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もともとPCオーディオ(有線LAN)でしたが、音質に限界があることが判明したので、それに代わるものとして、SSD再生に転向しました。これに関していろいろ情報交換をお願いしたいです。

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日記

サンプリングレートはなぜ44,100Hzなのか

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2015年07月16日

今回は暑さしのぎの軽い読み物です。

CDスペック(16bit/44.1kHz)の問題点については、先日来の私の日記をご参照ください。

ひとつは、弱音部分の表現力が極端に悪化して「自然」な音が再現できないという問題(分解能、量子化ビット数)、もうひとつは、20kHzを超える高周波数ないし超高周波数が取り込めないという問題(サンプリングレート)ですね。

それでは、なぜ、そういう規格になったのか?

これについては、商品としてオーディオCDが登場した1982年(昭和57年)という時代背景や開発当時の技術も考慮に入れる必要があります。

そこで、当時、ソニー社で開発責任の職にあったと自称する人や、その周囲の人達の回顧録などを読みましたが、CDがいまだに現役商品であることから、退職後も「言論の自由」は満喫できないようで、いい加減にお茶を濁しているのが実情です。たとえば、可聴帯域の上限が20kkHzだから、ちょっと余裕をみて44.1kHzにした、などというのがその好例ですね。

ところが、漸く、これだ!という記述に巡り会いました(この本※はアマゾンで買えます)。それによると、まず、分解能、量子化ビット数の問題。

「量子化ビット数はオーディオ信号の理論上のダイナミックレンジを決めるものです。オーディオCDにおいて、それまでのアナログレコード以上のダイナミックレンジを確保するには、量子化ビット数を少なくとも12以上にする必要がありました。オーディオCD開発当時、16bitsのAD/DA変換器は高価であったため、フィリップス側は14ビット量子化を主張しました。しかし、すでに商品化されていた業務用デジタルレコーダー『PCM-1600』との互換性を重視したソニーは、16ビット量子化を主張し、最終的にソニー側の意見が採用されました。これによって、オーディオCDのダイナミックレンジは、理論上、約98dBとなったのです」

というのです。少なくとも24bitにしなければ、「自然」な音が得られないことは、お分かりだと思いますが、当時の開発当事者には、そのような配慮よりも先発商品の便宜的利用がまず第一の着眼点だった、ということのようです。

このとき仮にフィリップス側の14ビット量子化が採用されていたら、もっと早期に問題点が浮き彫りになったことでしょうから、音楽を愛好する多くの人にはその方が僥倖だったのではないかと思います。歴史に「もし」はないといいますが、これは惜しいことです。


つぎに、サンプリングレートの問題です。これもその本によると次のような事情が明らかになります。

「1970年代にすでに商品化されていた、この録音機PCM-1600は、CDのようなディスクをメディアとするものではなく、磁気テープにPCM信号を記録するものでした。磁気テープを用いた録音機というと、アナログテープレコーダーが思い浮かびますが、アナログテープレコーダーのような固定ヘッド方式のレコーダーでは、高密度なPCMデータを記録することができません。そこでPCM-1600では、当時すでに開発されていたVHSビデオデッキの機構を転用したのです」

えっ、それはどういうこと?

「NTSCテレビジョン信号の水平同期周波数は、15,750Hzです。つまりテレビ画面上を走査線が1秒あたり15,750本、水平方向に走っているわけです。磁気テープ上を斜めに横切るデータ線の1本1本がこの水平走査線に対応しています。そしてVHSビデオデッキでは、テープに対してヘッドが1回転する間にデータ線が525本記録されます。この機構を転用したPCM-1600では、このデータ線1本にリニアPCMデータをチャンネルあたり3個記録することにしました」

「ただし、回転するヘッドの両端付近は記録が不安定であるため、525本のデータ線のうち、この部分の35本は使用せず、490本だけを使用しました。つまり、1秒あたり15,750本のデータ線のうち、490/525=14/15だけを使用し、その1本ごとにリニアPCM信号を3つ記録していることになります。

