日記
USBって繊細なのね
2019年07月23日
新MFPCの更新導入して痛感したのが、外付HDDの繊細さ。
MFPCは、基本的に外部サーバーを使用しません。プロセスカットでオーディオPCのCPU負担を極限にまで減らし、しかも省電力環境でノイズや歪みのないバッテリー電源の使用を前提にしています。ネットワーク(LAN)上に置いたHDDとの交信は、かなりのCPU負荷となってしまうからです。

従来のMFPC(2018年仕様)は、サーバーとコントローラーが一体となったfoobar2000再生PCの内蔵HDDが音楽ファイルのストレージとなっていました。roon+HQPlayerによる新MFPCでは、roonCORE(+HQPlayer)は、何とLattePandaの方が音が良いということになってしまい、コントロールPCと立場が入れ替わりコントローラーが19V駆動のCore i5のミニPCとなってしまいました。
この機会にミニPCの内蔵HDDは取り外し、起動用のSSDのみとし、一方でroonCOREPCであるLattePandaの方に外部給電の外付HDDを導入しました。
LattePandaにはmicroSSDのスロットがあるので、これをストレージとすることは可能ですが、記憶容量の面で限界があることからこれは選択肢からは除外しました。
外付HDDは、デスクトップPC内蔵用HDDをケースに収納しUSBHDDとしました。ノイズ的に優位とみて3.5"型を選択しました。12V給電で、直接、回転モーターを駆動するようになっています。
当初は、ケースに同梱されたACアダプターで給電していました。電源タップは、リチウムイオン電池の充電用ACアダプターと同じOA用のフィルター内蔵タップです。これで十分と思っていたからです。iFi AudioのiDefender3.0を試用してみましたが、むしろ、無いほうが音がよいくらいで、すぐに外してしまいました。
ところが…

試しにと、DCケーブルにフェライトコアをかませてみたところ、がぜんノイズが減りました。デジタルのノイズというのは、よくなった音を聴いてみて、初めてそれまでノイズがあったということに気づくというところがあります。
これではイカンということで、外付HDDの給電もPC、ハブやルーターと同様に日本トラストテクノロジーのリチウムイオン電池からに変更しました。これでさらにノイズは減少されたことを実感できました。
これで、すっかり、外付HDDというものの繊細さに目覚めてしまいました。
次には、甘く見ていた制振対策の見直しもやってみることに。これもかなりの効果でびっくりしてしまいました。
当初は、サンシャインの超薄型シート上にαGELでフロート置きしていました。内部に振動源となる回転体を持つHDDではゲルなどで浮かせても効果が無いのです。これを、KRYNAのD-PROPできっちりと受けることにしました。狙い通り、ここでも効果ありでした。すなわち、こういう振動源を内部に持つ機器は、むしろ、その振動をまず外部に抜いてやることが大事です。つまり、振動遮断ではなくて、むしろ振動透過(メカニカルアース)が必要なのです。
ここは3個使用の3点支持としています。ファイルマネジメントのために頻繁に着脱することと、重量が本体+ケースで920gと軽いのであまり大げさなセッティングは出来ません。置くだけです。前方は給電やUSBの端子、LEDなどの基板があってHDD本体は後方に寄っているので、前方2個、後方1個としています。後方1個は出来るだけHDD本体の回転中心の直下とします。この辺りは、CDプレーヤーやZ1ESのセッティングでさんざん試行錯誤した結果に得たノウハウです。いわゆる1点メカニカルアースの極意というわけです。
D-PROPの下には、いろいろ試してみましたが、最終的にはコルクシートにしています。サンシャイン超薄型シートとの金属面の接触ノイズを避けるためです。
J1projectのハイブリットダンピングパッドもよかったのですが、厚みがあるので2mm厚のコルク(再生コルク)シートの方を取りました。滑りにくさという点でもコルクのほうが扱いやすい。試行錯誤では、D-RENも使ってみましたが、すぐに却下。嫌な音の雰囲気が載ってしまいます。D-RENは使いやすいグッズですが、これまで音がよかった試しがありません。今回も相性がよければと思いましたが、またしても同じ結果でした。
それでも、悩みはつきません。
悶々としていたのは、女性ボーカル。
特にクラシック系のソプラノはほんとうに難しい。オーディオというのは不思議なものでいくらグレードアップしても、満足感が高まるかといえばそうとも限りません。かえってラジカセのほうが気持ちよかったりします。
このディスクも、聴いてみて、首をひねってしまいます。以前のDENONのCDPで聴いていたときの清廉で伸びやかな自然さがなくてちょっとかさつきます。
ヴァイオリンも難しい楽器です。
ファウストのヴァイオリンはとても倍音豊富で独特の色合いと豊かな表情があります。録音環境も多めの残響を好むようです。そのことがちょっとしたノイズでバランスを崩してしまい、直接音中心でとても情の強い音になったり、その逆にやたら響きが目立って音像がぼけてしまったりします。ここでは後者の状態になってしまいました。
こちらは、つい半年前に再発見したCD。素晴らしい録音で、それだけにアラ探し的試聴に最適。
諏訪内晶子さんてつくづく美人だと思います。今でこそ大御所の貫禄がありますが、フィリップスからCDデビューしたてのこの頃は、プライベートでは男運に恵まれず幸薄系のイメージがありました。そういう線の細さを感じてあまり聴いていなかったのですが、今、聴くと素晴らしい録音と演奏です。国内盤と海外盤と微かな違いがありますが、いずれにせよ初出オリジナル盤でないとフィリップス録音の良さは感じにくい。
それが、CD再生で感じたぞくぞくするような感触がちょっと薄まってしまいました。
…何か忘れていないかと考えていて、はたと思い出したのが、USBケーブルの端子の制振。

