ベルウッド
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日記

音楽を直接つなぐもの (椀方邸訪問記)

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2019年09月27日

久しぶりに椀方さんをお訪ねしました。

おそらく3年ぶりということになるのでしょうか。GermanPhysiksのUNICORN(旧型)というたぐいまれななスピーカーを中心としたシステムですが、この間、かなりの変更もあったようです。それでもスタイリッシュなリビングでのオーディオ・ライフの形は少しも変わっていません。ちょっと見ただけでは、どこが変わったのかは見分けがつきにくい。それほど椀方さんの一貫したポリシーのようなものを感じさせるシステムです。



まず、前回と違ったのはスピーカーのセッティング。

UNICORNは、全方位型のDDDユニットを搭載したとてもユニークな形状をしたスピーカーです。その置き方は、袴の裾の位置にある二つのバスレフ開口部をリスナーから見て左右対称にする《タテ置き》と、正面と背面にする《ヨコ置き》の二通りがあります。メーカーのもともとの想定は《タテ置き》のようでしたが、ミク友のUNICORNさんが6畳~ほどの部屋を横使いにして《ヨコ置き》セッティングを編み出したのが、私の知るところでは嚆矢のようです。



椀方さんは、試行錯誤を繰り返されてきましたが、前回の《タテ置き》から、結局、《ヨコ置き》に戻されました。《タテ置き》の“どこから聴いてもホログラフィック”的な音像感もよかったのですが、背面壁からの反射を活かす《ヨコ置き》の方がやはり総合的には優るようです。ホログラフィックな音像感というのは特殊な聴感で、やはり、リスポジから聴いて前後左右の立体音場を実感し、ホールトーンに身を包み込まれるような感覚こそがピュアオーディオの大前提だということなのだと思います。そもそも一般的なリビングルームでは、部屋の真ん中に置くようなセッティングは非現実的で、音楽制作側もオーディオメーカーも想定していないのだと思います。



《ヨコ置き》とは、すなわち全方位型DDDユニットの利点を壁の反射で活かすということになります。ということは壁との距離や、壁の表面の直接・間接反射や拡散がとてもクリティカルということになります。低音の量感と質感のバランスも、一方のバスレフ開口部がまともに同時同位相で背面壁を向いているだけに調整が難しい。椀方さんのお部屋はダイニングコーナーとコの字になった変則ワンルームで非対称でエアボリュームも大きい。位置の調整や、スピーカー・ベースのローズウッド板やフェルト貼り、背面壁のタペストリーなどいろいろな工夫を重ねたそうです。

それでも《ヨコ置き》の決断は大成功だったと感じました。

音が前向きに迫ってくるベクトル感覚と前後の立体感がもたらす存在感はちょっと別物。所定の位置に置いてある、例のリスニングチェアで聴かせていただくと、とても自然なホール感覚があって落ち着きます。帯域バランスもとてもナチュラルです。椀方さんは、「ようやくインフィニティの低音の呪縛から解放されました」と笑っておられる。低域の量感と質感のバランスにひと段落ついたということなのでしょう。ある種の低音への邪心が解けたということなのだと思います。そんな素晴らしいナチュラル・バランス。

もうひとつの成果は、デジタルアンプとの直結化。

椀方さんのアンプはSD-05という、ソニーの「S-Master」技術をベースとしたフル・デジタルアンプです。D級と称される一般的なデジタルアンプは、最終増幅段をPWM(パルス幅変調)でスイッチングしているものですが、S-Masterは、いわばD/A変換と一体になった1bitによるフルデジタル処理のアンプです。NFBとも無縁ですので、極めて歪みのない素直な出力が得られます。だから、ダイレクトにPCM信号を受け取りスピーカーを駆動することができるというわけです。

HDDプレーヤー(HAP-Z1ES)が、ファームウェアアップでUSBデジタル出力が可能となり、その信号をSPDIFに変換することでデジタルダイレクトが可能になりました。しかも、さらに、DSD出力が従来のDoPから最新のバージョンアップでNative出力も可能になりました。SD-05は、96/24bitに入力が限定されているので、いったん、DDCで変換することになりす。今のところ、このDDCとHAP-Z1ESがマッチング対応が取れないこともあってちょっと一工夫されていますが、このNativeDSDの音質面でのDoPとの差はかなりのものようです。

