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日記

愛のコンチェルト (河村尚子X読響メンバー/弦楽五重奏)

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2022年09月10日

神奈川県民ホールに初めて出かけました。



横浜は、みなとみらいホールの存在感が突出していますが、こちらのホールはむしろ老舗といってもよいホール。とはいえ老舗ということになると県立音楽堂があって、その両者に挟まれて、クラシックの演奏会場としてはこちらはちょっと地味な存在なのかもしれません。

お目当ては、河村尚子さん。

その河村さんは、今回は久々のご家族そろっての里帰りだとか。その日本滞在中に八面六臂のご活躍。その精力的な活動に感服するばかりですが、自分としてはこの公演に絞っての追っかけになります。何と言っても、シューマンの協奏曲を室内楽バージョンでというのが斬新で滅多に聴けないと思ったからです。

ピアノ協奏曲の室内楽バージョンといえばショパンです。今でこそ仲道郁代さんをはじめ盛んに演奏されるようになりましたが、つい10年ほど前までは、演奏機会はとても希少でした。ショパンは、そのスコアに小さく併記して室内楽でも演奏することを示唆していました。当時は、現代のようにオーケストラとともに公開演奏される機会は稀で仲間内のサロンなどで、このような室内楽形式で演奏して楽しんでいたようです。

シューマンの協奏曲は、そのような作曲者自身の室内楽バージョンはありませんが、今回は木村裕さんの編曲によピアノと弦楽五重奏版での演奏です。



まずは、モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジーク。

ここの小ホールはとてもユニーク。まず目をひくのはパイプオルガンですが、1975年開場以来のものですから、ホール作り付けのオルガンとしても老舗です。ステージを対角線の隅の一角に配置するという変則的なホール構成もとてもユニーク。



オーソドックスなシューボックスとは違った響きがします。開演前の会場のざわめきの印象は、多目的ホールにありがちなニュートラルな響きでデッドな印象のわりに客席の会話がうるさく感じます。

ところが演奏が始まるとちょっと意外でびっくり。とてもアンサンブルの個々のパートの音色がよく立っていて、しかもハーモニーがステージ中央に凝縮して、響きすぎず残りすぎず、個々のパートのダイレクトな魅力も伝わってきて、とても心地よい。こういう響きのホールはなかなか他にありません。室内楽の魅力を引き出すにはうってつけのホールだと思いました。

アイネ・クライネ・ナハトムジークは、弦楽オーケストラでもクァルテットでも演奏されますが、この弦楽五重奏版が一番好き。長原幸太さんのソロイスティックな活発さヴァイオリンソロが引き立つし、川口尭史さんのセカンドの呼応する旋律やリズミカルな刻みに心が浮き立ちます。鈴木康浩さんのヴィオラもこれに呼応して何とも言えないほどのチャーミングな色合いがあるし、室野良史さんのチェロとユニゾンで歌う場面は惚れ惚れしてしまいます。もちろん、五重奏ならではのコントラバスが魅力。瀬 泰幸さんは、ハーモニーの厚みやリズムの弾みを存分に押し出していて気持ちがよい。そのことは弦楽アンサンブルの魅力いっぱいのドヴォルザークでも同じ。



ステージも客席も存分に高揚してきたところで、いよいよ河村尚子さんの登場。

ピアノコンチェルトは、シューマンの曲のなかでも一番好きな作品。完成までに時間がかかったそうですが、クララとの共同日記帳からはクララの関与も感じさせます。何よりも印象的なのはクララの名前が埋め込まれた第一主題。そういうオリジナルの木管の響きがうまく鈴木康浩さんのヴィオラのチャーミングな色合いに遷し変えられているし、冒頭の響きをはじめ、トゥッティの強奏が大オーケストラさながらの高揚がある。編曲がとても素晴らしい。

オリジナルでは少し小ぶりな印象のあるカデンツァなのですが、もともとシューマンは派手なヴィルトゥオーシティよりも、室内楽的な情感がねらいだったとか。だからここではバランスがとても良くて、それだけに河村さんの妙技に誰もが聴き入ってしまう。そういう静寂がホールに漲ります。そのことは第二楽章のピアノとアンサンブルの小粋な応答にもあります。そして第三楽章の華やかな疾駆。コントラバスの瀬さんの顔には時おり、ノリノリの笑顔が浮かびます。河村さんの指遣いと独特な身体全体でのリズムの取り方にうきうきしてしまう。最後は大盛り上がりの拍手がやみませんでした。

晩年、精神のバランスを崩し、しばしば正気を失ったシューマンですが、それでもこの協奏曲は記憶に残り続け、クララとの愛を象徴するものだったようです。エンデニヒの病院で、「あなたによって本当にすばらしく演奏されました」と日記に書き残していたそうです。

室内楽形式で聴いてみると、そういうプライベートな愛の情感が一段と引き立ちました。


この日記はこちらでもご覧いただけます。

https://bellwood-3524.blog.ss-blog.jp/archive/20220830





横浜18区コンサート
横浜みなとみらいホール出張公演

河村尚子(ピアノ)X読売日本交響楽団メンバー(弦楽五重奏)
2022年8月30日(火) 15:00
横浜市 神奈川県民ホール 小ホール
(4列15番)

河村尚子(ピアノ)
読売日本交響楽団メンバー(弦楽五重奏)
 長原幸太(ヴァイオリン)[コンサートマスター]
 川口尭史(ヴァイオリン)[首席代行]
 鈴木康浩(ヴィオラ)[ソロ・ヴィオラ]
 室野良史(チェロ)
 瀬 泰幸(コントラバス)


モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525より第1楽章
ドヴォルザーク:弦楽五重奏曲第2番ト長調 Op.77より 第3楽章、第4楽章
シューマン(編曲:木村 裕):ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54(ピアノと弦楽五重奏)

(アンコール)
シューベルト:即興曲 Op.90より第3番
(ピアノ独奏:河村尚子)

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  1. ベルウッドさん
    コンサート通いもほぼ日常に戻られたようですね。

    神奈川県民ホールの大ホールは一度アマオケを聴きに行ったこと有りますが、小ホールは知りませんでした。

    室内楽版のコンチェルトだとピアノが浮き立つように聞こえるのでは?と思いましたがバランスも良かったようですね?

    河村尚子さんは、再来週月曜日に兵庫芸術文化センター小ホールでシューベルトリサイタルの2回目があり聴きに行く予定です。
    レパートリーの幅が益々広がっていてどのような演奏を聴かせてくれるのか楽しみです。

    by椀方 at2022-09-11 21:04

  2. 椀方さん

    大ホールの評判は今ひとつのようです。その点、小ホールは通好みで愛好家が少なくないようです。

    河村尚子さんのシューベルトは、明日、紀尾井ホールでやるのですが都合と重なってしまい断念しました。今回の一家の里帰りも兼ねた日本ツアーは、今までになく長期で盛りだくさんです。レパートリーの多さにも感心しますが、短時日のうちに全く違うプログラムをこなすことにびっくりです。精力的ですね。

    byベルウッド at2022-09-12 22:40

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