ベルウッド
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日記

「主役は豪華な管楽器」 (芸劇ブランチコンサート)

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2020年12月26日

東京・池袋の東京芸術劇場コンサートホールでのブランチコンサート。



ウィークデーのマチネ、1時間きっかりで正午に終わるカジュアルなコンサートですが、再び隣席をひとつ空ける自粛ムードに戻ってしまいました。おそらく追加のチケット販売を取りやめたのでしょう。

席は、1階の最後列。後壁が迫るこの席は初めてでしたが、図らずもこのホールの響きのバラエティを体感することに。このホールは、1階最後列であっても2階席のヒサシの下になりません。後壁の効果もあって音がよく回り込む。そういう響きが、この日の木管アンサンブルにはとてもよく合っていました。

最初は、シューマンの「3つのロマンス」。



オーボエが原曲ですが、ヴァイオリンを始め、フルートなど他の楽器でもよく演奏されます。それでもフレンチホルンというのは初めてです。さすがに冒頭の入り鼻など完璧とはいきませんでしたが、N響の若き首席福川さんの安定した豊穣な演奏に聴き惚れました。

このひとの登場は、後に続いた読響の日橋さんとともに、ほんとうに日本のオケの歴史を変えたと言っても過言ではないでしょう。ホルンが落ちる、聴いていてもハラハラするというのが日本のオケでは避けられませんでした。このシューマンだって、ホルンで吹くということ自体、曲芸の世界だったのですが、まるでホルンのために作曲されたかのように聴かせてくれます。



続いては、やはり、今年の春に首席に就任したばかりの吉村裕実さんのオーボエです。長いことN響の顔のひとりだった茂木大輔さんが定年で退団されて、その入れ替わりのようにして首席に就任。ついこの間まで兵庫芸術管で吹いていた若手です。さすがにこの日は少し堅くなっておられたかもしれません。音色は、透明感のある明るい魅力がありますが、ちょっと細身でお茶目で皮肉っぽいプーランクらしい洒落っ気は今ひとつ。



ファゴットの水谷上総さんは紀尾井ホール管の常連でいつもお見かけしますが、さすがの落ち着いたベテランの味。



司会の清水和音さんのお話しでは、木管奏者というのはもの静かで口数が少ないのだとか。だれもインタビュースピーチには応じてくれないということで、もっぱらホルンの福川さんがお相手。楽屋で出番を待つ皆さんをネタにその無口ぶりをイジっていましたが、皆さんは楽屋口でどんなお顔をしていたのでしょう。

最後はベートーヴェンの五重奏曲。

モーツァルトの五重奏曲とよくカップリングされる曲ですが、実演を聴くのは初めてです。いかにもモーツァルト賛ともいうべきウィーンの典雅な雰囲気がいっぱい。そのハーモニー感には、ベートーヴェンらしい野心などはみじんも感じられず、よき時代のウィーンの包み込むような優雅なハーモニーがとても心地よかった。



クラリネットの伊藤圭さんは、格別に無口らしく目立たない存在ですが、この演奏ではじつに柔らかい透明感でもってアンサンブルの音色をリードしていました。

さすが、日本の最名門オーケストラの首席奏者たちです。音色もよく融け合い、しかも、若々しくフレッシュでした。





芸劇ブランチコンサート
清水和音の名曲ラウンジ
第27回「主役は豪華な管楽器」
2020年12月23日(水) 11:00~
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(1階S列15番)

シューマン:3つのロマンス op.94より 第2曲
 ホルン:福川伸陽
 ピアノ:清水和音

プーランク:ピアノ、オーボエ、ファゴットのための三重奏曲
 オーボエ:吉村結実
 ファゴット:水谷上総
 ピアノ:清水和音
 
ベートーヴェン:ピアノと管楽のための五重奏曲 op.16
オーボエ:吉村結実
クラリネット:伊藤圭
ホルン:福川伸陽
ファゴット:水谷上総
ピアノ:清水和音





以下は、蛇足です。

聴いている音は、かなりが間接音であって直接音は意外に少ない。ホールなどでも壁の反射や残響という間接音が、よい響きの条件となります。この日は、最後列の席でいつもとは違う響きを感じたのもそういうことです。

