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日記

オルフェオとエウリディーチェ (新国立劇場)

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2022年05月25日

新国立劇場初のバロック・オペラ。

一昨年に予定されていたヘンデルの『ジュリオ・チェーザレ』がコロナ感染で中止となってしまい、鈴木優人の起用による古楽スタイルということもあってとても期待していました。

けれども…

最初のシンフォニアの響きにがっかり。

ピリオド奏法といってもモダンオーケストラですから、もっと現代オペラハウスのデッドな大スペースにふさわしい響きの創出というのはあってもよいはずです。あまりにそのままで工夫がないので響きや音色がとても貧相です。せめてピットの床面をもっと上げればよいのにと思いましたが、これが限界いっぱいまで上げているかどうかはわかりません。幕が上がると多少は歌唱とのバランスが取れるのですが、それはそれで問題です。結局、演奏は単調で場面転換らしい転換もなく右から左へと流れていくだけでドラマ性は皆無。

舞台にもがっかり。ある意味で洗練されたものですが、これも現代オペラハウスにはふさわしくない固定的で二次元的な視覚美に終始するばかり。大きな舞台に皿を載せただけのステージでほかの空間はすべてムダなものになってしまう。どこかもっと小さな劇場で上演するならともかく、これでは新国立のステージも装置も何も活かされない。これなら演奏会形式のほうがよほどまし。結局、ここでもドラマ性皆無。



演出は、舞台装置から推して知るべし。皿の上でぐるぐる回るだけ。さしたる仕草や姿勢の工夫もない。葬列の痛切で重い悲しみも、冥界へ下りていく下降感も、魔界のおどろおどろしい暗黒も、エウリディーチェの再生の奇跡と輝かしさも、アモーレのユーモアも、夫婦のスリリングなやり取りも何もない。歌手の立ち位置が舞台装置(例の"ソーサー")に限定されて奥まっていてよく響かない。音楽や音響を知らない演出の悲劇です。

ダンスの単調さにもうんざり。ほとんど同じような振付の繰り返しが循環するだけで、ここでも場面転換らしい転換がない。感情の代弁や、シンフォニアやバレエ曲シーンでの視覚を楽しませるような変化に富んだアクロバットもない。次第に視覚の邪魔のようにうるさく感じて、どいてくれと言いたいくらい。

合唱は、いつもの新国立合唱団の精彩がない。もともと3人しか歌手の登場しないこのオペラの魅力は合唱にもあるはずですが、残念ながら、それが常にステージの両袖に追いやられ黒子のような衣装でただただ直立整列して歌うだけ。合唱の責任というより演出の発想の乏しさのせいでしょう。これを放置するかのような指揮者にも責任はあるのかもしれません。

歌手陣も期待はずれ。やはりここでも現代オペラハウスのエアスペースはカウンターテナーには荷が重いのでしょう。歌唱に滑らかさを欠き、起伏に乏しい。血を吐くような絶唱は期待するべくもなかったのかもしれませんが、せめてもうすこし透るような伸びやかさがほしかった。救いは、エウリディーチェのヴァルダ・ウィルソン。姿良し声良しで納得の歌唱でしたし、演技も一番しっくりしていました。

とにかく、これほどつまらないづくしの公演も珍しい。

その責任は、演出・振付・美術のすべてを引き受けた勅使河原三郎にあるのでしょう。よく言えば、一時代前のクール・ジャパンなのでしょうか。こういうシンプルでスタティックなエキゾチシズムはスノッブ好みなのかもしれませんが、あまりにも古くさい。こういう独りよがりがいつまでも持てはやされるはずもないと思います。あるいはオペラファンというのは体質が古すぎるのでしょうか。

次の『ペレアス』も『ジュリオ・チェーザレ』も何だか不安になってきました。

この記事はこちらでもご覧いただけます。

https://bellwood-3524.blog.ss-blog.jp/archive/20220519




新国立劇場
クリストフ・ヴィリバルト・グルック 「オルフェオとエウリディーチェ」
2022年5月19日 19:00
東京・初台 新国立劇場 オペラハウス
(1階11列19番)

【指 揮】鈴木優人
【演出・振付・美術・衣裳・照明】勅使川原三郎
【アーティスティックコラボレーター】佐東利穂子
【舞台監督】髙橋尚史

【エウリディーチェ】ヴァルダ・ウィルソン
【オルフェオ】ローレンス・ザッゾ
【アモーレ】三宅理恵

【ダンス】佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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