遅れて到着されたCさんが、秘蔵のアナログテープ音源を聴かせてくれました。これは38-2トラのライブ音源を、自らフルメンテナンスを施したテーププレーヤーと金田式テープイコライザーアンプでライン出力して、ADCを通じてDSD128にデジタル録音したもの。

演奏は往年の巨匠シェリングのバッハのパルティータ。詳しい由来は教えて頂けませんでしたが、シェリング本来の鉄壁の技巧と堅固な様式観はいささかも崩れないなかで、ライブならではの裂帛の気迫がこもったその演奏には、もはや息も止まらんばかりに聴き入ってしまいました。シャコンヌの最後に、D音の上弦を長々とフェルマータして余韻を残すところは感動の極みです。ところがCさんによれば、正規盤ではそのようなことはせず端正に納めているとのこと。ライブならではの興奮が生々しく伝わる貴重な音源でした。

その後は、三人で豊中の街に繰り出して、美味しい中華屋さんで、大いに気炎を上げました。Cさんは、ヴァイオリンを弾いていたとかで、その楽器や演奏法や演奏者についての知識の広く深いことには驚嘆させられましたが、とても楽しく勉強になりました。

椀方さん、Cさん、楽しい一日でした。ありがとうございました。

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レス一覧

  1. ベルウッドさん、こんばんは。
    先日は遠い所を定点観測にお越しいただき楽しいひと時をありがとうございました。
    最近手に入れた DSD128音源のガッテイRCOによる春の祭典も気に入っていただけたようで安心しました。
    お持ちいただいた48/24で録音したFMエアチェック音源のドゥダメル指揮ロスフィルの演奏も迫力ある演奏を楽しんでいただけたようで良かったです。
    また、定点観測にお越しくださいね。

    by椀方 at2019-09-27 22:09

  2. どんぐりさん

    私は、ミルステインですね。

    でも、バッハ、特にこの無伴奏はたったひとりで演奏する曲だけに、ひとつ、ふたつの巨匠の演奏を神聖視するよりもいろいろな演奏を楽しみたいと思っています。

    そのことを実感させてくれたのは、ギル・シャハム。こんな愉悦に満ちたバッハもあるんだと。そういえばパルティータってダンスの音楽なんだと。

    ファウストは、いつも楽譜を見ながら演奏しています。それもバッハ自筆原稿の写真コピー。というのも、頭に固着した演奏ではなく、その瞬間、瞬間で霊感を得ながら演奏したいからだそうです。バッハの楽譜はそういうインスピレーションを与えてくれるのだそうです。だから、自分の演奏は演奏するたびに違うのだということを言っていました。

    椀方さんのところで聴かせていただいたCさんの音源は、そういうライブの生々しい霊感を伝えてくれる再生でした。

    byベルウッド at2019-09-28 08:17

  3. 椀方さん

    先日はありがとうございました。楽しかったですね。

    DoPの時は、正直言って、DSD64(SACD相当)であればPCM176.4KHz/24bitとどっこいどっこいか、むしろ、PCMの方が良いかなという感じでした。計算上の情報量ではいい勝負です。でも、nativeになるとやはりDSDの方が優れているという気がしますね。

    デジタルチューナーとデジタルレコーダーによるFMエアチェックの楽しみは日記本文には書きもらしましたが、これも良いですよね。もともとがライブの生々しさと一次音源の良さがあるので、そういうものを再生すると軽くCDを超えてしまいます。

    Cさんにもよろしくお伝え下さい。

    byベルウッド at2019-09-28 08:24

  4. ベルウッドさん
    縦置き配置ですが、いつかは再び聴きたい配置です。
    それ程あの左右に前後上下を加えた立体感あるサウンドは魅力的でした。
    今の壁際横配置は、日々成長する孫台風?からの避難も兼ねているので、もっと成長して分別がつくようになるのをまつています(
    笑)

    by椀方 at2019-09-28 16:41

  5. 椀方さん

    タテ置きもなかなか捨てがたいですね。何よりあのホログラフィックな立体感ですね。横のダイニングコーナーから聴くと、まるで舞台袖からステージをのぞくような感覚。もちろん正面のリスニングチェアでも上方に広がる音場が印象的でした。それでも、ヨコ置きの方が前後感があって、特に前に出て来る感覚がピュアオーディオとしてはオーソドックスで、どんなソフトでも自然な音場感が得られるのだと思いました。

    キャスターかなんかをつけて、ソフトに合わせて、さっとタテもヨコもすぐにセットできるようにすれば楽しいのかもしれませんね。

    byベルウッド at2019-09-28 23:34