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日記

やっぱり真ちゅうがいい (アルゲリッチのト長調コンチェルト)

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2020年04月23日

やっぱりアナログは真ちゅうがいいですね。

ステンレスの高域の伸びとか溌剌としたエネルギー感の魅力も捨てがたいと思っていたのですが、ずっと聴き込んでいると、どうも高域が元気過ぎる…というか目立ちすぎて帯域バランスが少し不自然です。

思い切って、スレンレスを真ちゅうに換えてみました。



問題はスピーカーのサテライトアースなのですが、何しろ、マルチウェイでアンプ直結のユニットが4つ、そのひとつずつに、たわし8個が入ったサテライトアースをつけているので32個の真ちゅうたわしが必要です。スレンレスと真ちゅうをミックスするハイブリッドもうまくいきませんでしたので、総入れ替えということになります。いくら、たわしが消耗品とはいえ、いっぺんにこれだけの数を買う人はあまりいないでしょう。



私が使用しているのは、ホームセンターの自社ブランド品。

このお店(ビバホーム)、なぜか我が家の周辺にはたくさんあって、車で20分程度の範囲に3店舗もあります。さすがに32個ともなると、2日がかりで3店舗全部回って買い集めました。各店、棚はからっぽになりました(笑)。

さて、入れ換えてみると…

ピンポ~ンでした。

やはり高域のクセ(ハイ上がり?)は、ステンレスのせいでした。真ちゅうに換えるとほとんど収まりバランスがよくなったのです。システムやソースによっては、それがエネルギー感としてプラスに感じることもあるのですが、クラシックではやや過剰に感じてしまう。そういう点で、真ちゅうには中庸の良さがあります。



これで、もう一度、アルゲリッチのラベル・ピアノ協奏曲の新旧を聴き較べてみました。


旧盤は、「アルゲリッチとポリーニ」(本間ひろむ)のベスト20にも上げられていたもの。1967年の録音でもちろんアナログ録音です。



一方、新盤というのは同じアバドと組んだ1984年録音。

先ずは、アナログ時代の古い録音の優秀さにのけぞってしまいます。これこそが、金属たわしアースの真骨頂。これが60年代の録音ということが信じられないほど。アバドが30歳台前半、アルゲリッチに至ってはまだ20代半ばでした。そういう若さがはちきれんばかりの演奏。この時代、ラベルのこの曲はまだまだ現代音楽の部類に属していて、テクニックもスタイルもキンキンに尖った曲に響いていました。それを若い二人が演奏するのですから、もうそれだけでも鮮度感あふれる超優秀録音盤でした。



一方の新盤も、旧盤に続けてかけてみると、これまたその録音の良さにのけぞってしまいます。CD最初期の録音ですが、その当時、どんな評価を受けていたのでしょうか。これだけの音が入っていたとは、これもまた驚きです。


ここまで来ると、アナログとデジタルというフォーマットの違いはほとんど意識することはありません。

違いはもちろんあるのですが、それはフォーマットの違いというよりは録音技法の違いというべきもの。旧盤はマルチマイク時代のものですから、音の奥行きは不足気味で、木管のソロは明らかに人為的にクローズアップされていて、距離感がやや不自然。録音エンジニアがピアノを弾くようにフェーダーを自在に繰るシーンが目に浮かぶようです。一方で、新盤は音場の立体感が素晴らしい。冒頭のムチなどの打楽器や管楽器の余韻や残響にはやや人工的なところもありますが、音場感の演出として申し分ない。

演奏そのものは、やはり、旧盤の方が鮮烈。あの頃の古い記憶がそうさせている部分もあるのでしょうが、二人の若さに煽られて聴いている方も自分自身が新しい挑戦をしているかのような気分で胸がわくわくしてきます。新しい時代の到来を告げたという点で、やはり、歴史的名盤ということなんだと思います。

実際、新旧の演奏時間を比較すると、第1楽章では、がぜん旧盤のほうが速い。凄まじいほどに尖っています。若さ…とはそういうものなのでしょう。そこに感動を覚えます。


旧盤
I.   8:00
II.   8:55
III.  3:56

新盤
I.   8:38
II.   9:31
III.  3:51


第2楽章もテンポの違いは同じで、新盤の方がねっとりと遅い。濃密なリリシズムと熟女の体臭が匂いたつようです。その点、旧盤は複リズム的な巧妙さが粒立っている一方で、今ひとつ融和性に不足すると感じさせるのは、これまた若さなのではないでしょうか。

