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国内盤と輸入盤?? (チック・コリアの場合)

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2022年01月09日

私は、同じ音源の場合、原産地主義を基本にしています。

つまり、録音制作が国内ならば国内盤、ヨーロッパならばEU盤…というように。クラシックであれば概ねこれで当たりということがほとんどです。もちろん両者でほとんど違いがないということも多くありますが、やはりハズレを引いてしまうリスクを低減するにはこの原則を守った方が良さそうです。

ところが、そうでもないのがジャズ。

日本は、本場に負けず劣らずファン層が厚いからでしょう。むしろ、いささか衰退気味のアメリカに較べると若い世代やオーディオフリークも含めて層が厚いのが日本。勢いレコード会社もアナログ時代の国内プレスは言うに及ばず、現代でも版権の取得やアナログのデジタルリマスターに熱心に取り組んできたからなのでしょう。

しかし、一方でリマスターということには、ちょっとした落とし穴もあるようです。それは、つまり、音が良いことが必ずしも完成度が高いとは言えないということ。根強いオールドファンやヴィンテージオーディオのマニアにとってはむしろオリジナル盤の音味が忘れられないということもあるというのが、クラシックとは大いに違うところのようです。



チック・コリアの『ナウ・ヒー・シングス、ナウ・ヒー・ソブス』(Now He Sings, Now He Sobs)がちょっと気になったので、国内盤と輸入盤のCDを比較してみました。

このアルバムは、言うまでもなくアメリカ合衆国のジャズ・ピアニスト、チック・コリアが1968年に録音・発表したリーダーアルバム。彼の名を世に知らしめた名盤です。「ソリッド・ステイト・レコード」というマイナーレーベルでしたが、このレーベルは、ジャズの名門ブルーノート・レコードの買収され、そのブルーノートもリバティー社からEMI傘下のキャピトル・レコードへと転々とします。

国内でも、ブルーノートの国内プレス・販売権が、東芝音工(東芝EMI)とキングレコードとの間を行ったり来たりと複雑な経緯をたどっています。その間、このアルバムも

比較したのは、比較的最近の国内盤(2006年EMIミュージック・ジャパン TOCJ-50044)と、海外盤(2002年BLUE NOTE Made in EU)の2枚です。

聴き較べてみると、けっこう違うのでちょっとびっくりします。

2トラック目の「マトリックス」で波形等を較べてみます。

(海外盤)
全体の波形を較べてみると、海外盤はピークも厭わずぎっしりと詰め込んでいて、山谷が激しい。


(国内盤)
国内盤はレベルは抑えめでクリッピングマージンをそれなりに確保し、山谷は比較的穏やかです。

(海外盤)
同じ部分のスペクトラムを較べると、海外盤は倍音の針状のピークも鋭く、分布も自然です。20KHzにピークがあるのはアナログのヒスノイズでしょうか。

(国内盤)
一方で国内盤は、ローエンドとハイエンドを持ち上げています。20KHzでストンと切れているのはフィルターがかかっているからでしょう。

聴いてみると、やはり海外盤はエネルギッシュです。国内盤は、全体的に聴きやすくハイファイ調によくまとまっています。

かなり違って聞こえるのは、各楽器の定位感です。海外盤では、ドラムスが中央にモノラル的に定位しベースが右目。ピアノだけがステレオ的に左右に拡がります。国内盤はドラムスもベースもピアノもすべて中央に固めて定位させています。

ベースの定位の違いは、このトラックで3'15"~4'23"のところでベースソロがあるので確認できます。海外盤では右に寄っていますが、国内盤は左右の波形で見るとむしろ左が大き目になっています。

実際に自分で聴いたわけではないですが、オリジナル盤のLPをお持ちの方に聞いてみると、まさに海外盤CDのほうと同じです。国内盤の定位の印象をお伝えするとかなり驚かれていました。

