日記
夢心地の一日
2018年06月05日
いつかは伺いたいと思いながらなかななかお願い出来なかったGRFさんのお宅にお伺いすることが出来ました。Harubaruさんのマラソンオフ会でお会いした際にお誘いいただいたのです。
先ずは和室のユニコーンです。入るなりい草の清々しい香りに包まれます。写真で見ていたよりも小振りな部屋に感じました。六畳+αだそうです。ユニコーンが壁から20数センチの距離で設置されています。

こんなに近くては奥行き感を出すのは難しかろうと思ったら驚きの音が!
おい、壁はどこに行ったんだ?全然壁からの直接反射音がないだろ!ウチと違って壁の役目を果たしてないだろ…。いや、ウチでもホントはそんな役目いらないんですけどね。(^_^;)
この音場感には圧倒されてしまいました。
そして低域。この部屋に必要な量が過不足無くあり、拙宅の暴れ馬的な低域との違いを感じました。余程優れたウーファーが隠れているのだろうと美しい木目のキャビネットを覗き込みましたがよく見えません。GRFさんにお聞きするとウーファーは無いとの答え。
バックロード型なのでと言うことですが…( ゚д゚)
これまで聴いた事のあるバックロード型のスピーカーはやはり低音が箱の音というか、ボコボコした感じが拭えない印象でした。
ここではそんな感じは一切無く、高域から中域、低域まで欠落部分無くスムーズで、その為に全く強調されたところが無くいつまでも浸っていたい自然さがあります。GRFさん曰く単一ユニットの為クロスオーバーポイントが無い事が重要な点だと言う事でした。シングルコーンの良さと言うのは聞いてはいましたがコーンの場合一つでカバーできる帯域はかなり狭いものでしょう。しかしGerman Physiksのユニットは上から下まで全帯域を無理なくカバーしていました。

そして堪らないのが声です。アメリングの若かりし頃(ソコソコの若さ(^_^;))のアルバムから出る声の素晴らしさ!82年頃の録音だそうですが、とてもそんな時期の音とは思えません。私は80年代のCDの音はザラザラした粗さがあると感じていましたが、そんな事はないと言う実例を見た思いです。また音の鮮度が高いだけで無くグイグイ訴えかけてきます。呆然と聴き惚れてしまいました。このアルバムドイツ版中古を早速ポチりました。
次にアラウ、トリフォノフのピアノです。ピアノに必要な音の太さ、サイズ感も十分です。そしてピアノも良いのですがオーケストラのバイオリンが湧き上がる感覚が生々しくこれにもウットリ。
そして男性ボーカルでBergonzi、とDieskau。特にBergonziの存在感が圧倒的でした。

次が白井光子さんのドイツリート。これがまた絶品。寡聞にして白井さんを知りませんでしたがこれは絶対オススメです。日本人的な声の平板な感じが無く深みのある声に鷲掴みにされました。GRFさんはセットモノで入手されたそうですが、ネットでも中古でドイツ版がありましたので早速ポチ。

和室最後はちあきなおみと青江三奈。歌唱の素晴らしさを味わい尽くします。青江三奈は珍しいラテンのアルバムです。スペイン語で歌っている曲もありジャケ右上にもありますがサンバカーニバルのダンサーみたいな衣装で登場したライブのようです。しかもこの原語の歌もサンバスタイルの青江三奈もなかなかいけてます。(これホント)
この辺りでお昼という事で近くのお蕎麦屋さんに。
私は福井の生まれですが、福井は隠れた蕎麦処なので私も蕎麦の味にはうるさいのですがここはホントに美味しい蕎麦屋さんでした。
しかし午後の部もあるので早々に引き上げます。

そしていよいよ本丸の部屋に。
この部屋のアナログレコードの数たるや、もうどの位か見当もつきません。
また、床のしっかりした構造は歩いただけで分かります。足音が全くしません。GRFさんの情熱を具現化した床です。
機器としてはemmのプレイヤーとDAC、それにmola molaのプリアンプ兼DACが。
この二つのDACはスイッチひとつで切り替え可能となっていて曲の特性に合わせて自由に選べます。
emmは優しさのある美音、mola molaは容赦ないダイレクトな音です。と言っても耳障りでは無くソースの音をそのまま出している感じです。
午前中の和室と比べ、更に音場が広いのが分かります。また音像のサイズや形が感じられる部屋です。
ここでもGerman physiksの不思議なナチュラルさを持った音に包まれます。無指向性のスピーカーの特性は素晴らしいです。ある意味眠くなります。これは脳からα波が出ている為でしょう。私はクラシックのコンサートなどでは高い料金を払いながら眠ってしまう事がままあるのですが、やはりα波の為でしょう。弦楽器の自然な音はα波を誘発して眠気を誘うらしいですね。
このように自然な音を出すシステムなのですが、一面ソースの出来不出来もそのまま出してしまうようです。私の持参したシーネ・エイのアルバムも低域がかなりブーストされているのがありありと分かりました。

