ベルウッド
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クラシック音楽ファン:よい演奏会があると知れば遠征もいといません。オーディオシステムは、音楽そのものを楽しむのが本来というモットーのもとにコストパファーマンス重視で小ぶりな装置を目指します。正統オーデ…

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スピーカー:    PSD T4 Limited Special-ネットワークレス・マルチアンプ駆動 調音パネル:    Escart Ventoスクエア           オーディオリプラ…
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日記

プロミスト・ランド (GIPラボ訪問記《後編》 仙台オーディオ探訪 その6)

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2022年10月02日

GIPラボを訪ねて、持参したCDを聴かせていただいた…というお話しの続きです。

最初に聴かせていただいたのはGIPスピーカーの最高峰とも言えるGIP-7396。
http://www.gip-laboratory.com/seihin7396system.html



鈴木社長のオーディオの原点は、自分がステージに立っていて聴くサウンド。

自身が音楽家なのでそういう立ち位置で聴いてきたからだそうです。クラシック好きなオーディオマニアは、よく2階席最前列からステージを俯瞰するなどとよく言いますが、もちろんヴィンテージユニットはそういう甘めのサウンドも得意ですが、そんな遠くて薄い音では満足しない。

すべてのシステムが、低域は20Hzまで再生できているそうです。アンプは提携している韓国製の真空管アンプ。100dB越えの大爆音にも余裕で耐えるとか。「ほんとうの生の音はそんな音量では鳴っていないのですが、オーディオというのは時としてそれを求めるひともいらっしゃいますからね。」とニヤリ。



アラウのピアノが眼前に現れ、その巨大なセンター音像にもかかわらずスピーカーの横幅以上にオーケストラは拡がって強靱なトゥッティを鳴らします。それでいてアラウのタッチは強く美しく、オーケストラの細部までくっきりと描出する。

このアラウの「皇帝」について、「これはこの曲のなかでも最高の演奏のひとつですね。会場のドレスデン・ルカ教会は、響きが豊かで第2番など当初の録音は響き過ぎでしたが、この第5番では録音も最高です」と、これをかけた私の心の内を見透かすようなことを仰って喜ばせていただきました。

二番目にお聴かせいただいたのは、ウェスタンの傑作WE-555を忠実に再現したドライバーにスクリュースロートの巨大なホーンを組み合わせたユニットを中心にしたシステム。



ここでかけていただいたムターの巨大な音像にも度肝を抜かれました。ウィーン・フィルはさらに広大でソロを囲いこむ。とてつもないスケールの大きさです。そういう音像の大きさにもかかわらず、ムターの繊細で艶麗な音楽の動きがよく見えるのは驚きです。



「先日の地震でちょっと狂っているかもしれません。」という、さりげない鈴木社長の言葉にちょっとはっとしました。他のシステムは正確でしたが、このシステムだけはソロの高域の定位が不安定でした。そのように率直に申し上げると、「このシステムはツィーターが動きやすいんです。」とさらり。何より驚いたのは、こんなモンスターシステムでもスピーカーのアライメント、左右の焦点を厳密に合わせておられるということ。



ウーファーは左右を2対、合計4本のユニットを向かい合わせにしたセンターウーファー的なエンクロージャー。これでも全体的な音像のパースペクティブは少しも損なわれていません。

「ピアノの音もオルガンの音も、その頭の一瞬をカットしてしまうと、どちらの音かわからなくなってしまう。」と鈴木社長。トランジェントのこと。楽器の“らしさ”(個性)を決めるのはアタック部分。ここがちゃんと再生できているかどうかが極めて大事で、それはシステムの立ち上がり/立ち下がり、スピードの問題になります。このことは私も日記に書いたことがあります。WEレプリカの励磁型ドライバーは、この点で理想といっても良い究極のサウンドなのです。

ここで、Harubaruさんから聴いたばかりだからと幸田浩子さんもかけていただきました。

これにはもう参りました。これが大正解というべき音像定位です。システムによってあれこれ変わる弦楽器パートの定位ですが、逆に、この見事な楽器配置の再現とその奥行き感で、自分が持っていたイメージで正解だと自信がつき、むしろ、ほっとしたほど。幸田さんの高音フォルテの部分もいささかも力みがなく透明感をいささかも失わず伸びきっているのは驚異的。

