日記
クロメバルの鮮度と旨みの関係 ――EDさん邸訪問 (岡山遠征 その3)
2018年12月06日
岡山遠征、第二日目、前半はEDさんのお宅です。
EDさんのシステムは何と言っても大型のATCスピーカーを自作の管球アンプでドライブするその豪放なアナログライクなサウンド。それをこれまた自作ES9038DACでナチュラルで緻密なサウンドに仕上げておられる。
昨年は、ラズパイのアップコンバートで音源情報が骨抜きにされるという「事件」でちょっと残念な印象が残ってしまいました。そのシステムの弱点は上流にあり。…その証拠にアナログ再生ではまさに本領発揮としか言いようのない素晴らしいサウンドなのです。
そういう上流の弱さにガツンと活を入れたのがこの一年だったようです。それだけに、今回は、昨年の印象とは様変わり。
その立役者は、マランツのフラッグシップCDP(MARANZ SA-10)。
マランツのCDPは、青いライトアップがチャーミングポイントのデザインがシリーズ共通で、そういうコンシューマークラスのさりげないスタイリッシュさは最上機のSA-10でも変わらず、ちょっと見ただけでは中堅機種とは見分けがつきません。ところが音出しをするとがぜん実力を感じさせてくれます。これで聴くオーケストラは、さすがATCという分厚くゴリッとした質感の重低音が聴けます。思わず聴きほれてしまいました。
ところが…
SA-10をトランスポートにしてDACをEDさん自作のES9038DACで再生すると、これが、それを凌ぐ分解能、情報密度とナチュラルな滑らかがあります。このDACも去年からいろいろ手を入れられたのでしょうか。その辺りの詳しいお話しが聞けませんでしたが、これでダイアナ・クラールを聴くと彼女の色香が引き立つのです。
マランツ渾身のディスクリートMarantz Musical Mastering(MMM)よりも自作のほうが良いとなるとちょっと困ってしまいますが、これには皆さんからまだまだエージング不足なのではとの指摘も。
確かに前月に導入したばかりのおろしたてで時間的にはまだ慣らしが済んでいないのだとか。MMMがエージングに時間がかかるのかどうかはよく知りませんが、あるいは、ウォームアップ不足ということかもしれません。
ディスクリート回路は、一般に熱的平衡が安定するまでに時間がかかります。ディジタルフィルターなどアナログ回路は特にその傾向があります。私は、CDP(DAC)はほとんど通電しっぱなしです。冷えた状態から通電すると暖まって本来の音になるには丸一日かかるようです。時々、電源オフにして休ませながら、通電し続けるとエージングも早く進みます。
SA-10は、もちろんトランスポート(SACDM-3)としても優秀ですしUSB-DACとしても使用できるのでじっくりと使い込んでいきながら、ES9038DACと競わせるといろいろと楽しみです。
アナログの方も、オルトフォンのお高いカートリッジ(ortofon SPU Synergy?)のお披露目がありました。EDさんのアナログも従来から真空管アンプとATCスピーカーとあいまってアナログらしい力強さとともに鮮度の高い高分解能のサウンドでしたが、最新のSPUでさらにエネルギー感とともに気品のある余裕度が増したという印象です。
お昼には、念願のクロメバルをいただきました。
昨夜から深夜を通してEDさんご自身が釣ってこられたクロメバル。今回は大漁で立派な大きさのクロメバルの煮付けをいただきました。その後の岩上では眠れずに体力をかなり消耗されてしまったとかで、しかも、大漁の魚をさばくのが大変だったそうです。体力勝負のおもてなしに大感謝です。
釣りたての新鮮なメバルですが、やはり、煮付けが美味しい。新鮮なお魚はつい刺身で食べるのが美味しいと思いがちです。せっかくの新鮮な素材なのに煮付けにしてしまってはもったいない…とついつい思い込んでしまいます。でも、メバルはやはり煮付けのほうが美味しいんだそうです。しかも、素材の鮮度が高ければ高いほど臭みがなくて本来の旨味が味わえるそうです。いただくと、そういう旨味が口の中でふんわりと拡がって噛みしめるほどにほんとうに美味しい。
オーディオもやはり上流の鮮度の高さが命のようなところがあります。
アナログは音溝に刻まれた信号はそのまま電気信号に変換されてアナログ回路へと伝送・増幅されますから、まさにピックアップで拾った信号をいかに鮮度を保ちながらスピーカーまで伝えるかが勝負。一方でデジタルは、そのままでは音声信号ではないので、様々な変換を繰り返しながらアナログに変換されています。本来は素材の鮮度というのは存在しないはずなのですが、変換加工の過程で源信号の持つ情報が失われたり歪められたり、余計な味付けがされたりしてしまう。そうならない調理法というのもとても大事。
アナログは刺身。料理としては包丁一本のシンプルでそのまんま。それに対してデジタルは煮付けのようなもの。鮮度のよいものをいかにその旨味を引き出していくかという煮付けのほうがかえって難しくてやりがいがあるのだと思います。
さて…
岡山遠征の最後は、いよいよhelicatsさんの隠し砦です。

すいません。つい食い意地が張ってしまいクロメバル以外の写真を撮り忘れてしまいました(大汗)。
レス一覧
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ベルウッドさん
ED邸からの移動で通った真備町はどうでしたか?
