日記
音響パネルの製作(その2)
2021年09月20日

(Sonusfaber MaximaAmatorのカタログより)
ルームチューニングアクセサリは、大きさと効果がある程度比例するといっても良いと思います。そしてアマチュアには、売り物にできないような大きさや形のものを安く作れる強みがあります。
周波数特性に大きな影響を与えるので、ケーブルやインシュレータ等よりも変化を実感できる可能性が高いと思います。
【パネルの設置場所】
本来ならば、一次反射点12か所全てに本格的な対策をしたいところなのですが、自室に関しては、
側壁と床:簡易的対策済み
天井:大規模になる(将来の課題)
後壁:対策困難
という現状があり、今回は自由度の高い前壁のみのパネルとします。
【パネルの構造】
吸音か乱反射か?全吸音も全反射もまともな音にはならないため、そもそも着地点はグレイゾーンです。他の壁面との相性、スピーカーとの相性、リスナーやソースとの相性等、様々な相性が関わってくるため、(ライブエンドとかデッドエンドとかの配置法も含めて)これは「好み」で良いと思います。市販品にもあるように、吸音と乱反射のハイブリッドもありと思います。
ごく普通のフラットな石膏ボードの壁面の前にスピーカーを置くならば、何もしないよりは、吸音でも乱反射でも対策を行った方が良いでしょう。
吸音の効果ならすぐに試せます。大きな吸音質のもの(冬用の毛布のような)をセンターの壁に画鋲か何かでぶら下げてみると、音質は激変します。ここにお洒落な絨毯等をぶら下げている人もよく見かけます。吸音素材の音色が乗る場合もありますが、デメリットよりメリットの方が大きいと思います。
そもそもの求めるレベルが低いせいなのか、私は音質的には毛布で結構満足できます。以前、某オーディオショップオリジナルの本格的なパネルを購入したことがありますが、毛布とそんなには変わりませんでした。
ただ、毛布はそのままだと見栄えが悪すぎて、精神衛生上よくありません。毛布をサランネットかお洒落なクロスにくるんで、板に張り付け、枠を付けるとかなりまともになるかもしれません。
今回は、折角なので乱反射板に挑戦します。市販のものは高価なので購入できません。
ですから、自作することにしました。
こんなことを言っては、真面目に開発している人に怒られるかもしれませんが、音響パネルの目的は“鏡像を壊すこと”ですから、目的さえ叶えていれば構造はテキトーで十分と思います。メーカー品をレンタルして寸法を測り、デッドコピーするのは悪質と思います。しかし、メーカー品に何となく見栄えが似たものを作るのは“アリ”ですし、オリジナルとそこまで大きな性能差は出ないと思います。第一、メーカー品だって、各社形状がバラバラですしね。

(Caintuck Audioより)
ただ言えるのは、何かしら拠り所となる“理論”があった方が安心ということです。
スカイライン型やQRD型の拡散板が最も無難なので、これを作りたければ、以下のページで設計できますのでご参照下さい。
http://www.mh-audio.nl/Acoustics/Diffusor.asp
私は、不器用で面倒くさがりなので、QRD型は断固拒否です。これを作るのはスピーカーキャビネットより面倒で、出来上がりも結構な重量となるからです。
そこで、乱反射タイプについて、構造的に自作向けで、わりときちんと設計されたものはないかと探してみました。そこで、ようやく1つ見つけました。

それが、Arqen社の拡散板です。この拡散板の詳細寸法図は登録さえすればフリーで入手できます。ごっそり理論武装している構造なので、信頼してみようと思います。

このような構造です。1枚が、横42cm、縦60cm、厚みが7cm程度です。
ところが、脳内工作シミュレーションをしてみると、これはこれでまだまだ大変そうです。木工用ボンドや木ねじやクランパも大量に必要となります。よって、スピーカーと同様、アウトソーシングを使い、素材も木材ではなく発泡スチロールを使用することで低コスト化を図りました。
(音質が若干心配ですが仕方ないです)

