日記
TAKET BATPUREを測定してみる
2019年06月15日
先日、CENYA邸にて、かないまる氏より“繊細感を感じさせる良さはあるが、音場の広がりを妨げる”と駄目出しをされ、定位置を追い出されてしまったスーパーTWのTAKET BATPURE。
少し可哀想だったのと、私自身が興味を持っていたので借りさせて頂きました(CENYAさん、また付けたくなったらいつでもお返ししますので)
BATPUREって確かに装着時と非装着時は明らかに音が変わります。嫌味のない明るさが付加され、音のエッジもつくといったら良いでしょうか。
ただ、私はそもそも20kHzを超える再生音が聴感に影響を与えるなんて、一切信じない派なのです。15kHzですら50歳以上の人なんかは聴こえない人が多いのに。

そうそう、加齢性難聴は誰にでも起こる老化現象といっても良いでしょう。
音の振動を電気信号に変換する細胞が年齢とともに少なくなっていくのですね。
誤解がないように説明しますが、上の図は音がこのようなバランスで聴こえるというものではありません。音量の問題です。高音をしっかり聴こうとする場合、高齢になるにつれ、ある程度の音量が必要であることを示しています。あと、女性の方が耳が良いですね(笑)
少し話がそれました。
実際にはスーパーTWの効用というのは、20kHz以上の超音波帯域よりも、実際には遥かに低い周波数(例えば8kHz~15kHz)の音色の変化を聴きとっているにすぎないのではないかというのが私の考え方です。
明らかに差が出るBATPURE。この差は測定できない筈はないと考えたので、周波数特性の計測に挑戦してみることにしました。
この機器に関して”実際に音が変わっているか”と、”音が変わったと感じているか”の狭間で揺れる世論へ一石を投じたいという目的もあります。
ちなみにメーカーサイトによると、BATPUREの特性は20kH~150kHz、能率は70dB/1mです。インピーダンスは∞~4KΩ(直流~100kHz)だそうです。こんなインピーダンスのTWにLCネットワークでハイパスフィルタなんて入れられません。けれど、低域を入力してしまう心配は無用で、超高域以下の帯域は勝手に落ちているとのことです。
さて実測です。まずインピーダンスですが、テスターでは計測不可能(無限大)でした。メインスピーカーに並列に接続しても何の影響もないと思います。
(ちなみに、スピーカーに並列に接続して音を良くするというタイプのアクセサリのほとんどは、LCRを使用してインピーダンス変動を引き起こすことにより音色を変えるものだと推測しています)

周波数特性は、こんな感じでアバウトですが、1cm、15cm、リスニングポジション(1.5mくらい)の3か所で測定しました。

4kHz以下の帯域は無視して下さい。
比較として現用スピーカーの周波数特性を載せてあります。現用スピーカーの能率はAlpair5に6.7オームをつないでいるので大体80dB位でしょうか。
このグラフを見て明らかなのは、
・距離と比例して大きく能率が落ちること
・20kHz以下も確かに再生していること(測定用スイープ音は明らかに聴こえる)
だと思います。ハイパスフィルタとしては12kHzの-18dB/octといった感じでしょうか。能率は60dBくらいかな?
