ベルウッド
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クラシック音楽ファン:よい演奏会があると知れば遠征もいといません。オーディオシステムは、音楽そのものを楽しむのが本来というモットーのもとにコストパファーマンス重視で小ぶりな装置を目指します。正統オーデ…

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メインシステム
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / オーディオルーム / 16畳~ / 防音なし / スクリーンなし / ~2ch
スピーカー:    PSD T4 Limited Special-ネットワークレス・マルチアンプ駆動 調音パネル:    Escart Ventoスクエア           オーディオリプラ…
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日記

眺めのいい部屋 (岡山・牛窓のT氏邸訪問)

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2022年11月15日

今年も、岡山の秋の音会に参加させていただきました。

皆さんのご最新の状況は、2Hさんが記事にされていますので、そちらに譲らせていただきます。その音会の前日にスイートサウンドさんのご案内でT氏宅を訪問しました。



Tさんのお住まいは、岡山市に隣接する瀬戸内市の古くからの歴史的な良港・牛窓港の後背の斜面にあるオリーブ園のすぐそば。素晴らしい眺望です。眼前に小豆島があり、その手前には前島、遠くには屋島の独特の島影がありそのはるか後ろに四国の山々まで望めます。まずは、オリーブ園の展望台から、眺望に息をのむ思いでした。



Tさんのお宅は、斜面の地形に合わせたユニークな造り。Tさんはもともと建築を生業とされていたそうで、このご自宅はご自身の設計だとのこと。リビングとダイニングスペースを兼ねたスペースが、リスニングルームとなっています。正面には瀬戸内の島々を望む大窓があって、ウッドデッキの向こうの雄大な前景を眺めながらの音楽鑑賞はとても贅沢な空間です。



変形立地に合わせたリスニングルームは、平行面がまったく無いそうです。天井も二階屋からの傾斜屋根に合わせて、スピーカーに向けて緩く傾斜しています。もちろん、それは音響を意識した設計。目立った調音資材は皆無で、とてもスタイリッシュな生活空間となっています。それでいて、極めてフラットで反射音を感じさせないくせのないアコースティック。ふだんの会話が心地よく伝わる自然な響き。

まず目につくのはスピーカー。これもごくごく普通のトールボーイ型のフォルム。ALR/JORDANという、英国ユニットを使ったドイツ製のスピーカー。私の世代にはJohdan Wattsというブランドが馴染みですが、英国スピーカーのよき良識とドイツのクラフトマンシップの周到さの幸せな出会いという感じです。中低音はお得意のアルミコーンで、ツィターはソフトドーム、背面にもユニットが並んでますがこれはパッシブ・ラジエーターだそうです。



アンプは、OCTAV。プレーヤーはエソテリック。この組み合わせで音が悪かろうはずがない。特にOCTAVを使っているかたのシステムは例外なくみんな音が良いというのが私の経験です。ラックにすっきりと納まっていてさりげないようでいて、ありきたりのものではない充実したこだわりのラインアップであることがうかがわれます。いかにもオーディオだ!というものを押し出すことはないけれど、主人の自然や音楽への接し方といった音の本質的な良さが滲み出てくるオーディオルームです。

まさに「眺めのいい部屋(“A Room with a View”)」。

Tさんは、建築から始まり様々な職種を遍歴されたそうで、兼業も多くてその職歴は100年を超えるそうです(笑)。レコード販売にも携わっておられたとかで、趣味もその知識も広く音楽にも造詣が深い。おかげでとても会話が弾み、楽しいひとときでした。



Tさん:「ふだんはどんな音楽を聴いてるのですか?」
私:  「なんでも聴きますが、クラシックが主でしょうか。」
Tさん:「クラシックはどんなものを聴かれますか?お好きなジャンルとかは?」
私:  「なんでも聴きます。それこそ、古楽から現代音楽まで。」
Tさん:「私は、ブルックナーが好きです。
    「この部屋で景色を楽しむとまさにぴったりなんです。」
私:  「私はブルックナーが苦手でして…(苦笑)」
    「若い頃、日本でのブルックナーの走りの頃に聴いていて寝落ちして…」
    「それにブルックナーとかはこういうオフ会には長過ぎて不向きですよね。」
Tさん:「今日は、ブルックナーはかけませんからご安心ください(笑)。」
私:  「どんな音楽がお好きなんですか?」
Tさん:「後ろにCDのラックがありますのでご覧ください。」
    「今日おかけしようと思っているものはちょっとだけ引き出してあります。」



私:  (ラックをながめて)「このCDはあまり見かけないですね?」
Tさん:「アルゼンチンのヒナマリア・イダルゴという歌手です。」
    「曲もアルゼンチンのフォークロアなのでご存じないでしょう。」
    「私は、来日公演に行ってその歌声の美しさにも音楽にも感動したんです。」
    「LPもすぐに買いました。」



私:  「思い出は愛着に結びつきますね。コンサート体験は大事ですよね。」



私:  「これは、ミューザ川崎でのライブですね。あのホールはいい音響ですね。」
Tさん:「そうなんです。このホールは全体が非対称形になってますよ。」
私:  「永田音響設計ですね。このホールは主設計との連携が素晴らしいですね。」
    「音のよいホールというのは、客席のどこで聴いてもいい音がしますね。」
Tさん:「永田音響はいまや世界でひっぱりだこ。こんな本もありますよ。」



私:  (CDを聴いて)「これはよい録音ですね。ライブとは思えない。」
Tさん:「これは、ライブといっても無観客。コロナのおかげです(笑)。」



私:  「この部屋の中心というのか、センターラインはどこになるのですか?」
    「ふだんはどの位置で聴かれているのですか?」
Tさん:「どこででも聴いています。」
私:  「私たちが座っているこのダイニングテーブルでもよく聴かれるのですね。」
    「ここで聴いても、ちゃんとセンター定位がスピーカーの中央にありますね。」
Tさん:「部屋のどんな場所で聴いてもそうなります。場所を移って聴いてみますか?」
私:  「いいえ。そのことは、ここで聴くだけでもうよくわかります。」
    「どこでもセンターが実現していますね。素晴らしい。」
Tさん:「それをわかっていただけたのは、とてもうれしいです。」
    「自分の目指しているのはコンサート会場のパースペクティヴですから。」



私たちは、特に部屋の中央に椅子をしつらえてそこで聴くことを勧められることもなく、最後までずっとダイニングコーナーで談笑しながらの鑑賞でした。ちょうどそんな話しをしている時にマーラーの壮大な交響曲が鳴っていました。背景にはすこし夕陽で赤みがかった瀬戸内の海と島影が拡がっていて、そういう自然の景観がマーラーの音楽と渾然と一体となっていました。

素晴らしい体験をさせていただきました。また機会があったら何度もお訪ねしていろいろなお話しを聞かせていただきたいと思いました。


この日記はこちらでもご覧いただけます。

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