かなり違うと感じるのはオーケストラで、旧盤にはラテン的な活気と洒脱さが不足していて、アゴーギグも生真面目。いかにも現代音楽を演奏しているというような生硬さがあります。オーケストラの技量の差とか、ベルリンとロンドンの風土気質の違いというよりは、17年の歳月がもたらした時代の差なのだと思います。それだけに新盤の方に、演奏解釈の成熟度、深みという点で一日の長があります。

さて…

アナログがいいとか、デジタルが優れているとか、そういう上下を競うようなことは、どうでもよいと思えるようになってきます。

金属たわしアースの効果が冴えてくると、むしろ、互いにその良さを認め合って、双方が歩み寄るような感覚がわいてきます。アナログは音に厚みとふくよかさがあってイイですね、それならデジタルも頑張ってその良さを出してみせます。デジタルは広帯域で、音がクリア、鮮度が高いですね。いいや、アナログだって頑張ればその良さは出せますよ…という風に

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  1. ベルウッドさん、やってますね。

    真鍮たわしいいですよね。でも、さすがにいっぺんに32個は買ったことはありませんが。。。

    ステンレスと比較して、音像と音場の出来方も変化しませんでしたか?拙宅ではステンレスの方が前よりで、真鍮の方が離れる方向に展開します。その理由としては、高域の出方の違いもありそうですが、真鍮の方が音がほぐれる為と感じています。

    この音のほぐれは、使い込めば込むほどほぐれてきて、2~3ヶ月するとビックリするほどの変化を感じられました。この先も楽しみですね。

    byヒジヤン at2020-04-23 18:58

  2. ベルウッドさん、こんばんは。

    真鍮たわしアースもやったことないですし、アナログの1回目も聴いたことがないですが、よく分かる気がします。私に褒められても嬉しくないでしょうが、良いレビューですね。立派です。どうしてもアルゲリッチのピアノに、何らかの女性性を看取なさりたいご様子ですが!(爆)

    ルービンシュタインの弾くショパンのノクターンが好きです。ロマンティッシズムに技巧が優っており、甘すぎないので。ただアルゲリッチのラベルのデジ録の緩徐楽章の夜の甘さは、、、

    アナ録、ユンディ、ロジェ、色々聴き比べるのが、楽しみです。

    byベルイマン at2020-04-23 21:19

  3. ヒジヤンさん

    確かに音像の《表面硬度》(??)のような質感とステージ前縁の位置みたいなものが変わりますね。《表面硬度》というのは苦肉の表現ですけど、木像、石像、ブロンズ像の違いみたいな…。ステージ前縁の位置というのは、単純な前後位置みたいな感覚で、ステージの奥行き寸法はあまり変わらないという印象です。サテライトアースがあるとないとの違いとか、個数(量)の違いはすごく大きいですけどね。

    それはやっぱりトランジェントのアタックなどの高域のバランスなんじゃないかと思います。可聴帯域では真ちゅうアースがバランスよく働くのではないでしょうか。

    今回あらためて感じたのはエージングに時間がかかることでした。当初は順調で3日ほどで安定期に入ったと思ったのですが、まだまだでした。安定してよい感じを満喫できるようになるまでは10日ぐらいかかりました。仰るようにまだまだ先の楽しみがあるのでしょうね。楽しみです。

    byベルウッド at2020-04-24 08:50

  4. ベルイマンさん

    ルービンシュタインのショパン!

    いいですね。昔は、大メジャーで巷にあふれていたせいでステレオタイプで俗っぽいと決めつけていたのですが、このところ古いモノーラルレコードを引っ張り出してかけてますが、聴くほどに惚れ込んでいます。

    そのルービンシュタインを絶賛していたのがNYタイムズの批評を担当していたショーンバーグ。ステイホームで暇なので、久しぶりにその音楽批評集を読み返しているのですが、その1章に『ピアノ演奏は性別に左右されるか』というのがありました(爆)。

    被験者グループによって正解率は変わりますが、正解率が高かったのは男性ではホロヴィッツ、ホフマン。女性ではダヴィドヴィッチ、ノヴァエス。ホフマンとダヴィドヴィッチの組み合わせでは、ほぼ100%の正解率だったそうです。対してノヴァエスでは、テスト会場では真逆の結果もあったとか…わかるような気がします。

    ちなみにショーンバーグご本人の結びの句は、『(演奏の質はわかるが)性別については、正しく推量することができなかった。…聴こえもせず、ピンともこない』ということです(笑)。

    byベルウッド at2020-04-24 09:13

  5. ベルウッドさん、こんにちは。

    ヒジヤンさんの制作レシピにも書かれていますが、ステンレス・真鍮それぞれにキャラクターがあるわけですね。
    適材適所ということなのでしょうが、私が計画しておりますのはアナログとスピーカーですから、真鍮の方が良さそうですね。