特にホルンは楽器の構えが横向きで、朝顔のラッパを聴衆に対して横うしろの方向に向けていますから、独特の音の拡がりがあります。そのことで音がやわらかくまろやかで、他の楽器とよく融け合い、どこからともなく聴こえてきます。

ホールと座る席の違いによって音の色彩や触感もずいぶんと変化し、時にはとんでもない方向から聞こえてくることもあります。シカゴ響を、その本拠地オーケストラ・ホールの最前列で聴いた時、チャイコフスキー4番の冒頭のホルン4本のトゥッティが頭上の半円天井から降るように聞こえたときには驚喜感動しました。それほどに実際のサウンドは間接音の効果が大きいのです。

SR(PA)などの音響工学では、直間接臨界距離という指数があります。音源の直接音がどこまで届くのかの目安となる数字です。その限界距離とは、すなわち直接音と間接音が同一の音圧になる距離のこと。つまり、直間接比率が50%ということになります。距離が離れていくと直接音は届きにくくなり、間接音がどんどん入り込んで来る。そしてある程度以上離れたとき、音源そのものの音の聴感上のリアリティが失われてしまう限界点に達する。この距離以上では音源の音を聞いているというよりは残響音を聞いているに過ぎないということになってしまう。SRの世界では直間接比率が50%というのがそのひとつの目安になるというわけです。そこが臨界点で、野外などでは10mぐらいが実用的な距離となってしまうことも。オーディオの場合は、50/50よりはるかに直接音の比率が多く、間接音の比率のほうが多いなどということはさすがにないと思います。

では、良い音というのが、どの程度の直接音比率なのかというのは、とても難しい。音楽家の考えもあるし、聴衆の好みもある。大ホールのなかでまんべんなく同じ比率で音が届くということもあり得ないし、各楽器(各スピーカーユニット)の指向性によっても大きく違う。内壁などの吸音も周波数によって違ってくるから一概に平均値で言うわけにもいきません。

早いパッセージでは残響などの間接音は邪魔になり、一方、ゆったりとした音楽や音の切れ目では長い残響が心地よい。実際に、トップレベルの演奏家はホールの残響特性によって同じ曲でもテンポの取り方を変えています。オーディオの世界では、リスナーの部屋で加わる間接音を考慮しながら、どの程度、音源そのものに間接音を取り入れるかにエンジニアたちは腐心していることになります。その前提は、モニタールームの試聴位置での直間接比率が基本ですが、想定しているのは平均的な家庭のリビングルームの響きだということだと思います。

この日は、間接音の比率が高い最後列に座ったために、ホルンの響きが心地よく、ベートーヴェンの五重奏曲も典雅な雰囲気が楽しめました。反面、動きが速く細かく、色彩のコントラストや変化が豊かなプーランクではやや精彩を欠くと感じたということになったのかもしれません。

NHKホールのような多目的大ホールの最後列では、直接音が限界距離を超えて届きにくく、2階のヒサシの影響で間接音も遮断されてしまい、音が貧しくなってしまいがちです。芸劇コンサートホールの後方座席は、この点でとてもよい響きでした。

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  1. ベルウッドさん おはようございます。

    いつも詳細な情報を、だまって読ませて頂いてます。
    こちら文才も無く苦手でして。

    東京芸術劇場は以前ムターの演奏会で一度聴いてます
    たしかW.A.Mの5番かと、ホールの反射音、豊だった覚えが
    NHKはほんと音が届かなくて、録画が優先ホールかなとがっかりしました。