この部屋で聴かせていただいたソフトでは2つのプロコフィエフ作品がとても印象的でした。一つはクレーメル、アルゲリッチのバイオリンソナタです。これは mola molaで聴くと鳥肌が立つような不気味さがあります。しかし何故か惹かれる音楽なのです。
もう一つはほのぼのとしたピーターと狼です。久しぶり聴きましたが面白い曲だと再認識しました。

実はCDプレイヤーはマランツの非常に古いモデルがありそれも聴かせて頂きました。何と14ビットから16ビットに変わった最初のモデルだそうです。それでいてemmのプレイヤーにさほど引けを取らないレベルなのです。これも驚き。
その後スピーカーの位置調整法を伺いました。モノラルソースでスピーカーの間に立ちちょうど目の前に音像がまとまるようにするとの事です。
これをわざわざスピーカーの位置をズラして実験していただきました。ズラすと確かに音像が散らばります。これは拙宅でもやってみようと思います。
ここまででかなりな時間になりましたが最後にアナログです。ここでは歌謡曲オンパレード!

加山雄三、森進一、越路吹雪、布施明、渚ゆう子いずれもライブ版でとても40年前の録音とは思えない生々しさでした。またアナログとは思えない様な音場感でもありました。
最後に何か聴きたいものはと聴かれましたが、もう頭がオーバフロー状態で答えられませんでした。今思えば弦楽四重奏を聴かせてもらえば良かったと後悔しきりです。
兎に角素晴らしい体験でした。GRFさんのおもてなしはほとんど付き合いのない私にもまるで旧友に対する様な気の置けない対応で、緊張もすぐに解けリラックスして音楽に浸れました。
GRFさん本当にありがとうございました。
次回は拙宅での御指導お願いいたします。
レス一覧
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Lotus Rootsさん、こんにちは。
GRF邸を訪問されたのですね。あの方の音源は素晴らしいですね。また音場の表現はかなり勉強になりますよね。
私のマラソンオフ会もお役に立てたようで良かったです。
byHarubaru at2018-06-06 11:12
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Lotus Rootsさん、
こんばんは。
GRFさんのところは私にとってはワンダーランドなのですが、実は2回うかがっているのにあの和室のユニコーンは聴いたことがないのです。
よかったですねぇ~、うらやましい…
今度おうかがいするときにはぜひまず和室へとお願いしているのですが、お忙しい方なのでいつになりますやら…
Lotus Rootsさんのレポートを拝見してますます思いが募ります。
byK&K at2018-06-06 19:04
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Lotus Rootsさん
初めまして。
私が最初にお邪魔した時の驚きそのものが、再現されていたので、つい嬉しくなってレスしてしまいました。
和室では、決して広くない、壁にも床にも天井にも何のグッズも見当たらない空間で、あのようなステージが広がる表現が実現しているのは、暫く信じられませんでしたし、メインホールでは聞いたこともない程のリアリティと自然さで、奏者が並んでいるのに唖然としたのがつい先日のようです。
それはそれで素晴らしいのですが、その上、音楽が本当に音楽として鳴っているその楽しさで、私はオーディオ的な謎を解く努力を直ぐに放棄してしまいました。その後は、いつも音楽鑑賞会です(笑)。
byパグ太郎 at2018-06-06 19:29
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Harubaru さん
本当に素晴らしい音場表現でした。
音像としても形が見える感覚でした。
Harubaru さんのお宅でご一緒させて頂いたお陰です。
マラソンオフ会は毎年人の輪を広げてもらっています。
ありがとうございます。
byLotus Roots at2018-06-06 20:33
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Lotus rootsさん、こんばんは。
行かれましたか。どうやら和室リニューアル前の間際の訪問だったようですね。驚きばかりだったと想像しますが、実演もあって勉強になったのではないでしょうか?。青江三奈、渚ゆう子は、私は未聴です。羨ましい!
by横浜のvafan at2018-06-06 20:46
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K&Kさん
レスありがとうございます。
そうなんですか!1度目で両方体験出来た私は幸運です。
和室の音も本当に素晴らしい音でした。繋がりの良さが最高でした。他で聞いたことのない音で、あんな自然な音を鳴らすことが可能なのかと驚きました。
次回は是非和室を体験してください。
byLotus Roots at2018-06-06 20:53
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パグ太郎さん
はじめまして。
そう言っていただけますと私の印象もあながち的外れでは無かったんだと安心致しました。音の捉え方は人それぞれだという事が最近漸く分かってきました。記事を書く上でも的外れなことになっていないか心配になる事がありますので。
それにしても「音楽が本当に音楽として鳴っている」これですよね。
今回帰宅後にいくつもポチってしまったのはこの為です。
当日はGRFさんからもパグ太郎さんのお話をお伺いしてました。パグ太郎さんのご選択は正解だと思います。