専用アンプ経由で10~15dBくらい音圧を上げてやると本格的スーパーTWっぽい特性になるかと思います。(音色に癖がつく可能性もありますが)。
というわけでこのアクセサリが所謂オカルトではないことの証明くらいはできたかと思います。
※私のHNとこの会社名が同一ですが、何の関係もありません
レス一覧
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平蔵さん、こんばんは。
そういえば、フィデリクスはそんな測定器出してましたね。自社の性能を分かりやすく表現するためのものだと思います(ノイズハーベスターみたいな)。
BATPUREもこの周波数特性だと明らかに超音波帯域を再生出来ていますね。そしてPRO、MASTERは能率が高いので、超音波帯域だけでなく、恐らく可聴域のレベルも高くなっていることでしょう。
まぁ、聴いて良けりゃだとは思います。
bytaketo at2019-06-15 19:42
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taketさん、こんにちは。
ちゃんと音が出てたのですね。
毒にならないようにという目的でもって能率が低いのが一つのポイントなのかもしれませんね〜。
かないまるさんのアドバイス通りこのまま付けずに調整しますので、使って下さいませ。
byCENYA at2019-06-16 16:04
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CENYAさん、こんにちは。
そう、小さくですが聴こえる周波数帯域で鳴っていました。CENYAさん加工(よくこんなツールにまで丁寧にと感心します)に少し手を入れなければケーブルが届かないのでそこからですかね。
ありがとうございます。
bytaketo at2019-06-17 10:15
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taketさん、TAKET BATPUREの測定ありがとうございます。中々この手は見ないので参考になります。
やはり特性上も10kHz以下も結構出ていますから、聴感上もそれなりに影響はあると思います。周波数特性には現れなくとも音色の違いは人間の耳は結構敏感の様かも。
距離による減衰が大きいのは超高域になるほど指向性が強くなる影響も大きいので、それこそレーザでピッタリ軸を合わせるくらいで無いと正確には出ないのではないでしょうか。
byケン at2019-06-17 21:20
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ケンさん、こんばんは。
20kHz以上の効果というものがどうにも信じられなくて測ってみました。仰る通り、聴こえる音ならばレベルは低くても感じ取れるのが人間の耳だと思います。指向性ですね。確かにシビアかもしれません。縦に四つくらい並べるのも良いかも。(それをやる元気はまだないですが)
bytaketo at2019-06-18 21:58
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こんにちは。
聴力は周りの人を見ていると体の大きさとある程度関係がある気がします。だから女性のほうが高域特性が良いのではと思いました。そのかわり低音の聴力は弱かったりするようです。動物でもそういうゆるい相関性ありますね。象は超低周波をきいているとか、小動物は可聴帯域が高域に伸びている等です。
スーパーツイータですがインパルス応答の立ち上がり特性に違いが出るのが一番の理由かなと考えています。インパルスは高域成分以外の帯域エネルギーも持っていますから、実は広帯域の再現性に違いがでそうです。駆動力が高いアンプで低音がよく伸びるのに似ているかもしれません。
軸外や壁面反射特性まで考慮に入れたら有無による違いはさらに大きくなりそうです。
ここにインパルス波形と周波数特性の図がありました。周波数帯域を制限するとこのように形が崩れるという事例だと思います。これはFIRですがアナログだとインパルスの崩れは時間前後に対称ではなく立ち上がり後のみに出ます。そうするとよく見るSPのインパルス応答に近いです。
https://community.phileweb.com/mypage/entry/2023/20111001/
オーディオは微小領域の違いを聞く趣味なので20kHz以内に観測できる差があるなら十分に影響はあるのでしょう。
byyohine at2019-06-19 09:49
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yohineさん、こんばんは。
返事が遅くなってすみません。というか、さりげなく超大物じゃないですか。びびりますよ。
(逢瀬、お金があれば買っていると思います)
よく考えてみると、アニメに出てくる小人や巨人が普通の人間と同じ音程で話すのはなんだか違和感がありますよね。
振動板と同じで、小さいと高域、大きいと低域が得意になるのでしょう。当たり前のことかもしれませんが、他人と自分の感じる音もきっと違いますよね。
ざっくり解釈すると、高域のレスポンスを改善すると時間軸の特性も変わるので全帯域に影響するという認識でよろしいでしょうか。
逸品館のCLTスーパーTWも同じような目的でアピールされていたように思います(聴いたことはありませんが)。
ステップレスポンスに拘ったらタイムコヒレントはもちろんのこと、周波数特性フラット&全帯域正相にせざるを得なくなりますし。
必ずしも時間軸の測定値が優秀なものが評価されるわけでもないことを考慮すると、インパルスレスポンスと聴感の関係は奥が深そうです。