この国内盤にはクレジットがないので、エンジニアもマスタリングの経緯もわかりませんが、明らかにデジタル化にあたってハイファイ調に聴きやすく、オリジナルの定位感も確認せずにそのままのバランスでトラックダウンしたのでしょう。

一方の海外盤は、ロン・マクマスター(RON McMASTER)によってオリジナルマスターの4トラックテープから24bitマスタリングされたと明記されています。ロン・マクマスターはEMI傘下のキャピトル・レコードで長くキャリアを積んだ名エンジニアで、ビートルズなど数々のデジタルリミックスマスタリングを手がけています。オリジナル盤の音味もよく知っているのでしょう。前述のオリジナル盤所有の方によると、マトリックス番号の刻印からみて製造はキャピトル・レコードでほぼ間違いないとのことです。

以上、要約すると以下の通りです。

1.海外盤は、多少粗っぽいがエネルギッシュでアナログ盤の雰囲気をよく伝えている
2.国内盤は、一聴すると高音質だが、ハイを持ち上げている
3.海外盤は、オリジナルと同じ定位感だが、国内盤は中央にすべて重ねてしまっている



海外盤の定位は、ベースが右目なのでピアノのステレオの拡がりが聞こえにくいと重心が右に寄ってしまい、左ががら空きというふうに聞こえがちです。SNがよく位相が正確な再生であればピアノのステレオ感が聴きとれるので左ががら空きとは感じないはずです。

リマスタリングにあたっては必ずしもオリジナル通りでなければならないということはないかもしれません。むしろ、オリジナルより聴感的に高音質ということが求められているということもあると思います。けれども、このチック・コリアの場合、個人的にどちらが好みかと言われれば、海外盤のほうをとります。演奏の熱気、覇気が鮮度よく伝わるのは海外盤のほうであり、中央に3人の奏者を重ねてしまっている国内盤の定位は音楽的に致命的なミスだという気がするからです。

これをもって国内盤・海外盤の違いを一般化するわけにはいかないし、ケースバイケースだと思います。盤質やマザーマスターかコピーマスターかなどスタンプマスターの精度など技術的問題にもそれぞれの事情があり得ます。けれども、一般的に日本人はハイファイ志向でオリジナルの音味よりもハイエンドが伸びた透明感のある上品な音を好むようで、日本のマスタリングエンジニアも芸術よりも技術を志向する傾向が強いようで、それが結局はプレスマスターに反映されるのだと感じます。

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  1. こんにちは、
    興味深いお話ありがとうございます。
    Chick Coreaは私の永遠のアイドルです。 Now he sings, now he sobsも大好きな作品です。 LP、CDを所有していますがどちらも日本盤です。
    LPは80年代初期の日本再発盤、CDは1988年発売の日本盤、でも音源データはアメリカから輸入したようです。 と言うのもCD自体は日本製ですがFor this compact disc, the complete session has been brought together and remixed digitally. (Michael Cuscuna)と書かれています。

    今まで聴き比べたことはありません。
    そもそも定位のことを考えたことはありませんでしたので早速聴き比べてみました。 ついでにQobuzの96k/24音源も。

    まずは、1988年CD、ベースは若干左の中央、ドラムは若干右の中央、ピアノは中央だけど広がり多し。 ですからベースソロは中央やや左になります。 ベルウッドさんの日本盤CDと同じです。 多分同じ音源なのかも。
    次はLP、これはベースは右に定位してます。 確かにソロでは右だけと言う感じ。 ドラムは左、ピアノは中央です。
    最後にQobuz音源。 定位はLPと同じでした。

    音質は、私はLPが一番好みです。 Qobuz音源もいいですがちょっと派手すぎる。 
    CD音源は、滑らかな感じです。 でも高音を持ち上げている感じではありません。 むしろQobuz音源の方が高音はキツイです(楽器定位はLPと同じですけど)。