USBケーブルは、DACとは違ってバージョン3.0なので自作は断念。当初は、ケース同梱のものや、手持ちの金メッキコネクタなどあれこれ試してみましたが、プロケーブル推奨のunibrain社製の最短(30cm)で良い結果が得られました。プロケーブルからの購入品は死屍累々ですが、本製品は、以前に買ったC2G社のSATAケーブルとともに、ベリーグッドとなりました。
試用が、即、本採用となって、大事な制振のひと手間を忘れていたのです。
それは…

以前、ニッキーさんに手土産で譲ってもらったSAECのUSB端子防振ゲルリング。もっともこの製品そのものは、USBケーブル自作の時に換骨奪胎でfoQの細麺に交換しています。この防振対策を忘れていたのです。
対策してみると…
これは効きました。やっぱり振動由来の接点ノイズだったんですね。
例えば、バッテリーの注ぎ足し充電のオフを忘れるとか、roonのbackground analysisのオフを忘れるとか、そういう細かなTipsのうっかりミスにすぐに気がつきます。HQPlayerのバッファー時間も最長が音もよい。以前は、さほどには違いを感じなかったのですが、今や聴いてみるとすぐに異変に気がつきます。
話しはUSBから横道に逸れますが、もうひとつのTipsをご紹介すると、静電気。
実は、突然、LANが不通になってしまうというトラブルが発生。イーサネットのLEDが点灯しません。てっきりLattePandaの端子が壊れたかと、救急車の出動をお願いしました。結局、何の問題も無いことがわかったのですが、これは静電気の仕業ではないかというのです。この梅雨空に静電気??とも思いましたが、それで気になって、念のためにと音楽鑑賞の前儀式として除電機でお祓いとお清めをやってみました。