私はまだまだ未熟者ですが、パグ太郎さんとも今後交流の機会を持つ事ができればと思います。
よろしくお願いします。
byLotus Roots at2018-06-06 22:23
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横浜のvafan さん
いや、本当に勉強になりました。
スピーカーの位置合わせなど非常に分かりやすく説明していただきこれなら自宅でも実践できると思えました。
青江三奈は良かったですよー。しかもジャケットにある若かりし日の写真を見ると結構可愛いんですよね。これ、新発見。(^o^)/
byLotus Roots at2018-06-06 22:40
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Lotus rootsさん、おはようございます。
念願のGRFさん邸サウンド体験、おめでとうございます。
私も和室のユニコーンでウーファーを探すという、同じ反応をしてしまいました(笑)
そのご感想にも共感しています。当日の驚きの連続を思い出しながら、日記を拝見しました・・・
byKYLYN(キリン) at2018-06-07 07:25
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KYLYN さん
レスありがとうございます。
和室の低音、凄いボリュームですよね。あれがユニット一発だなんて。
絶対ウーファー探してしまいます(^_^;)
ホントに良い体験出来ました。改めてオーディオの奥の深さを感じました。
byLotus Roots at2018-06-07 10:40
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こんにちは
和室のあの精緻な空間描写と、低域のボリュームがありながらも位相の揃った音楽表現は驚きですよね。
大部屋はもう本物の会場があるのみで、オーディオの存在をすっかり忘れてしまいます。
もう、オーディオで音をいじるとかの話ではなく、音楽を構築しているという別次元の手法に驚いた記憶があります。
byにら at2018-06-07 18:44
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Lotus Rootsさんこんばんは。
私も近日、GRFさん邸に行って来ます。
私のような若輩者には当分はお声がかからないだろうと思っておりました。
それにしても、和室のユニコーンは本当にユニットが一つなのですか?
実家の時は和室にてオーディオをやっていたので和室の畳で低域を十分出すのは至難の業であると思います。
頭でわかっていても師匠と同じく、ウーハーを探してしまいそうです。
byニッキー at2018-06-07 20:15
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にらさん
レスありがとうございます。
全く仰る通りです。和室の位相の整い方はやはり1ユニットである事に依るのでしょうね。音楽の構築、これも同意します。
また、かなり古い録音が鮮度も高く良い音で鳴っていたのも印象的でした。アメリングのCDでしたが、実はこれ拙宅で聴いても素晴らしい録音でした!これも今回の収穫のひとつです。よかったらにらさんも聴いてみてください。
byLotus Roots at2018-06-08 20:01
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ニッキーさん
レスありがとうございます。
和室の低域は難しいですよね。私も以前は和室におりましたので解ります。私の場合は早々に諦めておりました。
ウーファーは仮にあったとしてもユニットの中が見えないので何とも言えませんが、一つ言えるのはあの様に上から下まで何処にも繋ぎ目の無い音は初めて聴いたという事です。もちろんどんなシステムでも「ああここに繋ぎ目が」という感じで分かるわけでは無いですが、あれほど無理のない自然な音は単一ユニットから出ているためだとすぐに納得いきます。
どうぞ堪能していらして下さい。
byLotus Roots at2018-06-08 20:09
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Lotus Rootsさん、こんにちは!
GRFさん邸に訪問されたのですか〜、良いですねえ。
GRFさん邸は私が今聴かせて頂きたい猛者の中で3本の指に入っておりまして、いつかは!とその機会を待っている所でございます。
どうやらニッキーさんに先を越されますので、ニッキーさんの訪問記も読まさせて頂いて、待つ楽しみを味わいたいと思います。
パグ太郎さんの訪問記でも感じましたが、
帯域がシームレスなだけではなく、音場もシームレスに正確に拡がっているのでしょうね。
音楽に満たされて浸れる空間。
いつか!のその日を楽しみに待ちます。
byCENYA at2018-06-09 09:50
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CENYAさん
レスありがとうございます。
GRFさんの音の完成度は驚きの次元でした。
和室のユニコーンの繋がりの良さは初めての体験でとても不思議な感覚でした。
またGRFさんはとても紳士的で私の様な初心者同然の者に対しても上から目線などは無く、優しく対応頂きました。
CENYAさんもそのうち機会があると思います。期待以上の体験が出来る事は間違いありません。
byLotus Roots at2018-06-09 23:47
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