    面白い体験をさせていただきました。 こんなに違うとは思わなかった。

    byBI1961 at2022-01-09 16:32

  2. BI1961さん

    詳細で興味深いコメントありがとうございます。

    やはり、音質の違い以前のこととして、マスターが複数存在するようですね。少なくとも以下の3通りあるようです。

    a. アナログLP
    b. BLUE NOTE デジタルリミックスⅠ(by Michael Cuscuna)
    c. BLUE NOTE デジタルリミックスⅡ(by Ron McMster)

    b.のカスクーナは、音楽プロデューサーでブルーノート・レコードのディスコグラファーとして有名。c.のマクマスターは前述のようにキャピトル・レコードのベテランエンジニアです。

    確かに私の国内盤CD(2006)は、BI1961さんの国内盤CD(1988)と一致するようです。LPは、ドラムスが左ということでSolid State初出盤とも一致します。a.には厳密には、Solid Stateの初出、Blue Note米国製と日本製とがあるはずですが、いずれもマスターは共通なのでしょう。b.のミックスには疑問がつきますが、もしかするとa.とb.の間にもうひとつのBlue Noteのアナログマスターがあるかもしれません。b.がそちらの方に準拠したデジタルリミックスをした可能性があると思えてくるからです。

    もともとの国内盤と海外盤との量産マスターの音味の違いに話しを戻すと、やはり国内盤は音をマイルドに作る傾向があるように思えます。「高音を持ち上げる」ということの聴感上の効果は、決してドンシャリにするという意味ではありません。ハイファイ調に高域まで音が伸びてきれいに聞こえるようにするということです。スペクトラムを見ないと気がつかないと思います。この国内盤の滑らかでマイルドという音調は、アキュフェーズやラックスなど国内ブランドのA級アンプの《音作り》にも共通するような気がします。いわゆる日本人好みということなんだと思います。

    こういう聴き較べもオーディオの楽しみですね。「違いがわかるオレ(のシステムと耳)って、スゲー!」みたいな自慢だと笑われてしまうのでしょうけど。

    byベルウッド at2022-01-10 10:48

  3. 貴方も国内盤の評価をよくしますね。(笑)

    海外では生演奏が身近に定着しているので生演奏での音楽教育が普通で、録音は娯楽でしかないからハイ落ちのしようと勝手です。その点日本ではまだまだ生演奏が身近にないので、どうしても録音で音楽教育をする必要がある。そこで、JASRACが音低や音高の正確さを監視しているのだと思います。海外にもJASRACみたいなのがあって、輸入盤にどこが管理しているか記されていますか、です。

    bybb7 at2022-01-10 17:47

  4. bb7さん

    はい、昔からよくやっています。原点のひとつとなったのはこちらでした。

    https://community.phileweb.com/mypage/entry/2408/20101018/21121/

    ところでJASRACが音を監視しているとは寡聞にして聞いたことがありません。JASRAC(日本音楽著作権協会)は、音楽著作権者から信託を受けて代わりに利用者から著作権使用料を徴収している団体だと承知しています。音程(音律)や音高(ピッチ)を監視しているだなんて、定款とか規定か何かに書いてあるのでしょうか?

    そもそも絶対に正しい音程(音律)、音高(ピッチ)なんてありません。それぞれの演奏や歴史によってまちまち。勝手に変えたり、押し付けたりしたら、それこそ知的財産権の侵害でしょう。

    JASRACは、音楽教室からも使用料を徴収するとして音楽教育の現場と対立しています。先生が楽譜を使って模範演奏したら使用料を払えというわけです。いわばJASRACは音楽教育の敵。いまも知財高裁で争っています。

    byベルウッド at2022-01-11 13:17

  5. ベルウッドさんへ
    サイモン・ラトル/ベルリン・フィル(「くるみ割り人形」全曲)ですか

    人気商品の様ですよ。
    JASRACが監視しているというのは言い過ぎでしたが、音程、音高は正確ですよ。だって、ジャンルにかかわらず,皆音楽学校等を卒業した人たちですから、プライドがありますよ。輸入盤に著作権が無いというのはある意味いい加減なものと理解できなくはない、タダより○○なものは無いと申しますから。

