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May the vintage equipment last forever ! 
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持ち家(戸建) / 専用室 / オーディオ・シアター兼用ルーム / 16畳~ / 防音あり / スクリーン~100型 / ~4ch
石井式リスニングルームというか音楽室ですが、リフォームなので天井高はごく普通の家と同じです。 使用機器や写真はこちらをご覧ください。 http://www7b.biglobe.ne.jp/~h…
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日記

人間Dirac Liveの成果 - フロント・スピーカー編

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2021年09月18日

この日記は今年6月、7月に書いた以下の2つの日記の続編です。

OmniMicの位相特性インパルス応答特性機能によるスピーカー調整
OmniMicの位相特性インパルス応答特性による調整顛末

スピーカーを構成する各ユニットのタイムアライメントと位相整合を目的とした調整についてのお話し。
最終目標はマルチchサラウンドを構成する全スピーカーの位相整合。
具体的には全スピーカー、全ユニットの位相を正相に統一すること。
正確なマルチch再生において音場を得るためにはこれが必要と考えているからです。

でも、メーカー品のスピーカーを使ってステレオで聴いている方にとっては、つまり大部分のかたにはほとんど必要のない情報かもしれません。
ほぼ私の個人的な備忘録になってしまうことをお許しください。

元々自分のスピーカーシステムはチャンデバ使用でLinkwitz–Rileyの4次(24dB/oct)のフィルターを用いているのですべてのユニットを正相接続にすれば位相は全部そろうと考えていて、それを信じていたのです。
でも、前回の日記では位相特性を確認したら全くダメだったので何とかそれをねじ伏せましたという内容でした。
しかしながらその強引な方法がとてもまともではないように思えて悩ましいというところで終わっていました。

その後、ケンさんのアドバイスをいただき、自分なりにいろいろ考えて追加実験などを行い、ようやく事態が見えてきて一応の落着を見たのでレポートすることにしました。

私としてはOmniMicの奴隷になって人間Dirac Liveとして悩みながら汗もかきかきやっとここまで来たということなのでちょっと感慨深いものがあります。

7月の状態からもかなりの変更があったのですが、大きな変更はサラウンド・スピーカーの方になります。

9月8日のAuro3Dさんの日記 「K&K邸再訪―人間Dirac Liveの成果拝聴!」はその変更が反映された状態を聴いていただいたものです。

前置きが異常に長くなりましたが、今回はフロント・スピーカー編です。

ウチのフロント・スピーカーはウーファ(WF)、トゥイータ(TW)、スーパー・トゥイータで構成されています。



HS-500を2段重ねにしていますが、上側は上下反転させ、真ん中にSTWを挟んでいる仮想同軸のバーチカルツイン構成。

WF  受け持ち帯域 3KHz以下 接続  正接続
TW  受け持ち帯域 3KHz~8KHz 接続  正接続
STW 受け持ち帯域 8KHz以上  接続  逆接続

ここで正接続というのはメーカーの表示通りに接続していることを意味し、逆接続とはメーカーの表示とは逆に接続しているという意味です。

前回の日記の時点でSTWのパイオニア PT-R100 の極性表示を疑ったのですが確信が持てなかったので確認実験を行いました。

正接続(メーカー表示通りの接続)の場合

周波数特性(緑の線は位相)

Wavelet

やはりこの接続ではクロスオーバー周波数の8KHz付近でディップが生じて位相も乱れるし、Waveletでは同周波数の赤のセンター部に空洞ができる。
インパルス応答波形も一つの大きなパルスにまとまらない。


それに対し逆接続(メーカー表示とは逆の接続)

周波数特性(緑の線は位相)