 15,750×14/15×3=44,100

この結果、1秒につき、片チャンネルあたり44,100のデータが記録されるわけです。」

「オーディオCDはディスクメディアですから、CDプレーヤーでは、磁気テープなどどこにも使用していません。したがってヘリカルスキャン(注、回転ヘッド方式)も関係ないのですが、オーディオCDを商品化する時、すでにPCM-1600で録音されたコンテンツがいくつもあったため、オーディオCDの規格もPCM-1600に合わせてサンプリング周波数を44,100Hzにしたのです」


いかがですか? 当時の時代背景や技術を考慮しなければ、ものごとの本質は見えてこない。要するに当時の技術ではそれが精いっぱいだったということですね。それにしても、よくもまあ、30年余り、このような便宜的商品が生きながらえてきたものと驚嘆します。


なお、冒頭に引用した中で「量子化ビット数はオーディオ信号の理論上のダイナミックレンジを決めるものです。・・・・これによって、オーディオCDのダイナミックレンジは、理論上、約98dBとなった」というところは、私にはあまりよく理解できません(汗!)。後学のために、どなたか、お詳しい方の解説が頂ければ、ありがたいです。

※図書:音楽が10倍楽しくなる!サウンドとオーディオ技術の基礎知識
著者:坂本 真一 、蘆原 郁
発行日:2011/12/20
出版社:リットーミュージック

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レス一覧

  1. かもん!さん、

    こんにちは。

    CDのダイナミックレンジは以下の計算方法かと思います。

    16bitで1bitあたり6dBですから

    16 x 6 = 96dB

    あれ? 96dBですね。98dBってどこからきたのでしょう?
    96dBのまちがいでは?

    byK&K at2015-07-16 12:19

  2. K&K さん、レスありがとうございます。

    実は、上記の文章は殆ど原書からの抜き出しですので(私が下手に手を入れると間違う、笑)、今回の公開にあたり、出版社と著者には事前に文章をお示しし、公開の事前了解を頂いています。

    その際に提示した文章でも「約98dBとなった」としてありますし、今、念のために150頁を開きましたが、「約98dBとなった」とあります。

    さらに申し上げると、折角なので、著者の方に、同じ質問をぶつけました。そうしたところ回答は、次の通りでした。

    「『オーディオCDのダイナミックレンジ』に関しては,手前味噌ですが,蘆原郁編著,“超広帯域オーディオの計測,” コロナ社,2011の 4.1.1 節『ディジタルオーディオにおけるダイナミックレンジの求め方』で 解説しています」、と。

    わざわざこの本を買い求めるくらいなら、原文のまま公開して皆さんから教えて頂こうと、初志貫徹しました(笑)。

    byかもん! at2015-07-16 13:45

  3. かもんさん、こんにちは。

    16bitでは通常ダイナミックレンジは96dBですが、ディザによって1bit未満の振幅も拾い上げていると考えて約98dBとしているのではないでしょうか?

    CDプレーヤーのカタログで、再生できるダイナミックレンジを100dBとしているものもあります。

    ソニーは、CDの規格を決める時、本当に20KHzまでで良いのか、老若男女、プロの音楽家も含めて、実験しました。

    音楽再生中にあるタイミングで20KHz以上をカットしたり、カットしなかったりして、どのタイミングで切り替えたか当ててもらう、というものでした。

    結果は誰一人として当てられなかったので、20KHzまでで十分と判断しました。

    実際には20KHz以上を聴いて出てくるα波は、出現までの時間に個人差があり、また20KHz以上カットされても、しばらくはα波が出続けるため、厳密にどの時点で切り替えたかは、当てられるわけが無いのです。

    一曲とおしで、カットした音源とカットしない音源を聞かせて、どちらが気持ち良く聞けるか、のテストでは、かなりの方が20KHz以上をカットしない方が良いと判断したかもしれません。

    byミネルヴァ at2015-07-16 15:00

  4. ミネルヴァさん、こんにちは。

    レスならびにいつもながらの的確なご教示ありがとうございます。

    ダイナミックレンジについては、算式はK&Kさんのご指摘の通りで、差異は仰るディザの問題でしょう。よく分かりました。

    20kHz超の高周波のα波効果(先に日記にしましたハイパーソニック・エフェクトの一種ですね)の遅効性(発生も停止も)については、その時に紹介したテレビ講座でも同じ説明がありましたが、この点のご指摘もさすがです。改めて脱帽です。