鈴木社長がこれも聴いてみてくださいとかけたのは、あの「カンターテドミノ」から《Cantique de Noel (O Helga Natt)》です。



ヨーロッパのオーディオショーでこれをかけると聴いている人々が軒並みボロボロと涙を流してしまうそうです。コーラスの響きも濁らず響きが豊かで、パイプオルガンの響きは臨場感満点。20Hzの低域まで完璧に鳴らし切るそうです。中央のソプラノソロの高さはコーラスとほぼ同じ位置で前面に定位し、その位置は曲の繰り返しでも変わりません。こういう高さの表現は、小型スピーカーを一般家庭のスペースと鳴らすのとではちょっと違うようです。


三番目は、その反対側に設置された、GIPのなかでも一番の人気システム-GIP-9501。



ウッドホーンとツインウーファーのエンクロージャーが美しい。そして真鍮製の金色のトゥーターが何とも艶めかしく、とにかく見た目がハンサムなシステムで人気が高いというのもよくわかります。



特別仕様なのか、ツィーターがもう1本追加されてかなり外向きにセットされています。恐らく高域の指向性を確保し、空気感やステージを大きく広げる意図で追加されたのだと思います。

しかし、このシステムの魅力はやはりそのサウンドです。広い邸宅の大広間であれば納まりそうなサイズは、他の巨大システムに較べると個人オーナー向きとも言えますし、何よりも引き締まった美音が素晴らしい。



ヴィヴァルディの4つのヴァイオリンのための協奏曲は、ハイエンドシステムだからと言っても簡単には鳴ってくれない、いわゆる「羊の皮を被ったオオカミ」的ソフト。それをこれほど楽々と鳴らし切ったシステムは初めて。鮮度の高い生々しさと、楽器の1台1台が見えるような存在感と分解能と、イタリアの弦楽合奏団らしい輝かしく艶やかな音色がほんとうに心地よい。かなりの音量ですが、大きなステージで展開し、肥大した不自然さを少しも感じさせません。

もうひとつの、広い応接間といった部屋でも聴かせていただきました。写真を撮り忘れてしまいご紹介できないのが残念ですが、これも信じられないほど現代的なハイエンドサウンドを聴かせてくれます。

これなら家庭での導入は現実的かなと思わせるサイズですが、それでも私にとって聴き慣れている秋葉原・アムトランスの試聴室のGIPシステムよりも大きいそうです。



ここでは、ヘルゲ・リエン・トリオのテイク・ファイブをかけていただきました。ベルやウィンドチャイム、あるいはアンティークシンバルなのか多彩な打楽器を叩き分けた金属打楽器が実に澄み切った美音に響く。しかも、これだけの音量でトリオのアンサンブルが鳴らされているなかで、その金属音が美麗に揺れているのがはっきりと聴き取れます。シンバルやハイハットもリアルで、これほど金属打楽器をリアルに鳴らすシステムはいままで聴いたことがありません。ピアノの低域のトリックも目に見えるようで決してベースと混同することもありません。もちろんそこから始まるベースの強烈なボーイングの迫力も満点。



ほんとうにオーディオというものの贅沢さ、醍醐味を満喫させていただきました。お茶の間オーディオの私としてはとても手の出るものではありませんが、ここで学び取れることは数えきれません。何よりも、目標、理想とでも言えるサウンドを耳に焼き付けることができました。もちろんウェスタンというものへの畏敬の念がさらに拡がる。まさにオーディオ好きにとってはいつかはたどり着きたいプロミスト・ランド。

気さくに受け入れていただき、歓待していただいた鈴木社長にも、ご案内いただいたM1さんに大感謝です。

かみのやま温泉駅から新幹線に乗り込み、シートに背を深く沈めると何だか夢見心地。本当に充実した楽しいオーディオ行脚の二日間でした。お誘いいただいたHarubaruさんにも最後になりましたが感謝です。


(仙台オーディオ探訪 終わり)


