日記
プリメインを買い替えるまで(その1)
2010年11月28日
「このスピーカーが欲しい!」
比較試聴すると、とにかく「目立つ」音。初めて店頭で聴いたB&W CM5の音は衝撃だった。上から下まで密度の濃いシルキーなサウンドで、それまでスピーカーの買い替えなんて全く考えていなかったのに、私は一発で欲しくなってしまった。CM5に繋いであったプレーヤーとアンプはSA-11S2、PM-11S2と、それぞれマランツの上級モデルだった。当時CDプレーヤーを買い替えて間もなかった頃の私。自宅の視聴環境に近づけるべく、CDプレーヤーをPD-D9、プリメインを1500Rの後継モデルだったPMA-1500AEに接続を替えてもらった。同じCDを再生してみてビックリ。サウンドの品位、そのレベルが一気に下がってしまったからだった。
これは気のせいではなかったと思う。同行していた(いきさつを知らない)友人も首を傾げるほどの大きな変化だったからだ。これはプレーヤーなのかアンプのせいなのか、相性なのかそれとも単なる個性なのか、CM5で聴いているにも関わらず、驚くほど「自宅でいつも聴いているサウンド」に近づいてしまい、私は思わず苦笑いをしてしまった。
「もしCM5を買ったなら、せめてアンプも新しいものにしないと…」
と考えたのはその時だった。
それから1年ほど経過し、ようやくCM5を購入。さらに首を長くして待つこと1ヶ月。専用スタンドが自宅にやってきた。これでようやくソファに腰掛けた耳の位置にツイーターが来る。CM5はエージングも進み、サウンドも明らかにスムースになってきていた。というより、音楽のジャンルによってはウエルバランスなものの、ハッキリクッキリなCM5「らしい」サウンドはすっかり影を潜め、かえって少々「食い足りない」という気分になってきていた。壁から離してもバスレフポートを詰めても、低域に寄り過ぎで高域の解像度が物足りない。スピーカーケーブルを変更してみたり、バイワイヤリングにしてみたり、それこそセッティングを毎日試してみたけれど、その改善にも限界があった。

DENONのベストセラープリメイン、PMA-1500シリーズ。UHC-MOSと呼ばれるトランジスタを使い、押しが強く「元気な音」が今でも人気だ。ショップの店員曰く「ここ最近は音決めの方向性が変わったみたいですね。」とのこと。技術開発も進み、また最近のモデルの音質は以前よりも随分洗練されてきた様であるが、私のPMA-1500R(1998年発売)当時のサウンドは現在よりも典型的な「ピラミッドバランス」で、特に低域が弱い小型のスピーカーと組み合わせたときにその実力を発揮した。実際にあるだろう約10年間の経年劣化。そしてアンプの違いや、CDプレーヤーの違いを描き出す実力を持った「CM5クラス」のスピーカーが相手では、いささか力不足なのかもしれない。
続く