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日記

フランス現代の清新な香り (クァルテット・アマービレ)

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2022年07月12日

この小さくて響きの素晴らしいホールで弦楽四重奏曲を聴くことには病みつきになりそう。

そのホールで聴く、いま、大人気のクァルテット・アマービレは格別。

曲目は、二十世紀フランスの傑作がそろい踏みという、この上なく贅沢なもの。アマービレにとっても、フランスものに正面から向き合うのはほとんど初めてのことだそうですが、演奏は素晴らしいものでした。



最初のデュティユーは、弦楽器の特殊技巧をまるでおもちゃ箱をひっくり返したかのように炸裂散乱する。「夜」といっても、決して月を愛でるとかいった優雅なものではなくて、魑魅魍魎が跋扈するダークな闇の世界。その暗闇を背景にうごめく気配のようなものが、時に激しく、時に敏捷に、右左に遷移旋回する。闇と精気との対照が鮮やか。いかにも二十世紀中央の音楽だけれども、不思議なほどに背景の闇を感じさせ嫋嫋と美しい。とにかくアマービレの技巧のキレと絢爛豪華さに圧倒されました。

ドビュッシーは、まだ若くて、存分に尖っていた時代の傑作。フランク以来の循環形式を踏まえながらも、意図的にドイツ的な「ロマン派」を排除している。エキゾチックな和声は、理論や慣習を容赦なく剥ぎ取ってしまい、ひたすら感覚的にコラージュしていく。

この日のアマービレも、対向型配置。

左から、第一ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第二ヴァイオリンと並ぶ。そういう配置のせいか、名前の通り中央からアンサンブルを睥睨する中 惠菜のヴィオラが印象的。深みのある内声部を担いながらも、要所要所で前に出てくる。時に妖しく艶やかな音色に蠱惑される。そのことでドビュッシーの和声や色彩のエロチシズムが華やかに匂い乱舞する。ドビュッシーは、名曲とされるわりには実演されることが稀で、ちょっとこれは希有の体感でした。

休憩後は、ラヴェル。フランス派の弦楽四重奏曲の看板メニューともいうべき曲だけに、実演やライブ録音などでもよく耳にします。それだけにそれぞれの演奏団体の個性も楽しめる名曲だと思います。アマービレは、格別のフランス近現代の雰囲気で絶品でした。ラヴェルのレシピを存分に読み込んで、食彩を鮮やかにさばいて極上のソースで仕上げながら、楽章ごとにバラエティ豊かな味わいを醸し出す。弱音器も小さめなものを使って繊細に仕上げる。アンサンブルの凄み以上に、個々の楽器の個性が香り立つすばらしい演奏。

日本人の味覚からすると、濃厚な味のフレンチかもしれません。聴いていると、ウェーベルンのあの甘美極まりない「緩徐楽章(Langsamer Satz)」を思い出してしまいました。アマービレにかかると、フランス近現代の四重奏曲のいずれもが、それぞれに新ウィーン楽派の三人の作曲家の都会的洗練の濃厚さに通じているとどうしても感じてしまうのです。

そのことを強く感じたのは、アンコールのプッチーニの「菊」。

プッチーニのパトロンだったスペイン王の薨去に際して追悼のために一夜で作曲したそうです。菊は東洋のもの。西洋人にとってエキゾチックな高貴さを持つ大輪の花ですが、19世紀になって日本の菊が伝えられて大流行したとのこと。その時に、葬祭の献花という慣習もそのまま伝えられたそうです。歌劇「マノン・レスコー」にそのまま流用された曲は、終末の香華でありながら濃厚な音楽でした。



この日記はこちらでも。




サルビアホール クァルテット・シリーズ146
2022年6月29日(水) 14:00~
横浜市鶴見 サルビアホール
(F列9番)

クァルテット・アマービレ
篠原 悠那 北田 千尋  (Vn)
中 惠菜 (Va) 笹沼 樹 (Vc)

デュティユー:弦楽四重奏曲 「夜はかくのごとし」
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 作品10

ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調

(アンコール)
プッチーニ:弦楽四重奏曲『菊』嬰ハ短調

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