    私の日記に最近レスを頂いたyohine さんのご指摘(「連続した20kHzは聞くことは出来ないが、20kHz以内の波形に含まれている高周波成分の違いは感じ取ることが出来る」と言う点、また、「人間の耳は測定器とは全く違うので20kHzのサイン波が聞こえないから20kHz以上の成分を感じ取ることができないってのは違う」というご指摘)も考慮に入れますと、今となっては、44,100Hzにはどうしても疑問が出る、ということでしょうし、ある面、そういうデジタル技術の進歩がありがたいことでもあります。

    今後もよろしくお願い致します。

    byかもん! at2015-07-16 15:26

  5. かもんさん、こんにちは。

    16bitは2^16=65,536です。従って
    20×log(65536)=96.33(dB)

    ダイナミックレンジは、信号波と量子化雑音の比ですが、
    後者は三角波であり、正弦波と三角波では実効値の比率が
    3/2のルートになるので、これを補正する必要があります。
    20×log((3/2)^0.5)=1.76(dB)

    従って、96.33+1.76=98.09(dB)

    一般にビット数をBとすると、ダイナミックレンジは
    6.02×B+1.76(dB)という式で表されます。
    24ビットなら約146dBですね。

    by801A at2015-07-16 16:29

  6. 801A さん、こんにちは。

    そうなんですね。教えて頂き、まことにありがとうございます。

    そして、24bitなら、理論値は、約146dBになること、そうなんですね。

    道理で、私の24bitファイルを聴いて下さった方が「音像がくっきりして、背景から浮かび上がる感じ」がする、と仰っていますが、24bitによる弱音表現力アップ以外にダイナミックレンジの拡大によるものだ、ということがここに来て理解できました。

    今後とも、いろいろ教えてください。よろしくお願いします。

    byかもん! at2015-07-16 18:35

  7. かもんさん 今日は。
    サンプリング周波数の決定事情で若干気になるところがありましたので、
    書かせていただきます。
    デジタル信号の記録媒体として磁気テープに記録する場合の民生用(家庭用)VTRとはVHSではなく3/4インチのUマチックVTRで1/2インチVTRの前に家庭用として発売されたものです。
    その後永らくPCMのマスターメディアとして使用されました。
    またサンプリング周波数はNTSC VTRの場合44.056kHzでPAL&SECAMの場合に44.1kHzになります。

    byトム at2015-07-16 21:59

  8. yamamoto2002 さん、こんばんは。

    レス、ありがとうございました。

    今晩はPhilewebの閲覧がとても重くて、お礼がおそくなりすみません。

    凄い本を読んでいらっしゃるんですね。権威ある書物なんでしょうね。

    いずれにせよ、皆さんから教わったことはそれほどの大差がないようでよろしいかと思います。

    それにしても、(私の)引用本によれば、レコード盤再生では、「理想的な条件で、アナログレコードのダイナミックレンジは、60dBから 70dB。周波数帯域は、非常に細い特殊な針を用いない限り、20kHzくらいと考えてよさそう」(91頁)とのことでしたので、やはり、デジタル・オーディオ、しかも、ハイレゾ化が必須の流れと思います。

    今後もいろいろ教えてください。

    byかもん! at2015-07-16 23:25

  9. トムさん、はじめまして。

    こんにちは。詳細な訂正情報を頂きありがとうございました。

    上記の通り、公開日記は、事前「検閲」を受けておりますが、とともに「公開後もURLを連絡せよ」とのことですので、昨日のうちに、義務履行しております。

    著者も、その内ここまでのレスを含めご覧になると思いますので、改訂版では、トム師匠さんから頂いた情報に即して改訂されるのではないかと期待します。

    ところで、凄いセット・システムですね。

    裏家、表家どちらか存じませんが、イメージギャップも凄いです。呆気にとられております。

    なお、近々、物議を醸すであろうアナログオーディオ論をやるつもりです。ご立腹なさいませんように、その時は是非とも、お茶室の方へ。

    では、ありがとうございました。

    byかもん! at2015-07-16 23:29

  10. yamamoto2002 さん、おはようございます。

    わざわざお調べ頂き、恐縮です。確かに「3/4" U-Matic」「NTSC and PAL video formats」「sampling frequencies of 44.1 and 44.056 kHz」が討議されたが、結局、44.1にした。そうしたのは「(was chosen) for the simple reason that it was easier to remember」とありますね。面白いですが、何とまあ!