この日記はこちらでもご覧いただけます。

https://bellwood-3524.blog.ss-blog.jp/archive/20220911

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  1. ベルウッドさん

    私の記事にたくさんレスをいただきましたので、お礼代わりに(笑)。

    M1おんちゃん宅への訪問記は読んでましたよ。何といっても私から見ると、彼はAuro-3D仲間なので(笑)。でも今回はマルチはスルーだったようで、残念!(まあ、今度仕切り直しでお邪魔させていただく予定になっているので、楽しみが残ったとも言えます=爆)

    さて、この記事で取り上げられた、「GIPラボ」というのは、私レベルでは初耳でございます(汗)。でも、ものすごい巨艦ぞろいの2chばかりですが、小ぶりの2Wayブックシェルフがお好きなベルウッドさんは目を丸く(耳を?=笑)されたんじゃないでしょうか。申し訳ありませんが、ここでご紹介されたSPシステムは、私が知っている(聞いたことのある)ものは一つも無いというレベルの者ですので、碌なコメントはできません(汗)。

    ただ、一つ言えることは、私も、この夏、地方のオーディオマニア邸を訪問させていただく機会があったのですが、やはり、我々のように都心のウサギ小屋と違って(汗)、スペースに余裕があるお宅のスピーカーはどうしても大型中心になりますよね。大空間に小さなブックシェルフをメインにして(サブならともかく)オーディオを楽しんでおられる方にお目にかかったことがないですもん。やはりオーディオ(特にスピーカー)は空間を求め、空間はスピーカーを選ぶんですね。

    でも、ここで無理やり話をこっち側に引き付けますが(笑)、先日お邪魔した入交邸は、そんなに広いお部屋ではなく、それゆえか、SPもすべて小型(フルレンジか、2Way)なのですが、やはりAuro-3Dですから、数だけはあるんですよね。大型による2chと小型の13chで、どちらがいい感じで鳴っているのか、比較してみたいですね。

    byAuro3D at2022-10-02 17:57

  2. ベルウッドさん、

    ベルウッドさんの長編に渡る仙台オーディオ探訪日記、お疲れ様でした。楽しく読ませていただきました。

    今回のGIPラボ訪問はM1おんちゃんさんのご提案から実現しましたが、鈴木社長とM1おんちゃんさんはとても仲がよろしいのですね。

    お陰様で普段聴くことのできない、WEの復刻版、GIPオリジナル版の音を堪能させていただきました。鈴木社長の本物の音を求めて来たオーディオに対する姿勢・情熱に感服すると共に、まだまだ自分オーディオでもやれることはたくさんありそうだな、と実感した次第です。

    今回、M1おんちゃんさんのお誘いに軽い気持ちで参加させていただきましたが、結果的にはとても濃い楽しいご訪問になりましたね。特にM1おんちゃんさんには、訪問日程調整。宿泊施設のご紹介、宮城・山形の移動も含め大変お世話になり、とても感謝しております。

    次回いつまたご訪問できるかわかりませんが、いろんなオーディオに触れさせていただき、お知り合いになれたお仲間と交友を今後とも大事にして行きたいですね。
    オーディオは本当に奥が深いと実感した2日間でした。

    byHarubaru at2022-10-02 22:43

  3. Auro3Dさん

    お心遣いありがとうございます(笑)

    私にとってGIPラボは、(ここのところコロナでご無沙汰ですが)秋葉原のアムトランスの試聴室でお馴染みですし、あるいは真空管フェアや松本での試聴会ではさらに大型システムをかなり大きな会場で聴いています。逆に、新忠篤先生のオーディオ塾を受講していたときは小さなコーン型を後面開放型キャビネットに入れたものとホーンツィーターとの2wayが標準システムにしていたので何度も聴いています。

    今回は、さらに大型のフラッグシップ級のものを会社事務所ぐらいのスペースで聴くというもの。アンプなども提携メーカーのもので鈴木社長渾身のセットアップで聴かせていただき、GIPの今まで体験しなかった新たな面貌を目の当たりにしたというわけです。

    こうしたシステムは、個人向けとしてはほとんどが中国などの海外富裕層向けだそうです。据え付けも社長とスタッフがでかけていくわけで個別に見積もり、ちょっとした商談交渉をして契約しているそうです。日本人としては某オーディオ誌出版社の社長さんが個人的に永遠(とわ)のシステムにしたいと言われて、私邸に納入されたと伺いました。