Wavelet

ディップもないし、位相の乱れもなく、Waveletも整っている。
インパルス応答も一つの大きなパルスにまとまっている。

ということで結論としてはパイオニアの極性表示が違っていると判断しました。
この「STW逆接続」の状態でやっとWF、TW、STWが揃って正相になったということになります
このSTWは市販スピーカーへのアドオン用途が多くアドオン時に使用される別売のフィルターは12dB/octなので逆相で繋ぐ方がうまくつながりやすいからなのかなぁと思っています。
私みたいのこのSTWをチャンデバと組み合わせて使う場合には注意が必要だと思います。

最後にSTWのアライメントを再調整した後の特性を以下に示します。
なお、ここでは周波数特性の解像度が1/6 octave になっています。
20Hzまでほぼフラットなのは41Hz以下をサブ・ウーファが支えているからです。
上記のSTWの極性比較時の周波数特性も同じ条件です。

FR 周波数特性(緑の線は位相) 

FR Wavelet


最初にも書きましたようにこのアクティヴィティの最終目標はマルチchでの正確な音場再現なのですが、この改善効果はステレオで聴いても歴然です。

Auro3Dさんが拙宅に最初に来られたのは昨年ですが、その時はSTWは当然位相が逆でした。最近訪問いただいたのが2回目ですが、最初にお聴きいただいたのがコレ。



白鳥英美子のさくら。
ステレオです。Auro3Dさんは最初の一声で前と明らかに違うことが分かったというのですが…
これはうれしかったし、ホッとしました。


サラウンド・スピーカーについては次回に続編として書くことにします。
今回に比べてさらにややこしくなっています。

次回の日記→

←前回の日記

レス一覧

  1. K&Kさん

    いつもお世話になっております。ついに上梓されましたね。

    私のような技術音痴で機械任せの人間には「耳で聴く結果」しかわかりませんが(笑)、お詳しい方にとっては「その過程」をこのように詳しく書いてもらえると、自らのシステムの見直しにとても参考になるだろうと想像します。価値のある記録だと思います。

    ということでこの日記のサポート情報として私の「出音の主観的印象の変遷」を整理すると、初回(今回の「人間Dirac Live」前)お邪魔した際には、拙日記に下記のように書きました。

    >
    拙宅のAmator IIIに比して、1.脚色のない音、2.ボーカルが遠め、3.ボーカルが若め、4.ボーカルの口が大きめ5.音の高さを感じられる
    >

    今回、「人間Dirac Live」後にお邪魔した際には、

    >
    2chでは、1.ボーカルの定位感が抜群に良くなった(中央定位だけでなく、前後の立体感も改善された=これらは最初の一声だけで、すぐにわかりました)2.出音が楽しく、ノリが良くなった(前は大人しかったんです=汗)


    と書かせていただきました。

    つまり「読み手」によっては「批判」と受け取られかねない(日本語は難しい…)、前回日記の1の記述は、今回日記の2と印象が変わり、同じく前回の2と4は、今回の1という印象になったと理解しております。

    このところ、「訪問記」の記述内容を巡ってもめることがあるのを目の当たりにしているので(笑)、初回の拙訪問記は今のここの「ムード」だと即炎上かもしれませんが(泣)、当時は、全く悪意などなく、「良かれ」と思って書いておりましたし、書かれたK&Kさんもど素人の私の感想なんかを真に受けていただいて、今回の「トライのヒント」の一つにしていただけました。「感情」ではなく「論理」に反応する科学者的精神に敬意を表します。

    byAuro3D at2021-09-18 07:34

  2. K&Kさん、こんにちは。

    STWの位相を確認するのにOmnimicが役に立つのですね、見て明らか。。。
    買ってきたユニットのプラスマイナスさえ合わせれば位相は揃うと思っていたのでこの日記を読んでかなりドキッとしています。
    私の場合はツィーターを2種類(3ユニット)使っているのでもしかしたら打ち消しあっていたりして、、、ないか。
    現在はいい音になったなあと単純に嬉しくて音楽を聴いているのですが、しばらくしたら全体域の位相を分析的にOmnimicで確認してみます。
    怖くてあまりやりたくないのが本音ですが。。。

