日記
薄井史織 さんて? その2
2015年08月21日
「プロムス2015」と題する、有名な英国BBCの夏の音楽祭のライブ録音放送(NHK FM)。去る7日夜にいよいよ、次の曲が登場です。
「オーフィオコーディセプス・ユニラテラーリス・エス・エル」
薄井史織・作曲
(8分24秒)
(演奏)バーミンガム・コンテンポラリー・ミュージック・グループ
(指揮)フランク・オルー
バーミンガム・コンテンポラリー・ミュージック・グループというのは、バーミンガム市交響楽団のメンバーと当時首席指揮者だったサイモン・ラトルによって1987年創設、イギリスを代表する現代音楽専門のアンサンブル。
フランク・オルーはフランス生まれ。ブーレーズのアシスタントを務めたことのある、現代音楽専門のアンサンブルで活躍する指揮者。
薄井史織さんは1981年埼玉県生まれ。父親の転勤に伴い17歳で渡英しそのまま在住している現代作曲家、オーケストラ作品『笑い』で2012年の武満徹作曲賞第三位受賞。器楽作品からモーションキャプチャーなどのデジタル技術を使った作品まで幅広く作曲、今回の新作はBBCからの委嘱作品で、今回が世界初演とのことです。
さて、Ophiocordyceps unilateralis s.l.とは何ぞや?
なっ、なんと! これは蟻に寄生する昆虫寄生菌の名前だそうです。蟻に寄生すると菌は蟻の脳を支配し、自らの成長と胞子の拡散に適した場所まで蟻を歩かせ、いわゆるゾンビ化した蟻を栄養としながら菌を広げていく、こわーい菌だそうです。
作曲家は雑誌に載っていた「寄生された蟻の写真」にインスピレーションを受けて作曲、初めて写真を見たときのゾクゾク感、自分が菌の胞子だったらと想像したときの空間を漂うイメージ、もし自分のカラダに菌が繁殖したと仮定したときのカラダの感覚などを五曲の組曲で表現したとのナレーションがありました。
私は折角なのでこの演奏をデジタル録音(24bit/48kHz)しました。一回目はその曲説明を聞いてから演奏を聴いたものですから、説明内容と演奏内容とを頭のなかでマッチングさせようとする意識の働きが強すぎて、正直言って、音楽を楽しむまでにはとても至らない状況でした。8分24秒というのは長いような短いような。演奏後の聴衆の拍手は、まあまあでした。当初想定していた「武満徹」的作品とはまるで違いますが、何と申したらよろしいでしょうか?
もう一度、聴いてみたい? ちょっと、時間を空けてトライしましょう。