    現在、緊急事態宣言発令中ですが仕事の方が少々立て込んでいて計画段階で止まってしまっております(汗)
    さすがにそろそろ材料は揃えていかないといけません(笑)


    アルゲリッチのラベル、最近はテミルカーノフとのブルーレイを聴いて?おります。
    ただこのディスク、演奏以外に若干気になるところがあるのでグリモーとユロフスキの方が多いでしょうか?
    どちらも映像つきですが、グリモーの何かに憑依されたかのような表情が見ものです。

    byfuku at2020-04-24 09:41

  6. fukuさん

    映像(ブルーレイ?)だとCDにはないまた違った演奏が聴けるんですね。

    さっそくグリモーとユロフスキーを検索しましたが、CDでは見つからず、YouTubeのアダージョ楽章の画像に行き当たりました。素晴らしいですね。

    最初の長いピアノソロの場面のユロフスキーを初め、演奏をしていないメンバーの表情がしばしば捉えられていますが、グリモーの憑依が乗り移ったかのように陶然と聴き入っています。

    そのオーケストラも凄いですね。これはロンドン・フィルではないですね。ヨーロッパ室内管でしょうか。どこのオケでしょう?

    byベルウッド at2020-04-24 10:26

  7. ベルウッドさん

    さすがですね、大当たりです。
    グリモー/ユロフスキはヨーロッパ室内管弦楽団、アルゲリッチ/テミルカーノフはロイヤルストックホルムフィルです。
    どちらもブルーレイです。

    日記の本筋とは外れますが、映像がついていることでまた違った印象を受けますね。
    4Kディスクのブニアティシヴィリ/メータが映像面での拙宅のリファレンスディスクです。
    リストのカデンツァではブニアティシヴィリを見る団員の視線が男性と女性で露骨に違うところまで分かったりしますし(笑)
    まあ、バーゲンプライスの時しか買わないので数は揃っておりません(汗)

    byfuku at2020-04-24 13:47

  8. fukuさん

    あたりでしたか!やったー。

    ほんとに映像があると音だけとはまた別の様相が見えますね。

    ついでにアリス・紗良・オットとN響の映像もYouTubeにあったので見入ってしまいました。

    オットはたぶん映像がなければ女性とは言い当てられない方のタイプだと思いますが、その率直なフレージングと微かな甘みを含んだピアノの音に彼女の顔が映し出されるとシアワセな気分になります。アダージョでは、オーケストラを時より見やりながら木管のソリストたちに微笑みを返しているのが本当に可愛らしい。

    YouTubeの映像ではカットされていますが、私の記憶では、2回目の答礼の時にはコールアングレの池田昭子さんのところへ駆け寄ってハグを交わしていたと思います。いい場面でした。

    byベルウッド at2020-04-24 16:18

  9. ベルウッドさんこんにちは、

    いつも面白い記事をありがとうございます。

    ベルウッドさんを真似して、真ちゅうアースを作って1か月、何だか音が曇ってきました。百均の樹脂ケースに、真ちゅうの端子板とたわしを詰め込んでいるだけなので、効果が弱いのかなと思っていました。

    でも念のため消磁してみました。もちろん真ちゅうなので帯磁していないはずです。消磁器のブーンという手応えもなく無音で消磁が終了しました。

    ところがその効果は、最初に真ちゅうアースを接続したときより強力です。広大な空間と繊細な楽音が出てきました。

    ケーブルや端子のクリーニングと消磁はたまにやることがあります。でもこの仮想アースの消磁ははるかに効果的でした。

    まったく不思議です。訳が分かりません。まあ、仮想アースそのものが不思議なんですが。

    byありすと at2020-05-25 11:35

  10. ありすとさん

    コメントありがとうございます。

    実は、私もたまに消磁器をかけています。

    CDも、強磁性ではないですが再生の前にあらかじめ消磁器をかけるのとかけないのでは違いがあります。反射膜に使用されるアルミに含まれる鉄などの強磁性体の不純物とか、塗料に酸化鉄などが含まれるせいではないかと言われています。

    おそらく同じように真ちゅうに含まれる不純物のせいではないでしょうか。

    私の場合、自分で音が悪くなったと思うほどの違いは感じません。やはり、銅板や銅箔のおかげなのでしょうか。銅の磁化率は、亜鉛と較べても一桁違います。でも、ほんとうのところはよくわかりません。

    byベルウッド at2020-05-25 16:21