    byCENYA at2021-09-18 15:57

  3. Auro3Dさん、

    レスありがとうございます。

    今回の変更についてAuro3DさんにBefore/Afterの検証をしていただけたのは私にとってとてもラッキーでした。

    ≻「感情」ではなく「論理」に反応する科学者的精神に敬意を表します。

    いえ、お恥ずかしいのですが、私はすぐにかっとなるタイプなのです。その一方でロジックを重要視する自分もいるのでちょっと訳が分からない変な性格で自分でも嫌になります。
    あ~言っちゃった…(泣) でも、どうせすぐばれるからいいか…(笑)

    Auro3Dさんの初回の訪問記は全く問題ないですよ。
    素直に受け止めています。ただ、なぜそう感じられるかその時にはよく理解できていませんでした。今はだいぶわかったような気がします。

    客観的に率直なご意見をいただけるのはありがたいことだと思っています。

    byK&K at2021-09-18 17:04

  4. CENYAさん、

    レスありがとうございます。

    ≻買ってきたユニットのプラスマイナスさえ合わせれば位相は揃うと思っていたので…

    そうですよね。一流メーカーのSTWの極性表示が逆というのは全く想定外でした。
    続編に書く予定ですが、サラウンド(リヤ)用に使っているPT-R9も逆なのでパイオニアのリボン・トゥイータに共通の表示方法なのだと思います。
    何か理由があるはずなので、なぜそうしたのか設計者に聞いてみたいところですが、組織がどうなっているのかわからない状況なのでで無理でしょうね。

    ≻現在はいい音になったなあと単純に嬉しくて音楽を聴いているのですが、…

    満足しているときには何もしない方がよろしいかと思いますが…(笑)

    byK&K at2021-09-18 19:57

  5. K&kさん おはようございます。

    Wavelet 解析って、全く解らないのですが、石油探査に
    地中の反射波の解析に開発されたようですね。

    フーリエ変換、とかウェーブレット展開 グラフの解析、何か難しい
    計算で、サッパリ理解できませんが

    自分で利用する場合、pcと専用のmic を揃えれば良いのですか?
    ソフトはDaytonのEMM-6購入すればダウンロード出来るのですか。

    駄耳での調整では限界もあり、Waveletの力を借りようかと
    思ってます。

    by田舎のクラング at2021-09-19 07:28

  6. K&Kさん、こんにちは。

     位相やWaveletによるアライメントの合わせ方、とても判り易いです。なかなかここまで活用されている方は少ないですね。

     音場の再現は中々難しい問題なんですが測定器具を上手く使いこなせばより簡単に調整ができるようになってきたので大分楽になってきました。まあ未だ計測では判らないことも多いのですが少しでも利用範囲が広がればと思います。

    byケン at2021-09-19 07:47

  7. K&Kさん

    STWの極性ですが、測定結果を拝見するに「極性を反転」させた方が良いことは明らかですね。ただ、本当にメーカー表示の極性が逆転しているのか為念確認しておいた方が良いかもしれません。

    以下ご参考となれば幸いです。

    1.極性の確認(但し完全な方法ではありませんし周波数が高いほど確認しづらくなりますが)
    STW単体で測定したときにOmni Micのインパルスレスポンス(下段に表示されています)の山、谷はどのように表示されますでしょうか。通常は極性が正しければ山、谷の順になり、極性反転していれば谷、山となると思います。

    2.タイムアライメントの調整(デジタルディレイを使用していない前提です)
    クロスオーバー周波数が高いので数センチの前後差でTWとのアライメントが変化いたします。そのため、極性を反転させずに2~3cm程度、STWを前後させてみながら測定をされてはいかがでしょうか。物理的な位置調整で極性反転した場合と同じ測定結果が得られるポジションがあると思います。

