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日記

ロマンチック・ピアノ  藤田真央 (芸劇 名曲リサイタル・サロン)

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2022年01月14日

まず驚いたのは、この日の池袋・東京芸術劇場の大コンサートホールが満席だったこと。ホールに向かうあの長いエレベーターの人の列をみて、どこか異様な雰囲気を感じていたのですが、いつもは2階前方がやっとというのに3階まで人がいることに驚きました。このブランチコンサート始まって以来の1999席が完売だとのこと。



少し遅れ気味で会場内が暗転、飄々とと現れた藤田さんはピアノの前に座って呼吸を整えるとさらりとショパンのノクターンを弾き始めました。その音の美しいこと!

単に音がよいということにとどまらず、濃やかな表情の変化は愛おしいほど。中村紘子さんが「演奏に恋をした」と賞賛したことが胸に落ちます。ほんとうに、もう、あっという間に恋に落ちました。

ご本人もどこかのインタビューに応えて…

『常に「音」のことは意識しています。やっぱり自分はテクニックの前に、音がきれいであるかどうか、音がどれだけ魅力的であるかどうかを考えて弾いています。例えば、次はこういう音を出そうとか。ですので、音を出す前に必ず100%こういう音をというのを作っています。』

…と。

そう、もはや音楽が云々ではないのです。音なんです。そこがもう痛烈なまでに胸を打ちます。満席の会場が静まりかえっている。聴き手の集中度がそのことを何よりも雄弁に語っていると感じました。



司会の八塩さんが絶妙に話しを振るのですが、その受け答えが最高に面白い。

「ベイスターズのファンだそうですね?」
「はい。ファンになったのは2017年ですが、ずっと不振でついに最下位です」

「恒例の食事質問です。演奏前のメニューとか勝負メシみたいなのありますか?」
「シャーロック・ホームズ先生が集中力を高めるには空腹がよいと言ってました。それで演奏前はできるだけ空腹にしてます。今朝もここまで何も口にしてません」

「このコロナ禍のなかインターネットでの発信が好評ですね」
「ほんとうはやりたくないんです。スイスのボスがやれっていうんで仕方なく…」
「家で撮ってるんですが、母親が2時間以上かけて撮るのでストレスです」

「本日のプログラムについては、どんな思いが?」
「ここのところずっとモーツァルトを弾いてました。今回もほんとうは出したばかりのCDの…その、つまり、キャンペーンというか、モーツァルトかな…と。でも、それじゃボクはモーツァルト弾きだと思われちゃうので、ぜんぜん違うロマン派でと」

映画「蜜蜂と遠雷」では主人公の風間塵のピアノを担当していますが、なるほどその受け答えを聞いていると、天然というのか、世間を超越した天才にふさわしい。会場は、そういう行方定めぬトークをハラハラしながらも思い切り楽しんで笑いが絶えません。

どの曲も見事でした。正直言うと、アイドル型、話題や人気先行ではないかという疑心もないではなかったのですが、そんなものは吹っ飛んでしまいました。しかも、何もかもが新しくて新鮮。

クララ・シューマンには、フェミニンなロマンが満ちあふれる。この女流ピアニストがほとんどシューマンやブラームスのゴーストライター…とまでは言わないまでも、プロデューサーだったことを確信。いやそれ以上の蠱惑的で繊細なロマンス。

ショパンのバラードは独特。既成のヴィルトゥオーゾまがいとはまったく別物で音量もとても小さい。だけど、その音の美しさと千変万化、豊穣の色調で魅了させられます。満席の大ホールの会場も、一音たりとも聴き逃したくないと静まりかえっています。

もっとも感服したのは、最後のリストのバラード。

あの渦巻くような低音の分散和声は、生半可な技術で可能だとは思えません。でも、それを軽々としかも精妙に響かせる。その上に歌うロマンスは自由で伸びやか。おおげさかもしれませんが、この世のものとも思えなかったほど。このひとのリストをもっと聴きたい。

アンコールにも感嘆しました。というより、この短い演奏に知らぬうちに自分の心が心地よく癒やされてもいたことに驚いてしまいました。まるで魔法。

ご一緒したUNICORNさんともども興奮がやまず、コンサート後のブック喫茶での感想戦も白熱のあまり時間も経つのを忘れてしまったほど。





芸劇ブランチコンサート 名曲リサイタル・サロン
第16回 藤田真央
2022年1月12日(水)11:00~
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(1階J列26番)

ショパン:ノクターン 第13番、第14番
クララ・シューマン:3つのロマンス

ショパン:バラード第33番
リスト:バラード 第2番

(アンコール)
モシェコフスキ:練習曲 Op.72-11

ピアノ:藤田真央
ナビゲーター:八塩圭子

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