    尤も、どっちもさほど変らないといえば変らない(笑)。

    >NTSCの水平走査周波数は15734.3Hzにすると計算が合う

    はい、44,056,038Hzになります。いずれもトム宗匠(師匠は表記ミス)さんご指摘の通りでした。

    またCDの容量を決めるに際し、フルトベングラー指揮ベートーヴェン交響曲第九番の演奏(それがこの曲の最も長い演奏時間だった)が一枚のCDに収まるように取り決めた、という記載がありますね。

    Attn. Mr.Author, who will be a possible reader of this column ;
    I thank them on behalf of you, because as you could see above, you'll have a chance to review whether what your book shows on page 151 is based on a historical fact or not in future. Thank you.

    byかもん! at2015-07-17 05:33

  11. かもんさん、こんにちは。

    CD規格の検討当時、ソニーの大賀典雄さんが、親交のあったカラヤンに、フィリップス案の11.5cm(60分)とソニー案の12cm(74分)との二つの規格で二者択一の段階に来ていることを話すと、カラヤンは「ベートーベンの交響曲第九番が1枚に収まったほうがいい」とアドバイスし、そのことを説得材料として、11.5cm、60分を主張していたフィリップスを説得した、との説があります。

    また、アナログレコードのダイナミックレンジが約60dB,CDのダイナミックレンジが約98dB、というのは比較の土俵が違うという説があります。 土俵を合わせればアナログレコードのダイナミックレンジは108.26dBだそうです。

    「Dレンジは比較不可」で検索してみてください。(その2)では無いほうです。

    byミネルヴァ at2015-07-17 11:32

  12. ミネルヴァ さん、こんにちは。

    ご指摘のお陰で思い出したのですが、そう言えば、カラヤン/大賀さんの話は昔、日経ビジネスの囲み記事で読んだように思います。CD録音好きのカラヤンと二人の交友関係から、当時は、ソニーのPR部隊が創作したんだろうと思っていました。真相はどうなんでしょうね。

    ただ、昨夜、yamamoto2002 さんが教えて下さった、Kees A. Schouhamer Immink さんの記述には、次の項があります。

    According to the Philips’ website with the ‘official’ history: "The playing time was determined posthumously by Beethoven". The wife of Sony's vice-president, Norio Ohga, decided that she wanted the composer's Ninth Symphony to fit on a CD. It was, Sony’s website explains, Mrs. Ohga's favorite piece of music.(以下、詳細に続きますがこのくらいにしましょう)


    ご指摘のURLを読みました。何人かのオーディオ技術者に事実関係を確認したら普通に知っていることの由で、土俵が違うのはその通りなんでしょうね。引用本の著者にはこのことも再検証を促すべきかも知れませんね。そうはいっても24bitの世界に入れば、もはや、太刀打ちできないことには変わりがなさそうです。

    いろいろとありがとうございました。
    今後とも、いろいろと教えてください。

    byかもん! at2015-07-17 13:21

  13. かもん!さん 遅レス失礼いたします。

    理論ダイナミックレンジについては801Aさんの仰るとおりですね。この分野については河合一さんの解説があります。
    http://ednjapan.com/edn/articles/1205/21/news001.html

    なお、河合氏、この簡易式で、なぜか量子化雑音電力の実効値電圧の補正項を1.76(dB)と1.78(dB)と混用していますが理由等は不明です。注意すべきは、河合氏が「理論DR」とアナログ特性としてのダイナミックレンジ特性とは別物と仰っていることです。

    サンプリング周波数(fs)がなぜ44.1KHzに決定した経緯も仰る通りだと思います。業務用デジタル(リニアPCM)録音機を最初に開発し実用化したのはDENON(日本コロンビア/電音)で、CD発売の10年前の1972年でした。スメタナ四重奏団の演奏が初録音となりました。テープ手切り編集が可能な第1号機(DN-023R)は、47.25KHz/13bit(max 8ch)でした。土台となったのはやはりシバデン(芝電気→日立電子)製の2インチ・ヘリカルスキャンVTRで、これをDENONが改造したものでした。