    ほんとプロの演奏、指揮者はホールの残響を読んで間を
    取ってるのでしょうね

    ホールと違い個人宅の直間の時差がなく残念ですが
    限界がありますね(笑)

    by田舎のクラング at2020-12-26 09:47

  2. ベルウッドさん

    いつもながらすばらしい音楽解説に感心しています。

    清水和音さんは先日NHKのクラシック倶楽部でシューマンの子供の情景とショパンのバーラード第4番巡礼の年第2年イタリアベードーベンピアノソナタ第30番ホ長調を演じていました。シューマンが凄く気持ちよくてあっという間にベートーベンまで聴きいってしまいました。辺境の地に住んでいる身としてはNHK様様です。しっかり音でけ抽出して曲ごとにライブラリーに収めました。映像もマイク位置がよくわかるショットを残しています。聴きながらセッティングしていく道がご教授いただく度に向上していきます。感謝しています。

    nHKBSは音だけ48km4aとしてオリジナルで抽出すると48k64bitになります。aac256bpsなんで20kでバッサリ切られてますが私には聞き取れませんと言い聞かせながら楽しんでいます。

    今後ともよろしくお願いします。

    by雑居ビル at2020-12-26 19:07

  3. 田舎のクラングさん

    芸劇でムターのモーツァルトを聴かれたのですね。素晴らしい体験だったことでしょう。

    芸劇は、けっして評価の高いホールではありませんが、意外に健闘しています。今回、最後列という意外なスポットを発見しました。サントリーホールなどは直接音、間接音ともに問題も少なくなく、スイートスポットとも言うべき席も少なく、あまりよいホールだとは思いません。世評というのはあてにならないものです。

    個人宅とホールは違いますよね。直と間に聴き取れるほどの時間差があったら大変です。部屋は広く、天井は高いほうがよいですが、ほどほどにしておかないと無響室+こだまみたいなことになりかねません(笑)。一番大事なのは、響きを整えてそれを壁沿いにうまく部屋中に回してあげることでしょうね。私には、お茶の間の制約があって、できていません。クラングさんのお部屋がうらやましいです。

    byベルウッド at2020-12-28 09:59

  4. 雑居ビルさん

    BSデジタルの音声だけをライブラリ化されておられるのでしょうか。詳しい方法をレポートしていただけると参考になります。

    私は、FM放送をデジタルチューナーからデジタル出力させてデジタルレコーダーでファイルに落としています。デジタルチューナーというのは、アナログ波をデジタル変換してデジタル領域でFM復調をさせるわけですが、その復調信号をデジタルのままに出力するわけです。

    FMはもともとアナログ波ですし、放送規定で16KHzでばっさり切られていますが、このデジタルエアチェック音源はCD顔負けの素晴らしい音がします。24bitということと、やはり、音源がフレッシュだからだと思います。

    byベルウッド at2020-12-28 10:10

  5. ベルウッドさん

    らじるらじるは16bit48k4ma 46kbpsです.jrmcでデコードすると64bitにしてdspで64bit 48k処理されて32bitでdirettaに出力しています。イコライザーで観察しても10k以上出てないと思います。クラシック関係と音の風景は3年程ほぼ24時間録音しています。こんな低品質なのに音の風景で広大な音場が出現します。不思議でなりません。デジタルチューナーの24bitだともっと凄いのですね。アキュフェーズが欲しくなりますが手作りPC入れると微妙ですが家のシステム全部より高いので高嶺の花ですね。俺は知らなかったんだと言い聞かせます(笑)

    by雑居ビル at2020-12-28 11:58

  6. 雑居ビルさん

    ご紹介しているデジタルチューナーはけっして高嶺の花ではありません。港北ネットワークサービス/C-FT50というチューナーです。高価なブランドのチューナーと較べて音は勝るとも劣らないと思います。

    https://community.phileweb.com/mypage/entry/2408/20170906/56849/

    デジタルレコーダーも、DENONやTASCAMから手頃な価格のものが出ています。

    byベルウッド at2020-12-29 08:00

  7. ベルウッドさん

    ありがとうございます。
    私は何にも知らない新参者ですね
    お恥ずかしい
    それでもちょっと約10枚はキツイとおもいましたが、頒布という道がありましたね。基板までは作れませんが自作の道具立てはそこそこ揃えてありまして、これなら作れると思います。
    ありがとうございました。

    by雑居ビル at2020-12-29 21:41

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