この構造のグレーの部分のみ発泡スチロールで作ってもらいます。黒の部分は、どこにでも売っている15mm程度の板です。
42cm×120cmのものを5枚と考えていたのですが、コストと製作プロセスの簡略化のため、84cm×120cmのパネルを2枚作製することにしました。
【丸棒形状の反射ボードについて】
日東紡音響に代表される丸棒を使用した拡散板についても検討はしました。類似のパネルを作製したマニアはネットで結構ヒットし、どなたも満足されているようです。
一本一本の棒には必ずリスナー方向に反射する角度があるので、音場や音像がボードの置かれた方向に広がる傾向があるように思います。
設計の条件としては“180度どの入射角で音が入ってきても必ず一本以上の棒に当たること”、“棒は段差をつけて並べること”、“大きくすること”を実現できれば良いものができると想像しています。棒の太さのランダム化は良いことだとは思いますが、これはコストとの兼ね合いでしょうか。今回このタイプも作りたかったのですが、丸棒のコストが馬鹿にならないため、断念しました。塩ビパイプを活用されている方もいらっしゃって良いアイディアと思いますので、いずれローコスト版には挑戦したいと思っています。
(つづく)
レス一覧
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taketo さん 今晩は。
準備着々と進んでますね。
余り急がずゆっくりと楽しんでください。
“丸棒形状の反射ボードに”
土木用ボイド管という手もありますよ。
日東棒紡社のデモルームのAGSは利用してました、厚手
の物のようでした。私も自作しましたが今休眠してます。
by田舎のクラング at2021-09-20 20:01
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taketoさんこんばんは
私はガーデニングなどに使う焼き杭でANKHもどきを作りました。
120cmで200円くらいで買えます。ホムセンだと野外に置いてあったりします。
曲がっていないのを選定して買う必要がありますがw色もナチュラルな渋みがあって結構、普通に完成度が高いものができました。
おすすめです!
byあべ at2021-09-20 21:37
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クラングさん、こんばんは。レス有難うございます。そういえばホームセンターに、ボイド管置いてありました。安いですよね。
塩ビパイプもそうですが、固定方法と空洞の処理に一工夫必要そうです。どうされましたか?
bytaketo at2021-09-20 21:48
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あべさん、こんばんは。レス有難うございます。杭も安いですよね。あべさんの部屋の画像になかったので意外でした。後ろの方なのかな?
先端の尖っている部分てどうされました?
bytaketo at2021-09-20 21:52
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あべです。ありがとうございます。
KEFのちょうど背面にあって、サブのウッドホーンが乗ってる台がANKHもどきです。
KEFのスピーカースタンドを替えたり、下にある38cmが入った箱の高さを調整したりで、ANKHもどきも何度か長さを調整してるんですけど、安く自作した物ですと躊躇なく改造ができるのが利点ですね。
杭の先端は丸のこで切り落としました。丸い物って切る時に回転したりで意外とやりにくいんですけど、2列くらいでガムテープで板状にまとめて切ったら結構上手く行きました。
byあべ at2021-09-20 22:10
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あべさん、確かにありましたね。クイズのようです。複雑なシステムですから、他にも様々な工夫がなされているのだと思います。
ガムテープでまとめて切るですね。勉強になりました。有りがとうございました。
bytaketo at2021-09-20 22:40
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taketさん
あべさんの言われてる杭も便利ですね。
確か少し長い物はなかったような、
ボイド管の端部は板材を内径に合わせ
サークルカッターで切り抜き固定しました。
中に詰め物を考えたのですが、適当な物が
思い当たらなく中空です。
丸棒、以前格安品があったのですが今は終売に約半値位
で購入しました。今は手が出ません。
後は工務店などで在庫、中古がある場合には安く分けて貰えます。
昔の手摺は太い物を使ってたようです。
私は大半を格安で集めました。
by田舎のクラング at2021-09-20 22:46
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クラングさん、あのようなシステムをお持ちの方なので、格安とかあまり気にされない方だと思い込んでいました。流石です。人脈って大切ですね。困ったなぁ。
丸棒タイプはすぐには作らないですが、その時には是非相談させて下さいませ。
宜しくお願い致します。
bytaketo at2021-09-20 22:58
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taketoさんこんばんは。taketoさんの“鏡像を壊すことが僕を大きく前進させてくれました。それまでは拡散や反射も難しく考えていたのですが、そうかそういう事だよなと考えが改まり拡散に挑戦しました。参考になる日記も多くこれからも拝見させていただきます。
byレップス at2022-02-11 00:10
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レップスさん、レス有難うございます。嬉しかったです。
私はオーディオについて考えたり調べたりするのは大好きなのですが、いざ実行するするのに腰が重いタイプです。
でも、趣味でも仕事でも1番強いのは、素直で行動力のある人だと思います。レップスさん、そのような意味でとても「強い」ですよ。
オーディオは、特にスピーカーオーディオはシンプルな理論でうまくいくほど単純ではないのですが、学術的理論をベースに試行錯誤するのと、しないのとでは、かかる時間とお金に差ができると思います。そして、学術的理論がないと、先輩オーディオマニアや怪しげなオーディオアクセサリメーカーやオーディオショップのヘンテコ理論の罠に嵌ります。
誰の書いていることも、勿論私の書いていることも、話半分で、疑いながら、かつ楽しみながら接して頂ければと思います。
レップスさんの今後が楽しみです。
bytaketo at2022-02-11 08:11