    また、SONY初の業務用録音機PCM-1600の前身となるのは、前年の1978年に発売された世界初のデジタルオーディオ機器となったPCM-1です。これはADとDAを併せもつプロセッサーでベータマックスのVTRと組み合わせて録音・再生機となるものだったわけです。SONYもDENONも、開発背景には共通してNHK技研の映像技術がありました。ですから、VTR技術が流用される形でCDデジタルオーディオが開発され、規格設定が行われたのはその通りなわけです。商品開発の現場、現実とはそういうものだと思います。


    けれども、このことでCDを『便宜的商品』とことさらに貶める必然性は全く無いと思います。

    (続く)

    byベルウッド at2015-07-17 15:50

  14. (前レスの続きです)

    けれども、このことでCDを『便宜的商品』とことさらに貶める必然性は全く無いと思います。fs=44.1KHzも、人間の可聴帯域から信号帯域=~20KHzとし、その前提でポストLPF(ロー・パス・フィルター)のサンプリングスペクトラム除去機能・性能から、44.1KHzで十分な余裕があるという合理的判断がありました。量子化精度16bitはむしろ14bitを主張するフィリップス側を始めとする大勢を押し切っての採用でした。そこにはCDの寿命をLP以上の20年とその将来を見据えた勇断だったわけです。その予想寿命をはるかに超えて30年も経ってもいまだ健在というのはまさにCDフォーマットがいかに優れていたかという証左となるもの。そういう経緯はこちらのブログでもうかがえます。
    http://like-a-sony.blog.so-net.ne.jp/2010-06-03

    なお、蛇足ながら、上記ブログでは、CD開発(デジタルによる高音質化)支援者として、カラヤンだけではなくスティービー・ワンダーの名前が挙がっていることはとても興味深いことです。

    もうCDフォーマットは限界に来たということは、私も賛同いたします。けれども、再生出力上、16bitでは問題があり24bitがゼッタイ必要だとは私は思っていません。「『弱音』こそは、(特にクラシック)音楽の命、音楽の神の宿る」ということには全面的に共感いたします。しかし、それが16bitでは致命的な障害となっているとまでは思いません。

    問題はDRの幅(dBの数値)ではなくて、最弱音領域では矩形波による近似精度が低下することにあります。

    (続く)

    byベルウッド at2015-07-17 15:55

  15. (続きです)

    問題はDRの幅(dBの数値)ではなくて、最弱音領域では矩形波による近似精度が低下することにあります。この弱点を補っているのがDENONのアルファ・プロセッサー(AL24bit、AL32bit)による補間補正技術で、デュアルモノやアキュフェーズのMDS法のようにオーディオスペックのDRやS/N比には数値として現れませんが余韻や奥行き、空間表現などに優れていて同社の中堅機の音がよくて私の改造DCD-SA11がなかなか手放せないのはそこにあるのかと心秘かに思っています。いわゆるハイレゾの効用は、録音・編集段階にあるのであって、ハイレゾ領域で収録され編集されたものは情報劣化が少ないままにCDフォーマットに落とし込めるのだと思います。前記の河合氏も「24ビットの優位点はむしろ、デジタル録音/編集工程での信号処理におけるデジタル演算誤差の最小化に効果的である」と断言しています。

    いずれにせよ、私は「16bitで十分余裕がある」というyamamoto2002さんのコメントに共感します。

    むしろ、出力時のフォーマットが問題という前に現行のCDからどれだけその実力を引き出しているのか、と言いたいのです。前記の河合氏は、アナログ特性上、16bitと24bitとの差は殆どが量子化雑音の差なので数値上あまり変わらないと説明しています。問題はアナログ回路などでの音質差のほうが大きいのです。オーディオとしても、アナログ機器やケーブルの選択、電源周り、スピーカーのセッティングによる音質差のほうがはるかに大きいのです。デジタルの方式による差が聴き取れないようなセッティングで、あれこれ言ったところでどうしようもないでしょう。


    同じことはアナログについても言えます。

    (続く)

    byベルウッド at2015-07-17 15:57

  16. (続きです)

