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日記

「永遠のカノン」2本のリコーダーの対話(山岡重治/太田光子リサイタル)

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2020年12月11日

山岡重治さんはリコーダー演奏の大御所。そのご尊顔を拝してのリサイタルは初めて。一方の太田光子さんは、もう10年来のファンですが、ここのところご無沙汰。そのお二人がリコーダー2本だけのリサイタルに挑むというので勇んで会場に足を運びました。



プログラムは、クヴァンツのソナタを中心に、テレマンやフランスのオトテールとも対比させて組まれています。

クヴァンツは、フルートをたとえ戦場にあっても片時も手放さなかったというフリードリヒ大王のお抱えのフルーティスト。大変な高給で抱えられていて、そのせいか出版された作品は少ないそうです。そのクヴァンツ先生があえて出版したのが、この作品2という2本のリコーダーのためのソナタ集。あえてヴィオラ・ダ・ガンバやチェンバロなどの通奏低音もつけず2本だけのソナタ。そのこだわりについて楽譜には2頁におよぶ長大な序文をつけて詳しく述べているそうです。

リコーダーは、とても幸せを感じさせてくれる楽器です。

幸せというのは、ひとつには、その親和性の高いピュアで素直な音色。それだからこそ、同属楽器による合奏(コンソート)がひときわ楽しく美しい。同属楽器というよりも、移調楽器というに近く、ソプラノ(C管)、アルト(F管)、テナー(D管)などなど様々あって、技巧的に持ち替えが容易。だから合奏は、演奏者にとっても聴き手にとっても楽しい。アマチュアのファンも多い。そういう幸せいっぱいの家族愛を感じさせてくれます。

カップルだけの合奏というのは、そういうファミリーの原点だというわけです。3度、6度の並行和音の美しさは音程としても難しいし、声部を交換させていく息合わせも基本ですし、ばらばらに進行してなおかつ相和する、カノンやフーガとなれば対位法の奏法としてとても高度な音楽技巧が必要です。それを通奏低音の和声進行という援助をいっさい受けることなく二人だけでやってのける。そういう合奏の一丁目一番地を説いているのがクヴァンツ先生というわけです。

確かに、クヴァンツのソナタは、そういう技巧がとても華麗で喜遊に富んでいますが、どこかすごく厳粛で生真面目。同じアルト管という最もシンプルなデュオだけのアンサンブルというのは、ほんとうにすっぴんの無防備さがあってとても厳しい。厳しいだけにお二人の完璧な技巧とアンサンブルが冴えて、ある種の厳粛さと緊張とを超えたところの楽しさや喜びは聴いていてもひしひしと感じます。



山岡さんは、CDのリーフレットなどでお見かけしたよりもずっと穏やかなお姿。どこにでもおられるのんき父さんみたいな雰囲気がちょっと意外です。曲毎に紹介のスピーチを挟んでの進行でしたが、そのたびにマスクをされる。リコーダーは、飛沫が飛ばないというシミュレーション結果が報告されているのだそうです。だから、スピーチの時だけマスクをされる。そのマスクをつけたままリコーダーを構えるので、ハラハラ見ていた太田さんが小声で「せんせい…あの…」とささやくと会場から笑いが起こります。とってもファミリアなリサイタル。

使用したリコーダーは、全プログラムを通じでフレンチピッチのアルト(F管)。フレンチピッチというのは、標準的なバロックピッチ(415Hz)よりちょっとだけ低い(392Hz)。テナー(ヴォイスフルート)との中間ぐらいの音高で、リコーダーらしい音色がうまく出ています。

山岡さんは、リコーダー演奏家とは別のもう一つ、リコーダー製作者・平尾重治というお顔をお持ちです。平尾工房というのはすなわち、そちらの重治さんが代表を務めておられます。このリサイタルでは、Peter Bressanのレプリカで平尾工房製作のものが、最後の曲で太田さんが持ち替えたものを含めると3本。それでプログラム全体を通していました。

オトテールの多彩さや、テレマンの喜遊性あふれる様式美には、思わず頬が緩みます。そういう風に、しばし、厳粛さから解放されて緊張が緩んだところで、再び、クヴァンツ大先生に戻ると、そういう作用で、かえって合奏の緻密さに改めて目覚める気がします。



最後は「永遠のカノン」。

いわゆる「無窮カノン」です。一対のカノンがめぐりめぐってとどまることを知らない。永遠に繰り返すことも可能。山岡さんは、あらかじめ6回繰り返して終わりますと宣言されていました。

近江楽堂の響きもリコーダー2本にぴったり。会場は、ウィズコロナであってもほぼぎっしりの満席。リコーダーが好きで好きでたまらない愛好家にとってやはり山岡(平尾)重治の存在は飛び抜けているようです。フリーアナウンサーの朝岡聡さんのお顔もお見かけしました。



ほんとうに幸せなひとときでした。






平尾リコーダー工房40周年記念演奏会
第1回「永遠のカノン」2本のリコーダーの対話
2020年12月7日(月) 19:00~
東京・初台 東京オペラシティ 近江楽堂

リコーダー:山岡重治 太田光子

クヴァンツ デュエット第1番 変ロ長調 QV3:2.4
クヴァンツ デュエット第2番 ハ短調 QV3:2.5

オトテール 組曲第2番 Op.6

テレマン ソナタ第3番 TWV40:143
クヴァンツ デュエット第6番 ト短調 QV3:2.3

(アンコール)
M.ブラヴェ:ブリュネット「もう終わりなのか、つれない人よ」
ほか

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レス一覧

  1. ベルウッドさん

    リコーダーがクラシック演奏として存在していることすら知りませんでした。
    お恥ずかしい
    私の記憶の中のリコーダーの音は小学生時代の音できっと似て非なる音なのでしょうが、想像の中で聴いただけで小学時代のリコーダーのテストに怯えていた自分を思い出します。

    音楽用語をグーグル先生に聞きながらベルウッドさんの日記で勉強させていただいています。
    ありがとうございます。

    by雑居ビル at2020-12-12 07:28

  2. 雑居ビルさん

    私の頃は、スペリオパイプって言いました。

    スペリオパイプは、日管(ニッカン)の商品名で、リコーダーをプラスチック化したもので安価に大量生産できたので、たちまちのうちに学校音楽教育を席巻しました。私もスペリオパイプ少年でした。高校、大学とずっと吹いてました。大人になってからでも本格的に習えばよかったと今でも思います。

    日管は、戦前からの管楽器製造会社ですが、昭和40年前後から管楽器製造に本格参入した日本楽器(現・ヤマハ)に吸収されます。そして、そのヤマハは、ついには、ウィン・フィルの管楽器の大勢を占めるまでに技術力を高めるまでに成長したというわけです。

    愛好家はとても多いと思います。

    byベルウッド at2020-12-12 09:31

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