストラでは、多少アンバランスな印象も受けます。ザルツブルクでシューベルトのミサ曲を聴いたばかりの耳には、どうしてもそういう編成ではホールの響きにもっと豊かさもほしいし、トロンボーンも入った分厚い響きの曲ではもう少し弦五部の音量を大きくしてほしい気もします。それはいずれブルックナーの演奏にも挑むときには課題となってくるのかもしれません。



この日は、サービス満点で、タカーチ=ナジさんの日本語の紹介で、アルヴォ・ペルトの80歳の誕生日(9/11)を記念して「フラトレス」がアンコール。ペルトもどんどんと取り上げて欲しい作曲家です。

はねた後は、いつものようにGRFさんと近所のバルで一杯やりながらの反省会です。この日はスピーカーとの相性をめぐってスピーカーケーブルやアンプの議論。ラダーケーブルや出川電源に辛いGRFさんとはまた例によって口角泡を飛ばす論争ですが、こうして生演奏をともにしての音楽談義と一体となったオーディオ論議はやり合いながらもそれがとても楽しい。

初秋を感じさせる気持ちのよい土曜日の午後でした。

(蛇足)
帰宅してハーンの新譜を聴きました。私が今日のコンサートで感じたことがそのままに感じるのです。このモーツァルトやビュータンを聴くとハーンは確信犯なのだとの思いを強くしました。




紀尾井シンフォニエッタ東京 第101回定期演奏会
2015年9月12日(土) 14:00
東京・四ッ谷 紀尾井ホール

アントン・バラホフスキー (ヴァイオリン)
紀尾井シンフォニエッタ東京
千々岩英一(コンサートマスター)
ガーボル・タカーチ=ナジ(指揮)

ベートーヴェン:劇音楽「シュテファン王」序曲Op.117
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲二長調Op.35
(アンコール)
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より第2幕レンスキーのアリア「青春は遠く過ぎ去り」

メンデルスゾーン:交響曲第5番二長調Op.107「宗教改革」

(オーケストラアンコール)
アルヴォ・ペルト:フラトレス

次回の日記→

←前回の日記

レス一覧

  1. ベルウッドさん 久しぶりに議論が活発化して楽しい午後でした。

    一つ訂正させて下さい。私は、アンチ・出水電器さんではありませんよ。出水電気さんは、当然のことをされています。我が家の電源も、17年前に作ったとき、配電盤もケーブル専用に専用に引き、同じ様なアース処理もしています。日本の100vは、200vを上下に分け、位相が反対にもかかわらず、アースを片側接地で共用するという、不可思議なことをやっています。これは、世界中で日本だけです。ですから、出水電器さんの工事は大変効果があるし重要です。

    私が、よくわからないのは、その他の電源回路や特殊なケーブルのことです。その辺をごちゃ混ぜにされている様なので、訂正させて下さい(爆)。

    byGRF at2015-09-16 11:51

  2. こんにちは。

    Eさんとは、もしかしたらよく専門誌でアナログ盤の記事を執筆してるあのクラシックマニアの方ですか?そんな人でも師匠がいるのですか。しかしお二人の行動力と人脈は凄いですね。
    うちはMITと出水ブランドの合わせ技ですから、GRFさんとベルウッドさんのいいとこ取り?いや偶然ですがそういうことになりますね(^_^;)

    byにら at2015-09-16 12:21

  3. GRFさん

    たいへん失礼いたしました。恐れ入りますがGRFさんのレスをもってして訂正ということでご勘弁ください(笑)。それにしてもGRFさんのお宅の電源環境は素晴らしいですね。しかも17年前ですか!?何を今さらというお気持ちがあるのでしょうね。

    私は、あまり押しつけやひとのシステムを弄るのは好きではないのですが、やっぱりラダーケーブルは持参して一勝負しなければいけないかなぁ(爆)。

    byベルウッド at2015-09-16 12:29

  4. にらさん

    >GRFさんとベルウッドさんのいいとこ取り?

    コミュの交流に派閥も宗派もありません(爆)。いいとこどりこそ、このコミュのよさですし、何よりオーディオは誰のためでもない最後は自分が聴くためですからね。

    にらさんのその後の進境ぶりを聴かせていただくのが楽しみです!

    byベルウッド at2015-09-16 12:35

  5. ベルウッドさん

    >やっぱりラダーケーブルは持参して一勝負しなければいけないかなぁ(爆)。

    いつでもどうぞ、どうぞ!私も興味があります。どこがどういう風に良いのか、悪いのか検証しましょう!

    押しつけではなく、実験は何時も大歓迎です。

    島元社長にはよろしくお伝え下さい(笑)。

    byGRF at2015-09-16 17:02

  6. 再レスすみません

    自分も興味あるのですが、MITやその他独特の設計思想を持つケーブルメーカーは、各ライン&SPまでメーカーを統一しないと正確な判断ができないかもしれませんね。(実は思うところありまして、、後日お話します)

    byにら at2015-09-16 18:47

  7. GRFさん

    了解です。

    byベルウッド at2015-09-17 15:14

  8. にらさん

    今度はどうぞよろしくお願いします。

    ビールとギョーザの相性についてもネ(爆)。

    byベルウッド at2015-09-17 15:16

レスを書く

レスを書くにはログインする必要があります
ログインする