    bybb7 at2022-01-11 15:09

  6. bb7さん

    音程・音高は、まちまちなので「正確」というのはあくまでも演奏者や制作者のものです。JASRACの職員にはそういう権限も関与もなにもないですよ。

    輸入盤にも当然著作権はありますが、その使用料をどうやって誰が徴集して、どう分配するんだという問題はありますね。詳しくは知りませんが、かつてはいろいろ葛藤があったんだと思います。でも、いまや配信やストリーミングの時代ですからね。スティーブ・ジョブズが最大の功労者だということでしょう。日本の業界の現状は、ユーザーの視点から見れば、旧態依然ということです。事実上の再販制度がいまだに維持されています。

    byベルウッド at2022-01-11 18:58

  7. ベルウッドさんへ

    >こんなCDは買ってはいけない。

    凄いですね!この頃どんなシステムでソフトを再生していたのですか?最低でも輸入盤だけでなく国内盤も歪なく再生していなければなりませんよ。それも、2システム以上で、客観的に、、と。僕には過信過ぎに感じます。

    bybb7 at2022-01-12 08:59

  8. bb7さん

    >過信過ぎ

    まあ、10年以上前の話ですからね。若気の至りということで。
    その点、bb7さんはいくつものシステムで、何千枚もの国内盤・海外盤の組み合わせで客観的に、国内盤絶対の結論に達したということなんでしょうね。リダンダントも厭わず、過ぎすぎることはないということで。

    byベルウッド at2022-01-12 09:27

  9. ベルウッドさん、

    こんにちは。

    > 私は、同じ音源の場合、原産地主義を基本にしています。

    自分の日記に書いた通り、私も同じアプローチです。

    個別のソフトでは意見の相違もありそうですが(笑)、総論は同意ですね。
    ただ、古い録音では、何度もプレスされたりリマスターされたりしているので、国内盤と輸入盤の差以上にバージョンの差が大きいです。

    オリジナル至上主義はジャズの専売特許だと以前は思っていましたが、最近はクラシックでもオリジナル盤が一番だと感じています。ジャズと違ってほとんどの場合、大したプレミアムも付いていないので、盤質がほどほどであればオリジナル・プレスを求めるようにしています。

    byのびー at2022-01-13 07:02

  10. ベルウッドさんへ

    国内盤、輸入盤問わず、歪の無いソフトを歪なく再生すればそれだけでスタンダードなシステムです。位相差が無ければ聴いていてポイントが見えてくるのです。

    是非、のびーさんも「僕は何をどう聴きたいのか?」で、新たに位相を軸において理論オーディオを展開してみてはと思います。市販品ではアンプは精緻なBTLで左右均等な出力レベルの例えばサンスイα、SPではアンサンブルかウイルソンAなどドームツイターを後ろに下げて斜にしたタイプに共通点があるみたいです。

    すべてのソフトをノータッチ、ポン置きで再生すると、それはそれはブラウン管テレビから4Kに替えたくらいの激変で素晴らしい世界が開けます。

    bybb7 at2022-01-13 09:57

  11. のびーさん

    考え方はご一緒ですね。

    私も、ジャズもオリジナル至上主義が絶対だと思っていましたが、あるジャズフリーク氏(厳選した目で所蔵ディスクの断捨離と蒐集を同時並行にすすめておられる方です)によれば、国内製造の通称「ペラペラ盤」(薄ジャケット)にむしろ音質がようものもあるそうです。つまりは一概には決めつけられないと、オリジナル盲信を戒めておられます。

    最近、面白い記事を見つけました。前半はともかく、注目すべきは後半の中古レコード輸出業者の話です。「中古レコードは日本の宝?」とあります。ただし、その趣旨はディスクの音質そのものというより日本人ならではの上質な扱いと保存状態の良さとのことです。

    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211108/k10013338531000.html

    byベルウッド at2022-01-13 10:39

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