(ちなみにThiel大好きです。Dunlavyは聴いたことがないですが)
またこれは、TWには良質のものを奢るべきという考え方にもなるのだと思います。
少しだけ、話がそれますが、HPで絶賛されていた富山県のI氏のシステム、私も聴いています。FOSTEXのT500が実はかなり良い影響を与えている気がしました。もちろんそれだけではない音でしたが。
bytaketo at2019-06-20 21:46
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taketさん
ご返答ありがとうございました。私はただの人なのでそんなに恐縮しないでください。古くはAcoustic Realityの購入時にtaketさんの古いHPを見て決めたこともあります。私は当時そこでear502を買いました。あの頃はオーディオは初心者でした。
探したら当時の記事はまだありましたね。
https://blog.goo.ne.jp/taket-0405/e/5483755d308bc2e5a45c834ea147aa22
> ざっくり解釈すると、高域のレスポンスを改善すると時間軸の特性も変わるので全帯域に影響するという認識でよろしいでしょうか。
はい。この表現でほぼ正しいと思います。
位相応答については人間は位相補正能力もあるので通常は殆ど問題にならないと思います。assiさんのところで位相の話題が出ていますが左右差には敏感でも左右が同じズレなら鈍感というのはよくわかります。左右でずれるとそれは違う音だと認識するのでしょうが、同じならそれらしく補正して認識してしまうのだと思います。
どこかでみた予測では、言葉を認識する際に部屋や個人差の影響をなくすためという意見がありました。波形で見ればあいうえおの発音は個人差や部屋で全く違うものになりますがちゃんとあいうえおと認識できるのはこの機能のおかげです。
たまにノイズが有ると言葉を認識しにくい方がいますが、むしろそういう方は位相により敏感な可能性もあります。
> 少しだけ、話がそれますが、HPで絶賛されていた富山県のI氏のシステム、私も聴いています。FOSTEXのT500が実はかなり良い影響を与えている気がしました。もちろんそれだけではない音でしたが。
聞かれていましたか。定位、中高域の品位でいえばかなり素晴らしいシステムでした。未だに定位であそこを超えると思ったシステムはありません。MidのSPの設計の工夫についてもいくつかお話を聞くことが出来ましたがかなり徹底して対策されているなと思いました。
byyohine at2019-06-21 12:29
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Taketさん
超遅レス失礼いたします。
貴重で実践的な計測実験ありがとうございます。
STWの効用については、実は20KHz以下の可聴帯域でも音が出ていて、その補強によって聴感上の違いが出るのではないかと考えておりましたが、見事にそれが実証されたと受け止めております。
その一方で、そもそもCDには入っていない20KHz超の音が出ているのかということについては疑問を持っています。そもそも入っていない帯域なのに、そこまで帯域が伸びているとか、その効果があるというのはおかしいと思っています。
もし、その帯域でも音が出ているとすれば、それは回路的に派生した高調波と高周波ノイズなのだと思います。その意味では、フィデリックスのハーモネーターと同じことなのだと思います。もしそうだとしたらSTWというものがmore accurateなのか?、あるいは本当にbetterか?というと疑問符がつきます。
SACDやハイレゾのテスト再生と超高域までレスポンスが伸びた測定マイクで実験するとなお面白いのかも知れません。
byベルウッド at2019-06-21 13:57
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yohineさん、こんばんは。
逢瀬の歴史にほんの少しだけ関わっている気がして光栄です。あの頃は好きなことをなんでもかんでもやっていましたが、今はなかなかチャレンジできなくなりました。yohineさんにはD級の地平を開拓し続けて欲しいです。
折角ですから、I邸のインプレも載せておきます。
https://blog.goo.ne.jp/taket-0405/e/80c8eaa372b5137f3bed9756a36edd35
https://blog.goo.ne.jp/taket-0405/e/c3d9b0be5ea6f59ff6f8a590090e2e24
今後ともよろしくお願い致します。
yohineさんが聴かれたのは私よりずいぶん後ですが、私が聴いた時点でも既に立体感と定位感が素晴らしかったです。
bytaketo at2019-06-21 23:21
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ベルウッドさん、こんばんは。
いえいえ、レスを頂けるだけでありがたいです。
「STWの効用については、実は20KHz以下の可聴帯域でも音が出ていて、その補強によって聴感上の違いが出るのではないかと考えておりました」
というくだり、私も全く同じことを考えていました。
まぁ、聴いて良ければだとは思いますが。
私の環境では20kHz以上は測れないですし、そもそもソースはCDしか持っていないので検証できないのが残念です。
ただ私は、(ハイレゾやSACDの存在価値は認めた上で)やっぱり20kHz以上は関係ないんじゃない?という立場です。
bytaketo at2019-06-21 23:32
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