自分も災害後初めて通りましたが、車で通ると数分の事で分からなかったかも? ですね。
byhelicats at2018-12-06 20:42
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ベルウッドさん、こんばんは。
今回は、黒メバルの煮付けを召し上がっていただくのが最大のテーマでしたので、味のほうは満足いただけて良かったと思います。
しかし、今回も思わぬところで粗相があって、家族用に選別した小さいメバルを出してしまいました。
次回は、何とか大型のメバルを用意して、刺身か塩焼きで召し上がっていただきたいと思いますのでまたよろしくお願いします。
ところで、拙宅のシステムのほうですが、やっと合格レベルになったようで良かったです。
アナログのほうはSPU Synergyを導入しましたが、SPU#1Eと比べて少しだけ力強い音になったと思いますが値段を考えると微妙ですね。
デジタルのほうはSA-10 を導入したのですが、SACDとファイル再生は格段に良くなりましたが、CDでは解像度がやや足りないのとエッジが丸くなるのが気になりました。(ただし、これはエージングで段々と解消されているようです。)
それで、SA-10をトラポにして自作ES9038-DACに接続したら、不満点がほとんど解消してしまいました。
このDACは、アナログ回路にTAMURAのライントランスを使っていますが、前回から変更したのはトランス二次側負荷抵抗を理研RMGからビシェイVSRに替えたのと、一次側に160kHz以上の超高域をカットするフィルターを追加しています。
このあたりの改造については、時間があるときにまた記事にさせていただきたいと思います。
今回も、田舎の遠いところまでお越しいただき、ありがとうございました。
byED at2018-12-06 23:40
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helicatsさん
正直言って、わかりませんでした。
スイートサウンドさんと話しながらでしたが、カーナビの画面をチラ見していて川が隅に映っていたのでこの辺りかなぁと思いましたが、ほんとうに数分のことでした。
東日本大震災の翌年に、東松島から石巻まで行きましたが、その光景に胸が潰れるような思いをしました。あの記憶が重く残っています。
一日も早い復興と、もとの平穏な生活が戻るようお祈りするばかりです。
byベルウッド at2018-12-07 11:34
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EDさん
今回はお忙しいところをお世話になりほんとうにありがとうございました。クロメバルはとても美味しかったです。来年もぜひ。
DACはやはり改造されていたのですね。昨年より一段と鮮度と音の密度が上がったという印象です。差動合成とIV変換にトランスを使うという発想は、評判のasoyajiDACを知る前にEDさんから教えていただいたわけですが、やっぱり音がナチュラルで音のつながりと輪郭が滑らかですね。それが今年は一段と音質がアップしたという印象でした。
SA-10は、やはりエージングでしたか。私もK1導入してから落ち着くまで半年近くかかりました。その間、悪戦苦闘でしたね。もう少しじっくり熟成の時を待ってもよかったのかもしれません。
byベルウッド at2018-12-07 11:41
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ベルウッドさん、おはようございます。
9038の音、とても良かったですね。
ダイアナクラールの曲の時ですが、低音がビシビシ伝わってきて圧巻でした。
SA-10のトランスポートとしての能力の高さもあるのでしょうが、とてもいい音でした。
SA-10単独の音は力強さ等譲る点がありますが、エージング途中とのことなので、半年後また聴いてみたいです。ただ、9038が良すぎました。まだ比較はかわいそうかも・・・。いずれにしても音の傾向は全く異なるDACなので、好みで選択できる楽しみがあるかと思います。
クロメバル、おいしかったですね(EDさんお疲れさまでした。)。出身は県南の玉野市なので、赤メバル(=市の魚です。”赤チン”と言ってました。)は良く食べたのですが、クロメバル(”うきそ”って言ってました。)はほとんど食べたことがなかったので、堪能しました。
byとり at2018-12-09 07:27
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とりさん おはようございます
9038良かったですね。これぞATCの低音だとその出音を満喫しました。もちろんATC足元のウェルフロートが効いているのだと思います。それでもSA-10のアナログ出力より良かったのは意外というのか、ちょっと何と言ってよいのか戸惑いました。やはり、DACというのはエージングが必要だということでしょう。
クロメバルは3年越しでようやくいただくことができました。やっぱり…というか、こんなに美味しいのかというのが正直な感想でした。
byベルウッド at2018-12-09 10:04
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