    個人的な意見としては、Auro-3Dとはコンセプトが違い過ぎますので、比較することにはまったく興味は沸きません(爆)

    比較するとしたら、どこかの映画館を借り切って、劇場のシステムとしての比較でしょうね。

    かつて、70mm、シネラマ時代に、いまの銀座テアトルビルのところに“テアトル東京”という映画館があって、その音響が素晴らしかった。WEではなくて確かタンノイのシステムだったと思いますが、当時、最先端の6ch立体音響システム。そこで観た「2001年宇宙の旅」は、そのサウンドの素晴らしさに感動した思い出があります。家庭用の4chステレオが発売される以前の話しです。

    byベルウッド at2022-10-03 14:37

  4. Harubaruさん

    こういう交流は楽しいですね。

    GIPラボ訪問は、実は、せっかくだからという程度に考えていたのですが、鈴木社長に直にお目にかかれてざっくばらんなお話しも聞けてすばらしい体験になりました。M1さんに感謝です。

    今回の訪問は、皆さんそれぞれのものをそれぞれに独自のやり方で追求し楽しんでおられる。そこにまた熱い交流があって、そういう仲間って素晴らしいなぁと思いました。何か特定のブランドとか方式とかで結びついているわけでもないし、それに飛びつくとかの話しではないわけですが、そこから学べたことは沢山ありましたし、自分には自分のやり方があると思っていますが、仰るように、まだまだやることがあるなぁと思いました。

    お誘いいただいてHarubaruさんには感謝しています。また、遠征をいとわず機会を作って仙台や他の方にもお会いしてみたいと思うようになりました。ありがとうございました。

    byベルウッド at2022-10-03 14:51

  5. ベルウッドさん

    6回にわたる仙台オーディオ探訪記、毎回楽しく拝読させていただきました。

    まさかこんな大作になるなんて訪問していただいた私も想像しておりませんでした。心から感謝しております。

    今回、直接お話しさせていただくことで、ベルウッドさんのオーディオに対する真摯な探求心と精緻な分析力を知ることができました。。

    また、当Phile webでのベルウッドさんのアップした日記は基本的なオーディオの知識から高度な使いこなしまで参考にすることが多く改めて部屋の内部環境や機器の取り回しを見直すことになりそうです。

    こちらのオーディオ仲間と楽しい交流の機会を作っていただいたHarubaruさん、改めてありがとうございました。


    来月はいよいよ本邦Auro-3D界の巨匠が会津の巨人とともに仙台に来ていただく予定になっております。

    マルチと映像仕様に設置し直し、討ち死に⁈だけは避けたいと万全を期してこれから準備していくつもりです。(入交様との対談の記事がとても参考になっております。)

    Auro3Dさんお手柔らかに(笑)

    byM1おんちゃん at2022-10-03 17:46

  6. M1さん

    思わず力が入っちゃって長いシリーズになってしまいました。それでも書きたいことはまだまだありました。それほど充実した訪問旅行でした。何から何までほんとうにお世話になりました。これにこりず今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

    byベルウッド at2022-10-04 06:51

  7. ベルウッドさま。貴重な記事をありがとうございます。専門誌ライター諸氏でも書けない素晴らしい内容でした。

     当方2015年まで山形市内に3年間単身赴任で隣接する上山市に超高級スピーカーを取り扱っている会社がある・・と言う都市伝説?を聞いていたのですが、この会社だったんですね。

     ご同行はできませんでしたが、此の度の貴重な連載で満腹になりました。

     現時点では、ご紹介のあった高級スピーカー軍団の入手については全く眼中にないのですが、あと20数年の余命中、宝くじが当たった際は、この会社を思い出すことに致します。(笑)

    byたかけん at2022-10-05 07:24

  8. たかけんさん

    山形市に住んでおられたのですね。それなら一足伸ばして訪問して聴いてみる価値はありましたね。

    鈴木社長のお話では、音大生や外国からのお客様もたくさん来られるし、元フィリップスの役員でオーディオ評論家の新忠篤さんも時々ふらっと現れることもあるのだとか。鈴木社長のお人柄なんだと思います。

    byベルウッド at2022-10-05 10:16