    この時のSTWの位置がTWより僅かに後ろになるポジションとなればベターと考えられます。極性反転させた場合との前後位置の違いがでますので、最終的にはどちらが合理的な位置となるかの判断で宜しいかと思います。

    byゴンザエモン at2021-09-19 08:15

  8. 田舎のクラングさん、

    こんにちは。
    レス、ありがとうございます。

    Wavelet解析は私もそんなに良くわかっているわけではありません。
    試行錯誤で使っているのですが、スピーカーの各ユニットのタイムアライメント調整には非常に便利です。

    OmniMicは日本の代理店で購入するのが安心だと思いますが、ちょっと高い(高くなってしまった?)のでそれがハードルかもしれません。これには専用のマイクが含まれます。
    ソフトはWindows PC上で動作します。

    ほぼ同様の機能を持つものとしてREWというソフトがありますが、これはフリーのソフトで適合するマイクを購入するだけで使えるようです。
    私は使ったことがないので良くわかりません。これについてはTomyさんがお詳しいので、興味をお持ちでしたらメッセージなどで情報をお願いするのがよろしいかと思います。

    私もTomyさんからREWを勧められていますが、まだ試すことができていません。(笑)

    ちょっと気になるのは、これらのソフトはスピーカー自作やマルチアンプ駆動などの調整には有効なツールなのですが、完成品のスピーカーをお使いの方がどのように利用されるのか…ということです。

    田舎のクラングさんの目的に合っているのか、その辺のところが私には良く見えないので…

    byK&K at2021-09-19 17:01

  9. ケンさん、

    レスありがとうございます。
    今回の件でも大変お世話になりました。
    私にために時間を割いてアドバイスいただいたこと、感謝しております。

    何回も私信を交換させていただいたことで自分の頭の中を整理することができました。
    サラウンド・スピーカー編もアップしたのですが、これで悩ましかった問題からほとんど解放された感じがしています。
    まだちょっと課題が残ってはいるのですが…(笑)

    byK&K at2021-09-19 19:03

  10. ゴンザエモンさん、

    レスありがとうございます。

    OmniMicを使いこなしていらっしゃるゴンザエモンさんのコメントはさすがに鋭いです。

    1.極性の確認
    WF、TW、STWの各ユニット別のインパルス応答は測定済みです。やはり極性に悩んだのでヒントを得たいと思ったのです。

    WFの正接続は素直に上に上がります。それが最大のピークになっています。
    TWの正接続は最初にわずかに上がって少し下に下がり、次に大きく上がってから(このピークが最大)下に下がる。
    STWの逆接続は最初にわずかに上がって少し下に下がり、次に大きく上がってから(このピークが最大)下に下がる。

    というものです。高次フィルターを使っているのでTWとSTWはその影響でリンギングが生じていると思われます。
    TWの正接続、STWの逆接続は挙動が似ていてともに最大ピークは上側に出ているのでこれが正相なのではないかと思っています。
    ケンさんからは波形で判断するのは難しいと言われているのでこの波形判断が正しいのかどうかはちょっと??ですが。

    2.タイムアライメントの調整
    これはケンさんからアドバイスを受けて実施しました。
    クロスオーバー周波数が8KHzなので、そこでは約20㎜で位相反転します。STW正接続の状態でベストと思われた位置からずらして測定してみました。
    測定はSTWの置き場所の制限があって前に20㎜、後ろに17㎜の位置変更になりました。

    ずらした状態での周波数特性は前でも後ろでもディップはほぼなくなります。
    しかし、Waveletでは前にずらすとSTWは時間的にTWより前よりになります。また、後ろにずらすとTWより遅れ気味になります。
    位相は前ずらしでは最高域でやや進む方向。後ろずらしでは高域での位相遅れがひどくなり20KHz手前で反転します。
    そして、インパルス応答波形は両者とも大きな一山にまとまらなくなってしまうのです。

    ということでやはりSTW逆接続が最適でこの状態で正相になっていると判断しています。

    byK&K at2021-09-19 20:13