すると音が実にすっきり。
ORB SN-03は、高価なわりに除電力が弱くてあまりレコードの除電にはオススメできないのですが、イオン放出型の除電は対象となる機器に直接触れずに雰囲気で静電気を中和できるので、裏面の端子や配線とかPCあるいはハブなどの周辺機器に風を当ててイオンを振りかけるように除電できるので便利です。効果はしばらく持続しますので、前儀式にぴったりです。
オカルトかプラシーボかもしれませんが、今では前儀式のルーチンとして、PCやハブ、ルーター周りを必ず清めることにしています。
究極のローノイズであるMFPCの音の鋭敏さが、こういうことをもたらしたのだと思います。オーディオは、日によって音が変わります。以前は、それは全て電源環境のせいにしていました。曰く、正月三が日が一番音がよい…とか。今では、その微妙な不安定さの原因は多岐にわたることがわかってきました。条件の違いに敏感に反応するMFPCのおかげで、その要因も最近になってずいぶんと特定できてきました。
外付HDDのセッティングの繊細さに気づいたのもそのおかげです。
レス一覧
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ベルウッドさん、こんばんは。
相当やられてますね!
LANは謎でしたね~
PCに静電気が帯電するとLANが動かなくなる事は実際にある様でしたので・・
事実、持ち帰って一発目から普通に動きましたので(汗
突き詰めると、レコーディングやマスタリングしている時のノイズがどうだったかって話にもなってしまいますよね。
総じて極力無加工な音源が、なんの癖も無いように思います。
byMF at2019-07-23 23:52
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MFさん
あのトラブルには参りました。無駄な救急車出動させてしまい申し訳ありませんでした。日記本文でははしょってしまいましたが、LANケーブルをチェッカーにかけたら1ライン断線してました。このせいかと思って、他のケーブルに換えて試してもダメだったのです。何らかのショック状態が残っていたのでしょうか。言われてみると静電気の仕業というのはあり得ると思いました。
新MFPCは、ソースをさらけ出してしまうところがあります。ほんのちょっとでもバランスを崩したり、ツボを外すと、どうにも気になってしまうところがあります。「見え過ぎちゃって困るわぁ~」です(かなり古いかな―汗)。
byベルウッド at2019-07-24 09:15
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tempest13thさん はじめまして
そう。面倒くさい。
だからパソコンはほとんど電源入れっぱなしです。超低電力消費なのでそれで何の不都合もありません。
日本トラストテクノロジーの充電池は、注ぎ足し充電が可能なので便利です。聴く時だけ充電オフにすればよい。他の充電池では、充電オフの瞬間に一時的に給電がオフになるのでパソコンも落ちちゃう。このバッテリーはそういうことがないので、とても重宝しています。
とはいえ、スイッチひとつで聴けなきゃイヤだとか、コンポーネントの電源を入れる順番なんかどうでもよい、ウォームアップなんか知らない、儀式なんかしない…というひとには向いてません。全くオススメしません。
byベルウッド at2019-07-24 09:26
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こんにちは
外付けHDDもオーディオ的な対策をすると効果ありますよね。
参考までに・・・
僕もKRYNAのD-PROPを検討しましたが、制振作用が大きすぎて音が細くなってしまい外してしまいました。今はTiglonのインシュレーター+Audio Replas の石英にしています。こちらの方が響きが豊かで僕は気に入っています。
bykomagome at2019-07-24 11:20
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ベルウッドさんこんばんは。
レコードオフ会の時に渡したSAECのUSB端子防振ゲルリングがお役に立てて良かったです。(笑)
高価なUSBノイズフィルターよりもこういう振動やノイズ対策の積み重ねが大事なんだと思います。
byニッキー at2019-07-24 22:36
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ニッキーさん
その節はたいへんお世話になりました。おかげさまでUSBコネクター防振対策のよいアイデアをいただきました。今は手持ちのfoQを細麺に切って自在です。
USBノイズフィルターは雑誌の付録となったり、一時はいろいろ話題になりましたね。
当時は何のオーディオ対策もない汎用のノートPCを使うのがPCオーディオでした。USBのインターフェースひとつとっても、今は各段に進歩しています。次元がぜんぜん違います。
byベルウッド at2019-07-25 09:28
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komagomeさん
外付HDDを使用されているのですね。
そのHDDはMacPCにUSBでつないで、Mac用の音楽プレーヤーソフトでUSB出力からDAC、ヘッドセットで聞かれているということでしょうか。
ちょっと棲んでいる世界が違うというのか、オーディオ環境が違いすぎるので、お互いに参考にはならないのだと思います。
もともとシステムにデジタル伝送上のノイズがあって、残響などの微細な情報がマスクされていると、ノイズが減少される方向ではかえって音が寂しくなると感じてしまい、むしろ振動ノイズがある程度付加されたほうが心地よく聞こえることがあります。マグネシウム系インシュはそういう調音には向いているのかも知れません。
byベルウッド at2019-07-25 12:42
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komagomeさん
追レスです。
ずいぶんと以前のことですが、マグネシウムスパイク受けの感想日記です。
↓
http://community.phileweb.com/mypage/entry/2408/20131017/39591/
byベルウッド at2019-07-25 12:50
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ベルウッドさん こんばんは。
いいですねェこの度の日記。何故HDDは3.5インチかに始まり、3.5インチ外付けHDDを例にとったノイズ要因ならびにその対策および対策施工上のノウハウが総覧できるとはすばらしいです。
何故か新品を手持ちしている0.3mm厚のフォックでUSBプラグへの対策をおこなってみました。フ~ン、MF-PCって本当に鋭敏ですネ(^^♪
仰る通り、“よくなった音を聴いてみて、初めてそれまでノイズがあったということ”が聴きとれました。
byそねさん at2019-07-25 21:54
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そねさん
最後の静電気が原因と思われる現象とその対策ですが、その後、新たな追加情報があります。
また、レポートいたします。
そねさん宅もまた落ち着いたらぜひ訪問させてください。
byベルウッド at2019-07-31 00:00