    同じことはアナログについても言えます。アナログのダイナミックレンジは最高で70dB程度ですが、数値的には直線性歪みや高調波歪みに規定されているので実際上の聴感上の力感や迫力はそれ以上のものがあります。そういうわけでアナログは、むしろ最大音を上げることにレンジ拡大の主眼があったわけですが、そういうアナログの歪みは自然音に共通するので聴感上はむしろ力感や迫力につながるので、少々定格をオーバーしても構わないのです。弱音域は、おもにテープヒス、針音、回路やデバイスによる雑音にマスクされるので、特性が進化した現代システムでこそ本領を発揮するところがあります。もっとも、当時の家庭用機器の現状に合わせてしまったビニル盤は、今のシステムではうまく「味」が出ないというところがあります。これは音源そのものの歪みなので、再生側で調整(≒イコライジング)せざるを得ません。問題は、皆さんがアナログをどれだけちゃんと再生できていますかということなのです。

    むしろ、DA出力の矩形波からフィルターなどを通じてもともとの音楽波形に近似していくデジタルのように位相特性や過度特性に厳しくないのでシンプルな回路構成で高音質再生できるという利点があります。同じことが録音側にも言えます。過去の音源には音質的にも素晴らしいものが数多く存在していて、まさに人類の文化遺産といってよいでしょう。一方で、矩形波に起因するデジタル再生は非自然な歪みやノイズが耳障りで、この克服はかなり高度なアナログ技術を必要とします。DAC後段のI/V変換、LPFはOPアンプによるアナログ回路です。ハイエンド機器といえども集積回路を使用せざるを得ず、ここにどれだけ手間やコストをかけられるかが勝負です。何も一概にアナログ音源の再生を「骨董品」などとひたすら貶めることはありません。もっともこの辺りのコメントはどうやら撤回されたようですが。


    長文をだらだらと書き連ね失礼いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

    byベルウッド at2015-07-17 16:02

  17. ベルウッドさん、こんにちは。

    およそ5分前にレスに気がつき、細かいところは飛ばし読みして取りあえずお返事をすべきという考えから、これを書いています。

    CD再生の限界は理解するが、そこまで貶めることはない、アナログ再生だって、ハイパーソニック・エフェクトを認めているのだから、一部考えが変ったのだろうから、それは了解するものの、一方的な断罪は行き過ぎではないか? というのが、仰りたいことのエッセンスと理解しました。細かいことを言えば、それぞれの個人が歩んできた道のりから自ずと知識の質や量に個人差がありますので、ここで取り上げてもあまり皆さんの参考にならないことと思います。

    で、本題ですが、デジタルオーディオによる音楽表現には24bit/48kHzが最低限必要だ、と言うことに関しては、これは実物を聴いて頂くしかないのです。聴けば分かる、聴かねば分からないです。篤志の方が、協力しようと仰ることがあれば、私はその方にお願いして、CD再生、CDリッピングファイル再生、当該CDを音源とするNHK FM放送をデジタルファイル録音したWAVファイル(24bit/48kHz)再生、という三組の比較試聴をして頂くのが一番良いと思います。

    河合さんのお話の援用、その他、もろもろ仰ることは、私が同じ立場だったら、五十歩百歩のスタンスで同旨のことを申し上げたでしょうから、よく理解できますが、お立場にどうしても説得力がないのは、上記のような比較試聴をした結果、こうこうだったという現実論が欠如しているからで、全体としてはどうしても空虚感を否めないのです。

    このコミュで波風を立てるのは、好みませんが、アナログ再生については、改めて、私も考えを整理して公開したいと思いますので、その場で議論を深化してはどうかと思います。私の真意が伝わらずに、過激?な表現のみが徒に刺激をしているようなので、そうならないように文章を練っているところです。

    byかもん! at2015-07-17 17:13

  18. yamamoto2002 さん、こんばんは。

    これですね。

    It was not about Mrs. Ohga’s great passion for music, but the money and competition in the market of the two partners. The decision regarding diameter/playing time was taken outside of the group of experts responsible for the CD format. So I, a former member of that group, can only guess what happened at the upper floor. But something unforeseen happened: at the last minute we changed the code.

    つまり二強が当然のことながら、将来市場の争奪戦に入っており、そのための駆け引きがメインで、CD規格をどうするこうするの事務レベル協議なんかすっ飛んだということでしょうね。そこにカラヤンが顔を突っ込んできたのかどうか、今となっては、闇の中ですか。

    いろいろありがとうございました。このあたりで、このテーマについては、幕を閉めましょう。

    byかもん! at2015-07-18 00:15